葵 品詞分解。 源氏物語『葵』解説・品詞分解(1)

源氏物語葵車争ひ車争い大殿には日たけゆきて品詞分解助動詞敬語全訳(7/9ページ)

葵 品詞分解

この記事の目次• 『陽葵』の読み方 「陽」と「葵」それぞれの読み、その組み合わせから 名前に使える読み方をご紹介します。 「葵」自体には「まり・り」という読み方はありませんが、向日葵から連想して何となくそう読むのかな?と想像したり、また「ひまり」という名前の人気が高く、その読みの知名度が上がって読める方が増えていることは間違いなさそうです。 漢字を見てパッと読めなくても、 響きが女の子らしく可愛いので、印象は好感度が高い名前であると言えそうです。 名前は耳から入る頻度の方が高く、最近は響き重視で名付ける方も多いので、現代の名付けを象徴する名前かもしれません! 漢字の意味&成り立ち 『陽』と 『葵』、それぞれの漢字についてご紹介します。 意味や成り立ちを知って使うことで、より深い思いを持って名付けることができますよ! 『陽』の意味と成り立ち 太陽の「 陽」。 この字は左側の「阝」が段になった 小高い丘を表しています。 右側の「昜」は太陽が地平線から上へ上へと昇る様子表したもので、丘の影になる部分ではなく、 太陽の光が当たる部分を指すのが「陽」の字になります。 そこから、日の当たる場所、明るく温かい場所を意味するようになりました。 太陽そのものを表す漢字でもありますが、もともとは 太陽の光が当たるような小高い場所という意味が先だったと考えられています。 また「阝」は神様が昇降するためのはしごを表しており、「昜」が台のうえにある輝く宝石を表すという説もあります。 神様によって宝石が高く掲げられ、全体に光が当たることがから、 明るく輝くことの他に、清らかで澄んでいる状態を表す意味も持ち合わせます。 さらに、中国発端の文化、陰陽思想においては、あらゆる物事において光の当たる方、プラスの方を「陽」と表します。 どちらかが良い、悪いではなく、物事にはすべて陰陽の2方面があって成り立っているという考えです。 陽の方が積極的・明るい・強い・逞しいという幸運的要素があるように感じられますが、実はそのバランスが最も大切であり、 陽のパワーを発揮するためには、その反対側にある陰のパワーの影響を忘れてはいけない、ということになります。 そこに結び付けて、 調和・協調性を名付け由来に持たせることもできそうですね。 『陽』にある魅力 「陽」の字は、主に太陽という言葉で一般的に親しまれていますね。 画数が多い漢字ですが、多くの人がその意味までをも知っていることと思います。 そのため名前に含んでも親しまれやすいのは大きなメリットになります。 太陽に対して悪いイメージを持つ方はいないと言っても過言ではないでしょう。 曇りや雨の日に比べ、気持ちも晴れやかになるお天気の日。 植物の成長にも、私たちの生活にも必要な太陽を表す「陽」。 まさに陰陽思想の「 陽パワー」を貰えるような名前になる気がします。 誰にでも良い印象を与えるであろう「陽」の字は、 名前に相応しい素敵な漢字。 その道具と、四方に向かって花びらを広げる花の形が通じ、『葵(あおい)』の花を表す漢字として使われるようになりました。 一般的にも「葵」と聞けば「タチアオイ」を想像される方が多いので、ここでは、その 「タチアオイ」について少しご紹介していきます。 多くが人の背丈以上に成長し、すーっと背筋を伸ばして立つように生育する姿からその名が付いたようです。 今回の名前『陽葵』は、多くの方が「ひまわり」から連想される名前であると想像されるようですが、ひまわりの漢字(向日葵)に「葵」が含まれるのも、 同じく太陽に向かって成長する性質であることが絡んでいるそうです。 また、「大望・野心・豊かな実り」等、 未来に向かう意欲溢れる花言葉も活用できそうです。 『葵』にある魅力 まず葵という名の植物を見ると、「 美しさ・気品・可愛らしさ」が感じられます。 