あずまねさん ハイキュー。 小さな弟【ハイキュー】 (ページ15)

小さな弟【ハイキュー】 (ページ15)

あずまねさん ハイキュー

本当にきっかけは些細なことだったと一人にされた東峰の部屋で月島は思い返している。 東峰が卒業して、そして就職して二年。 月島蛍は高校三年生になっていた。 高校生と社会人とでは忙しさの度合いも責任の重さも全く違う。 一年目と違い東峰も任される仕事が増え、さらに社会人特有の付き合いも増えた。 一方の月島もチームをまとめていくべき最上級生となり、さらに山口が主将となったことで相談に乗る回数も増え、さらには進学を希望していることもあり多忙だ。 月日は流れあっという間に季節は高校生活最後の夏だ。 あまりにも生活環境が変わった二人が顔を合わせる機会は二人ともに高校生だった頃と比べて歴然とその回数を減らしている。 だからこそ、二人で居られる時はなににも邪魔されることなく一緒にいたいと月島は考えていた。 この日も1ヶ月ぶりにようやく休みが取れた東峰とたまたま部活のなかった月島はようやく会えると楽しみにしていたのだ。 一人暮らしを始めた東峰の部屋で久々の逢瀬に月島も東峰も感情が昂ぶって、会うなり噛み付くように口づけを交わす。 「あずまね、さん」 「んっ、んぅ……つき、しま……」 「抱いても……いいですか、今すぐ東峰さんが欲しいです」 いつもは婉曲表現を使う月島にしては珍しく直球の愛情表現に東峰は一瞬目を開くも、それも久しぶりの逢瀬だったからだと結論づけて、眉を下げた何時もの柔らかい笑顔でいいよとつぶやく。 そう甘い雰囲気とともに、東峰を組み敷いたところまではきっと月島は間違いなく幸せだったと思う。 それは東峰も同じことだと思いたかった。 トップスの下に手を入れて、東峰の胸板を軽く往復する。 初めて体を重ねた月島が高1の冬よりも東峰の体は少し薄くなった気がした。 ちゃんとご飯は食べているのだろうか。 否、おそらく仕事が忙しくてろくに食べていないのだろう。 この行為が終わったら、食事に誘おう。 ひ、と悲鳴をあげているだろう東峰のからだを優しく労るように撫で上げれば、東峰の喉からは甘い声が紡がれて行く。 その嬌声がが甘くなればなるほど、月島の欲も比例するように高まって行く。 さあ、そろそろ東峰の準備も整い始めた。 その時だった。 ヴーヴー、 机の上で東峰の携帯が鳴る。 東峰の部屋のローテーブルは天板がガラス製のテーブルのため気づかなかった、では済まない音だ。 「つき、しま……ちょと、ごめ……」 「……出るんですか」 「ごめんな?仕事の話かも、しれないから」 仕事の話かもしれない、そう言われてしまえば月島は黙ってその行為をやめるしか道はない。 東峰は一瞬だけ月島の掌に自分のそれを重ねてぎゅっと握ると電話に出た。 やはり東峰の予想通り仕事の話だったらしい。 後輩らしき人物からの連絡で、東峰は少し考えながら問題を一つ一つ解決させようと丁寧に指示を出す。 この手がダメならあの手はどうか、それでもダメなら、と手取り足取りな様子を月島はじっと見つめる。 指示を待つだけではなく少しは自分で考えて行動すれば良いのにと月島は心中で悪態をついた。 次の瞬間、月島は目を開くほどの驚くべき言葉を聞くことになる。 「うーん、じゃあ俺今からいくからそれまでできる限り頑張っておいて」 そう言って電話を切った東峰は月島にごめんちょっと出てくる、と一言謝るとテキパキと準備を始めた。 月島の余裕などもう残されていなかった。 「東峰さん、今日休みなんですよね」 「そうだけど、後輩困ってるから……」 「社畜ですか」 「でも……」 「……僕といるより、大事なことですか?」 「……月島も、社会人になったらわかるよ……行ってくるね。 すぐ戻るから」 パタンと閉められるドアの音が部屋に響いて月島はただ一人唇を噛んだ。 