ペン フィールド の ホムンクルス。 脳の中のこびと

体性感覚

ペン フィールド の ホムンクルス

ホムンクルスの図を見て ( 2010. 1掲載) 大脳の表面に広がるシワシワは大脳皮質と呼ばれる。 この大脳皮質は知覚、随意運動、思考、推理、記憶など脳のもっとも高次な機能をつかさどる大切な部分である。 カナダの脳外科医ペンフィールド( 1891~ 1976)は、人間の身体のさまざまな部位の機能が、大脳のどこに対応しているかを表す脳地図を作製している(図 -1)。 この身体各部位の大きさと脳地図で対応している大きさは、比例した関係にはなっていない。 身体各部位の大きさを、逆に脳地図での大きさに置き換えた模型を「ホムンクルス」という(図 -2)。 図-1 脳の部位と体性感覚野の地図 図-2 人間のホムンクルス 図-1~2. 池谷祐二著『進化しすぎた脳』から このホムンクルスの図は、どの身体各部が、感覚器として重要かが一目で分かる表示方法になっている。 同じようにして「動物のホムンクルス」もつくられる(図 -3)。 図-3 動物のホムンクルス サル ネコ ウサギ 図-3. 池谷祐二著『進化しすぎた脳』から ネコやウサギのヒゲに相当する部分は大きく、大切な感覚器であることが分かる。 子供のころ、ネコのヒゲを切ってはいけないと言われたものである。 「人間のホムンクルス」からは、胴体にくらべて、舌や 唇 くちびる ・手の指(とくに人差し指) ・目が大きいのが目立つ。 この「人間のホムンクルス」を見ながら、関連するかどうかは不明だが、『 普勧坐禅儀 ふかんざぜんぎ 』に書かれている文章を思い出す。 『普勧坐禅儀』は、日本の曹洞宗の開祖である道元が、中国(宋)での修行を終え、帰国した 1227年(嘉禄 3)に書いた、わが国の最初の本格的な坐禅の指導書である。 『普勧坐禅儀』は漢文で書かれ、わずか七百五十六文字の短文である。 その 訓 よ み下し文も普通に読めば10 分とはかからない。 なお 6年後の 1233年(天福元年)に書いた道元肉筆の『普勧坐禅儀』(天福本)が、永平寺に保存され国宝となっている。 その姿勢を保ちやすいように、尻の下に 布団 ふとん ( 坐蒲 ざふ )を敷く。 この手と舌と 唇 くちびる と目について、『普勧坐禅儀』では次のように記している( 訓 よ み下し文)。 << 次 つぎ に 右 みぎ の 手 て を 左 ひだり の 足 あし の 上 うえ に 安 あん じ、 左 ひだり の 掌 たなごころ を 右 みぎ の 掌 たなごころ の 上 うえ に 安 あん ず、 両 りょう の 大拇指 だいもし 、 面 むか いて 相拄 あいさそ う。 乃 すなわち ち 正身端坐 しょうしんたんざ して、 右 みぎ に 側 そばだ ち 左 ひだり に 傾 かたむ き、 前 まえ に 躬 くぐま り 後 しりえ に 仰 あお ぐことを 得 え ざれ。 耳 みみ と 肩 かた と 対 たい し、 鼻 はな と 臍 ほぞ を 対 たい せしめんことを 要 よう す。 舌上 したうえ の 腭 あぎと に 掛 か けて、 唇歯相著 しんしあいつ け、 目 め は 須 すべか らく 常 つね に 開 ひら くべし。 >> (次に、右の手を左の足の上におき、左の手を右の手の上におく。 両方の親指であいささえる。 姿勢を正しく背すじをまっすぐにして坐り、右へかたよったり、左にかたむいたり、前方にかがみこんだり、後方に仰いではいけない。 耳と肩とあい対し、鼻とヘソとをあい対する。 舌は上あごにつけ、 唇 くちびる と唇、歯と歯を全部つける。 目は常に開く。 ) 上記の特定箇所の調え方について、具体的には次のように、教わりまた坐禅指導書などには書いてある。 図 -5 手の組み方 親指の先はかすかに接し、離れても強く押し付けてもいけない。 親指は眠くなると一番初めに力が抜ける。 これを「親指から眠る」といい、常に離れないように注意を向けなくてはならない。 このようにすると口の中に空気が残らない。 舌の快い緊張の刺激が坐禅に有効な働きをする。 いわゆる「へ」の字にする。 こうすると 唇 くちびる と歯の間に空気が残らない。 そして唇の筋肉がしまって、顔面から快い緊張を持続することができる。 見開いてもいけない。 顔を正面に向け、視線だけを 1メートル先の畳に落とす。 目から入る光の刺激によって眠りとは違った落ち着きが実現する。 目はつむると眠くなったり空想したりするし、カッと見開くと興奮する。 「人間のホムンクルス」から重要とされる感覚器と、 780年前に書かれた『普勧坐禅儀』のなかで、調え方を指示している身体の箇所は重なる。 偶然の一致かもしれない。 あるいは重要とされる特定の感覚器に、一定の刺激をあたえ続けることが、坐禅をするうえで大切なことであることを、 古 いにしえ の人は 直感や経験から気づき、伝え続けてきたのかもしれない。 参 考 池谷祐二『進化しすぎた脳』講談社ブルーバックス( 2007) 秦慧玉『普勧坐禅儀講話』曹洞宗宗務庁( 1982) 東隆眞「『坐禅用心記』に参ずる」大法輪閣( 2007) その他.

