ある日お姫様になってしまった件について 翻訳 75。 ある日、お姫様になってしまった件について 2 (FLOS COMIC)

年齢確認

ある日お姫様になってしまった件について 翻訳 75

質問一覧• 子なんですけど… 元彼がずっと連絡してくるみたいで、でも彼女に告白したり彼女と付き合うことはせず、新しい彼女をたくさん作っ... 最終巻ルーカスがアーティに告白すると書いてありました。 どんな感じで告白したのかできれば詳しく どなたか教えてくださいますか?韓国語... カウボールを集めるクエストが出ました。 Twitterにあげられてた創作漫画で 男女の恋人と、後小さな女の子が出てくるお話で 女の子が学校のお遊戯会で お姫様役をやるはずが、 クラスメイトが泣いたため譲って泣きながら 家に帰ってきた女の子を慰めようと 青年が夜... たときに食いしばってたのか、歯に違和感があります。 その後に二度寝したら、友達が目の前で轢かれて私が お姫様抱っこして走って運ぶという夢を見ました。 ちなみにぴいおばあちゃんがあまり長くはなさそうなのは最近わかりました。 あまりいい夢...

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外科医エリーゼ 2 (FLOS COMIC)

ある日お姫様になってしまった件について 翻訳 75

第76話の感想 ある姫、6月の更新でした~。 次は後!?待てない・・・あと何回辛い仕事をこなさないといけないの・・・。 以下、個人的な感想です。 アタナシアの戸惑った顔を思い出してしまい少し落ち込みます。 これ、ジェニットが子供と言われてもクロードは受け入れないだろうし(ダイアナと過ごした時の記憶は持ってるし)、一人だけ勘違いしているのが可哀想すぎて。。。 憎たらしいキャラだったらザマァなんだけど、ジェニットに罪は無いから読んでて辛い。 それにしてもなぜ小説の中のクロードがジェニットを受け入れたのかが謎なんですが、婚約者とは身体の関係がありつつ、兄と関係持たれたってことでいいんでしょうか? ダイアナのことを忘れたと同時に、兄と婚約者の裏切りも忘れたってこと?真っ先に兄の子供か?と疑いませんかね、普通。 そんなドロドロの話は一旦置いておいて。 アタナシアはイゼキエルとルーカスからのアプローチに戸惑い中。 好かれたことある?とフィリックスとリリーに質問するアタナシア。 フィリックスはモテモテで安心しました。 やっぱり赤血の騎士様なだけありますね。 といいつつ「 赤血」って何て読むんでしょうか?いつも「赤血球」と打って球を消すのですが・・・ググっても出てこず 笑 クロードがいつも傍にいるせいで話かけられないとか、、 でもクロードも美しいし、ダイアナと出会う前のハーレムの絵では女の子たちきゃっきゃしてたからモテないわけではないんだろうなと。 貴族からは敬遠されてそうなイメージ。 パパ呼び復活おめでとうございます() 翻訳かけたら「おとうちゃま」とか出てきて噴出したけど、次のコマはちゃんとパパだったw 今のクロードに船提案するの!?とアタナシアの心配をしつつ、すんなり承諾するクロードにもびっくりです。 以前ルーカスがクロードの黒魔法が和らいでいく過程を話すシーンで幼少期の船のシーンが描かれていたから、クロードにとってアタナシアと乗った船は思い入れが強いんだろうな、と勝手に解釈。 ジェニット誘ったのはアタナシアなりの配慮だったと思いますが、クロードの返事もアタナシアへの配慮・・・。 二人で乗ってほしいし、ジェニットが来ても二人の間には入れないし可哀想なので、手紙が届くの遅くて明日は皇城来れないとかになってほしいです。。。 湖の魔物を除去した話ってありましたっけ?めちゃくちゃ微笑ましいです。 親心が今のクロードにも少しずつ芽生え始めてきているのが伝わってきますむふふ。 第76話後の妄想 以前、pixivに75話の妄想記事を載せたのですが、かすりもしなかったので。 今後は細々と展開予想だけにしようかなとw 見事に掠らなかった小説は以下URLにありますw 76話後の願望を通勤途中の電車で妄想しました。 湖の中を覗き込み、謎の魔物はいないかを確認するアタナシア。 澄ました顔をしつつ船から身を乗り出すアタナシアが内心気になってしょうがないクロード。 アタナシアは固まった後、14歳にもなって抱えられたことに顔から火が出そうになった。 降り場で待っていたフィリックスは終始ニコニコしていて、動けないアタナシアを背中に乗せて「姫様大きくなりましたね」と言い笑った。 次回更新は7月10日か・・・待てない。

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河野系図異同は通信以降に始まった?

ある日お姫様になってしまった件について 翻訳 75

シャハリヤール王と弟シャハザマーン王との物語 [ ]• バートン版「シャーリヤル王とその弟の物語」• 東洋文庫版「シャーリヤル王とその弟君の話」 昔々、(ササン朝ペルシャ) にという王がいた(:物語上の架空人物)。 王はインドと中国も治めていた。 弟のシャハザマーンは(ササン朝ペルシャ)の北部の都市を治めていた。 あるとき兄は弟に会いたくなり、サマルカンドの弟に使いをやって、自分の都に弟を呼んだ。 兄のもとに向け出発した際、兄への贈り物を忘れた事に気付いたシャハザマーンが宮殿へ取って返すと、妃が一人の奴隷と浮気の最中であった。 彼は妃と奴隷を殺してから兄の国を訪れたが、傷心のためひどく塞いでいた。 しかし兄の留守の間、シャハザマーンは兄の妃が二十人の男奴隷と二十人の女奴隷を相手に痴態の限りを尽くすのを目撃し、自分に起きた出来事はこれに較べればましだと思って元気を取り戻した。 帰ってきたシャハリヤールは弟がすっかり明るくなったのを見て理由を尋ねた。 弟が目撃した事を聞き、さらに自分の眼でそれを確かめると、シャハリヤールは衝撃のあまり弟と共に宮殿を後にして流浪の旅に出た。 ある海辺の一本の木の下で二人が休んでいる時に魔神がやってきた。 二人が木に登って見ていると、魔神は頭の上の櫃から非常に美しい乙女を出し、その膝枕で眠り始めた。 木の上の兄弟に気付いた乙女は二人に自分と性交するよう言い、しなければ魔神を起こして二人を殺させると脅した。 怯えた二人は言うとおりにした。 済むと乙女は、自分は婚礼の夜に魔神にさらわれきて今に至ること、しかしこれまで魔神が眠っている隙に570人(最新のマフディー版では98人 )の男たちと性交したこと、なんとなれば女が何かをしたいと思えば何者もそれを抑える事など出来ないことを語って聞かせた。 魔神でさえ自分達よりも酷い不貞に遭っていることに驚嘆した二人はそれぞれの都へ帰っていった。 宮殿に戻った兄のシャハリヤールはまず妃と件の奴隷達の首を刎ねさせた。 そして大臣に毎晩一人の処女を連れて来るよう命じ、処女と寝ては翌朝になると殺すようになった。 三年もすると都から若い娘は姿を消してしまったが、それでも王は大臣に処女を連れて来るよう命じた。 この大臣には娘が二人いたが、恐怖と悩みにやつれた父を見て、姉娘のは自分を王に娶合わせるよう父に言った。 王のもとに参上したシャハラザードは妹のドニアザードを呼び寄せた。 王とシャハラザードの床入りが済むと、ドニアザードはかねて姉に言い含められたとおり姉に物語をねだった。 古今の物語に通じているシャハラザードは国中の娘達の命を救うため、自らの命を賭けて王と妹を相手に夜通し語り始めた。 千夜一夜の始まりである。 商人と鬼神(イフリート)との物語(第1夜 - 第3夜) [ ]• 商人は、身辺整理をしたら必ずここに帰ることを誓い、国に帰り身辺整理をして、鬼神の所に戻ってきた。 すると、「羚羊(カモシカ)をつれた老人」と「2匹の猟犬をつれた老人」と「牝騾馬をつれた老人」が通りかかり、鬼神に対して「不思議な話を聞かせるので、商人を許して欲しい」と願い出た。 鬼神は3人の話を聞いて、それに感心し、商人を許すことになった。 第一の老人の話 [ ] ある商人は、妻との間に子ができなかったので、妾を取ったところ、すぐに男の子が生まれた。 妻は嫉妬し、妾と男の子を魔法で牛に変えてしまった。 商人は妾の牛を知らずに殺してしまい、男の子の牛も殺しそうになるが、牛があまりに泣くので思いとどまった。 牛飼いの娘が、牛の正体を見破り、牛を男の子に戻し、商人の妻を魔法で羚羊(カモシカ)に変えた。 商人の息子は、牛飼いの娘と結婚した。 第二の老人の話 [ ] 男3人の兄弟がいて、父親の遺産を相続した。 末の弟は地元で商売を続けたが、兄2人は隊商と旅に出て、一文無しになって返ってきた。 弟は兄に金を与え、地元でいっしょに商売をするが、すぐに兄2人は隊商と再び旅に出て、一文無しになって返ってきた。 再度、弟は兄に金を与え、地元でいっしょに商売をした。 3人は、今度はいっしょに旅に出ることにした。 旅の途中で、末の弟は、ぼろを着た女に出会い、結婚した。 3兄弟は大儲けして返ってくる。 しかし、兄2人は弟の妻に嫉妬し、弟と妻を殺そうとするが、弟の妻は実は女鬼神で、逆に兄2人を魔法で猟犬に変えてしまった。 類似の話: 第三の老人の話 [ ] ある商人が旅から帰ったところ、妻が黒人奴隷と浮気している現場を発見した。 妻がそれに気づき、魔法で商人を犬に変えてしまった。 犬になった商人は肉屋に拾われるが、その肉屋の娘が正体を見破り、人間の姿に戻してくれた。 商人は肉屋の娘から魔法を教わり、浮気した妻を魔法で牝騾馬に変えた。 漁師と鬼神との物語(第3夜 - 第9夜) [ ]• 漁師が壷を開けると、サクル・エル・ジンニーという鬼神が現れた。 鬼神が漁師を殺そうとすると、漁師が「本当にこの小さな壷に入れるのか」と聞き、鬼神が壷に入ったところを、再度封印してしまった。 鬼神は封印を解くように懇願するが、漁師は「」を語り断った。 しかし、鬼神は再度懇願したため、漁師は封印を解き、鬼神はお礼に、不思議な魚が取れる湖を漁師に教えた。 漁師はその湖で魚を取り、王()に献上して多額の褒美をもらった。 王の料理人が魚を料理しようとすると、調理場の壁から乙女が出てきて、魚を黒こげにし、壁の中に消えて行った。 王は不思議に思い、漁師から湖の場所を聞き、調査に出かけたところ、湖の畔の宮殿に住む故マームード王の子であるマサウダ王に出会った。 以前、マサウダ王は、妻が黒人と浮気しているところを見つけ、黒人を殺そうとしたが、逆に妻の魔法にかかり、下半身を石にされて動けなくなり、国民は魚にされ、国は湖にされていた。 王は話を聞くと、黒人を殺し、黒人のふりをして、マサウダ王の妻に魔法を解くように命じ、魔法が解けると女を殺した。 王には子供がいなかったので、マサウダ王を養子にして、都に帰り幸せに暮らした。 イウナン王の大臣と医師ルイアンの物語 [ ] ルーム人(ローマ人)の国ファルスのイウナン王はらい病にかかり、誰も治せなかった。 そこにルイアンという医師が来て、「馬に乗って槌で玉を打てば治る」と言い、実際王の病気は治った。 王はルイアンを重用したが、それに嫉妬した大臣がルイアンを中傷し、殺すように進言した。 それに対し、王は「」の話をし、ルイアンを庇う。 これに対し大臣は「」をし、王にルイアンを殺すことを決心させる。 王はルイアンを呼び出し殺すことを告げるが、ルイアンは王に一冊の本を献上し「私を殺したら、この本を開いて読めば、私の首はどんな問いにも答えるでしょう」と言った。 王は驚き、ルイアンを殺す前に本を読もうとするが、本の紙は張り付いていて、容易にページをめくることができず、王は指をなめながらページをめくるが、実は本には毒が塗ってあり、毒をなめた王は死んでしまった。 シンディバード王の鷹 [ ] ファルスの王シンディバードは、ある時、家来と共に狩に出て大きな羚羊(カモシカ)を見つけ「これをやり過ごした者は命がないぞ」と宣言した。 ところが羚羊は、王の頭上を飛び越えて逃げてしまい、王は自分に死刑を宣告した形になってしまった。 その時、王の鷹が羚羊に追いつき、クチバシで眼を潰して羚羊を動けなくし、王は羚羊を捕まえることができた。 王は、木の幹をつたう水を見つけ、杯に取って鷹に与えるが、鷹は杯を倒して飲まなかった。 今度は馬に与えるが、鷹はそれも倒して馬に飲ませなかった。 王は怒り、鷹を殺すが、王が水と思っていた物は、毒蛇の毒であったことを知り後悔した。 王子と食人鬼の物語 [ ] ある王子が狩に出たとき、大きな獣が見つかり、お供の大臣は王子に追いかけるように言った。 王子は砂漠の奥深くまで獣を追って行ったが、結局見失ってしまった。 すると、そこで王子は隊商からはぐれたインドの王女を見つけ、これを助けて馬に乗せ帰ろうとした。 帰る途中、王女は用を足しに行きたいと言い、王子は馬を休めた。 王子は王女の後をこっそりつけて行き、王女は実は女食人鬼で、王子を食べようとしていることを知った。 戻ってきた王女に王子は「私には敵がいる」と言うと、王女は「神に祈れば敵は消える」と答えた。 王子が神に祈ると、王女は消えてしまい、王子は助かった。 王子は、大臣が獣を追うように言ったことがこの危険の原因と考え、大臣を死刑にした。 荷かつぎ人足と乙女たちとの物語(第9夜 - 第18夜) [ ]• 館には、上の姉ゾバイダと中の姉アミナがおり、荷かつぎ人足は雄弁の才能を気に入られ、客として迎えられ、4人は全裸で戯れた。 すると、3人の托鉢僧 が訪ねて来て、さらに、商人に変装した教王()、大臣、御佩刀持ちマスルールの3人組が訪ねて来た。 全員が「汝に関わりなき事を語るなかれ、しからずんば汝は好まざることを聞くならん」と誓うと、客として迎えられる。 食事が済むと、上の姉ゾバイダは2匹の牝犬をムチで打ちはじめた。 次に、中の姉アミナは琵琶を弾き詩を歌い、感極まって服を破ってしまうが、体にムチの痕があるのが見えた。 客たちは、不思議に思い、誓いにもかかわらず、姉妹に質問してしまった。 すると7人の黒人剣士が現れ、客を全員縛ってしまった。 そこで、客たちが身の上話をすることになり、「」「」「」が語られた。 乙女たちは話に感動し、客全員を許し解放した。 翌日、宮殿に帰った教王は、3人の乙女と3人の托鉢僧を呼び出し、乙女たちに話をさせ、「」と「」が語られた。 教王は、女鬼神を呼び出し2匹の牝犬を2人の乙女に戻し、ゾバイダとこの2人の乙女を3人の托鉢僧と結婚させた。 中の姉アミナは教王の息子と結婚させ、末の妹ファヒマは教王自身と結婚させた。 荷かつぎ人足は侍従長に任命した。 彼らは、教王の庇護の下、幸せに暮らした。 第一の托鉢僧の話 [ ] 私はある国の王の息子で、父王の弟は別の国の王で、私はその国に遊びに来ていた。 ある夜、弟王の王子に頼まれて、王子とある女と3人で墓場まで行き、王子と女が地下階段を下りたら、階段に蓋をして分からないように土で埋め、そのことを秘密にするように言われ、その通りにした。 しかし、私は秘密を守ることが負担になり、自分の国に帰ろうとした。 ところが、自分の国では大臣が反乱を起こして父王を殺しており、私は捕らえられてしまった。 