刺々しい言葉をいくら投げかけても東峰は怒りもせず優しく笑っていた。 これが、高校生と社会人の差だと見せつけられたようだった。 月島は進学を希望している。 高校を卒業しても四年間はさらに東峰との間に差が出来る一方だ。 それは開くことはあっても縮まることがない。 自分の未熟さを露呈したようで、さらにこの先東峰にまた何か嫌味を言い続けていれば東峰はきっと月島から離れていくだろう。 一度でもこんな風にマイナス思考に支配されればすでに愛されている気すらしなくなってくる。 (潮時ってやつなのかな) そんなことを思ってふと部屋を見渡す。 すると気になる一冊のノートが目に入った。 先ほどまでは東峰に夢中でこのノートの存在は全く気に求めていなかった。 見てはいけない、それはわかっているが何と無く興味を引かれて月島はそのノートを覗いた。 三月三日 今日は高校の卒業式、月島と離れるのが寂しい。 そんなことを大地に話したら肩パンされた……。 (日記……、か。 卒業式の日からのかな) 九月二七日 今日は月島の誕生日だった。 三ヶ月前から有給申請しててよかった。 山口に月島はなにが欲しいか知ってる? ってラインしたら「東峰さんが欲しいって言ってました」だって。 ちょっと恥ずかしかったけど月島に同じこと聞いたら 同じ答えが返って来て嬉しかった。 月島の誕生日なのに俺がプレゼントもらったみたいだ。 十一月三〇日 春高の予選を見に行った。 みんな頑張ってた。 俺もまたバレーしたくなった。 月島も来年は部を引っ張る三年なんだなぁ。 俺じゃ役に立てるかわからないけど、月島が悩んでたら たくさん話し聞いてあげたいと思った。 来年も仕事が忙しくなければ月島を応援しに行きたいな。 翌年 五月十四日 月島となかなか会えない日が続いてる。 月島は忙しいし、俺もその辺は理解してあげないと。 同じバレー部出身なのに、 俺とバレーどっちが大事?って聞きそうになる自分がいる。 自分だって仕事忙しくなってなかなか会えずにいるのに。 月島に愛想つかされても何も言えないよなぁ。 七月十日 明日は月島がうちに来る。 俺も一日休みとってるしすごく楽しみだな。 月島が来るまでは部屋の掃除して、 そうだ、試験明けだって言ってたから月島の大好きなケーキ買ってこよう。 (ああ、なんて馬鹿なんだろう。 王様と日向のこと今までバカだ馬鹿だと三年間散々からかって遊んで来たけれど、僕はその上を行く大馬鹿者だ) 「月島、ただいま。 もう聞いてよ、電車乗ろうと思ってホームで待ってたらさ、さっきの後輩から電話きて『解決しましたー』だって。 もうさ、ヤになっちゃうよな。 そうだ、ケーキ買ってるんだけど、月島食べる?……ってどうした月島」 月島は帰ってきた東峰をきつく抱きしめた。 「ごめんなさい。 東峰さん」 「つき、しま……?」 「日記、見ちゃいました」 「え!?ちょ、や、……えええ」 「ごめんなさい、僕だけ勝手にイライラして、せっかく東峰さんに会えたのにって、子供じみたこと……」 月島の背を東峰はポンポンとまるで子供をあやす様に撫でる。 子ども扱いされるなどごめんだが東峰にそうされるのは不思議と昔から嫌ではなかった。 「月島はさ、いいんだよそれで」 「……何ですかそれ」 「月島はいつも、甘えられるばっかだろ?日向と影山には勉強で甘えられて、山口も主将なんて慣れない立場だから甘えさせてあげてるんだろ?だからさ、甘えていいよ俺には」 「東峰さんってホント昔から甘やかすのうまいですね……」 月島の顔が徐々に東峰に近づく。 「あ、ちょっと待って」 「東峰さん?」 「ケータイ。 電源きるから」 「え、大丈夫ですか?」 「たまにはいいよ、俺も月島と一緒にいるのにもう邪魔されたくないから」 電源がオフになった瞬間、東峰はそれをポンとソファに投げ月島の首に腕を回した。