それだけでも女の子にぴったりの漢字であると言えるでしょう。 目上の人に捧げるほど素敵な花、立派な花である葵。 可愛らしさだけでなく、大人の女性としての魅力も伺わせることができそうです。 アオイ科アオイ属に含まれる植物にはたくさんの種類があります。 食用のオクラや、南国の花として有名なハイビスカスも、同じアオイ科の花。 それぞれに素敵な花言葉があり、性質も様々ですので、その中からお気に入りを見つけて名前に結びつけるのも面白そうです! *太陽(未来)に向かって堂々と自分らしい花を咲かせてほしい。 *葵の花のようにしっとりと気品のある女性らしさを育んでほしい。 *高い目標を掲げながら、そこに向かってキラキラと輝きながら成長してほしい。 *花開く素敵な未来を迎えることができますように。 *植物のように大地にしっかりと根を張り、少しずつでも確実に成長を重ねてほしい。 『陽葵』の2文字を見てパッと読める方は、まさに今のパパ・ママ世代ではないでしょうか。 子供の名付けを一生懸命考えようと様々な情報を得ている方たちにとっては、どこかで見たことがある名前であると思います。 しかし、一般的にはまだまだ認知度の低い『陽葵』。 周囲に反対されたり、キラキラネームだと言われる場面があるかもしれません。 でも、漢字の意味や成り立ちをひとつひとつ探るうちに、 とても素敵で可愛らしい、名前としては立派な漢字の組み合わせであると感じました。 現在検討中の方、そして既にこの名前に決められた方は、堂々と自信を持って名付けてあげてくださいね!.

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3分で読む源氏物語・あらすじ/葵~六条御息所の情念が生霊となり葵の上を殺す

葵 品詞分解

六条御息所と葵の上の車争い 桐壷帝が譲位して、春宮が即位し朱雀帝となった。 若宮は春宮となり、大将となった源氏が後見人となる。 六条御息所の娘( 秋好 (あきこのむ))も斎宮 (さいぐう・天皇の即位毎に伊勢神宮に遣わされた未婚の内親王)に決定した。 源氏の通いも絶えてしまった今、若い貴公子と浮名を流したと世間に噂される恥ずかしさもあり、御息所は斎宮とともに伊勢に下ろうかと考えていた。 噂は源氏から思いをかけられていた 桃園式部卿宮 (ももぞのしきぶきょうのみや)の姫君 朝顔 (あさがお)にも伝わり、朝顔はこのような辛い目に遭うのはまっぴらと源氏と会うことはせず、手紙のやり取りだけの関係を続ける。 そんな折、葵の上が妊娠する。 気分が優れない葵の上だったが、周囲の勧めもあって葵祭りの見物に牛車で出かけた。 通りは見物の牛車で立て込んでいて、車を止める場所がない。 葵の上の従者たちは他の車を押しのけて止めようとするが、そこにあったのは六条御息所の乗った牛車だった。 双方の従者が乱闘となり、御息所の牛車は破損。 祭りに登場する源氏の姿を見ておきたいと身を潜めてお忍びで見物に来たのにもかかわらず、市井に醜態を晒す結果となり御息所は心乱れる。 六条御息所の生霊 辱めを受けた六条御息所はますます思い悩む。 車争いの話を聞いた源氏は見舞いに行くが、お互いの距離は縮まらない。 一方、葵の上は物の怪に憑かれ大層苦しんでいた。 加持祈祷をさせるが好転しない。 並々ならぬ執念の霊の仕業とされ、世間では御息所の生霊ではないかと噂が立ち、それを耳にした御息所は苦悶する。 しかしふと魂が抜け出て彷徨い、葵の上の髪を引っ張ったり叩いたりして苦しめる我が身がいるという自覚が御息所にはどことなくあったのだった。 葵の上が産気づき、より苦しみだす。 そのとき源氏は物の怪の正体をはっきりと見てしまう。 それは御息所であった。 無事に出産がすみ、 夕霧 (ゆうぎり)が誕生した。 源氏は甲斐甲斐しく葵の上の世話をするが、留守にしたときに葵の上の容体が急変しあっさりと亡くなってしまう。 生前は距離のある夫婦だったが、出産を機に睦まじくしていこうと思っていた矢先ゆえに源氏の失望は大きかった。 