以前、私は大臣の目を誤って矢で潰しており、その復讐として大臣に左目を潰され、さらに処刑されることとなった。 しかし、父王の恩を知る者により逃がしてもらった。 私は、弟王の都に行き、弟王に全てを話した。 弟王は、地下階段を見つけ、下りていくが、王子といっしょにいた女は実は王子の妹であり、が許されないため地下に食料を蓄えそこで暮らそうとしたものであったが、地下の寝台で神の怒りに触れて抱き合ったまま炭になっている2人を発見した。 そのとき、自分の国の大臣の軍が弟王の国に攻めてきて、これを滅ぼした。 私は托鉢僧 となり、バグダードに逃げることとなった。 第二の托鉢僧の話 [ ] 私はある国の王子であったが、インドへ向う旅の途中、盗賊に襲われ、一人見知らぬ町に逃げ延びた。 国に帰ることができず、木こりとして生活するが、ある日、森で斧が地中に埋もれた銅の輪にひっかかり、それを掘り上げると、地中に繋がる階段が現れた。 それを下りると、豪華な広間に通じ、寝台に美しい乙女がいた。 乙女はインドの黒檀島の王アクナモスの王女で、12歳の時、結婚式の前夜、魔王の息子ラジモスの息子ジオルジロスにさらわれて、以来20年間ここに監禁されて、10日に1晩、鬼神ジオルジロスの相手をさせられていた。 私は鬼神の不在を良いことに王女と交わるが、結局鬼神に見つかってしまい、王女は折檻の末殺され、私は猿にされて、ある山の頂に捨てられた。 猿になった私は、山の頂から転げ落ち、海岸に着き、通りがかった船の船長に拾われた。 船がある港に入ったところ、猿になった私は紙に見事な筆跡で詩を書いたので、港の王は驚き、王は船長から猿になった私を買い取り、宮殿で飼うことにした。 宮殿では姫君が私の正体を見破り、私を元の姿に戻そうと、鬼神ジオルジロスと激しい魔法の戦いを始めた。 戦いで火と火がぶつかり合い、鬼神ジオルジロスと姫君は焼け死に、王は顔の下半分を焼かれ、私は左目を焼かれて失うが、人間の姿に戻ることができた。 姫君を失った悲しみに、王は私に去るように言い、私は托鉢僧 になって、バグダードに来た。 第三の托鉢僧の話 [ ] 私はある国の王子であり、父王カシブの死後、王となった。 あるとき領地を巡る船の旅に出たが、嵐で進路を失い「磁石の島」に船は引き寄せられ分解し、私は「磁石の島」に打ち上げられた。 すると声が聞こえ、「足元を掘ると弓と3本の矢が見つかるので、それで島の頂上にいる銅の馬に乗る銅の騎士を撃て。 すると銅の騎士は海中に落ちるので、弓と矢を足元に埋めよ。 島は沈むが、銅の男を乗せた船が通りかかるので、その船に乗り10日の旅の後、救いの海に至る。 しかしアラーの名を唱えてはならない。 」と告げられた。 私はその通りに行動したが、10日目に思わずアラーに感謝の言葉を捧げてしまい、その瞬間銅の男は私を海に投げ捨てた。 私はある無人島に漂着した。 私が見ていると、船が来て、土を掘って地中に埋めた階段を開き、食料と美しい少年をその中に残し、階段を再度埋めて、船は去っていった。 私は、土を掘り返し、階段を降りたところ、少年は豪商の息子で、占い師から「磁石の島が沈んで40日後に、カシブの息子に殺される」というお告げを聞たので、ここに隠れに来たと話してくれた。 私は少年といっしょに地下で暮らしたが、予言の日、私の持った包丁が少年の胸に刺さり、少年は死んでしまう。 そこへ少年を迎える豪商の船が来たので、私は隠れた。 海を見ると、引き潮で島と陸が繋がっているのが見えたので、私はそこを渡って陸に逃げた。 陸には巨大な真鍮の宮殿があり、そこに左目の潰れた10人の奇妙な若者と一人の老人がいて、老人に左目の理由を聞くと「羊の皮をかぶり露台にいると、という巨鳥が羊と間違えさらって遠い山の上まで連れて行くので、そこで逃げ出し、歩いて黄金の宮殿まで行けば分かる」と言われた。 言われたとおりにして黄金の宮殿に入ると、美しい40人の乙女たちがいて、非常な歓待を受け、40人と順番に夜を共にした。 ある日、40人の乙女は「40日間宮殿を離れるが、庭の奥の銅の扉だけは開けてはならない」と言い、私だけを残し出かけてしまった。 私は40日目に銅の扉を開けてしまうが、中に馬がいて、それにまたがると馬は空を飛び、真鍮の宮殿まで来て、私を落馬させ、そのはずみで私の左目が潰れてしまった。 私は、10人の奇妙な若者と一人の老人と別れ、托鉢僧 となり、バグダードまで来た。 類似の話: 第一の乙女ゾバイダの話 [ ] 私には、同じ父母から生まれた2人の姉と、父は同じだが母が異なる妹アミナとファヒマがいた。 父が死んだとき、財産を姉妹で分け、私は姉2人といっしょに暮らしたが、姉2人はそれぞれ結婚し、商売の旅に出、夫が破産し離婚されて帰って来た。 私は、姉2人を養ったが、1年後再び姉2人はそれぞれ結婚し、商売の旅に出、夫に捨てられて帰って来た。 再度、私は姉2人を助け養うが、1年後、今度は3人で船旅に出た。 船は進路を失うが、住民がみな石になっている町にたどり着いた。 私は宮殿の奥に入り込み、生きている若者を発見し尋ねると、若者は「この町の者は皆、ナルドゥンの神の信者であったが、アラーの神の怒りに触れ、全員石にされたが、イスラム信者である王子の私だけが助かった」と話した。 私と若者は、バグダードに帰り結婚することを約束した。 しかし、姉2人は嫉妬し、帰りの船から若者と私を海に投げ捨て、若者は水死した。 私は、ある島に打ち上げられた。 ふと見ると、アオダイショウがマムシに追いかけられていたので、石をマムシに投げてマムシを殺した。 アオダイショウは実は女鬼神で、女鬼神は助けてくれたお礼に、私を船の宝といっしょにバグダードまで連れて行き、姉2人を牝犬に変え、毎日この2匹の牝犬を300回ずつムチでたたくように言って去った。 類似の話: 第二の乙女アミナの話 [ ] 私は、父が死んだ後、裕福な老人と結婚したが、すぐ夫は死に、多額の遺産を相続した。 ある日、私のところに醜い老婆が来て「家で結婚式があるので、賓客として来て欲しい」と言うので行ったところ、非常に大きな館で、結婚式はなく、それは、以前私を見て好きになった館の主である美しい若者と、私を会わせるために、若者の乳母の老婆がしくんだウソだった。 私は若者を見て好きになり、私は「他の男には心を傾けない」と誓い結婚した。 ある日、醜い老婆をつれて市場の絹織物商人の店に行き、最も高価な商品を買おうとしたところ、商人が「金は受け取れない。 かわりに頬にキスをさせてくれ」と言ってきたので、断ったが、醜い老婆が「キスをさせた方が良い」と説得するので、キスをさせたところ、頬に歯で傷をつけられた。 家に帰り、夫に見つけられ、誓いを破ったとして殺されそうになったが、醜い老婆のとりなしで命は助かり、裸にされ一生消えない傷がつくようムチで打たれ、館から追い出された。 その後、若者も館も消えてしまった。 後に、教王が呼び出した女鬼神により、美しい若者は教王の息子であることが分かった。 類似の話: 斬られた女と三つの林檎と黒人リハンとの物語(第18夜 - 第24夜) [ ]• 教王はジャアファルに3日以内に殺人犯を捕らえないと、代わりにジャアファルを死刑にすると告げた。 犯人は見つからず、ジャアファルが死刑になろうとしたとき、若い男が自首し、次に老人が自首した。 若い男は殺された女の夫で、老人は殺された女の父であった。 ある日、病気がちの妻が「林檎が欲しい」と言ったので、若い男はバグダッドの町中を探したが、林檎はなく、遠くバスラの町の教王の果樹園まで旅して園丁から林檎を3個分けてもらって帰ったが、妻は結局林檎を食べなかった。 若い男が町を歩いていると、黒人が林檎を持っていたので、聞くと「愛人からもらった」と言ったので、妻が浮気したと思い、逆上して妻を殺してしまったが、その林檎は取られたものだと分かり、後悔し、妻の父に告白するが、妻の父は男に同情し、男が自首したことを聞き、身代わりに自首したというものであった。 教王は話を聞き、両者に同情して罪を赦し、ジャアファルに3日以内に黒人を見つけなければジャアファルを代わりに死刑にすると告げた。 3日後、ジャアファルは自分の娘が家の黒人奴隷リハンから林檎を買ったことを知り、リハンを捕らえ教王に差し出すが、「」をするのでリハンを赦すことを願い出、願いは許可された。 大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・パドレディンの物語 [ ]• 二人はある日「もし同じ日に結婚し、同じ日に子供が産まれ、シャムセディンの子が女で、ヌーレディンの子が男なら結婚させよう」と話し合ったが、その際の婚資()の額について喧嘩をしてしまい、ヌーレディンは町を出て放浪の旅に出た。 ヌーレディンはいくつもの町を訪ねた末バスラの町に着き、その国の老大臣に気に入られ、娘と結婚し、美しい男の子ハサン・パドレディンをもうけ、老大臣の隠居とともに大臣になり、よく政治を行った。 老大臣は間もなく亡くなったが、ヌーレディンは職に励み、ハサン・パドレディンの教育に努め、優れた学者に子を教育をさせ、ハサン・パドレディンが15歳になるまでに、学者の知識全てを吸収させた。 また、ヌーレディンの妻は、菓子の作り方をハサン・パドレディンに教えた。 ハサン・パドレディンはその美貌と知識のため、国王に気に入られた。 一方、兄シャムセディンは、奇しくも、弟ヌーレディンと同じ日に豪商の娘と結婚し、ハサン・パドレディンが生まれた日と同じ日に、美しい女の子セット・エル・ホスンをもうけた。 その後すぐに、ヌーレディンは病気で死亡し、ハサン・パドレディンは悲しみのあまり国王の所に行かなくなったので、国王は怒り、ハサン・パドレディンの全財産を没収し、捕まえるよう命令するが、ハサン・パドレディンは無一文で逃げ、町の外のヌーレディンの墓に着いた。 そこにユダヤ商人が通りかかり「次に入港するヌーレディンの船を千ディナールで買う」ことを申し出、ハサン・パドレディンは同意し、千ディナールを受け取った。 ハサン・パドレディンは父の墓で眠ってしまった。 そこに、女鬼神が通りかかり、ハサン・パドレディンの美しさに感嘆するが、男鬼神が通りかかり「エジプトのセット・エル・ホスンの方が美しい」と言うので、口論になり、眠っているハサン・パドレディンを連れて行って見比べようということになった。 エジプトでは、国王がセット・エル・ホスンの美しさを知り結婚を申し込むが、シャムセディンが弟ヌーレディンとの約束のため断ってしまい、国王は腹いせに、セット・エル・ホスンをせむしと結婚させることにし、ちょうどその日は結婚式の日であった。 男鬼神はせむしを便所に監禁し、ハサン・パドレディンが代わりにセット・エル・ホスンとを共にした。 2人が眠ると、鬼神たちは眠っているハサン・パドレディンをバスラまで運ぼうとするが、喧嘩をし、途中のダマスの町の城壁の外に裸のハサン・パドレディンを置き去りにした。 翌朝、眼をさました裸のハサン・パドレディンは、狂人扱いを受けるが、町の菓子屋に保護され、養子になった。 セット・エル・ホスンはハサン・パドレディンの子を出産し、その美しい男の子はアジブと名づけられた。 アジブが12歳の時、父親がいないことをからかわれたので、一家でハサン・パドレディンを探すことにし、ハサン・パドレディンが残していった服にあった書類から、バスラから来たことが分かったので、バスラを目指して旅に出た。 一行は途中ダマスに立ち寄り、アジブはお供の黒人の宦官サイードといっしょにハサン・パドレディンの菓子屋で菓子を食べるが、互いに親子であることに気づかなかった。 一行は、バスラでハサン・パドレディンの母を見つけ、いっしょにカイロまで帰ることにし、再び途中でダマスに立ち寄った。 このとき、ハサン・パドレディンの母は、菓子の味から、菓子屋がハサン・パドレディンであることに気づき、いっしょにカイロに帰り、幸せに暮らした。 類似の話: せむし男および仕立屋とキリスト教徒の仲買人と御用係とユダヤ人の医者との物語(第24夜 - 第32夜) [ ]• 仕立屋は、死体をユダヤ人医師の家に捨てたところ、ユダヤ人医師は死体につまずき階段から落としてしまい、自分が殺したと勘違いした。 ユダヤ人医師はせむし男の死体を御用係の家の台所に捨てたところ、御用係は泥棒と勘違いし、死体を棒で殴り、自分が殺したと勘違いした。 御用係はせむし男の死体を市場の壁に立てかけて置いたところ、通りがかったキリスト教徒の仲買人が強盗と勘違いし、死体を殴りつけ、自分が殺したと勘違いした。 キリスト教徒の仲買人は捕まり死刑を言い渡されるが、御用係、ユダヤ人医師、仕立屋が次々「実は自分が殺した」と自首したので、一同は王の元に連れてこられ、「」「」「」「」が語られた。 王は、仕立屋の話が気に入り、その話に出てきた床屋を召し出すが、床屋はせむし男の喉に詰まった魚を取り出して、せむし男を生き返らせた。 一同は王の庇護のもと、幸せに暮らした。 キリスト教徒の仲買人の話 [ ] あるカイロ生まれのコプト人のキリスト教徒の仲買人の所に美しい若者が来て、50アルデブの胡麻を1アルデブ当たり100ドラクムで売る仲介を依頼した。 仲介は成功し、5000ドラクムの代金のうち500ドラクムは手数料として仲買人が受け取り、4500ドラクムは若者が一ヵ月後受け取るとして、仲買人が預かることとなった。 しかし1か月経っても若者は金を受け取らず、その後もいつまでも金を受け取らなかったが、ついに1年後若者が金を受け取りに来たとき、仲買人は若者を宴会に招き、左手で食事をするのを見て、若者に右手がないことを知った。 仲買人が理由を尋ねると、若者はを語った。 右手のないバグダードの若い商人の話 [ ] 若者はバグダードの大金持ちの息子であったが、父が死に遺産を相続した後、遺産で商品を買いカイロに旅立った。 カイロで商品を売っていると、若者は商品を買いに来た美しい女に恋をしてしまった。 若者は毎日その女の屋敷に通い、一夜を共にし、50ディナールを渡して朝帰るということを続けたが、ついに金がなくなり、困ってしまった。 若者は市場を歩いているとき人にぶつかり、手が財布に触れた拍子にその財布を盗んでしまったが、その場で捕まり、罰として右手を斬られてしまった。 行く当てもなく女の屋敷に行くと、女は悲しみ、右手を失った若者と結婚した。 今まで渡した金は全て手付かずで残っており、若者に返してくれた。 しかし、女は悲しみのあまり病になり死んでしまった。 若者は女の遺産を相続したが、遺産は膨大で、1年かけてようやく処分し終えたので、仲買人の所に金を受取に来たのであった。 シナ王の御用係の話 [ ] シナ王の御用係は、ある宴会に行ったとき、ロズバジャというおいしい料理が出されたので、一同おいしく食べていたところ、一人の男だけがそれを食べなかった。 一同が理由を尋ねると、男はを語った。 親指のない商人の話 [ ] 男の父はバグダードの大商人で、の時代の人物であった。 父の死後、男はで商人をしていたが、店に高額な商品をつけで買いに来る美しい乙女にをしてしまった。 その乙女は、ハールーン・アル・ラシードの妃のお気に入りの買物係の侍女であった。 