ひとり ぼっ ちの 異 世界 攻略 な ろう。 異世界コミック作品まとめ

絶対に笑ってはいけない勇者一行|エレファント速報:SSまとめブログ

ひとり ぼっ ちの 異 世界 攻略 な ろう

38 ID:WwI9Uzsy0 勇者「三人とも無事か?」 僧侶「ええと、寝ぼけてるのか記憶があいまいで」 勇者「世界中の教会を破壊されて、俺たちの復活の力も失われただろ。 満身創痍で魔王城に乗り込んで、それで……」 王様「おお勇者よ。 世界中の教会を破壊されたとは情けない」 魔法使い「王様!?申し訳ございません、目が覚めたらどういう訳かここに転送されていて……」 王様「おお魔法使いよ。 事態を把握できていないとは情けない」 僧侶「王様、一体どういうことでしょう?復活の力は魔王の手によって失われたはずでは……」 王様「おお僧侶よ。 失われてしまうとは情けない」 戦士「……むーう。 さっきからなんでござるか」 王様「おお戦士よ。 11 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「なになに!?今の音なに!?」 僧侶「魔法使いさん!後ろ!!」 魔法使い「誰こいつら……痛っああああああ!!?」 魔法使い「お尻叩かれたわ!!敵!?」 勇者「全身黒い衣装。 兵士か?」 ガチャ…… 姫「いいえ。 彼らは兵士ではありません。 『罰』そのものです」 魔法使い「姫様!?一体これはどういう……」 姫「参加者は絶対に笑ってはいけません。 07 ID:WwI9Uzsy0 姫「さっそくですが、あちらのボックスにお入りください。 衣装に着替えていただきます」 戦士「衣装?お言葉ですが姫殿、冒険は遊びではござらぬ。 装備を貧弱なものに変える訳にはいかぬ」 魔法使い「私も事態を把握できていません。 魔王城に到達してからの記憶が曖昧です。 どうしてこの城下町に転送されたのでしょう?」 僧侶「もしも私たちが復活したというのであれば、それもおかしな話です。 33 ID:WwI9Uzsy0 勇者「ご乱心ですかwww」 魔法使い「笑っちゃだめよww」 勇者「こ、こいつらまた……痛っ!!!?」 魔法使い「キャッ!!!」 戦士「なんという手際の良さ。 尻を叩く動きに一瞬の無駄もなかった」 僧侶「フー……危ないところでした。 55 ID:WwI9Uzsy0 姫「みなさま、お着替えは済みましたかね。 それでは魔法使いさんから出て来て頂けますか」 ……ガチャ 魔法使い「なによ、このピンクのフリフリドレス!絵本の魔法少女じゃないんだから。 すっごい恥ずかしいんだけど」 姫「それでは、僧侶さん。 95 ID:WwI9Uzsy0 僧侶「イタタタ!!!これ痛すぎます!!!今すぐ回復魔法を!!」 魔法使い「待って!気持ちはわかるけど、この先何が起きるかわからないし、魔力は温存しといた方がいいわ」 僧侶「……そうですね。 一理あります」 魔法使い「事態が把握できるまで様子を見ましょう」 僧侶「わかりました、笑わないように気をつけます。 笑いさえしなければいいんですものね」 魔法使い「そういうこと」 姫「それでは戦士さん。 89 ID:WwI9Uzsy0 戦士「…………」 デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー 戦士「笑うでない!!」 魔法使い「まさかのバニースーツwww痛っ!!」 僧侶「屈強な肉体にピチピチに張り付いていますねwwwキャッ!!」 戦士「拙者はこれも羞恥に耐える鍛錬だと心得る!!己が精神を不動にさせてこそ戦士に足ると!!」 魔法使い「あんたが嫌々着てるのはわかってるから心配しないでよ。 42 ID:WwI9Uzsy0 姫「さて、それでは最後。 勇者様、お出になってください」 ……ガチャ 勇者「こんにちは」 デデーン 戦士 アウトー 戦士「全裸wwwwwwww……グハっ!!な、なかなかのダメージ……」 僧侶「神聖なお姿でお出でとは……」 魔法使い「勇者のバカ!!衣装を着忘れたの!?」 勇者「全部脱いで出てこいって指示が書かれてたんだ。 19 ID:WwI9Uzsy0 ガチャガチャ 勇者「あれ、おかしいな。 