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私たちの脳の中の小人――ペンフィールドのホムンクルスの話

ペン フィールド の ホムンクルス

ホムンクルスの図を見て ( 2010. 1掲載) 大脳の表面に広がるシワシワは大脳皮質と呼ばれる。 この大脳皮質は知覚、随意運動、思考、推理、記憶など脳のもっとも高次な機能をつかさどる大切な部分である。 カナダの脳外科医ペンフィールド( 1891~ 1976)は、人間の身体のさまざまな部位の機能が、大脳のどこに対応しているかを表す脳地図を作製している(図 -1)。 この身体各部位の大きさと脳地図で対応している大きさは、比例した関係にはなっていない。 身体各部位の大きさを、逆に脳地図での大きさに置き換えた模型を「ホムンクルス」という(図 -2)。 図-1 脳の部位と体性感覚野の地図 図-2 人間のホムンクルス 図-1~2. 池谷祐二著『進化しすぎた脳』から このホムンクルスの図は、どの身体各部が、感覚器として重要かが一目で分かる表示方法になっている。 同じようにして「動物のホムンクルス」もつくられる(図 -3)。 図-3 動物のホムンクルス サル ネコ ウサギ 図-3. 池谷祐二著『進化しすぎた脳』から ネコやウサギのヒゲに相当する部分は大きく、大切な感覚器であることが分かる。 子供のころ、ネコのヒゲを切ってはいけないと言われたものである。 「人間のホムンクルス」からは、胴体にくらべて、舌や 唇 くちびる ・手の指(とくに人差し指) ・目が大きいのが目立つ。 この「人間のホムンクルス」を見ながら、関連するかどうかは不明だが、『 普勧坐禅儀 ふかんざぜんぎ 』に書かれている文章を思い出す。 『普勧坐禅儀』は、日本の曹洞宗の開祖である道元が、中国(宋)での修行を終え、帰国した 1227年(嘉禄 3)に書いた、わが国の最初の本格的な坐禅の指導書である。 『普勧坐禅儀』は漢文で書かれ、わずか七百五十六文字の短文である。 その 訓 よ み下し文も普通に読めば10 分とはかからない。 なお 6年後の 1233年(天福元年)に書いた道元肉筆の『普勧坐禅儀』(天福本)が、永平寺に保存され国宝となっている。 その姿勢を保ちやすいように、尻の下に 布団 ふとん ( 坐蒲 ざふ )を敷く。 この手と舌と 唇 くちびる と目について、『普勧坐禅儀』では次のように記している( 訓 よ み下し文)。 << 次 つぎ に 右 みぎ の 手 て を 左 ひだり の 足 あし の 上 うえ に 安 あん じ、 左 ひだり の 掌 たなごころ を 右 みぎ の 掌 たなごころ の 上 うえ に 安 あん ず、 両 りょう の 大拇指 だいもし 、 面 むか いて 相拄 あいさそ う。 乃 すなわち ち 正身端坐 しょうしんたんざ して、 右 みぎ に 側 そばだ ち 左 ひだり に 傾 かたむ き、 前 まえ に 躬 くぐま り 後 しりえ に 仰 あお ぐことを 得 え ざれ。 耳 みみ と 肩 かた と 対 たい し、 鼻 はな と 臍 ほぞ を 対 たい せしめんことを 要 よう す。 舌上 したうえ の 腭 あぎと に 掛 か けて、 唇歯相著 しんしあいつ け、 目 め は 須 すべか らく 常 つね に 開 ひら くべし。 >> (次に、右の手を左の足の上におき、左の手を右の手の上におく。 両方の親指であいささえる。 姿勢を正しく背すじをまっすぐにして坐り、右へかたよったり、左にかたむいたり、前方にかがみこんだり、後方に仰いではいけない。 耳と肩とあい対し、鼻とヘソとをあい対する。 舌は上あごにつけ、 唇 くちびる と唇、歯と歯を全部つける。 目は常に開く。 ) 上記の特定箇所の調え方について、具体的には次のように、教わりまた坐禅指導書などには書いてある。 図 -5 手の組み方 親指の先はかすかに接し、離れても強く押し付けてもいけない。 親指は眠くなると一番初めに力が抜ける。 これを「親指から眠る」といい、常に離れないように注意を向けなくてはならない。 このようにすると口の中に空気が残らない。 舌の快い緊張の刺激が坐禅に有効な働きをする。 いわゆる「へ」の字にする。 こうすると 唇 くちびる と歯の間に空気が残らない。 そして唇の筋肉がしまって、顔面から快い緊張を持続することができる。 見開いてもいけない。 顔を正面に向け、視線だけを 1メートル先の畳に落とす。 目から入る光の刺激によって眠りとは違った落ち着きが実現する。 目はつむると眠くなったり空想したりするし、カッと見開くと興奮する。 「人間のホムンクルス」から重要とされる感覚器と、 780年前に書かれた『普勧坐禅儀』のなかで、調え方を指示している身体の箇所は重なる。 偶然の一致かもしれない。 あるいは重要とされる特定の感覚器に、一定の刺激をあたえ続けることが、坐禅をするうえで大切なことであることを、 古 いにしえ の人は 直感や経験から気づき、伝え続けてきたのかもしれない。 参 考 池谷祐二『進化しすぎた脳』講談社ブルーバックス( 2007) 秦慧玉『普勧坐禅儀講話』曹洞宗宗務庁( 1982) 東隆眞「『坐禅用心記』に参ずる」大法輪閣( 2007) その他.