左大臣家も悲しみの淵から抜け出せない。 源氏が寄越した手紙から御息所は全てを察し、伊勢への下向を決心する。 源氏と紫の上の結婚 今後は他人となる左大臣家との別れを経て、源氏は久々に二条院に戻った。 紫の上は成長し、すっかり大人びて見える。 ある夜、源氏は紫の上と結ばれる。 周囲の女房などは結婚を喜ぶが、紫の上はあさましいことだと思い、源氏を許せなくなってしまった。 そんな不機嫌な紫の上を源氏はいじらしく可愛いと思う。 婚姻したからには裳着 (もぎ・成人式)も盛大にせねばと準備を始め、実親である兵部卿宮にも知らせようと考えるのだった。 そのころ朧月夜は源氏を思い続けていた。 右大臣も朧月夜を源氏に嫁入りさせてもいいと考えるようになる。 弘徽殿女御は当然おもしろくないので、朧月夜を入内させようと話を進めた。 年が明けた。 左大臣邸に出向くと、夕霧がすくすくと育っている。 顔立ちはやはり春宮によく似ていた。

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源氏物語 葵の上の品詞分解です(>_<)

葵 品詞分解

葵~日たけゆきて、儀式もわざとならぬさまにて~ 【冒頭部】 日たけゆきて、儀式もわざとならぬさまにて・・・・・・ 【現代語訳】 日も高くなって、(外出の)作怯も大げさでないほどにして(葵の上は)お出かけになった。 (物見車が)隙聞もなく立ち並んでいるので、(葵の上一行は)美々しく幾台も引き続いたまま車の立て場に困っている。 (その辺には)身分のよい女房車が多くて、(その中で)身分の低い(車副いの)人たちがいない空地(があるの)を見定めておいて、あたりの車をみな立ちのけさせる中に、網代車の少し使いならしたもので、下簾の様子など何となく趣ありそうな車に、(乗り手は)ずっと奥にひっこんで、(簾の外には)ほんの少し袖口や裳の裾や汗衫など(出して)、それらの色がたいそうきれいで、わざと目立たぬようにしている様子のはっきり見える車が二台ある。 (その車の供人たちが)「これは、絶対に、そのように押しのけたりなどできるお車ではない。 」と、強く言い張って手もふれさせない。 どちら側においても、若い者どもが酔いすぎて立ち騒いでいる時の出来事は、とり静めることができない。 (葵の上側の)年長の前駆の人々は、「そんなにするな。 」などと言うが、制止することができない。 (その車は)斎宮のおん母の(六条の)御息所が、物思いに乱れてらっしゃる慰めにもしようかと、こっそりお出かけになったものだった。 (葵の上側は)何気ない風をしているが、自然に(御息所の車だと)見知ってしまった。 (葵の上側の供人は)「その程度の分際では、そんなことを言わせるな。 源氏の大将殿をご大家として頼みにお思い申しているのだろう。 」などと言う。 (葵の上の供人の中には)源氏の大将付きの人も交じっているので、(御息所を)気の毒とは思いながら、仲裁にはいるのもやっかいなので、知らぬふりをよそおっている。 【語 句】 日たけゆきて・・・日も高く上がって。 儀式・・・外出の作法。 わざとならぬさまにて・・・大げさなわざとらしくない様子で。 よそほしう引き続きて・・・美々しく幾台も車が引き続いたので。 よき女房車多くて・・・身分のよい女車が多くて、その中でも。 雑々の人・・・身分のいやしい者。 隙・・・すきま。 思ひ定めて・・・そこと思いきめて。 網代の・・・網代車で。 牛車の一種。 なれたるが・・・使い慣れている車で。 下簾・・・牛車の前後の簾の内側にかけて長く外へたらした絹布。 垂れぎぬのこと。 よしばめるに・・・趣ありそうな車に。 いたう引き入りて・・・ひどく奥のほうにひっこんでいて。 裳・・・婦人が正装のとき、袴の上に、腰から下の後方にだけつけたもの。 ひだが深く、いろいろの刺繍がしてあった。 汗衫・・・童女の上着。 きよらにて・・・きれいで。 やつれたる・・・みすぼらしくなっている。 