男は侍女の手引きでに忍び込み、ゾバイダの許しを得てその買物係の侍女と結婚することとなったが、結婚式の宴会で出されたロズバジャを食べた後、手を洗わずに初夜に臨んでしまい、買物係の侍女は手に付いたでそれに気づき、手も洗わない無神経さに怒り、男を捕らえて両手両足の親指を斬ってしまった。 男が「灰で40回、ソーダで40回、石鹸で40回手を洗った後でなければ、ロズバジャは食べない」と誓ったところ女の怒りは収まり、二人はいっしょに暮らしたが、1年後女は死に、男は悲しみで旅に出て、シナの国まで来たのであった。 ユダヤ人医師の話 [ ] ユダヤ人医師が若い頃、ダマスの市で医師をしていたとき、市の総督から病人を看るように言われて総督の宮殿に行った。 病人は美しい青年で、脈を取るため腕を出すように言うと、青年は非礼にも左腕を差し出した。 ユダヤ人医師は10日間看病し、青年の病気が治ったので、共に風呂()に入ったが、青年の右手が斬られてなくなっているのを見て驚いた。 青年は、ユダヤ人医師に「」を語り、なぜ右手がなくなったのかを教えた。 右手のないモースルの若者の話 [ ] 若者はモースルの町の豪商の息子であったが、叔父たちと共にカイロに商売の旅に出かけ、途中ダマスに立ち寄り商売で大儲けをし、若者はダマスに留まり、叔父たちはカイロへの旅を続けることになった。 若者は豪華な家を借り、叔父たちの帰りを待ったが、ある日、屋敷の前を美しい若い女が通ったので声をかけたところ、女は家に来たので、若者は豪華な食事で歓待し、そのまま夜をともにした。 翌朝、女は「3日後また来る」と言い残し、名前も言わずに去っていった。 謎の女は3日毎に若者の家に来て夜をともにし、翌朝帰って行った。 ある日、女は「今度来るとき、私より若く美しい女を連れて来るが良いか」と若者に聞いたので、若者が「良い」と答えると、3日後、謎の女は若く美しい女を連れて来た。 謎の女は「この女の方が私より美しいと思うでしょう。 」と聞いたので、若者は「はい。 」と答えたが、謎の女は「ならばこの女と夜をともにしなさい」と言った。 若者と若い女は別の部屋に行き、夜をともにしたが、若者が朝目覚めると、若い女は斬られて死んでおり、謎の女はどこにもいなかった。 若者は、若い女の死体を家の床下に穴を掘って埋め、大家に家賃を前払いして家を封印し、カイロに逃げた。 カイロでは叔父たちと暮らしたが、叔父たちは商品を売りつくしたので、モースルに帰ることになったが、若者は一人カイロに残った。 しかし、その後、金が少なくなったので、若者はダマスに戻った。 借家に帰ると、中はそのままになっていたが、クッションの下に殺された女の首飾りを見つけたので若者はそれを市場で売ることにした。 市場で仲買人に首飾りを見せたところ、どうやって首飾りを入手したかを質問されて答えることができず、奉行(ワーリー)の所に連れて行かれ、盗んだとウソの自白をしてしまい、罰として右手を切られてしまった。 しかし、首飾りを見た総督が若者を呼び出し、真実を語るように命じたため、若者は真実を総督に告げた。 総督は、謎の女は総督の長女であり、殺された女は総督の次女であり、長女が嫉妬のため殺したこと、長女はそれ以来閉じこもって泣いていること、若者に罪がないことを告げ、若者に総督の三女を嫁にし総督の養子になるように言ったため、若者は承諾した。 それ以来、若者は総督とともに幸せに暮らした。 仕立屋の話 [ ] せむし男の事件が起こった日の朝、仕立て屋は職人仲間との宴会に出ていた。 そこにバグダード風の服装をした片足の悪い美青年が招かれて来たが、一座の中に床屋の姿を認めると立ち去ろうとした。 人々が理由を尋ねると、青年はその床屋こそ故郷バグダードで彼が片足を悪くするに至った不幸の元凶だと答え、次のように語った。 足の悪い若者とバグダードの床屋の物語 [ ] 青年はバグダードの富裕な商人の一人息子だった。 彼はあるとき法官 の娘である美しい乙女を見かけ、恋患いに寝付いてしまった。 すると一人の老婆が訪れてきて娘との取り持ちを買って出た。 老婆から青年の話を聞いた娘は父の法官が金曜の礼拝に出かけている間に家にやって来るよう老婆にことづけた。 さて金曜、青年は娘を訪れる前に床屋を呼んで身なりを整える事にした。 やって来たのがくだんの床屋だった。 青年は床屋をせかすが、床屋は長々とお喋りしていっこうに仕事を済ませないばかりか、青年と娘の逢瀬に付いていこうと出しゃばった。 やっと頭を剃り終えた青年は娘のもとへ向かうが、床屋はこっそり後をつけた。 青年が上の階の娘の部屋に通されるや否や法官が帰ってきてしまい、下の階の部屋で何か不始末をした奴隷を鞭打ちし始めた。 その悲鳴を聞いた床屋は青年が捕まったのだと思い込み、青年の家の人々や群衆を引き連れて法官の家に押し入った。 逃げ場のない青年は大きな箱に隠れた。 床屋は中に青年がいるのを察して箱ごと外に運び出すが、野次馬が寄ってたかって箱の蓋を開けてしまう。 青年はその場から逃げ出そうと箱から飛び降りる際に片脚を折ってしまった。 床屋が今後決して青年から離れずその相談役になろうと言うのを聞いてぞっとした青年は、床屋から逃れるために故郷のすべてを捨ててバグダードを出奔した。 しかしここ遥かシナの国で再び床屋と遭遇してしまったのだと仕立て屋達に語り終えると、青年は立ち去ってしまった。 驚いた一同が青年の話は本当か問いただすと、床屋は自分がその6人の兄達と違っていかにお喋りでなく出しゃばりでもないか聞かせると言って次のように語った。 バグダードの床屋とその6人の兄の物語 [ ] 床屋の物語 [ ] わたしは教主エル・モンスタル・ビルラーのころバクダードに暮らしていたが、十人の盗賊たちと一緒にいたところをひとまとめに捕らえられた。 十人の首をはねよと命ずる教主に対し、わたしは「沈黙家」の名のとおり何も言わずにいる。 やがて十人の首が落ち、わたしだけが残ると、それに気づいた教主はそのわけを問う。 わたしは六人の饒舌な兄の話をした。 第一の兄は片足がきかず、第二の兄は片目で、第三の兄は前歯がなく、第四の兄は盲人で、第五の兄は両耳と鼻をそがれ、第六の兄は唇がない。 床屋の第一の兄バクブークの物語 [ ] 兄は仕立屋をしていたが、家主の妻に恋をする。 しかしこの女は兄を利用し、さんざんタダで仕立てをさせ、最後には罠にかけて妻を襲ったふうに装い、捕らえられた兄は引き回されている途中に駱駝から落ちて足を折ってしまった。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 床屋の第二の兄エル・ハダールの物語 [ ] この前歯が欠けた兄が町を歩いていると、老婆が話しかけてきて、余計なことを言わないと約束するならば乙女たちと楽しく過ごせるだろう、という。 ついていってみると確かに三人の美女がいて、さんざんわるふざけをしたあと兄のヒゲをそり顔におしろいを塗りたくり、陰茎をおっ立てて裸の女と追いかけっこをするように求められる。 そのとおりにするといつのまにか往来の真ん中に出た。 人々は兄の風体をみると狂人だとおもい、鞭打ちのうえ都を追放された。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 床屋の第三の兄バクバクの物語 [ ] 盲人である兄は物乞いを生業にしていた。 ある家に施しを受けにいくと、それは名うての泥棒で、ひそかに兄の後をつけ、物乞い仲間と三人で食事をしているところに入り込んで一緒に食い物を食べてしまう。 それに気づいて騒ぐと、泥棒も盲人のふりをする。 四人とも奉行の前にひきたてられると、泥棒は四人の財産を三人で山分けしようとしているのだと訴える。 奉行は財産の四分の一を泥棒にあたえ、残りは自分のものとした。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 床屋の第四の兄エル・クーズの物語 [ ] この兄は肉屋をいとなんでいたが、ピカピカの銀貨で買物にくる常連の老人がいた。 兄はこの銀貨を特別に貯めていたが、あるときそれを見るとすべて丸い白紙に変わっている。 老人を問い詰めると、魔法に通じていたその男は、店にある羊肉を人肉にみせて告発する。 兄は片目をえぐられ、全財産を没収されて追放されてしまった。 次にたどり着いた町で兄は靴直しをはじめるが、その地の王は眇(すがめ)がなにより嫌いで、見かけるとかならず殺すという。 そこも逃げだすが、また次の町で兄は泥棒にまちがわれさんざんなめにあった。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 床屋の第五の兄エル・アスシャールの物語 [ ] なまけものの兄は父の遺産を受け取ると、それを元手にガラス細工の露天商をしていた。 店番をしながら美しい大宰相の娘を妻にめとる妄想をする。 妄想はどんどんエスカレートし、地位のある娘につれなくする空想のはずみに足をふると、売り物のガラス細工を蹴倒してすべてこわしてしまう。 嘆いていると大勢の従者を連れた婦人が、兄に施しを与えた。 その後兄の家に老婆が訪ねてきて、あの婦人はお前に気があるために金を与えたのだという。 導きにしたがって婦人を訪ね、兄は楽しい一夜を過ごすが、次の朝屈強な黒人があらわれて兄をずたずたに切り裂き、身ぐるみをはいで地下のあなぐらに放り込んでしまった。 これは盗賊団の罠だったのである!奇跡的に一命をとりとめた兄は、逆に一味を罠にかけて黒人や老婆たちを殺してしまう。 そして女にせまると、彼女はむりやり連れてこられ協力させられていたという。 兄は女をゆるし、盗賊団がためた金を持ち出すために人足を呼びにいって戻ってみると、すでに女の姿はなく、そこへ警吏があらわれて兄は捕らえられてしまった。 奉行は金をすべて着服し、兄は追放される。 さらに城門をでたところで強盗におそわれ、兄が無一文であることを知るとかれらはその腹いせに兄の唇と鼻を切り取ったのである。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 床屋の第六の兄シャカーリクの物語 [ ] ひどい貧乏の兄は、ひとにたかってくらしていた。 ある立派な家に施しを受けにいくと、そこの主人である老人はこころよく引き受け、なにもない料理をうまそうに食って見せる。 持ち前の調子良さをみせ架空の宴会にのってみた兄だが、そのうち腹に据えかね、架空の酒で酔ったふりをして老人をひっぱたく。 しかし老人はかえって大笑いし、以後兄は老人と親しく過ごした。 しかし二十年後老人が死ぬと、兄は旅に出るのだが、ベドウィン人の盗賊に襲われて奴隷にされてしまった。 頭目の妻は淫乱な女で、再三兄に関係をせまる。 魔が差して女を抱いた兄を頭目がみつけ、ベドウィン人は兄の唇をそぎ、さらに陰茎を切り落としたのである。 わたしは兄を助け、以後これを庇護しているのだ。 教主エル・モンスタル・ビルラーはおおいに楽しんだが、思うところあるといい、わたしを所払いにした。 その後教主がなくなるとわたしはバクダードにもどるのだが、若者の家に呼ばれたのはそのときのことである。 組合員たちはこれを聞いて、やはり床屋に非があると考え、彼を一室に閉じ込めた。 せむしの男に会ったのは、この宴会がはねたあとのことである。 シナの王はここまで聞くと、床屋も召し出した。 床屋はここまでの話をきき、せむしの様子をみるとぷっと噴き出し、術を施すと、なんとせむしは蘇生したではないか!王はたいそうよろこび、一同のものたちは以後多くの富を賜って裕福に暮らした。 美しいアニス・アル・ジャリスとアリ・ヌールの物語(第32夜 - 第36夜) [ ]• ある日、王は善い大臣エル・ファドル・ベン・カカーンに、美貌、容姿、才能、性格に欠けることのない最高の女奴隷を探すことを命じ、大臣は苦労の末、最高の女奴隷アニス・アル・ジャリスを見つけるが、王に献上する前に、大臣の息子で美男子のアリ・ヌールが手を出してしまった。 大臣は仕方なくアリ・ヌールとアニス・アル・ジャリスの結婚を認め、このことを王に隠し、女奴隷を献上せずにいたところ、大臣は病気で死亡してしまった。 息子アリ・ヌールが父の遺産を相続すると、浪費を始め、女奴隷アニス・アル・ジャリス以外の財産を全て失ってしまった。 最後にアニス・アル・ジャリスを競売にかけたところ、悪い大臣エル・モヒン・ベン・サーウィが落札するが、アリ・ヌールは気が変わり競売を取り下げた。 悪い大臣は、王に訴え、王はアリ・ヌールの逮捕を命じ、アリ・ヌールとアニス・アル・ジャリスはバスラから逃げ出した。 アリ・ヌールとアニス・アル・ジャリスはバクダードに逃げ延び、そこで教王()の庭園に勝手に入り込み、庭番イブラーヒームと仲良くなり、そこで宴会を始めた。 そこにお忍びで通りかかった教王は、アニス・アル・ジャリスの歌が大変気に入った。 それを見たアリ・ヌールはアニス・アル・ジャリスを差し上げると言い、その気前良さに感動した教王は、バクダードまで来た話を聞いた。 教王は、悪い大臣エル・モヒン・ベン・サーウィを殺し、アリ・ヌールにアニス・アル・ジャリスを再度与え、2人は教王の庇護のもと、幸せに暮らした。 ガネム・ベン・アイユーブとその妹フェトナーの物語(第36夜 - 第44夜) [ ]• ガネムが若いときに父アイユーブは亡くなったが、ガネムは一人バグダードに行き商売を始め、大儲けした。 ある日、ガネムは町の外の葬儀に参列したが、夜遅くなり城門が閉まり町に入れなくなったため、墓場で夜明かしをしていると、3人の黒人が大きな箱を運んで墓場に近づいてきたため、木に登り隠れた。 3人は墓場でとをして休憩した後、穴を掘って箱を埋めて帰って行った。 ガネムが箱を掘り出すと、中には麻酔にかかった美女が入っており、ガネムは家に連れ帰った。 美女の名はクワト・アル・クールーブといい、教王()の側室であったが、正后に恨まれて麻酔薬を飲まされ、箱に入れられて埋められたのだった。 教王はクワト・アル・クールーブが死んだと騙されて悲嘆にくれたが、女奴隷の話から生きていることを知った。 教王はガネムが手を出したと誤解して兵を送り、ガネムを捕らえようとするが、ガネムは無一文で逃げ延びた。 また、教王はダマスの太守に文を送り、ガネムの母と妹を全裸にして町から追放させた。 しかし、クワト・アル・クールーブはガネムが手を出していないという真相を教王に教え、苦労の末にガネムとガネムの母と妹フェトナーを見つけ出した。 ガネムは教王に謁見し、クワト・アル・クールーブと結婚する許しをもらい、フェトナーは教王の側室となり、教王の庇護のもと4人は幸せに暮らした。 スーダンの第1の黒人宦官サワーブの物語 [ ] サワーブは5歳のとき奴隷としてある武将に売られ、武将の3歳の娘の遊び相手となった。 娘が10歳のとき、間違って娘の処女を奪ってしまい、娘の母に知られてしまった。 娘の母は娘を急いで床屋に結婚させ、鳥の血を処女の血と偽って花婿をだました。 サワーブは去勢された後も娘に仕えたが、娘の家族がすべて年を取って死んだため、バグダッドに来た。 スーダンの第2の黒人宦官カーフルの物語 [ ] カーフルは8歳のとき「1年に1回大嘘をつく奴隷」として売られていたのをある商人が安く買った。 