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ハイキュー!! 40 (ジャンプコミックス)

あずまねさん ハイキュー

本当にきっかけは些細なことだったと一人にされた東峰の部屋で月島は思い返している。 東峰が卒業して、そして就職して二年。 月島蛍は高校三年生になっていた。 高校生と社会人とでは忙しさの度合いも責任の重さも全く違う。 一年目と違い東峰も任される仕事が増え、さらに社会人特有の付き合いも増えた。 一方の月島もチームをまとめていくべき最上級生となり、さらに山口が主将となったことで相談に乗る回数も増え、さらには進学を希望していることもあり多忙だ。 月日は流れあっという間に季節は高校生活最後の夏だ。 あまりにも生活環境が変わった二人が顔を合わせる機会は二人ともに高校生だった頃と比べて歴然とその回数を減らしている。 だからこそ、二人で居られる時はなににも邪魔されることなく一緒にいたいと月島は考えていた。 この日も1ヶ月ぶりにようやく休みが取れた東峰とたまたま部活のなかった月島はようやく会えると楽しみにしていたのだ。 一人暮らしを始めた東峰の部屋で久々の逢瀬に月島も東峰も感情が昂ぶって、会うなり噛み付くように口づけを交わす。 「あずまね、さん」 「んっ、んぅ……つき、しま……」 「抱いても……いいですか、今すぐ東峰さんが欲しいです」 いつもは婉曲表現を使う月島にしては珍しく直球の愛情表現に東峰は一瞬目を開くも、それも久しぶりの逢瀬だったからだと結論づけて、眉を下げた何時もの柔らかい笑顔でいいよとつぶやく。 そう甘い雰囲気とともに、東峰を組み敷いたところまではきっと月島は間違いなく幸せだったと思う。 それは東峰も同じことだと思いたかった。 トップスの下に手を入れて、東峰の胸板を軽く往復する。 初めて体を重ねた月島が高1の冬よりも東峰の体は少し薄くなった気がした。 ちゃんとご飯は食べているのだろうか。 否、おそらく仕事が忙しくてろくに食べていないのだろう。 この行為が終わったら、食事に誘おう。 ひ、と悲鳴をあげているだろう東峰のからだを優しく労るように撫で上げれば、東峰の喉からは甘い声が紡がれて行く。 その嬌声がが甘くなればなるほど、月島の欲も比例するように高まって行く。 さあ、そろそろ東峰の準備も整い始めた。 その時だった。 ヴーヴー、 机の上で東峰の携帯が鳴る。 東峰の部屋のローテーブルは天板がガラス製のテーブルのため気づかなかった、では済まない音だ。 「つき、しま……ちょと、ごめ……」 「……出るんですか」 「ごめんな?仕事の話かも、しれないから」 仕事の話かもしれない、そう言われてしまえば月島は黙ってその行為をやめるしか道はない。 東峰は一瞬だけ月島の掌に自分のそれを重ねてぎゅっと握ると電話に出た。 やはり東峰の予想通り仕事の話だったらしい。 後輩らしき人物からの連絡で、東峰は少し考えながら問題を一つ一つ解決させようと丁寧に指示を出す。 この手がダメならあの手はどうか、それでもダメなら、と手取り足取りな様子を月島はじっと見つめる。 指示を待つだけではなく少しは自分で考えて行動すれば良いのにと月島は心中で悪態をついた。 次の瞬間、月島は目を開くほどの驚くべき言葉を聞くことになる。 「うーん、じゃあ俺今からいくからそれまでできる限り頑張っておいて」 そう言って電話を切った東峰は月島にごめんちょっと出てくる、と一言謝るとテキパキと準備を始めた。 月島の余裕などもう残されていなかった。 「東峰さん、今日休みなんですよね」 「そうだけど、後輩困ってるから……」 「社畜ですか」 「でも……」 「……僕といるより、大事なことですか?」 「……月島も、社会人になったらわかるよ……行ってくるね。 すぐ戻るから」 パタンと閉められるドアの音が部屋に響いて月島はただ一人唇を噛んだ。 