しるく・・・「著し」はっきりきわだっているさま。 これ・・・六条の御息所の車をさす。 口ごはくて・・・「口強し」負けずに言い争うさま。 えしたためあへず・・・取り締まることができない。 おとなおとなしき・・・大人びている。 御前・・・前駆。 先払い。 かくな・・・こんな乱暴はするな。 慰めにもや・・・下に「せむ」を省略・ つれなしづくれど・・・そ知らぬ顔をしているが。 さばかりにては・・・それぐらいの身分であっては。 さな言はせそ・・・そんな文句を言わせるな。 豪家・・・豪族の家。 その御方の人・・・源氏の君の家来・ 用意・・・心をもちいること。 ここは仲裁しようと心を向ける意。 わづらはしければ・・・めんどうでいやなので。 知らず顔をつくる・・・知っているのにわざと知らぬふりをする。 葵~つひに御車ども立て続けつれば~ 【冒頭部】 つひに御車ども立て続けつれば、人だまひの奥に・・・・・・ 【現代語訳】 とうとう(葵の上がたの)お車を立て並べてしまったので、(御息所の車は葵の上の)供人の車のうしろに押しやられて何も見えない。 不愉快なのは当然なことで、こんな忍び姿をそれ(=御息所)と知られてしまったのが、非常にしゃくにさわることこの上ない。 榻などもみんな押し折られて、(轅を)つまらない(他の)車の心棒にかけたので、ひどくみっともなく、くやしくて、「何しに(こんな所へ)来てしまったのだろう」と思うが(今さら)しかたがない。 (御息所は)何も見ないで帰ろうとなさるが、通り抜ける隙間もないうちに、「行列がやって来た。 」と(人々が)言うので、(源氏の君が恨めしい)とはいうもののやはり、薄情な方(=源氏)のお通りを待たれるのも、女心の弱さであるよ。 (ここには)「笹の隈」さえもないからであろうか、(源氏が)何げないふうで通り過ぎてしまわれるにつけても、(なまじっかお姿を見たため)かえって物思いを深めなさるのであった。 ほんとに(今日は)いつもより趣向をこらした数々の車で、(女房が)われもわれもとこぼれるほど乗っている下簾のすき間すき間にも、(源氏は)さりげない様子ではあるが、微笑しては流し目でご覧になることもある。 葵の上の車ははっきりわかるので、(源氏は)まじめな顔つきをしてお通りになる。 (源氏の)お供の人たちも敬意を表し、心づかいしながら通るので、(御息所は葵の上に)圧倒された自分のありさまを、この上なく(くやしく)お思いになる。 (そこで御息所は) お姿を遠くから見るだけで、源氏の君の薄情さに、わが身の不幸のほどを、いっそう思い知らずにはいられない。 と、涙のこぼれるのを、(車中の)人が見るのもきまり悪いけれども、「目もまぶしいほどの(源氏の)お姿や容貌が、いちだんと美しく、人なかに出て見ばえがするのをもし見なかったとしたら、(やはり残念だったろう)」とお思いになる。 【語 句】 人だまひ・・・「人給ひ」で、従者に貸したまわる車。 物も見えず・・・行列も何も見えない。 心やましきをばさるものにて・・・心がむしゃくしゃするのは言うまでもないことであって。 やつれ・・・みすぼらしく変えた様子。 妬きこと・・・憎くしゃくにさわること。 榻・・・牛車から牛をはなしたとき、轅(車の前に長く差し出た二本の棒)の軛(轅のはしにあって牛のくびにかける横木)をささえたり、乗り降りの踏み台とするもの。 すずろなる車・・・何ということもないつまらない車。 筒・・・車輪の中心にある丸い木。 その中を車軸が通る。 またなう・・・またとないほど。 人わろく・・・「人悪し」は人から見下げられ、みっともなく思うさま。 ものも見で・・・「もの」はここでは御禊の行列をさす。 ことなりぬ・・・行列がやってきた。 定めの時刻がきて、事が始まった。 さすがに・・・そうはいうもののやはり。 つらき人・・・情のない人。 源氏をさす。 御前わたり・・・御息所の前を源氏がお通りになること。 笹のくまにだにあらねばにや・・・「笹の隈」でもないためだろうか、源氏の君は馬もとめずに。 