ある日、その商人が客を招いて町の外で宴会を開いていたとき、カーフルに帰宅を命じた。 カーフルが帰宅するなり「旦那様が死んだ」と嘘をついたため、商人の家族は悲しみ、風習に従い家具や道具を次々壊して悲しみを表した。 カーフルは宴会場に帰り、今度は商人に「家が壊され、家族は全員死んだ」と嘘を言ったため、商人は着ている服を破り悲しみを表した。 カーフルの嘘はバレるが、嘘をつくことを知って買った奴隷のため処罰できず、カーフルは去勢されて家から出され、バグダッドに来た。 オマル・アル・ネマーン王とそのいみじき二人の王子シャールカーンとダウールマカーンとの軍物語(第44夜 - 第145夜) [ ]• いくさに強く、版図を遠くひろげ、内には寛仁大度をみせて尊敬をあつめる名君である。 オマル王にはひとりだけ息子がおり、王子シャールカーンは武芸に秀でた勇敢な男であった。 だがその後、オマル王の側室サフィーアが懐妊し、男女の双子を産む。 最初に生まれた女の子はノーズハトゥザマーン、次に生まれた男の子はダウールマカーンと名づけられた。 男の子が生まれた場合、将来の王位争いを避けるため殺してしまおうと考えていたシャールカーンだが、最初に女の子が生まれた時点の報告しか聞いていなかったため、男の子の存在を知らない。 ある日、ルーム ローマ とコンスタンティニアの王アフリドニオスの使者が来て、カイサリア王ハルドビオスとの戦争に同盟を持ちかけてくる。 ある族長がアフリドニオスに献上しようとした数々の霊験をうちに秘めた三つの宝玉を、カイサリア軍が横取りしてしまったため何度か攻め込んだのだが、歯がたたないというのだ。 大宰相ダンダーンとシャールカーンが兵を率いて派遣された。 軍はある谷で大休止をとるが、ひとり地形偵察に出たシャールカーンは、キリスト教の僧院で相撲をとっている美しい白人の乙女とそれにかしづく美女奴隷たちを見る。 欲情したシャールカーンは剣をとって乱入し、我のものになり一緒に来るよう要求するが、乙女は承知しない。 乙女に恋してしまっていたシャールカーンは、せめて歓待を受けさせてくれと申し入れ、乙女は彼を僧院へいざなった。 次の日目覚めると、乙女はシャールカーンの正体を知っていた。 彼はその日から数日間歓待を受ける。 歓待を受けている途中、カイサリアの貴族マスーラの軍が押しよせてきてシャールカーンを出せと要求。 乙女はハルドビオス王の娘、アブリザ女王だった。 アブリザはシャールカーンをかばって別人だというが、マスーラは是が非でも引き連れていくと言って聞かない。 それなれば、一人対百人の兵ではなく、順番に一対一で戦って勝ったならば連行せよ、とアブリザは命じた。 シャールカーンがすべての兵を撃退すると、アブリザは、自分は折り合いの悪い老婆「災厄の母」によって回教徒に与したとされるだろう、ここから立ち去るのを手助けしてくれと言う。 そしてこの戦争が罠であることを明かす。 実はサフィーアはアフリドニオス王の娘であった。 ある祭りの帰途、サフィーアが乗る船が多くの美女たちとともに海賊に鹵獲され、カイサリア軍が海賊を駆逐してサフィーアたちをハルドビオス王に献上し、ハルドビオス王はそれをまたオマル王に贈ったのである。 アフリドニオス王はそれを知ると、ハルドビオス王と協力してオマル王に復讐しようとしたのだ。 ただし宝玉は実際に存在し、アブリザが所有している。 それを知るとシャールカーンは自軍にもどり、兵をまとめて帰還させる。 殿軍をつとめるシャールカーンに手強い騎兵が追いすがるが、それは後を追ってきたアブリザだった。 彼らは連れだってバグダードに入る。 報告を受けたオマル王は、献上された宝玉を三人の子にわけあたえる。 ここで初めてダウールマカーンの存在を知り、また、オマル王にアブリザへの欲望を見たシャールカーンは、ひどいショックを受けてしまった。 再三アブリザをくどくオマル王だが、アブリザは拒否しつづける。 そこでオマルは麻酔薬をもちい、アブリザが寝ているうちに処女を奪ってしまった。 アブリザは懐妊し、やがて臨月になると、忠実な奴隷女と屈強の黒人奴隷をひとりずつ伴い、故国をめざして出奔する。 道中欲情した黒人奴隷はアブリザに襲いかかり、彼女が自由にならないと知るとこれを殺し、姿をくらます。 最後の息で男の子を産みおとすと、そこにハルドビオス王が現れ、子を国へ連れかえった。 ハルドビオス王は復讐を誓い、災厄の母の進言を聞いて、オマル王を閨房から罠にかけるため、美女をあつめてアラビア式の教育をほどこしはじめる。 一方、アブリザがいなくなったことを知ったシャールカーンはいたく傷心し、父王に頼んでダマスの太守に任命してもらい、宮殿を出た。 十四歳になっていたダウールマカーンは、姉ノーズハトゥをさそって父王に内緒で巡礼に出る。 しかし途中で熱病にかかり、治療のために金もつきてしまった。 働きにいくといって出て行ったノーズハトゥはそのまま姿を消し、漂白したダウールマカーンは、ある風呂焚きにひろわれる。 回復したダウールマカーンは風呂焚き夫婦を従者にして帰国の途につく。 ダマスにつくと風呂焚きの妻が熱病で病死するが、ひきつづきバクダードに向かうことにする。 一方、ノーズハトゥはベドウィン人に誘拐され、ダマスの奴隷市場で売りに出されていた。 ふっかけるベドウィン人に対し、ある商人が十万ディナールの値をつける。 ノーズハトゥがあらゆる学問に通暁していることを知ると、商人は喜び、彼女をシャールカーンに献上する。 シャールカーンはノーズハトゥを解放し妻とすることを宣言。 学問を示せというシャールカーンに対し、ノーズハトゥは「三つの門についての言葉」を物語る。 三つの門についての言葉 [ ] 人生の目的とは熱誠を発達させることであり、その道には三つの門がある。 第一の門は「処世術」、第二の門は「行儀」と「修養」、第三の門は「徳の門」。 ノーズハトゥは博覧強記を発揮し、古今の逸話をひいて熱弁をふるう。 聞いていた一同は感激し、そのまま婚礼をとりおこなう。 ノーズハトゥはたちまち懐妊し、喜んだシャールカーンはオマル王へ書簡で報告する。 父王からの返書で双子が失踪したことを知ったシャールカーンは、娘を産みおとしたばかりの妻に報告しようとする。 すると、赤子の首に宝玉が吊るされていることに気づいた。 驚いて聞くと、妻は自分がオマル王の娘であることを明かす。 シャールカーンもまた、自分が王子であることを告白する。 なんと、兄妹が互いにそれと知らず、結婚してしまっていたのだ!これをかくすため、一度も同衾することなく離別して侍従長と結婚させたということにし、「運命の力」と名づけた娘をそこで養育させることにした。 オマル王から第二の飛脚がとどいた。 老女に率いられた学識豊かな五人の乙女がルームからきており、これを購入するためにシャーム地方の年貢一年分が必要である。 年貢をバクダードに送り届け、ついでに教養があるという汝の妻を当方に派せ、という。 ノーズハトゥが侍従長とともに父のもとに向かい、事情を説明することにした。 そのあいだ運命の力は、ダマスで大切に育てることになる。 ダウールマカーンがダマスを発ったのは同じ日のことで、隊列のあとについて旅をし、やがてバクダードにほど近い地で野営する。 懐かしさに詩をうたうダウールマカーンの声に気づいたノーズハトゥは、宦官に命じて三度まで歌った男を探させる。 姉弟は再会を果たし、互いにこれまでのことを告白する。 このとき侍従長ははじめて自分の妻が王女であることを知った。 さらにバクダードに向かう一行の前に大軍があらわれた。 これを率いる大宰相ダンダーンによると、オマル王は殺されたのだという。 跡継ぎはシャールカーンと決まり、自分は迎えにゆく途中なのであるが、都にはダウールマカーンを推す勢力ものこっているらしい。 侍従長がダンダーンに事情を説明すると、緊急会議がひらかれ、ダウールマカーンを新王に迎えることになる。 王座につくと、ダウールマカーン王は父の死の事情をダンダーンに問うた。 オマル・アル・ネマーン王崩御の物語ならびにそれに先立つ至言 [ ] オマル王が双子の失踪に心を痛めていると、人品卑しからぬ老女が五人の乙女を連れてあらわれた。 王は彼女らがもっているという知識の披露をもとめ、五人の乙女と一人の老女は順々に古老の言葉を物語る。 第一の乙女の言葉 [ ] この節のが望まれています。 感服した王は五人の処女を買い受ける相談をするが、老女は金では贖えない、ひと月断食せよと告げる。 そして最初の十日が過ぎたらこの聖水を飲め、自分は「見えざる国の住人」に会いにいき、十一日めの朝に現れる、といって立ち去った。 十一日め、聖水を飲んでいると老女があらわれ、バナナの葉にくるまれたジャムを渡し、二十一日めにこれを食べろと告げて立ち去った。 そして二十一日めの朝、老女が再度あらわれる。 乙女たちを「見えざる国」に連れてゆき、潔めをうけさせて三十日めに戻るだろう、ついては誰かをともに連れていき潔めをうけさせてもよい、という話に、王はサフィーアを連れてゆき、行方不明の子らを取り戻せるようはかってくれと申し入れた。 老女は封印された盃をわたして三十日めの朝に飲めといい、サフィーアを連れて立ち去った。 しかし三十日め、王はずたずたに切り割かれた肉片となって家臣どもに発見されたのである。 残された盃には、アフリドニオス王の命を受けた災厄の母が、サフィーア王女を奪還しオマル王に復讐を果たした顛末の、勝利宣言メモが残されていた。 ダンダーンが語り終わると、ダウールマカーン王はさめざめと泣いたあと、はじめての御前会議の準備をはじめた。 ダウールマカーン王はダマスから運んできた財宝をわけあたえ、次にシャールカーン宛に、力をあわせて弔い合戦をしようと手紙を書き、ダンダーンに届けさせた。 ダンダーンがもどるあいだふたつの出来事があり、ひとつは風呂焚きが多大な栄誉に浴したこと、もうひとつは白人奴隷のひとりに手がついて、子を孕んだことである。 やがてシャールカーンは軍をひきいてダウールマカーン王に合流した。 兄弟のあいだにわだかまりはなかった。 ダウールマカーン軍は進撃を開始する。 迎撃するのはアフリドニオス王とハルドビオス王の連合軍。 アフリドニオス王は災厄の母を召し出して、策を聞く。 災厄の母が提示したのは包囲作戦である。 さらに、まずシャールカーンを亡き者にしようとし、ルカスという屈強の戦士にをさせる。 しかしシャールカーンはこれを撃退した。 が終わると乱戦になり、ダウールマカーン王は偽りの敗走の計をたてた。 計略は図にあたり、キリスト教軍は壊滅した。 アフリドニオス王がコンスタンティニアに逃げ戻ると、災厄の母は五十の兵を借りて回教徒の商隊にばけさせ、自身はキリスト教徒に幽閉されているところを救出された聖人に扮し、兵たちに指示を与えてダウールマカーン軍に接触した。 兄弟はすっかり信じてしまい、災厄の母は次のようなデタラメ話をした。 僧院の物語 [ ] わたしがルームを旅していると、キリスト教僧院のマルトナという僧侶の罠にかかり、僧院に幽閉されてしまった。 わたしを憎み餓死させるつもりだったのだが、僧院にはタマシルという美少女がいて、ひそかにパンを運んできてくれたため生き残ることができた。 わたしはそこで五年すごし、このたび隊商によって救助されたわけだが、そのあいだにタマシルは絶世の美女に成長しており、また、僧院には多くの財宝が残されている。 ぜひわたしを案内者として美女と財宝を手に入れるべきである。 災厄の母の言うがまま、全軍を侍従長にまかせて進軍させ、ダウールマカーン、シャールカーン、大臣ダンダーンの三人が百の精兵を率いて僧院に向かうことになる。 災厄の母は百騎の切り離しに成功したことをすぐにアフリドニオス王へ知らせ、一万騎の兵を派遣させる。 兄弟たちは僧院へ攻め込みすぐに陥落させるが美女タマシルはおらず、しかたなく立ち去ったところを敵兵に囲まれてしまった。 災厄の母は言葉たくみに決戦させるよう誘導し、回教徒勢は鬼神のごとき働きをみせるが、一日目の戦闘が終わると四十五人に減っていた。 本軍に救援を求めてくるといって、災厄の母は姿を消す。 次の日には十人を残すのみとなったが、なおも洞穴にたてこもって抵抗する。 手をやいたキリスト教軍は、火攻めをしかける。 いぶり出された三人はついに捕虜になってしまうが、隙を見て脱出し、森にひそんで「アッラー・アクバル!」と何度も叫ぶと、大軍がせめてきたと勘違いしたキリスト教軍はパニックに陥いる。 そこへ救援軍が到着。 兄弟たちはこれを指揮し、パニック状態のキリスト教軍に襲いかかってこれを殲滅する。 コンスタンティニアに向かうと、今度は災厄の母があらわれて本軍の急をつげる。 いそいで向かうと、ちょうど侍従長が敗走してくるところであった。 もちろんこれも災厄の母の計略である。 王たちへの救援兵を割いて手薄になったことをアフリドニオス王へ知らせて総攻撃をかけさせたのだ。 軍をたてなおして進撃すると、アフリドニオス王がシャールカーンにを挑んできた。 シャールカーンは勇んで受けてたち、一日目は両者互角に戦う。 しかし二日目、だまし討ちにあって負傷してしまった。 怒ったダウールマカーン王はアフリドニオス王に一騎討ちをしかけ、怒りにまかせてその首をうつ。 それを期に回教徒軍はキリスト教軍に襲いかかり、これを殲滅した。 これに顔色をかえた災厄の母は、療養中のシャールカーンとふたりきりになるチャンスを待つ。 そして災厄の母は、シャールカーンが眠っているあいだに首をかき、おのれの計略をあかしてさらにダウールマカーンとダンダーンの首もとると宣言したメモを残して立ち去る。 シャールカーンの遺体を発見したのは、これまでずっと謎の聖人を疑っていた大臣ダンダーンだった。 ダウールマカーン王は兄の死を悲しみ、長いあいだ何も手につかなかったが、長男カンマカーンの誕生を知らせる手紙が届くと、やっと行動を開始する。 シャールカーンの喪明けを終わらせると、ダウールマカーン王は大臣ダンダーンに、心楽しい物語をするように命じる。 アズィーズとアズィーザと美わしき王冠太子の物語 [ ] ペルシアの都市のうちに「緑の都」という都があり、公正寛大で人民に愛される王スライマーン・シャーが治めていた。 しかし王には妻子だけがなく、大臣にそのことを相談すると、「白い都」のザハル・シャー王に美しい娘がいるという。 スライマーン・シャー王は大臣を派遣して輿入れを申し入れることにする。 ザハル・シャー王はこころよく受け入れ、娘を送り出した。 婚礼ののち女王はすぐにみごもり、産みおとされた子は「王冠」と名づけられた。 王冠太子は立派な美丈夫に成長した。 あるとき狩りに出かけると、野営地に大きな隊商が同宿しているのを知る。 そのうちにアズィーズという美しい若者がいたのだが、彼の顔には深い悲しみがきざまれている。 わけを聞く王冠太子に、アズィーズは二枚のカモシカが刺繍された布切れをみせ、不思議な物語をする。 美男アズィーズの物語 [ ] わたしの父は豪商で、亡くなった叔父の娘アズィーザはわたしの許婚者だった。 所定の年齢に達し、婚礼を行うことになった日のこと。 祈祷に行って汗をおさえかねたわたしがうずくまっていると、頭上の窓から美しい女がハンカチを落としてくれた。 