刺々しい言葉をいくら投げかけても東峰は怒りもせず優しく笑っていた。 これが、高校生と社会人の差だと見せつけられたようだった。 月島は進学を希望している。 高校を卒業しても四年間はさらに東峰との間に差が出来る一方だ。 それは開くことはあっても縮まることがない。 自分の未熟さを露呈したようで、さらにこの先東峰にまた何か嫌味を言い続けていれば東峰はきっと月島から離れていくだろう。 一度でもこんな風にマイナス思考に支配されればすでに愛されている気すらしなくなってくる。 (潮時ってやつなのかな) そんなことを思ってふと部屋を見渡す。 すると気になる一冊のノートが目に入った。 先ほどまでは東峰に夢中でこのノートの存在は全く気に求めていなかった。 見てはいけない、それはわかっているが何と無く興味を引かれて月島はそのノートを覗いた。 三月三日 今日は高校の卒業式、月島と離れるのが寂しい。 そんなことを大地に話したら肩パンされた……。 (日記……、か。 卒業式の日からのかな) 九月二七日 今日は月島の誕生日だった。 三ヶ月前から有給申請しててよかった。 山口に月島はなにが欲しいか知ってる? ってラインしたら「東峰さんが欲しいって言ってました」だって。 ちょっと恥ずかしかったけど月島に同じこと聞いたら 同じ答えが返って来て嬉しかった。 月島の誕生日なのに俺がプレゼントもらったみたいだ。 十一月三〇日 春高の予選を見に行った。 みんな頑張ってた。 俺もまたバレーしたくなった。 月島も来年は部を引っ張る三年なんだなぁ。 俺じゃ役に立てるかわからないけど、月島が悩んでたら たくさん話し聞いてあげたいと思った。 来年も仕事が忙しくなければ月島を応援しに行きたいな。 翌年 五月十四日 月島となかなか会えない日が続いてる。 月島は忙しいし、俺もその辺は理解してあげないと。 同じバレー部出身なのに、 俺とバレーどっちが大事?って聞きそうになる自分がいる。 自分だって仕事忙しくなってなかなか会えずにいるのに。 月島に愛想つかされても何も言えないよなぁ。 七月十日 明日は月島がうちに来る。 俺も一日休みとってるしすごく楽しみだな。 月島が来るまでは部屋の掃除して、 そうだ、試験明けだって言ってたから月島の大好きなケーキ買ってこよう。 (ああ、なんて馬鹿なんだろう。 王様と日向のこと今までバカだ馬鹿だと三年間散々からかって遊んで来たけれど、僕はその上を行く大馬鹿者だ) 「月島、ただいま。 もう聞いてよ、電車乗ろうと思ってホームで待ってたらさ、さっきの後輩から電話きて『解決しましたー』だって。 もうさ、ヤになっちゃうよな。 そうだ、ケーキ買ってるんだけど、月島食べる?……ってどうした月島」 月島は帰ってきた東峰をきつく抱きしめた。 「ごめんなさい。 東峰さん」 「つき、しま……?」 「日記、見ちゃいました」 「え!?ちょ、や、……えええ」 「ごめんなさい、僕だけ勝手にイライラして、せっかく東峰さんに会えたのにって、子供じみたこと……」 月島の背を東峰はポンポンとまるで子供をあやす様に撫でる。 子ども扱いされるなどごめんだが東峰にそうされるのは不思議と昔から嫌ではなかった。 「月島はさ、いいんだよそれで」 「……何ですかそれ」 「月島はいつも、甘えられるばっかだろ?日向と影山には勉強で甘えられて、山口も主将なんて慣れない立場だから甘えさせてあげてるんだろ?だからさ、甘えていいよ俺には」 「東峰さんってホント昔から甘やかすのうまいですね……」 月島の顔が徐々に東峰に近づく。 「あ、ちょっと待って」 「東峰さん?」 「ケータイ。 電源きるから」 「え、大丈夫ですか?」 「たまにはいいよ、俺も月島と一緒にいるのにもう邪魔されたくないから」 電源がオフになった瞬間、東峰はそれをポンとソファに投げ月島の首に腕を回した。