つれなく・・・そ知らぬ顔をして。 ここは、源氏が何も気づかないで、の意。 なかなか・・・(見物にきて源氏の姿を見たために)かえって。 御心尽くしなり・・・お心をお痛めになるのである。 げに・・・ほんとにその通り。 なるほどその通り。 好み整へたる・・・趣向を整えた。 乗りこぼれたる・・・こぼれるほどたくさん乗っている。 さらぬ顔・・・何げない顔。 しるければ・・・はっきりそれだとわかるので。 まめだちて・・・まじめくさって。 うちかしこまり・・・おそれうやまって。 心ばへありつつ・・・気をつけながら・ おし消たれたる・・・威圧されてしまった。 こよなう・・・「こよなく」の音便。 程度のはなはだしい意で善悪ともに用いる。 かげをのみみたらし川の・・・御手洗川でお姿を見るだけの。 「影」は姿。 つれなきに・・・薄情なので。 身のうきほど・・・わが身のつらい程度。 はしたなけれど・・・ていさいが悪いが。 みっともないが。 目もあやなる・・・まばゆいほど美しい。 いとどしう・・・いよいよいっそう。 はなはだしく。 出でばえ・・・人の中に出て美しさが引き立つこと。 葵~大殿には、御物の怪いたう起こりて~ 【冒頭部】 大殿には、御物の怪いたう起こりて・・・・・・ 【現代語訳】 大臣家(の葵の上)におかれては、おん物の怪がひどく起こって、たいそうお悩みになる。 「(六条の)御息所のおん生霊と(御息所の)亡き父大臣のおん死霊だなどという者がある」と(御息所は)お聞きになるにつけて、いろいろお考えになってみると、「わが身ひとつのつらい嘆きをするよりほかに、人(=葵の上)を苦しめてやれなどと思う心もないけれども、物思いをすると(身から)抜け出すという魂は、そんなこともあろうか」と思い当たりなさることもある。 (御息所は)長い年月、すべてにつけて物思いの限りを尽くして過ごしてきたが、これほどまで心をくだかなかったのに、ちょっとした事件(=御禊の日の車争い)の折りに、あの人(=葵の上)が(自分を)見下げて、物の数でもない者として扱う様子だった、あの御禊の日ののちは、車争いの一件で思いのぼせてしまった心が、しずまりそうもなくお思いになるせいであろうか、ちょっとお眠りになる夢には、あの姫君(=葵の上)と思われる人がたいそうきれいにしている所に行って、あれこれと引っかきまわし、正気の時とは違って、猛々しく激しい向こう見ずの心が出てきて、(葵の上を)たたきつけるなど(の場合を)ご覧になることがたび重なった。 (御息所は)「ああ、つらいこと。 ほんとに(和歌にある通り)わたしの魂が身を抜け出して(葵の上の所へ)行ったのだろうか」と、正気でなくお思いになる折り折りもあるので、「それほどのことでなくてさえ、他人のためには、よいようなことは決して言い出さない世間なのだから、ましてこれは(私のしわざだと)言いこしらえるのにまったくよい機会だ」とお思いになるにつけて、たいそう評判になりそうだ。 「この世を去ったのちに、一途に恨みを残すのは世間にありがちなことである。 いくらそれでも、他人の身の上にそんなことがあっては、罪深く恐ろしいのに、現実に生きているわが身でありながら、そのような気味の悪いことを言いふらされるのは(自分の)運命のつたないことだ。 まったく、あの薄情な方(=源氏)には、どうかして心もかけ申すまい」と思い返しなさるが、「思うまいと思うのも、それがすでに物を思う」ことであるのだ。 【語 句】 御物の怪・・・たたりをする死霊や生霊。 年ごろ・・・数年来。 長年の間。 思ひ残すことなく・・・あらゆる悲しみをし尽くして。 はかなきこと・・・ちょっとしたこと。 ひとふしに・・・車争いの一件で。 おぼし浮かれにし心・・・のぼせ上がってしまった心。 ひきまさぐり・・・いじり回し。 こづき回し。 たけくいかき・・・「猛し」は強く激しいさま。 「いかし」は恐ろしく荒々しいさま。 ひたぶる心・・・いちずな心。 向こう見ずの心。 うちかなぐる・・・乱暴に打つ。 