女は不思議な合図をすると姿をかくしてしまったが、すっかり心をうばわれたわたしは、婚礼を放っておいて日暮れまでそこでずっと待っていた。 夜になると、客たちはみんな帰っており、父は婚礼を一年延期したらしい。 アズィーザにすべてを正直に話すと、彼女はけなげにも女の合図の謎解きをし、力添えをすると言ってくれる。 二日後、再度女のもとへ行くが、またしても謎めいた仕草をして姿を隠してしまった。 帰るとアズィーザは泣きはらした様子だったが、またしても謎解きをしてくれる。 その言葉に従って五日後にまた女の家に行くが、女は姿をみせなかった。 むなしく帰ったわたしは、またも泣き暮らしていたらしいアズィーザを、つっけんどんに突き飛ばす。 アズィーザの助言により次の日も女の家に行くと、またも謎かけをして姿を消した。 悲しみにくれる従姉妹は、それでもわたしに知恵をさずけ、女に会ったら言えという詩をさずける。 次に女の家にいくと戸が開いており、ご馳走が用意されていた。 数時間待っても誰もこず、空腹に耐えかねてご馳走を食べると、睡魔に襲われて眠ってしまう。 次に気がつくと朝になっており、わたしの腹の上には塩と炭がのせられていた。 帰って歎きのふちにいるアズィーザに報告すると、それは眠ってしまったことを責めるしるしだという。 今度は絶対に眠るなと言われたのだが、やはり睡魔に勝てず眠ってしまった。 翌朝わたしの腹にはいくつかの品が置かれ、そのわきに一振りの小刀が会った。 それは、こんど眠ったらお前の首をかく、というメッセージだという。 そこでアズィーザは、昼のあいだわたしを眠らせ、食物を与えたのちに送り出した。 その甲斐あって、わたしはやっと女と本懐を得ることができた。 次の朝、女は「樟脳と水晶の島々」の王女が作ったという、カモシカが刺繍された布切れをわたしに渡した。 帰るとアズィーザは病にふせっており、あの詩は伝えたかと問いただす。 忘れていたわたしは、次の日間違いなく女に伝えると、女は返詩を送った。 帰宅するとアズィーザはかなり悪い様子だったが、さらに二節の詩をさずける。 それを女に伝えると、彼女はこの詩を詠んだものはすでにこの世にいない、と告げた。 はたしてアズィーザは、その日みまかっていたのである。 母親はわたしを責め、アズィーザが遺したメッセージを伝える。 「いかばかりか死は快く、裏切りにまさるものぞ!」という一文を言うように、と。 さらにアズィーザは、わたしが本心から彼女の死を悼んだときに渡すようにと、ひとつの品を母親に託したという。 わたしがアズィーザのメッセージを伝えると、女は、その言葉によりお前はわたしの破滅の企みをのがれることができたのだ、と言った。 さらに、わたし以外の女に目を向ければ同じ運命になるだろう、なぜならお前に知恵をさずける女はすでにこの世にないのだから、と。 それからわたしと女は蜜月の日々を送ったのである。 あるとき老婆に手紙の代読を頼まれたわたしは、その家の娘に目をうばわれたすきに監禁されてしまう。 娘は、自分と結婚する以外に「あばずれダリラ」からのがれるすべはない、と言った。 そして、「あばずれダリラ」の手に落ちながらまだ生きているのはなぜかと問う。 わたしがアズィーザの話をすると納得した様子であったが、その後公証人をまじえて正式な婚礼をむりやりとりおこなう。 翌朝立ち去ろうとするが、この家の門はまる一年後にしか開かないという。 しかたなく一年すごし、次の日までには帰るという約束で外に出ると、ダリラの家の前に通りがかった。 わたしが消えたことを悲しんでいたダリラに、これまでのことをすべて話すと、ダリラはわたしが結婚したことに激怒する。 彼女はわたしを殺すつもりだったが、「いかばかりか死は快く、裏切りにまさるものぞ!」と叫ぶとひるみ、命のかわりにわたしの男根を切り落とした。 その後妻の家に帰るが、不具になったことを知ると妻はわたしを放り出してしまう。 しかたなくわたしは母の元へもどった。 母は父の死を告げた。 そして、アズィーザに対するわたしの悔恨の情をみてとると、彼女が遺した品物を渡す。 それはカモシカが刺繍された二枚目の布切れだった。 布切れにはメモがはさまれており、これは「樟脳と水晶の島々」の王女セット・ドリアから譲られたものであり、不幸に耐えがたいときは王女を訪ねるとよい、という。 そこでわたしは、隊商にまじって旅に出ることにした。 「樟脳と水晶の島々」につき、セット・ドリアの美貌に目を奪われたわたしだが、しかし不具の体ではどうすることもできない。 わたしは深く絶望し、帰国の途について、この「緑の都」に入ったのである。 ドニヤ姫と王冠太子の物語 [ ] アズィーズの話を聞いた王冠太子はドニヤ姫に想いをかけた。 スライマーン・シャー王は姫を后にむかえるため使者を出すが、姫は結婚を忌み嫌っている。 王冠太子は商人に扮してアズィーズと大臣とともに緑の都に入り、店を開くことにした。 やがて店に買い物に来た姫の乳母だった老婆は、ひとめで若く美しい太子のファンになり、彼女を介して姫と文通をはじめる。 しかし姫のツンぶりはかたくなで、いっこうにデレない。 聞くと男嫌いの原因は、いやな夢をみただけらしい。 大臣の計略で夢と正反対の場面をみせると、姫の憑きものはすっかり落ち、タイミングよく姿をみせた太子の姿に、逆にひとめぼれしてしまう。 老婆の手引きで落ち合ったふたりは、寝食を忘れて蜜月をすごす。 太子の姿が消えたため死んだと勘違いした大臣らが帰国して報告すると、スライマーン・シャー王は軍勢を率いて攻め込んだ。 姫と姦通していた太子を名乗る男を処刑しようとしていたドニヤ姫の父王は、それによって太子が本物であると知る。 ふたりは正式に結婚し、アズィーズら関係者は手厚く遇された。 ダウールマカーン王の崩御 [ ] ダンダーンの話を聞きおわったダウールマカーン王は、その進言を聞いていったんバクダードへ戻る。 ダウールマカーン王は帰国した都で体調を崩し、カンマカーンに王位を譲って崩御した。 ダウールマカーンの王子、若きカンマカーンの冒険 [ ] しかし侍従長が国を簒奪する。 カンマカーンと運命の力は幽閉されたが、美しく成長したふたりは互いに惹かれあい、密会を重ねる。 それが発覚し侍従長の立腹を知ると、カンマカーンは力を得てふたたび戻ることを期して旅にでた。 恋人ネジマとの結婚資金を求めてさまよっていたベドウィン人サバーを従者にし、アフリドニオス王から盗み出された駿馬カートゥルを得て戦いをかさね、多くの奴隷や家畜を手に入れる。 そして二年ほどたったとき、大臣ダンダーンがクーデターをおこして侍従長を捕らえたという知らせが入った。 凱旋したカンマカーンは運命の力を后とし、いまやルームの摂政となっている災厄の母を討伐する軍をおこそうとする。 するとそこへ、カイサリアの新王ルームザーンがとつぜん現れた。 彼はアブリザ姫が最期の力で産み落としたオマル王の忘れ形見である。 ハルドビオス王のもとで育ちながらも、侍女珊瑚の教育により回教徒になっていたのだ。 王たちは共謀して老婆を呼び出し、ついに災厄の母を捕らえて処刑した。 鳥獣佳話(第146夜 - 第151夜) [ ] 鵞鳥と孔雀の夫婦の話 [ ]• 聞くと「私はある夜、夢で『人間に注意せよ』と聞き、やみくもに逃げ出したところ、若いライオンに会った。 そこへ人間から逃げ出したロバ、馬、ラクダが次々来て、口々に人間の怖さをライオンに話して逃げていった。 そこへ人間が来て、ライオンは罠にかかって殺され、私は恐怖のあまり、ここまで逃げて来ました。 」と鵞鳥は言った。 そこに信心深い牡鹿が来た。 牡鹿と孔雀の夫婦は毎日神に祈りを捧げたが、鵞鳥は忘れることがあった。 ある日、人間が来て、牡鹿と孔雀の夫婦は逃げることができたが、鵞鳥は捕まり、食べられてしまった。 羊飼いと乙女の挿話 [ ]• 天使は若く美しい女の姿になり、羊飼いを誘惑するが、羊飼いは誘惑に負けず、信仰心を示した。 亀と漁師鳥の話 [ ]• バートン版「水鳥と亀の物語 第148夜 」• 東洋文庫版「とカメとの物語 第148夜 」 漁師鳥が獲物を探していると、禿鷹が見えたため、遠くへ逃げた。 そこで亀と友達になり、互いに出会えたことを神に感謝した。 狼と狐の話 [ ]• ある日、狐は葡萄畑に人間が作った落とし穴を見つけ、狼を誘い出し、穴に落とした。 狼は助けを請うが、狐は助けず、「鷹がを襲ったが、巣穴に逃げられ捕まえられなくなった。 鷹は餌をあげると鷓鴣を騙し、巣穴から出たところを捕まえ食べるが、鷓鴣は自分の肉が毒になるようと呪い、鷓鴣も鷹も死んだ。 」という「鷓鴣と鷹の話」をした。 狼が助けてくれたら助言者になると言うと、狐は「自分の病気が治せない医者の話」をし、穴から自力で脱出できない狼の助言など役に立たないと言った。 さらに、「蛇を助けて蛇に咬まれて死んだ人の話」、「子供を虐待すれば、恨みを抱き、大人になったときに復讐されても不思議ではない」と話し、大声を出して人を呼び、集まった人が狼を見つけ狼を殺すのを遠くから見ていた。 小鼠と鼬(いたち)の話 [ ]• バートン版「二十日鼠と猫いたちの話 第150夜 」• 東洋文庫版「ネズミとイタチとの物語 第150夜 」 鼬(いたち)は胡麻の皮を剥く女の家で胡麻を一皿見つけ、腹いっぱい食べた。 そして盗みの罪をなすりつけるため、小鼠に皿に胡麻が残っていることを教え、食べに行くようにそそのかした。 小鼠は鼬の計略に気づかず、胡麻を食べているところを女に見つかり、胡麻を全て食べたと思われて殺されてしまった。 烏と麝香猫の話 [ ]• バートン版「猫と烏の話 第150夜 」• 東洋文庫版「カラスと猫との話 第150夜 」 烏と麝香猫が森で話をしていると、虎の鳴き声が聞こえた。 烏は木の上に逃げたが、麝香猫は逃げ場に困り、烏に助けを求めた。 烏は羊飼いの犬を何匹もけしかけ、森に誘導した。 森に犬が増えたため、虎は森から出て行った。 こうして烏は麝香猫を救った。 烏と狐の話 [ ]• 狐は近くにいた烏を手下にして食料を持って来させようと、話しかけた。 烏は警戒したので、狐は「蚤が人から追われていたのを小鼠が巣穴にかくまい、小鼠が家の主人から金貨を盗めるよう、蚤が家の主人を刺しまくり水浴びをさせた」という「蚤と子鼠の物語」をして、異種族の動物間の友情を説いた。 しかし、烏は「若い頃横暴だった禿鷹が、年老いて獲物を取れなくなり、若い頃の横暴さのため、誰からも軽蔑された」という「禿鷹の話」をして狐の本当の目的を言い当てた。 また「大鷲が子羊をさらって行ったのを見た雀が、大きな羊をさらおうとしたが、羊を持ち上げることができず、逆に羊の毛が足に絡まって動けなくなり、羊飼いに殺された」という「雀の話」をして、年老いた狐が、元気な烏と対等の関係を築こうとするのは、雀のように僭越だと言った。 狐は烏を手下にするのをあきらめて、去っていった。 美しきシャムスエンナハールとアリ・ベン・ベッカルの物語(第152夜 - 第169夜) [ ]• アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールの女奴隷の手引きで宮殿に忍び込み、アリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールと再会を果たした。 そこに教王が来たので、アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルは見つからぬよう逃げ出した。 アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールは、会えない恋のつらさから病気になった。 アバールハサンは教王の怒りを買うことを恐れ、全財産を換金し、後事をアミンという友人に託しバスラに逃げた。 アミンとシャムスエンナハールの女奴隷は連絡を取り、アミンの別邸でアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールを再会させる計画を立て、シャムスエンナハールは成功すればアミンに女奴隷を与えることを約束した。 計画は成功し、アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールはアミンの別邸で再会した。 しかしその夜強盗が入り、別邸の財宝と2人をさらって行った。 翌朝、アミンの所に盗賊の男が来てアミンを盗賊の隠れ家に案内し、2人が何者かを聞き、シャムスエンナハールが教王の側室と知ると、2人を解放した。 しかし、そこに警吏隊が来てシャムスエンナハールを宮殿に連れ帰った。 2人は会えない恋のつらさから病気がますます重くなった。 アミンのところに女奴隷から、教王が気付いたのですぐ逃げるようにとの連絡が入り、アミンは病気のアリ・ベン・ベッカルとともに町を逃げ出すが、野盗に襲われ、全財産を奪われた。 アリ・ベン・ベッカルは失意のうちに死んだ。 シャムスエンナハールも病が重くなり死んだ。 アミンと女奴隷はアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールの墓を隣同士にし、埋葬した。 カマラルザマーンとあらゆる月のうち最もうるわしい月ブドゥール姫との物語(第170夜 - 第236夜) [ ]• 一方、遥か遠くのエル・ブフールとエル・クスールの国王ガイウールには美しい一人娘の王女ブドゥールがいたが、男性に興味が無く、近隣の王子の求婚を断り続けていた。 ある日、ハーレダーンの国王は結婚を拒否し続けるカマラルザマーンを懲らしめるため、古い塔に閉じ込めた。 その塔は古代ローマの塔で、その塔の井戸には魔王ドムリアットの娘の女鬼神()マイムーナが住んでいて、夜カマラルザマーンが眠った後、彼を見て美しさに感動した。 そこに鬼神シャムフラシュの息子ダハナシュが現れ、カマラルザマーンよりブドゥール姫の方が美しいと言ったため、言い争いになり、ブドゥール姫を連れて来て見比べることになった。 鬼神ダナハシュが空を飛び眠っているブドゥール姫を連れて来てカマラルザマーンの隣に寝かせると、2人は同じ顔をしていて、優劣がつかなかった。 そこで、魔王アブー・ハンファシュの子孫の鬼神ハシュカシュ・ベン・ファフラシュ・ベン・アトラシュに仲裁を求めたところ、片方を起こし、より相手に惚れた方を負けとすることになった。 まず、カマラルザマーンを起こしたところ、寝ているブドゥール姫をたちまち好きになるが、父王シャハラマーンの計略と思い、指輪を交換したのみで一線を越えず朝まで我慢することにした。 次にブドゥール姫を起こしたところ、寝ているカマラルザマーンをたちまち好きになり、処女を捧げた。 勝負はカマラルザマーンの勝ちとなった。 鬼神ダハナシュはブドゥール姫を寝かせガイウール王の宮殿に連れ帰った。 翌朝、カマラルザマーンとブドゥール姫は、指輪と処女の血のため夢ではないと知り、それぞれの国で相手を探すが、誰も知らないため、狂人扱いされた。 ガイウール王は「ブドゥール姫の狂気を治した者は結婚を許し国王にする。 しかし、治せなかった者は姫を見た以上殺す。 」とお触れを出したが、誰も治せなかった。 