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ペンフィールドマップ(脳地図)からひも解く脳活性

ペン フィールド の ホムンクルス

脳神経外科医であるペンフィールドは、癲癇患者の手術際に切開した脳に電極を当て、脳細胞に電気刺激と患者の反応を観察しました。 これが、有名なペンフィールドの実験です。 この実験により脳は各部位で分業しており、それぞれの脳部位とそれにつながる全身の体部位は対応関係にある事を確認することが出来たのです。 大脳皮質の運動野と感覚野には体の各部位に対応する領域があり、例えば手の動きに関わる部位の大脳皮質を損傷すると手が動かなくなり、親指につながる大脳皮質感覚野に電極刺激を与えると親指がビリビリと感じたりします。 ペンフィールドマップ ペンフィールドはヒトの大脳皮質を電気刺激し、運動野や体性感覚野と体部位との対応関係をまとめた。 皮質上の身体部位の図の大きさは、その部位を司る大脳皮質の面積に比例している。 上の図の脳断面が脳の運動野と感覚野の部位から、それに対応する身体部位です。 身体の大小の図はその部位を司る大脳皮質の面積に比例しています。 左右の エイリアン? ヒト とも手、手指、顔、口、足などはその部位にしめる大脳皮質の面積の割合が大きい事がわかります。 それだけ脳のつながりが大きいともいえます。 例えば、よく噛んで食べる 咀嚼運動 事も、顔をマッサージしたり手入れする事やよく笑う事も、手指や足趾を使う運動やマッサージ等はペンフィールドマップからみれば理にかなった脳活性なのです。 6 selected entry.

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