荒々しくふるまう。 現心・・・正気。 めざめている平常の心。 さならぬことだに・・・それほど大したことでなくてさえ。 よさま・・・「善様」で、よいよう、よいさま。 言ひなしつべきたより・・・言いふらすに違いない機会。 「たより」は好機、材料。 名だたし・・・名が立ちそうだ。 評判になりそうだ。 ひたすら・・・いちずに。 ゆゆしきに・・・忌まわしいのに。 そら恐ろしいのに。 さるうとましきこと・・・そんないとわしいこと。 そんないやなこと。 宿世・・・前世からの因縁。 つれなき人・・・冷淡な人。 いかで・・・何とかして。 葵~斎宮は、去年、内裏に入りたまふべかりしを~ 【冒頭部】 斎宮は、去年、内裏に入りたまふべかりしを・・・・・・ 【現代語訳】 斎宮は、去年、宮中(の初斎院)におはいりになるはずだったが、いろいろさしさわりがあって、この秋におはいりになる。 九月には、そのまますぐに(嵯峨の)野の宮にお移りになるはずなので、二度めの御禊の準備が(初斎院入りと)とり重ねてあるはずなのに、(御息所は)ただもう変にぼんやりして、つくねんと思いに沈んで伏しなやみなさるので、斎宮に仕えている人はたいへんな重大事として、ご祈? などいろいろしてさしあげる。 ひどい病状ではなく、どことなく気分がすぐれなくて、月日をお過ごしになる。 (源氏の)大将殿も、絶えずお見舞い申されるけれども、もっと大事な方がひどくわずらっておられるから、(源氏の)お心のひまもなく忙しそうである。 【語 句】 さはること・・・支障。 さしつかえ。 やがて・・・そのまますぐに。 いそぎ・・・準備。 ただ・・・全く。 ただもう。 あやしう・・・変に。 つくづくと・・・つくねんと物思いにふけって。 仕うまつる・・・してさしあげる。 そこはかとなく・・・どこということなく。 どことはっきりせず。 まさる方・・・もっと愛情のまさる人。 いたう・・・たいへん。 ひどく。 なげなり・・・なさそうだ。 葵~まださるべきほどにもあらず~ 【冒頭部】 まださるべきほどにもあらず、みな人も・・・・・・ 【現代語訳】 (葵の上は)まだお産の時期でもないと、(左大臣家の)どなたも気をゆるしていらっしゃる時に、急に産けづかれて、お苦しみになるので、(以前より)いっそう重々しいお祈りのすべてを尽くしておさせになるけれども、例のしつこいおん物の怪ひとつは(葵の上から)どうにも離れない。 尊い修験者たちも珍しいことだともてあましている。 とはいうもののやはり、ひどく祈り伏せられて、(物の怪が)苦しそうに泣きつらがって、「少し(祈? を)ゆるめて下さいよ。 大将(=源氏)に申しあげなければならないことがあります。 」とおっしゃる。 (女房たちは)「やはりそうだ。 何かわけがあるのだろう。 」といって、(葵の上に)近い御几帳のところに(源氏を)お入れ申した。 (葵の上は)全く最期の様子でいらっしゃるので、(源氏に)申しあげておきたいこともおありなのであろうか。 (両親の)左大臣も大宮も、少しお退きになった。 加持の僧たちが声を低くして法華経を読んでいるのは、非常に尊い。 (源氏が)御几帳のかたびらを引き上げて、ご覧になると、(葵の上は)とても美しい姿で、(おなかが)非常に高くふくらんで寝ていらっしゃる様子は、(夫でない)他人でさえ、拝見したら、(いたわしくて)きっと心が乱れるであろう。 まして(源氏が)惜しく悲しいとお思いなるのは道理である。 (葵の上は)白いお召し物に、色の調和も実にあざやかに、お髪のたいそう長くふさふさしているのを引き結んで(着物の横に)添えてあるのも、「こんなふうでこそ(かえって)、愛らしく優美なところも加わって美しいのだったと思われる。 」(源氏は葵の上の)お手をとって、「ああ悲しい。 私につらいめをお見せになりますね。 」と言って、(ほかに)何もおっしゃることができずにお泣きになると、(葵の上は)いつもはひどく心づかいされて気がひけるようなおん目つきなのに、(今は)たいそうだるそうに見上げて、(源氏を)じっと見つめ申されるうちに、涙がこぼれ出る様子を(源氏が)ご覧になっては、どうして愛情の浅いはずがあろうか。 (浅いわけがない。 ) 【語 句】 さるべきほど・・・そうなるはずの時期。 いとどしき・・・以前よりいっそう重大な。 例の・・・あの。 いつもの。 執念き・・・「執念し」は、執念深い意。 やむごとなき・・・尊い。 もて悩む・・・取り扱いに困る。 手にあまる。 調ぜられて・・・調伏されて。 仏力で降伏させられて。 ゆるべたまへや・・・ゆるめて下さいよ。 さればよ・・・思った通りであるよ。 あるやう・・・「有る様」で、事情、わけ。 むげに・・・全く。 ひどく。 声しづめて・・・声を低くして。 をかしげにて・・・美しい感じの容態で。 よそ人だに・・・夫以外の他人でさえ。 心みだれぬべし・・・かわいそうで、心も乱れてしまうだろう。 ことわりなり・・・道理である。 もっともである。 色あひ・・・色の調子。 色のぐあい。 こちたき・・・「こちたし」は数量の多いさま。 ここは髪の多い意。 らうたげに・・・愛らしくて。 なまめきたる方・・・上品で美しい面。 あでやかなところ。 をかしかりけれ・・・美しいのだった。 あないみじ・・・ああ、ひどく悲しい。 「いみじ」は「いみじく悲し」の意。 例は・・・いつもは。 ふだんは。 御まみ・・・おん目つき。 おん目もと。 たゆげに・・・だるそうに。 葵~あまりいたう泣きたまへば~ 【冒頭部】 あまりいたう泣きたまへば、心ぐるしき親たちの・・・・・・ 【現代語訳】 (葵の上が)あまりひどくお泣きになるので、「気の毒な親たちの事をお思いになり、またこのように自分(=源氏)をご覧になるにつけて、(死に別れるのを)残念にお思いなのだろうか」と(源氏は)お思いになって、「何事もこんなにまで思いつめなさるな。 いくら何でも、(病状は)悪くおなりになりますまい。 (たとえ)どのようになっても(夫婦は)必ず会う時があるそうだから、(私たちは)きっと対面することがあろう。 父大臣・母宮なども、(親子という)深い縁のある間柄は、生まれ変わっても(縁が)絶えないということだから、めぐり会う時がきっとあるだろうとお思いなさい。 」と、お慰めになると、(生霊が)「いいえ、違いますよ。 (私の)からだがとても苦しいので、(祈? を)しばらくおやめくださいと申しあげようと思って(お呼びしたのです)。 こうして(こちらに)やってこようとは少しも思わないのに、物思いする人の魂は、ほんとうにからだから抜け出るものでした。 」と、親しそうに言って、 嘆き悲しむあまり(からだから抜け出て) 空に迷っている私の魂を、着物の下前の端を結んで、もとにかえしてくださいよ。 とおっしゃる声や様子は葵の上ではなく、違っていらっしゃる。 (源氏は)「どうもおかしい」といろいろ考えてごらんになると、まったくあの(六条の)御息所なのであった。 驚きあきれて、(世間の)人がとやかく言うのを、身分の低い者たちが言い出すことだと聞きづらくお思いになってうち消しておられたが、(それが)現に目の前に見て、世間にはこんなことがあるのだったなあと、いやな気持ちになった。 「ああ、いやなこと」とお思いになって、「そうおっしゃるが、だれだか私にはわからない。 はっきりと(名を)おっしゃいなさい。 」とおっしゃると、まったくあの方(=御息所)そっくりのご様子のために、あきれたなど(の表現で)は世間並みである。 侍女たちが近くへ来るにつけても、(源氏は)きまり悪くお思いになる。 【語 句】 いとかうなおぼし入れそ・・・全くこんなに思いつめなさるな。 さりとも・・・それにしても。 今はそんなふうに苦しんでいても。 けしうはおはせじ・・・容態は悪くはございますまい。 いかなりいとも・・・どのようなことがあっても。 たとえ死んでも。 深き契り・・・前世から決められている深い縁。 ここは親子の宿縁。 行きめぐりても・・・何度も生き変わっても。 