ブドゥール姫の乳母の息子マルザワーンは事情を知り、姫の恋人を探す旅に出た。 1か月の旅の後、タラーフという町に着くと、カマラルザマーン王子の不思議な話の噂を聞き、陸路で6か月か、海路で1か月のところにあるハーレダーン国に王子がいることを知り、海路で旅立った。 船は難破したがハーレダーン国に着き、カマラルザマーン王子にブドゥール姫の国を知らせた。 カマラルザマーン王子は旅立ち、無事ブドゥール姫と再会し、二人はすぐさま結婚した。 結婚後しばらくして、カマラルザマーンは残して来た父王が気がかりになり、ブドゥール姫を連れてハーレダーンに帰ることにした。 旅のテントの中で寝ているブドゥール姫の体を触っていると、体の中に紅瑪瑙の魔法のお守りがあるのを見つけたが、それを鳥に取られてしまった。 カマラルザマーンは一人、取り返すために鳥を追いかけるが、11日追いかけて、ある港町で鳥を見失ってしまった。 その町はキリスト教徒に征服された町で、イスラム教徒は庭師一人しかいなかった。 カマラルザマーンは帰る道が分からず、港にイスラムの船が来るまで庭師の手伝いをして待ち続けた。 一方、ブドゥール姫はカマラルザマーンが消えたことと紅瑪瑙のお守りがなくなったことを知り悲しんだが、従者の反乱を恐れ、顔がカマラルザマーンと同じことを利用し、男装してカマラルザマーンを演じ、側近の女奴隷にベールをさせてブドゥール姫を演じさせ、旅を続け黒檀の島に着いた。 黒檀の島の国王アルマノスと会った男装のブドゥール姫は、国王に気に入られ、国王の美しい一人娘のハイヤート・アルヌフース姫との結婚を申し込まれ承諾した。 ブドゥール姫はハイヤート・アルヌフース姫に自分が女であることを打ち明け、秘密を守ることを約束させ、鳥の血を処女の血と偽り、アルマノス王を騙した。 アルマノス王は喜び、王位をブドゥール姫に譲った。 カマラルザマーンは、いつまでも来ないイスラムの船を待ち続けた。 ある日、鳥同士が戦うのを見つけ、死んだ方の鳥を見ると、あの紅瑪瑙のお守りが見つかった。 そして、庭仕事をしていると地中に埋もれた階段を見つけ、その階段を降りると20個の金の詰まった甕を見つけたので、庭師と折半することにした。 その日、黒檀の島へ行くイスラムの船が入港したのを知り、甕の上の方にオリーブを詰め、オリーブの甕として船に載せた。 紅瑪瑙は甕の一つの底に隠し、その甕にはカマラルザマーンと名前を彫った。 しかし、庭師が急死したため、船の出港に間に合わなくなってしまった。 船は黒檀の島に入港し、男装のブドゥール姫は好物のオリーブの甕を全て買った。 甕に紅瑪瑙とカマラルザマーンの名前を見たブドゥール姫は、急いで船長にカマラルザマーンを連れて来るよう命じ、船長はキリスト教徒の町からカマラルザマーンを連れ帰った。 カマラルザマーンは、男装のブドゥール姫に気付かず戸惑うが、ついに気付き、ブドゥール姫を第1の正妻、ハイヤート・アルヌフース姫を第2の正妻とし、また父王シャハラマーンにも自分の無事を伝え、幸せに暮らした。 類似の話:• 類似の話: 「幸男」と「幸女」の物語(第237夜 - 第248夜) [ ]• ある日、春氏に男の子が生まれ、その子は「幸男」と名づけられた。 春氏は、奴隷市場で、生まれたばかりの女の子をつれた女奴隷「栄え」を買い、女の子を「幸女」と名づけ、幸男の妹のように育てた。 幸男も幸女も美しい若者に育ち、二人が12歳になったとき、二人は結婚した。 4年後、クーファの太守ベン・ユーセフ・エル・テカフィは、16歳になった幸女の美しさを聞き、誘拐して教王()に献上しようと、老婆を雇った。 老婆は祈祷者の振りをして春氏の家に入り込み、幸女を家の外に誘い出して誘拐した。 幸女は教王に献上されたが、あまりに泣くので、教王の妹セット・ザヒアは不憫に思い介抱した。 しかし、幸女は何日経っても泣くばかりで病気になってしまった。 一方、幸男は幸女を捜すが、まったく見つからなかった。 ペルシャ人の学者に占ってもらうと、幸女はダマスにいると出たので、幸男とペルシャ人学者はダマスに行き、そこで医者を始めた。 医者は大評判となり、ある日、後宮の老婦人が相談に来たが、それは幸女の病気のことであった。 幸女が後宮にいることが分かったので、幸男は老婦人の手引きで女装して後宮に忍び込んだが、部屋を間違え、セット・ザヒアに見つかってしまった。 親切なセット・ザヒアは事情を聞き、幸男を幸女に合わせてくれた。 そこに教王が入ってきた。 セット・ザヒアは教王に「昔、ある国で兄妹のように育てられた子どもが大人になり結婚したが、妻はさらわれ王の後宮に献上された。 夫は妻を捜し後宮に忍び込んだが、王に見つかり、2人とも処刑されてしまった。 この話の王の行為をどう思うか」と尋ねた。 教王が「その王の行為は軽率である。 」と言ったので、セット・ザヒアは事情を話し、後宮に忍び込んだ幸男を許すよう教王に頼んだ。 教王は幸男を許し、幸女を幸男に返し、褒美を与えた。 またペルシャ人学者を侍医に任命した。 幸男と幸女はクーファに帰り、幸せに暮らした。 「ほくろ」の物語(第250夜 - 第269夜) [ ]• シャムセッディーンは「胡麻」という遊び人の仲買人に相談したところ、胡麻はシナ産(ひつちょうか)の煮詰めた菓糖2オンス、イオニア産の濃いエキス1オンス、生の1オンス、セレンディプ産赤い1オンス、マラバル産白い(しょうずく)10ドラクム、インド産5ドラクム、5ドラクム、唐辛子5ドラクム、インド産大(ういきょう)の星型の漿果(しょうか)1オンス、(たちじゃこうそう)半オンス、蜂蜜、5粒、魚卵1オンスから秘薬を作り、シャムセッディーンがそれを服用したところ、たちまち妻が妊娠した。 生まれた男の子は、両頬と左の尻にほくろがあったので、「アラエッディーン・ほくろ」と名づけられた。 両親は邪視を恐れ、ほくろを地下室に住まわせ、一流の学者にあらゆる学問を教えさせた。 ほくろが14歳になったとき、シャムセッディーンは、世間で跡継ぎがいないと思われていて、死んだ場合財産を国に取られかねないことを恐れ、ほくろを表に出すことにした。 お披露目の会で、「両刀使いのマハムード」はほくろに目を付け、子どもたちを使いほくろに旅の経験がないことをからかわせ、旅に出るよう仕向けた。 ほくろは旅を決意し、両親に無理を言って隊商を組んでもらった。 シャムセッディーンはラクダ曳きの親方カマル老人に旅の安全を託した。 ほくろの隊商がカイロを立つと、両刀使いのマハムードもすぐに隊商を組んで後を追いかけ、ほくろに言い寄ったが、カマル老人はマハムードの魔手からほくろを守った。 一行はダマス、アレプと商売の旅を続けたが、アレプを立った後、両刀使いのマハムードは、ほくろを宴会に誘い、ほくろはカマル老人の反対にもかかわらず、宴会に行った。 宴会のテントで、両刀使いのマハムードがほくろにキスをしようとし、言い寄ったため、ほくろはあわてて逃げ帰った。 ほくろは驚き、一刻も早く両刀使いのマハムードから離れようと、カマル老人の反対にもかかわらず、他の隊商と別れ、自分の隊商だけバグダードに向け出発した。 バグダードまであと少しという所まで来たとき、ほくろは「美しい朝のバグダードを見たい」とバグダードの外に野営すると言い出し、カマル老人の「ここは犬の谷という盗賊の出る場所なので、一刻も早くバグダードに入るべきだ」という忠告も聞かず、野営した。 隊商は盗賊に襲われ、ほくろ以外全員が殺された。 失意のほくろは一人バグダードに逃げ延び、市内の泉の所で眠った。 ほくろは両刀使いのマハムードに助けられたが、夜になると再び逃げ出した。 ほくろが夜のバグダードをさまよっていると、「解除人」を探している男とその父に出会った。 解除人とは、夫が妻を離婚した場合、2回目まではすぐに復縁できるが、3回目の離婚の場合は一旦妻が別の男と結婚し一夜を過ごしてその男と離婚しない限り復縁できないというイスラムの教えに従い、3回目の離婚の後一時の夫となる者のことであった。 ほくろは解除人を引き受け、男の元妻のゾバイダと一夜を過ごすことになったが、互いに本当に好きになってしまい、翌朝離婚をしないと言い出した。 違約金の1万ディナールを払わなければならないことになったが、法官 は若い男が好きだったため、ほくろが流し目を使うと、違約金の支払いを10日待ってもらえることになった。 ほくろは、10日の猶予期間を、金の当てもないまま、ゾバイダと愛し合い過ごした。 そんな中、ある夜ゾバイダが歌を歌っていると、に変装した教王()と大臣、御佩刀持ちマスルール、詩人の4人組が歌に誘われやって来て、事情を聞き「1万ディナールを渡してあげよう」と言い、宴を楽しみ翌朝去って行った。 しばらくすると、アビシニアの少年サリームに率いられた隊商が、シャムセッディーンからの手紙と5万ディナール分の商品とゾバイダへの贈り物を持って現れた。 手紙には、違約金1万ディナールが払えるよう、父シャムセッディーンが隊商を遣わしたと書いてあった。 ほくろは違約金を払ったが、元夫はゾバイダを失った悲しみで死んでしまった。 その夕方、再び教王に率いられた4人組が修道僧に変装してやって来た。 ほくろは、1万ディナールを渡してくれなかったので不機嫌であったが、ゾバイダは歌を歌い宴を盛り上げた。 詩人はほくろに、カイロまで45日かかるのに、なぜ隊商がすぐに来たと思うかと尋ね、あの隊商は実は教王の遣わしたものだったと悟らせた。 教王はほくろを重用し、バグダードの商人の会頭にし、さらに、掌酒子の長、内務卿と昇任させた。 ほくろは、任務を忠実に果たした。 ある日、教王は、ほくろに女奴隷を贈ることにし、ジャアファルに奴隷を買ってくるように命じた。 ヤサミーン(ジャスミン)という女奴隷が競売に掛けられたとき、カーレドという名の貴族の息子で14歳になる「ぶくぶくでぶ」という醜い肥満の子と、ジャアファルが競り合いになり、ジャアファルが競り勝ち、ヤサミーンはほくろのものとなった。 「ぶくぶくでぶ」があまりに悲しんだため、「ぶくぶくでぶ」の母は、ヤサミーンを奪い取ることを考え、老婆を雇った。 老婆は「蛾のアフマード」の母で、牢にいる蛾のアフマードを助けてくれたらヤサミーンを奪うと言った。 貴族カーレドは教王に蛾のアフマードを助けることを願い出、教王は蛾のアフマードを警察長官に任命した。 蛾のアフマードは、教王の宝物であるとを連ねた数珠、ルビーの柄頭の剣、玉璽、黄金のランプの4品を盗み、黄金のランプは自分の物にし、残り3品はほくろの屋敷に埋めた。 宝がなくなったことに気付いた教王は激怒し、警察長官の蛾のアフマードに宝の捜索を命じた。 宝の内3品はほくろの屋敷で見つかり、ほくろは捕らえられ、死刑になるが、警吏の長が、別の死刑囚をほくろの替え玉にし、ほくろをアル・イスカンダリア(アレクサンドリア)に逃がした。 ほくろの妻ゾバイダは警吏の長にかくまわれるが、女奴隷ヤサミーンは貴族カーレドのものとなり「ぶくぶくでぶ」に与えられるが、「ぶくぶくでぶ」との関係を拒み、台所係の女奴隷となった。 ヤサミーンはほくろの子を身ごもっており、生まれた子は男の子でアスラーンと名づけられた。 アスラーンが2歳のとき、カーレドは美しいアスラーンを気に入り養子とし、一流の学者につけ大切に育てた。 アスラーンが14歳のとき、酒場で蛾のアフマードと偶然出会い、黄金のランプを持っているのを見た。 アスラーンは教王と話す機会を得て直訴し、教王が蛾のアフマードを調べさせると黄金のランプが見つかったので、蛾のアフマードは死刑になった。 警吏の長は、実はほくろはアル・イスカンダリアで生きていると教王に申し上げたので、教王はほくろを連れてくるよう言った。 アル・イスカンダリアに行ったほくろは、ある店を買い取り、商売を始めたが、その店の棚に紅瑪瑙のお守りがあった。 ある日、ある船長がその紅瑪瑙のお守りを10万ディナールで買うことになり、ほくろは代金を受け取りに船まで行ったが、そのまま船は出港し、キリスト教国のジェノアに行ってしまった。 ほくろは教会の下働きをすることになるが、教会にジェノアの国王の娘であるホスン・マリアム王女が来て、紅瑪瑙は王女のものであり、魔法でほくろの美しさを知り、ほくろに会うために魔法の力でほくろをジェノアまで引き寄せたと言った。 ほくろが帰りたいと言うと、マリアム王女は魔法の空飛ぶ寝台を出し、2人は寝台に乗って一瞬でアル・イスカンダリアに着いた。 そこに警吏の長が来たので、3人で空飛ぶ寝台に乗り、途中カイロに寄り、父シャムセッディーンと母を乗せ、5人でバグダードに着いた。 ほくろは教王から許され、重職を得た。 ほくろは、このような不思議の原因となった両刀使いのマハムードに感謝し、警察長官に任命した。 ほくろは、ゾバイダ、ヤサミーン、ホスン・マリアムの3人の妻に囲まれ、幸せに暮らした。 類似の話 博学のタワッドドの物語(第270夜 - 第287夜) [ ]• アブール・ハサンは父の死後、財産を使い果たし、残ったのは美しい女奴隷タワッドドだけになった。 タワッドドはアブール・ハサンに、教王()に自分を1万ディナール以上で売るように言った。 アブール・ハサンがタワッドドを教王の前に連れて行くと、タワッドドは自分の知識の優れていることを教王に言ったため、教王は一流の学者を集め、タワッドドの知識を試すことになった。 タワッドドは、コーランの読誦者、神学者、コーラン学者、医者、天文学者、哲学者、賢人イブラーヒーム・ベン・サイアルと順次、問答を行い、タワッドドは相手の問いには全て答えたが、相手はタワッドドの問いには答えられず、問答は全てタワッドドの勝ちとなった。 教王は喜び、1万ディナールを与え、タワッドドに後宮に入るか、アブール・ハサンの元に帰るかを聞くと、タワッドドは帰ることを希望したので、教王は許し、さらに5千ディナールを与え、2人は幸せに暮らした。 詩人アブー・ヌワースの事件(第287夜 - 第290夜) [ ] 教王アル・ラシードは、ある日宮殿内の小屋にすばらしい美女がいるのを知る。 聞いてみると彼女は、教王の息子が彼に贈ろうとしていた女だったが、寵姫セット・ゾバイダの妨害で黒人宦官のもとにやられてしまったのだという。 教王は詩人アブー・ヌワースに相談しようとして呼び寄せるが、アブー・ヌワースは飲み屋で美少年にひっかかって動かない。 美少年に払う金を持たせて再度呼びにやると、泥酔状態であらわれた。 アブー・ヌワースは教王を怒らせたり笑わせたりドタバタを演じ、教王はこれ以降もアブー・ヌワースを近くにおいて重用した。 船乗りシンドバードの物語(第290夜 - 第315夜) [ ]• 船乗りシンドバードの物語の第一話 そしてこれは第一の航海である [ ] 冒険にでようと思い立ったシンドバードは、財産をまとめて船にのせて旅立った。 航海の途中、緑ゆたかな島にほかの乗客たちと降り立つが、そこは大きな鯨の背中である。 鯨は海中に沈んで乗客たちは溺れ死に、脱出した船長は船に帆をかけて行ってしまう。 ひとりだけ助かったシンドバードは、ある島をみつけて上陸する。 島には牝馬がつながれていて、その近くに穴を掘って人が住んでいる。 聞くと、彼らはミフラジャーン王の馬番で、こうしておくと海から海馬があがってきて牝馬とつがい、良馬を得ることができるのだという。 