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小さな弟【ハイキュー】 (ページ8)

あずまねさん ハイキュー

日向くんが中1の途中まで、若利くんとご近所に住んでて、2人は仲良くバレーでワールドカップに勝とうとか言い合ってたんだけれど、思うように身長が伸びなくて、白鳥沢中等部のバレー部監督にあまり重要視されなかった日向くんは、親の引越しを機に雪ヶ丘中に転校する。 雪ヶ丘中にはバレー部がなかったけれど、中3で初めて公式戦に出場、初めての対戦相手の北川第一中の影山くんのテクに一目惚れし、試合後、一緒に烏野高校に行って俺にパス上げてくれと口説く。 影山くんも日向くんのことが忘れられなくて烏野へ。 勿論、バレー的に相思相愛なんだけれども、若利くんも日向くんのことが大好きで忘れることなんて出来ない様子。 というのが前回までのあらすじです。 ブックマーク、フォローありがとうございます。 亀更新ですが頑張ります。 「オープン!」 「あずまねさん!」 エースが、ボールを呼ぶ。 シューズが床を捉えてキュッキュッと鳴り響き、300グラムにも満たないボールが、その体積に似合わない音を出して床に叩きつけられている。 体育館は、部員達の汗の水蒸気で霧みてぇに霞んでる。 そんだけこいつらが本気で頑張ってるってことだ。 こいつらはすげぇ。 勝つことを信じ続けるモチベーションを維持してやがる。 揺るがねぇ。 強豪相手に、負けることなんて考えちゃいねぇ。 高校生の部活なんて、どこもそんなに大差ねぇんだ。 優勝する奴も、1回戦で消えていく奴も、全員高校生なんだ。 練習量とか体格の差とかはあるけれども、それでも、勝利を掴むのは、最後の一瞬まで勝つことを信じ続けてる奴らなんだ。 「鵜養くん、頑張りましょうね!」 珍しく、部活動の最初から体育館にいる男子バレー部顧問兼監督の武田先生が、生徒たちの練習を食い入るように眺めながらふるふると呟いた。 「だな!まあ、実際頑張るのはあいつらだけとな。 俺は導くことしか出来ねぇ」 マジ俺に出来ることなんて限られてっけど、俺の出来ることは全部やってやるって思ってる。 「そうですけど、やっぱり鵜養くんの指導あっての、というのはありますよ。 」 「それを言うなら、部活動に熱心な顧問の力ってのもあるだろ。 練習試合組んだりとか、遠征の足とか、何かするんでも学校側や保護者とのやりとりとか、生徒たちだけじゃ出来ねぇ。 もちろん俺も出来ねぇ。 」 残業代も出ねぇってシステムの中で、学校の部活ってのは、ほんと先生方のボランティア精神の上に乗っかってたんだなって思う。 ただでさえ、授業だけでなく、進路相談やいじめの監視、学校行事やPTAからの自己中なクレームへの対応とか、やること多過ぎなのに、さらに部活とか、労働条件的には余裕でブラックなんじゃねーの。 自分が学生んときはそんなこと気にすることもなかったけど、社会人になって、こいつらの部活みるようになって、随分前に卒業した学校にまた来るようになって、色んなモンが見えてきちまった。 まあ、だから何だって話しなんだけどもよ。 いや、だからそーじゃねぇ。 こいつらの熱がすげぇって話だ。 今の2年や3年が、指導者不在っていうハンデの中で、地道に築きあげた土台も勿論すげーし大事なんだけども、日向と影山っていう間違いなく全国レベルの選手が、その圧倒的な熱量で周りを盛り上げ、有無を言わさず引っ張ってるって感じか。 才能も身体能力もある奴が、毎日貪欲に練習してる姿見せられたら、そりゃ引っ張られるだろ。 こいつらに、俺に出来ることは全てやってやりてぇ。 【決勝前夜白鳥沢高校】 「マジか!」 「青城負けちゃったんたねー」 部員たちが大きな声を出して驚いている。 俺は多少吃驚しているが、全く予想外という訳でもないと考えている。 春高の県予選、烏野高校が青葉城西に勝ったらしい。 明日の決勝戦は、白鳥沢と烏野で戦う。 俺と翔陽が、ネットを挟んで戦うことになるのだ。 共に戦うことばかり考えていたから、あまりイメージが湧かないが、 コートで、ネットを挟んで戦えば、おまえの気持ちが理解出来るのだろうか。 俺の隣で共に戦うことを選ばなかった理由が。 「若利くーん。 なーんか楽しそうだね?」 「天童?別に楽しくはないが」 「いやー、なんかウキウキしてない?良いことでもあった?」 「ウキウキなどしていない」 「ウキウキっていうかー、明日の試合楽しみって思ってるんでない?」 「…たしかに、今まで戦ったことのない相手と戦うのは楽しみかもしれないが」 「でしょー?なーんか、凄い速い速攻使ってくるらしいしね」 「ああ」 たしかに、おまえの新しい武器をねじ伏せるのは楽しみなのかもしれない。

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