いで、あらずや・・・いや、その事ではないよ。 苦しきを・・・苦しいので。 しばし休めたまへ・・・しばらくやめて下さい。 げに・・・いかにも。 なるほど。 嘆きわび・・・嘆きかねて。 あさましう・・・あきれるほどひどく。 よからぬ者ども・・・つまらぬ者たち。 身分のいやしい人たち。 のたまひ消つ・・・否定なさる。 目にみすみす・・・目のあたりに見て。 うとましうなりぬ・・・御息所がいやになってしまった。 あな心憂・・・ああいとわしい。 ああいやだ。 世の常なり・・・世間並みの言葉である。 葵~すこし御声も静まりたまへれば~ 【冒頭部】 すこし御声も静まりたまへれば、ひまおはするにや・・・・・・ 【現代語訳】 少し(生霊のついた葵の上の)お声も静まったので、(病気の)絶え間がおありになるのだろうかと思って、母宮が薬湯を持って(葵の上のそばに)お寄りになったので、(葵の上は女房たちに)抱き起こされなさって、、まもなく(おん子が)お生まれになった。 (みんな)うれしいとお思いになることこの上もないが、よりましに追い立ててお移しになっているおん物の怪どもが、(出産を)くやしがってさわぐ様子はたいそうやかましくて、後産のことがまたひどく気がかりである。 言い尽くせない(いろいろの)願をお立てになられるせいであろうか、無事に後産も終わったので、比叡山の天台座主や、(その他)あれこれ貴い僧たちが、得意顔に汗をふきふきしては急ぎ退出した。 多くの人が気をもんだ幾日もの(心配の)あとに、少し、気がゆるんで、「(出産のすんだ)今はいくらなんでも(もうたいしたことはあるまい)」とお思いになる。 御修法などは、またさらにつけ加えて始めさせなさるが、さしあたって興味があり珍しい(赤ん坊の)お世話に(気をとられ)みんな心がゆるんでいた。 桐壺院をはじめ申しあげて、親王がたや公卿が残らず(贈った)産養いの珍しく結構なのを、(祝賀の)夜ごとに(人々が)見て大騒ぎする。 そのうえ、男の子でいらっしゃるので、その産養いの間の作法はにぎやかで立派である。 かの御息所は、このような(出産の)ご様子をお聞きになるにつけても(心は)おだやかでない。 「以前には(葵の上は)危険状態だという噂が聞こえたのに、安産でまあ(あったとは)」と(不愉快に)お思いになった。 不思議に、(魂が抜け出て)自分が自分とも思われないお気持ちを考え続けなさると、お召し物などもすっかり芥子の香にしみこんでしまっていた。 不思議さに、ご洗髪をなさり、お召し物を着かえなどなさって(ほんとうに魂が抜け出ていったものかどうか)ためしてごらんになるが、やはり同じように(芥子の香が)するので、自分自身でさえいやにお思いになるのに、まして世間の人が言ったり思ったりすることは(どんなだろう)などと、他人にお話しなさるはずのことではないので、自分ひとりで思い嘆いておられるうちに、(前より)いっそうお心の乱れもひどくなってゆく。 【語 句】 御湯・・・薬湯。 煎じ薬。 寄せたまへる・・・そばにお寄りになる。 ねたがり惑ふ・・・くやしがって騒ぐ。 後のこと・・・後産。 いふ限りなき・・・いくら言っても言いつくせない。 あらん限りの。 けにや・・・せいであろうか。 平らかに・・・無事に。 何くれ・・・何やかや。 あれこれ。 したり顔に・・・得意顔で。 御かしづき・・・(赤子の)お世話。 ご養教。 ゆるべり・・・気がゆるんでいた。 残るなき・・・残る人もない。 全部の人の。 いかめしきを・・・盛大なのを。 立派なのを。 見ののしる・・・見て大声で言い騒ぐ。 にぎははしく・・・「にぎははし」は、にぎやかだ。 「にぎはし」に同じ。 めでたし・・・立派だ。 すぐれている。 ただならず・・・心がおだやかでない。 かねては・・・以前は。 あやしう・・・不思議に。 御心変はり・・・お心が変わって乱れること。 ご狂乱。

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