歓待をうけたシンドバードはミフラジャーン王に拝謁し、その冒険を語ると、王はシンドバードを港湾隊長に任命した。 王に重用されつつも故郷への思いをつのらせていたシンドバードだが、ある日港に入った船は、故人の財産をバクダードへ返しにいくところだという。 それはシンドバードが乗っていた船で、財産は彼のものだった。 シンドバードはこれを期に王にいとまを乞い、港湾隊長として築いた財産とともに、バクダードヘ持ち帰った。 船乗りシンドバードの物語の第二話 そしてこれは第二の航海である [ ] 次の航海に出たシンドバードは、上陸した無人島に置き去りにされてしまった。 島にはがいて、その足に自分自身を結びつけて脱出するが、ついた先はダイアモンド鉱石で構成された峻険な山に囲まれた谷間で、大蛇がうようよしている。 逃げ場をさがしていると生肉が落ちているのを見つけ、それは、こういう険しい場所でダイアモンドを採取するための仕掛けだった。 羊の肉を崖から落として鉱石を肉に食い込ませ、それをロクや大鷲が運び上げるのを待って奪い、肉からダイアモンドを取り出すのだ。 シンドバードは落ちているダイアモンドをかきあつめると、肉に自分自身を縛りつけて脱出を果たした。 船乗りシンドバードの物語の第三話 そしてこれは第三の航海である [ ] 次の航海では、船は「猿が島」という島に流される。 無数の小猿が船をとりかこんで打ち壊し、乗客たちは上陸を余儀なくされた。 島にはひとつだけ御殿が建っており、そこに住む大猿は、乗客のうち太っているものから順に、毎夜ひとりずつ丸焼きにして貪り食う。 乗客たちは脱出するために筏を組み、大猿が眠っているうちに目をつぶして逃げ出すが、大猿はさらに大きな牝猿を連れてきて、シンドバードら三人のほかはすべて殺されてしまった。 筏でたどりついた島では大蛇が出て、次々と飲み込まれてしまう。 ついにひとりだけになったシンドバードは板切れで大蛇から身を守り、通りがかった船に救助された。 その船は第二の航海のとき乗っていたもので、シンドバードは置き去りにした財産を取り戻した。 船乗りシンドバードの物語の第四話 そしてこれは第四の航海である [ ] 次の航海では嵐にあって難破し、島に打ち上げられる。 そこは食人種の村で、打ち上げられた人々は供された食物を食ううちに知性を失い、家畜のように飼われるだけになってしまった。 ひとりだけ食物に手をつけなかったシンドバードは脱出し、反対側の浜辺にでる。 そこはよく栄えた街であったが、人々はみな裸馬に乗っており、鞍の存在を知らないのである。 鞍を紹介したシンドバードは、たちまち富と名声を手に入れた。 当地の王からすすめられて妻をめとったシンドバードだが、この地には、伴侶が死んだときともに生き埋めにされるという法があった。 やがてシンドバードの妻が病気で死ぬと、わずかな食料を持ったのみで深い井戸の中に置き去りにされてしまう。 ときおり入ってくる新たな死者の伴侶を殺して食料を奪い、露命をつないでいたが、あるとき死者を喰いにきたらしい動物の姿をみつける。 後を追って出口を見つけたシンドバードは、死者たちが身につけていた多くの貴金属などをはがすと、海岸線を走っていた船をつかまえてバクダードへ帰った。 船乗りシンドバードの物語の第五話 そしてこれは第五の航海である [ ] 次の航海では、乗り合わせた商人たちがある島での卵を打ち壊したがために、報復にあって船が難破した。 たどり着いた島には一人の老人がいて、肩車で川を渡してくれと頼まれる。 その通りにすると、老人は肩にしがみついたまま降りようとせず、シンドバードの首を締めつけては、乗り物のように扱うのであった。 シンドバードはひょうたんにぶどう酒を醸成して飲ませ、酔ったすきに振り落として老人を殺す。 海岸線に戻るとちょうど船が休息しているところで、船員から聞くところによると、老人は「海の老人」と呼ばれて恐れられているものだったという。 船に同乗したシンドバードは、立ち寄る島々でさまざまな交易を行い、巨万の富を得てバクダードヘ戻った。 船乗りシンドバードの物語の第六話 そしてこれは第六の航海である [ ] 第六の航海では、船が山にぶつかって難破してしまう。 山にとりすがった数人は助かり、海岸部へ上陸する。 しかし、その島は宝石や香木があふれる素晴らしい島だったが、食料がなく、人々は次々に死んで行く。 節制して食物をとったため最後のひとりとなったシンドバードは、島にころがっている宝石などをかき集めると、筏を組んで洞窟深くに流れ込んでいる川に乗り、いちかばちかの脱出をはかる。 気がつくとセレンディブ島の住人に救助されていたシンドバードは、島の王に拝謁して宝の一部を献上する。 王は教王アル・ラシードに対する進物と信書を持たせ、シンドバードをバクダードに帰した。 船乗りシンドバードの物語の第七話 そしてこれは第七の最後の航海である [ ] もう冒険はやめようと思っていたシンドバードだが、教王の求めで、セレンディブ島の王に対する返書と進物を送り届ける役目についた。 ぶじに勤めを終えたが、帰り道でまたも災禍にあい、海の怪物に船をまるごと飲み込まれてしまう。 例によってひとりだけ逃げのびてある島につくと、落ちていた白檀をつかって筏を組み、川を下りだす。 川下は断崖になっていたが、親切な老人に助けられ、筏の材料にしていた白檀を市場で高値で売り抜けた。 さらに老人は、自分のむすめと一緒になって財産をうけ継いでくれと申し出、シンドバードはそれを受けて婿となる。 やがて老人が死ぬと、莫大な財産が彼と妻のものになった。 しかしこの島の男たちには不思議なことがあり、毎年春になると翼が生えて飛び立ち、町には女子供しか残らなくなるのだ。 シンドバードは頼み込んでひとりの男の胴にぶらさがり天の高みにのぼるが、思わずアッラーへの賞賛の言葉を口にすると、男は急降下してシンドバードを急峻な山の頂上に置き去りにする。 するとふたりの美しい子供があらわれ、シンドバードに金の杖を渡してひとつの方向を指し示した。 指示された方に行ってみると、シンドバードを連れてきた男が、頭まで大蛇に飲み込まれているところである。 シンドバードは金の杖をつかって男を助け、神の名を口にしないことを誓って町まで送り届けてもらった。 妻によれば、男たちは悪魔の兄弟であり、ここは不信の町である。 シンドバードは妻とともにバクダードへ帰り、これですべての冒険は終わった。 最初の冒険から二十七年めのことであった。 美しきズームルッドと「栄光」の息子アリシャールとの物語(第316夜 - 第331夜) [ ]• アリシャールが歩いていると、美しい女奴隷が競りに掛けられているのが目に入った。 女奴隷はズームルッドという名で、買いを入れた老人ラシデッディーンに難癖をつけ、次に買いを入れた者にも難癖を付け、女奴隷が同意しないと売買は成立しないという条件だったので、競りは不成立になりそうになった。 ズームルッドはアリシャールを見つけ、買うように頼んだが、アリシャールは一文無しなので買えないと言うと、ズームルッドは自分の千ディナールをアリシャールに渡し、アリシャールはその金で買いを入れて落札した。 ズームルッドはアリシャールの家に行き、愛し合った。 朝になると、ズームルッドは無数の刺繍のある美しい垂れ幕を作り、アリシャールはそれを市場で50ディナールで売った。 ズームルッドは毎週美しい垂れ幕を作り、アリシャールはそれを売り、2人は幸せに暮らした。 ある日、見知らぬキリスト教徒がアリシャールの後を着けて来て、アリシャールの家に入り込み、水を求め、次に食事を求めた。 アリシャールは面倒になり食事を与えたが、一緒に食べようと言われ、一口食べたところ、麻酔薬で眠らされてしまった。 このキリスト教徒はバルスームと言い、ラシデッディーンの弟で、ズームルッドをさらって行った。 麻酔から覚めたアリシャールは、ズームルッドがいなくなったことを知り、町を狂乱してさまよったが、ある老婆に呼び止められ事情を話すと、老婆は力になると言い、物売りになって町の家々を回り、物を売りながら台所女からズームルッドの噂を聞いて回った。 老婆はラシデッディーンの家にも行き、ズームルッドを見つけ、明日の晩アリシャールが来て口笛を吹くので、そうしたら家から逃げ出すようにと言った。 次の晩、アリシャールはラシデッディーンの家の前で眠ってしまい、それを見たアフマート・エド・ダナフ盗賊団のクルド人ジワーンと言う盗賊がアリシャールの衣服を剥ぎ取っていると、ズームルッドは盗賊をアリシャールと勘違いし、口笛を吹き、ジワーンも口笛を吹き返したので、ズームルッドは家から逃げ出し、ジワーンにつかまってしまい、盗賊団の洞窟に連れて行かれた。 洞窟で、ジワーンは母である老婆にズームルッドを預け出て行った。 ズームルッドは老婆が眠ったすきに、道中の安全を考え男装し、馬を奪い逃げ出した。 11日目の朝、ある町に着くと、町中の人が男装のズームルッドを歓迎した。 その町の王が世継がなく死んだので、その町の風習に従い、初めにその道を通って町に入ったズームルッドが新王になったのであった。 ズームルッドは貧しい人に財産を分け与え、善政を敷いた。 ズームルッドは毎月の始め、町にいる人全てを広場に集め、数々の料理を振る舞い、人々を観察した。 すると、クリーム飯を食おうとしているキリスト教徒バルスームを見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。 次の月、クリーム飯を食おうとしている盗賊ジワーンを見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。 その次の月、クリーム飯を食おうとしているラシデッディーン老人を見つけたので、捕まえ、悪行を自白させ死刑にした。 町の人はだれもクリーム飯に近づかなくなった。 一方、アリシャールは、眠ってしまいズームルッドを救出できなかったことを悔い、ズームルッドを探す旅に出た。 1年後ズームルッドが治める町に来て、広場での食事に加わり、クリーム飯を食おうとしたところ、ズームルッドに見つけられ、召し出され、男装のズームルッドに気付かず戸惑うが、ついに王がズームルッドと気付き、愛し合った。 ズームルッドは退位し、アリシャールとホラーサーンに帰り、幸せに暮らした。 類似の話• 類似の話 色異なる六人の乙女の物語(第331夜 - 第338夜) [ ]• 彼には六人の女奴隷がおり、いずれも機知に富み歌舞に長じた女たちで、甲乙つけがたい。 アリ・エル・ヤマニは、座興として一人ずつに自分の長所を賛美し、選んだ他の相手をけなしてみせよと申しつける。 白い「月の顔」は黒い「眼の瞳」と、太った「満月」は痩せている「天国の美姫」と、琥珀色の「昼の太陽」は栗色の「熾火の焔」と、それぞれに見事な論戦を披露してみせた。 話を聞いた教王アル・マアムーンは、ムハンマド・エル・バスリに命じ、ひとり一万ディナールで六人を買い取らせた。 教王の命とあって最初は応じたアリ・エル・ヤマニだが、しだいに後悔の念が大きくなり、女たちを返してもらうように申し入れる。 教王は許し、女たちをもとの主人のもとに帰した。 青銅の町の綺談(第339夜 - 第346夜) [ ]• 親書を受け取ったの太守ムーサが長老アブドサマードを呼びだして情報を聞くと、壺が沈んでいる海の背後の山には人が住んでおり、「青銅の町」という。 そこへ至る道は魔神の版図で、旅にはかなりの困難が予想されるという。 ムーサはアブドサマードの進言に従い、遺言をのこし、ターリブ、アブドサマードと共に少人数パーティを率いて旅立った。 一行はある日宮殿に出る。 それはクーシュ・ベン・シャッダード・ベン・アード大王 アードの子シャッダードの子クーシュ。 ノアの子孫 の墓であった。 宮殿を出て進んでいくと、青銅の騎馬武者像を見つける。 像には「町への道を知りたくば我を動かせ」との表示がある。 一行は像の案内により正しい道を知った。 さらに進むと、石の柱につながれて半身を地上に埋められた、恐ろしげないきものを発見する。 それは鬼神ダエーシュ・ベン・アラエマーシュで、かつて海原を統べる王とスライマーンが戦ったとき、軍団の隊長を務めたものだ。 スライマーンに反逆した罪により、彼はここにつながれ、部下たちは壺に封じられて海底に沈められたのである。 鬼神を置いてさらにゆくと、ついに「青銅の町」にたどりつく。 しかし城壁には、ひとつとして扉というものがない。 城壁をよじのぼって中に入るが、警備兵も市場の人々も、ムーサらが近づくと時間がとまったかのように動きを止めてしまう。 さらに財宝に満ちた城内へ入った一同は、隠し部屋でねむる美女を見つけた。 ターリブが美女に手を出そうとすると、傍らにいた衛兵がとつぜん動きだしターリブを殺す。 ムーサらはおどろいて青銅の町を後にし、海岸へ出た。 そこには漁師たちがいた。 話を聞くと、件の壺はいくらでも手に入り、彼らは普段使いにしているという。 壺の栓をぬく前に、スライマーンへの罪を償う誓いを立てさせれば、鬼神は害をなさないのだ。 漁師たちは十二個の壺と、ふたりの人魚をムーサらに献上する。 そうして教王のもとへ壺と人魚がもたらされた。 教王が壺を解放すると、いずれも壺から黒雲が出てきて鬼神の形にかわり、反逆の謝罪を述べて消えた。 人魚たちはしばらく泉で遊ばせていたが、まもなく熱病で死んでしまった。 イブン・アル・マンスールと二人の乙女の物語(第346夜 - 第353夜) [ ] 教王アル・ラシードはその夜、眠れなくて退屈をもてあましていた。 アル・ラシードと太刀持ちマスルールは、いたずらじじいイブン・アル・マンスールをつかまえて、おもしろい話を所望する。 イブン・アル・マンスール老がバスラの町を散策していると、迷って大きな屋敷の前に出た。 門の前で休んでいると、中にいた乙女が悲しげな様子で歌をうたっている。 のぞき見したことを責める乙女と言葉を交わしていると、老は、ここがもと親友でバスラの宝石商の総代、アリ・ベン・ムハンマドの家だと思い出した。 乙女は娘のバドルで、悲しんでいたのは、恋人であるシャイバーン族の族長ジョバイール公が、彼女に女奴隷とのレズ疑惑をかけて冷たくなったためである。 仲裁を申し出た老は、ジョバイール公の屋敷を訪ねて饗応を受ける。 しかし不審なことに、盛大な宴の最中なのに、歌と音楽がいっさい聞こえてこないのだ。 理由をただすと、ジョバイール公は女奴隷を呼んで歌うようにいいつける。 しかし女奴隷は、主人が歌を嫌っていることから苦悩し、気絶して倒れ、あなたのせいで主人が苦しむのだ、と老をなじる。 老はむなしくバドルの家へもどった。 翌年、またバスラを訪れた老は、この恋の結末を知ろうとバドルの家を訪ねる。 すると家には墓が建っており、バドルは死んでしまったように思われた。 次にジョバイール公の屋敷に行くと荒れ放題になっており、公はすっかり病みついている。 明らかな恋の病であり、ジョバイール公は老に手紙を託し、仲裁を頼んだ。 ふたたびバドルの家にゆくと、バドルは生きていて、喪服姿である。 死んだのは女奴隷の方だった。 じつは、最初はバドルを突き放していたジョバイール公だったが、徐々にバドルに対する愛しさをつのらせ、逆にバドルの方は、時間とともに冷静さを取り戻していたのだった。 この一年のあいだに、すっかり立場が逆転していたのだ。 老の説得によってバドルはジョバイール公を許し、ふたりは結婚する。 老がこの騒動のきっかけを尋ねると、バドルと女奴隷が船で遊んでいたとき、ジョバイール公をからかうような歌をうたっていたと、船頭が公に報告したことが原因であった。 イブン・アル・マンスール老がここまで語ったとき、教王アル・ラシードは寝息をたてていた。 肉屋ワルダーンと大臣の娘の話(第353夜 - 第355夜) [ ]• ある日、供の荷担ぎ人足がひとりでいるところをつかまえて事情を聞いてみると、乙女は毎度人足を総理大臣の屋敷につれていき、目隠しをして階段をおりた先に荷を下ろさせ、再度目隠しをして地上へもどしてから解放するのだという。 翌日、乙女の後をつけて秘密のかくし戸の中に侵入したワルダーンは、地下室の中で大猿と乙女がまぐわっているのを目撃。 おどろいた肉屋は、まぐわい疲れた乙女たちが眠っているすきに、刀をふるって大猿を殺す。 乙女の話によれば、彼女は大臣の娘であり、十五のとき黒人に犯されて男を知ったが、それ以来男の体を求めるようになった。 黒人が腎虚で死ぬと、館の老婆の知恵で、そのような用途には猿がよいといわれ、大猿と媾合するようになる。 父の大臣がそれを知ると、地下室をつくって大猿を閉じこめたため、乙女は毎日食料を運び込んでいたのである。 肉屋は大猿のかわりを務めることになるが、徐々に体がもたなくなってくる。 そこで、ある老婆に頼んで精力を消す薬を処方してもらい、乙女の陰部を燻蒸すると、膣から二匹のウナギが出てきた。 一匹は黒色で、それは黒人の精がたまったものである。 一匹は黄色で、それは大猿のものである。 精力が落ちた乙女にワルダーンは求婚し、以後ふたりは幸せに過ごした。 地下の姫ヤムリカ女王の物語(第355夜 - 第373夜) [ ]• 自分の所蔵する文書が息子に渡るか案じたダニアルは、まずそれらの知識を五枚の文書に要約し、さらにそれをたった一枚に集約。 息子が父の財産を求めたときにそれを渡せと遺言し、それ以外の文書をすべて処分して死ぬ。 ところが生まれた息子ハシブは、十五の年になってもふしだらな生活をつづけ、心配した母が妻をめとらせてやっても、何もしようとしないのである。 それでも木樵たちがハシブの面倒をみてやろうと申し出たため、ハシブもその気になり、仕事をはじめた。 ある日、山の中で雨宿りした洞窟の中で、蜜がつまった壺が地下にあるのをハシブが見つけた。 木樵たちはハシブを地下におろして壺を上げさせ、しかしハシブはそのままにし、母には狼に襲われて死んだと報告し、蜜壺を売ってもうけを山分けにする。 残されたハシブは横穴をみつけて脱出し、金の玉座と一万二千脚の宝石の椅子が配置された、地底湖のほとりに出る。 そこは地下の姫ヤムリカ女王が治める、人頭蛇身のラミアたちの国。 その越冬地であった。 蛇女たちはハシブを歓待し、次の話をはじめた。 ブルキヤの物語 [ ] バニー・イスラーイール王国の王は、死にあたって息子ブルキヤに対し、まず宮殿内をすべて調べよと遺言する。 そのとおりにすると、一枚の羊皮紙がみつかった。 「あらゆるものの君主たらん者はスライマーンの墳墓「七つの海の島」にて彼がはめた指輪を見つけよ。 それはかつてアダーム アダム が楽園ではめ、天使イブラーヒーム アブラハム が奪い、スライマーン ソロモン に贈ったものである。 しかし彼の島へ渡るにはヤムリカ女王の地下王国にある草の汁を足にぬり、海を歩いて渡らねばならぬ。 すなわち指輪を欲すればまず地下王国をめざせ。 指輪を入手したあかつきには「冥府の国」にて「生命の泉」を飲み、不死となることもできるであろう」 ブルキヤは賢者オッファーンを召し出し、大臣に後を託して指輪を探す旅に出る。 オッファーンはすぐに地下王国の場所、すなわちハシブが迷い込んだこの地底湖を探しあて、海を渡る草の汁を入手した。 事情を聞いたヤムリカ女王は、スライマーン以後は何者もその指輪の所有者になることはできぬのだと忠告するが、彼らは意に介さず海へ向かった。 七つの海を渡り、猛獣や奇怪な果実などで満ちた島々をめぐって、ブルキヤらは「七つの海の島」につく。 壁がダイヤモンドでできた深い洞穴に入っていくと、最深部の広間に金の寝台があり、左手に指輪、右手に王杖を持ったスライマーン・ベン・ダーウドがそこに横たわっていた。 ブルキヤが呪文をとなえているうちにオッファーンが指輪をとりはずそうとするが、緊張のあまり呪文をまちがえ、オッファーンはダイアモンドのかけらに打たれて灰と化してしまう。 草の汁も灰になってしまったため帰るすべを失ったブルキヤが、あてもなく島内を歩いていると、精霊たちの軍団があらわれる。 遠くコーカサスの向こう「白き地」を治める王、サフル配下の鬼神たちである。 よければ主君に会わせてやろうという彼らに、抜け目なく話をあわせ、鬼神の手を借りてブルキヤは島を脱出する。 サフル王はブルキヤの身の上話をよろこび、自分たち鬼神と火のかかわりの歴史を語り、ブルキヤを故郷近くの国境まで送った。 帰途につこうとすると、美しい青年が二基の墓の前で悲しんでいるのに気づく。 青年は次のような身の上話を語った。 悲しみの美青年の物語 [ ] 青年はカブールの王ティグモスの息子で、ジャーンシャーという。 ある日狩りに出て獲物を深追いした青年は、船を川の急流に流されて遭難してしまった。 たどり着いた岸には上半身と下半身がまっぷたつにわかれる人肉喰いがいて、一緒に流された白人奴隷のうち三人が喰われてしまう。 あわてて逃げ出すと、次についた土地には宮殿がある。 中に入ると大猿や小猿たちがあらわれ、青年を王にかつぎあげて隣国のグールたちと戦争をはじめるのだった。 しかたなく戦闘を指揮し、小休止していると、ある岩にスライマーンよりのメッセージが彫られている。 「汝の前に解放のためのふたつの道がある。 右の道は短い道だが、魔神どもが棲みつく砂漠を越えていかねばならぬ。 左の道は四か月にも及ぶ長い道で、「蟻の谷」渓谷を抜けて、火の山のふもと「ユダヤ人の都」へ出るであろう」進路を左にとると、蟻の軍団があらわれて猿どもと戦闘をはじめた。 残っていた白人奴隷もすべてその戦いで死に、青年はひとりで脱出する。 やがて「ユダヤ人の都」につくが、その町の人々は、なぜか何ひとつ声を出さない。 身振り手振りでカブール行きの隊商がないことを知り、弱りながら歩いていると、あるユダヤ人が千ディナールと女奴隷を報酬に仕事を請けおう者を探していた。 それに応募した青年は、三日間を女奴隷と過ごし、四日目の朝、驢馬にのってユダヤ人と高い山のふもとに出かけた。 ユダヤ人は驢馬を殺してくりぬき、青年をその中に縫い込む。 やがてがあらわれ、驢馬に入った青年をえさだと思い巣に運ぶので、正体をあらわして山の上にある宝石を下に投げろ、それがおわったら降りてきて共に帰ろう、という指示。 しかし宝石を投げ終わっていざ降りようとしてみると、降りられるような道など見あたらないのだ。 ユダヤ人は青年をそのままにして帰ってしまった。 山中を二か月ほどさまようと、宮殿に出る。 中には王冠をかぶった老人がおり、次のように語る。 この宮殿はスライマーンが建てたもので、自分は代官として鳥類を統べている。 鳥どもは毎年表敬のために集まってくるので、そのとき青年を鳥に託して帰してやろう、それまで自由にしてよいが、金の鍵で開く部屋にだけは入ってはならぬ。 しかし好奇心を起こした青年は、その部屋に入ってしまう。 中は泉水を中心として宝石に彩られた美しい部屋である。 青年が見ていると、三羽の鳩があらわれ、白い羽をぬぎ捨てて泉に入ると、それらは若く美しい乙女の姿に変わった。 あまりの美しさに心をうたれ、我をわすれてかけよると、乙女たちはふたたび羽を着て鳩にかわる。 彼女らは、私たちはダイヤモンドの宮殿のナスル王の娘である、つきあいたいならば宮殿を訪ねて来よ、と言い残して飛び去った。 老人によると、ナスルは魔神の首領のひとりであり、まともに訪ねても娘を娶すようなことはないだろう。 どうしても彼女らを手に入れたいならば、隠れて羽衣を奪え。 彼女らはさまざまな手管で返してくれというだろうが、わたしが来るまでけして返してはならぬ。 青年は三人のなかで最も愛らしい末の妹シャムサの衣を奪う。 青年が衣を返すつもりがないとわかると、シャムサは観念して青年に身をまかせた。 老人があらわれると、二人は結婚の誓いをかわす。 シャムサは青年をナスルに謁見させ、魔神の国で三十日のあいだ祝宴が張られた。 次に、こんどはカブールへ報告に帰る。 死んだと思っていた息子が妻を連れて帰ってきたため、父母はたいそうよろこび、青年とシャムサはそこで幸せに過ごした。 一年ののち、青年とシャムサは、再度ナスルを訪ねようと旅に出た。 しかしそれが間違いだったのである。 旅の途中、水浴びのために川に入ったシャムサは、水蛇にかまれて死んでしまったのだ。 青年はひどく悲しみ、シャムサの墓の横に、もう一つ自分の墓を作らせた。 それがこのふたつの墓である。 類似の話:• 類似の話:• 関連項目: ブルキヤは青年をともに連れ帰ろうとするが、頑として動かない。 ブルキヤは一人で国へ戻った。 語り終えたヤムリカ女王はハシブを引きとめるが、母と妻を思い帰宅することにした。 ヤムリカ女王は、けして浴場で湯に入ってはならない、そのことはあなたを死に導くであろう、とハシブに忠告する。 家に帰ると、母と妻はたいそう喜んだ。 木樵たちはハシブに謝罪して財産の半分ずつを提出する。 ハシブは彼らを許し、それをもとでにして店を開き、たいそう繁盛した。 ある日ハシブは、湯屋で入浴を勧められる。 強行に固辞するハシブに野次馬たちが集まってきて、おもしろがってむりやり湯を浴びせかけた。 するとそこに警吏があらわれ、ハシブをひったてて宰相のまえに置く。 大臣は国王カラズダーンの癩病を治すため、万病を癒すというヤムリカ女王の乳を探しているのである。 ヤムリカ女王の地底国に行った人間は腹の皮が黒くなり、その症状は湯につかったときにはじめてあらわれる。 そこで大臣は、ふだんから警吏に湯屋を見はらせていたのである。 ハシブは大臣に引き立てられ、ヤムリカ女王に再会した。 ヤムリカは二本の乳をわたし、一本は国王の快癒のために使い、もう一本はかならず大臣が飲みたがるであろうから飲ませよ、とささやく。 乳を飲んで国王が快癒したのを見た大臣は、ヤムリカの言葉どおり万病予防のため乳をのむ。 すると大臣の身体はみるみるふくらみはじめ、破裂して死んでしまった。 国王はハシブを代わりに宰相の座につける。 たくさんの財貨と栄誉を得たハシブは、ここではじめて読み書きを学んだ。 学問に興味をもち始めた彼は、大学者だった父が残したものを知りたがる。 すると賢者ダニアルが残した一枚の紙には、こうあった。 「学問なんてむなしいもんだ。 絶対的な真理と英知をもたらすものがいるのだから。 それは預言者ムハンマドだ。 彼と友人と信徒に幸あれ」 智恵の花園と粋の庭(第373夜 - 第393夜) [ ] アル・ラシードとおなら [ ]• 老人が歩いているので事情を聞かせると、眼病の薬を求めてバグダードへ向かっているという。 ジャアファルがでまかせの処方を教えると、老人は返礼とともに臭い屁をこき、しわだらけの女を贈ると約して立ち去った。 アル・ラシードらは笑い転げた。 若者とその先生 [ ]• バートン版「アル・ヤマンの大臣と若い弟 第384夜 」• 東洋文庫版「ヤマンのおとどとその弟君との話 第384夜 」 ヤマーンの大臣バドレディンの弟は美しすぎるため、人目から離して家庭教師をつけることにした。 しかし教師の老人も弟にまいってしまい、兄の目を盗んで逢い引きしようとする。 大臣はそれに気づいたが、老人が兄をたたえる見事な詩を即興で歌ったため、見ぬふりをした。 不思議な袋 [ ]• しかしクルド人は、これは自分のものであると主張する。 法官()が袋の中身を問うと、クルド人は千頭の家畜やら何棟の家屋やらありえないことを言う。 対するアリも、何千の軍隊とか何個の国家など、どんどん話が過剰化する。 実際に袋を開いてみると、中にはみかんの皮が数枚と、オリーブの実が若干あるだけだった。 あきれはてている法官をよそに、それはクルド人のものだと言い残してアリは立ち去った。 愛の審判者アル・ラシード [ ]• バートン版「ハルン・アル・ラシッド教主とふたりの奴隷娘 第387夜 」• 東洋文庫版「ハールーン・アル・ラシードと二人の女奴隷との話 第387夜 」 アル・ラシードはメディナの女とクーファの女の間に寝ていた。 この2人はどちらも甲乙つけがたく、アル・ラシードの体をどちらが勝ち取るかは、そのときどきの手管によるのである。 その夜、アル・ラシードの一物をもてあそんで元気にさせたメディナの女は「土地はそれを蘇らせた者のもの」という文句を引用する。 対してクーファの女は「獲物は追う者ではなく狩った者のもの」という言葉を引用する。 アル・ラシードは機知をよろこび、2人とも愛した。 いずれを選ぶか?青年か、はたまた壮年か? [ ]• バートン版「若いつばめをもった女と大人を情夫にもった女 第424夜 」• 東洋文庫版「二人の女とその恋人たちとの話 第424夜 」 隣家の妻2人がなにやら話している。 この2人はそれぞれに愛人がおり、互いに自慢しあっているのだ。 若いほうの妻の愛人は青年で、ひげがなく卵のような顔をしている。 年上の妻の愛人はひげもじゃの中年男だが、その話を聞いているうちに、もう1人の妻も毛の濃い男に興味をもってくるのであった。 胡瓜の値段 [ ]• バートン版「ザイダーの子マアンとバダウィ人 第271夜 」• 東洋文庫版「マアン・ブヌ・ザーイダと遊牧の民の物語 第271夜 」 太守モイーン・ベン・ザイダが狩りに出ていると、太守に胡瓜を売りに来たという老人に出会う。 いくらで売るつもりか、だんだん値切って尋ねると、最初は1千ディナールと言っていたが、30ディナールまでになる。 そして30ディナール以下なら驢馬を宮殿につっこませてやる、と息巻いた。 そしらぬ顔で御殿へもどった太守は、胡瓜売りを引見してどんどん値切り、30ディナールから、まだ値切った。 ここで老人は太守が道で出会った男だと気づき、「驢馬は外につないであるぞ、30ディナールで買うべし」と言った。 太守は笑い、1千ディナールから値切っていった値段をすべて足した価で胡瓜を買った。 白髪 [ ]• なぜ髪を染めないのかと聞くと、女はこう答えた。 「以前は染めてみたこともあったが、必要のないことだ。 やろうと思えばいつでも腰を振ってみせることができるのだから」 悶着解決 [ ]• アル・ラシードは、女奴隷を我に売るか贈るかいずれかにせよといい、それがならぬならセット・ゾバイダと離縁するとの誓いを立てる。 ジャアファルもまた譲らず、手放すようなことがあったら自分の妻と離縁するとの誓いを立てた。

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