更衣室のドアが開かない」 姫「さて、着替えも終わったことですし、朝食に向かいましょう。 勇者様、心配はご無用です。 食堂は暖かいので風邪を引く心配はございませんよ」 勇者「それはよかった。 姫様、やっぱりお優しいんですね。 49 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「そうはいってもさぁ、このままだと勇者のこと、まともに直視もできないんだけど……」 戦士「うーむ、どうしたものか。 着替えは預けられてしまったようだ」 僧侶「あっ、妙案を思いつきました。 勇者様、これを」 勇者「ん?」 デデーン 戦士 僧侶 アウトー 戦士「お鍋の蓋で股間を隠すなwwwwぐおっ!!」 僧侶「でもこれですっぽり覆えますwwwwイタっ!!」 勇者「僧侶、やっぱり優しいな。 73 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「僧侶も楽しんでるんじゃないわよ!!」 僧侶「失礼ですね!!神に仕える者として、他人の辱めを嘲る真似はいたしません!」 魔法使い「どう見ても楽しんでるじゃない!」 僧侶「そういう魔法使いさんこそ、さっきから顔を覆った指の隙間から勇者様のことをチラチラみているんじゃないですか?」 魔法使い「は、はぁ!?何言ってんの!?バカじゃないの!?」 僧侶「バカ?それじゃあ、バカに回復魔法をかけられたくなかったら、やくそうでも使うといいですよ。 51 ID:WwI9Uzsy0 姫「さあ、着きましたよ。 こちらが食堂です」 デデーン 勇者 戦士 アウトー 勇者「男子トイレじゃねーかwww痛っ!!!」 戦士「姫様、ご冗談が過ぎますぞwwwwぐおっ!!」 魔法使い「なんて所に連れてきてるんですか!」 僧侶「不衛生極まりないですね……しかも生暖かい……」 姫「さぁ、みなさま。 15 ID:WwI9Uzsy0 戦士「何か事情があるのだろう。 仕方あるまい、それぞれ個室に入ってチェアに座り茶色の液状を食そう」 魔法使い「言い換えが絶望的に汚い」 僧侶「まぁ私も幼い頃は馬小屋で食事をしていたこともありますしね。 食事をいただけるだけでありがたいことです」 魔法使い「……しょうがないわね。 でも、個室のドア全部閉じてるわよね」 勇者「鍵はかかってないみたいだぞ」 ガチャ 王様「のわっ!!使用中じゃボケッ!!」 デデーン 勇者 アウトー 勇者「びっくりしたwww痛っ!!」 戦士「ノックもせずに入るからだ。 王も一般兵と同じ厠を使うのだな」 姫「いいえ。 02 ID:WwI9Uzsy0 姫「みなさま、席につきましたね?それではいただきましょう」 勇者「いただきまーす」 戦士「いただく」 僧侶「いただきます」 魔法使い「個室の仕切りでみんなの顔が見えない……」 戦士「早速ではあるが、状況を整理しておきたい。 39 ID:WwI9Uzsy0 姫「ごちそうさまでした。 さて、食後の運動も兼ねて屋上まであがりましょうか」 〜屋上〜 僧侶「うわぁ、いい天気ですね。 見晴らしもきれいです」 魔法使い「ここで食事をすればよかったのでは?」 王「それで、戦士殿が言いかけたこととは」 戦士「今後の魔王討伐にそなえて、状況を整理しておきたいのです。 魔王城に入った記憶はあるが、それ以降の出来事を忘却している。 どうしてもあれが夢の出来事とは思えん」 魔法使い「私も同じ。 62 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「どうしたの、勇者?」 勇者「…………そうだ。 ぼろぼろの身体で魔王城の上階にたどり着いたんだ。 そこには、四天王がいた」 王様「なんと!」 勇者「でも、魔王と対峙したのは俺ひとりだった」 魔法使い「私たちは、死んじゃったってこと?」 勇者「わからない。 ただ、あらゆる戦いにおいて、戦闘力に圧倒的な差があった。 34 ID:WwI9Uzsy0 勇者「それに魔王城までの道のりで道具や魔力が尽きたことも痛手だった。 17 ID:WwI9Uzsy0 戦士「勇者、さすがに無礼だぞ」 僧侶「無理なお願いですよ」 王様「そうじゃ。 いくら勇者殿といえど、国民の汗の結晶である100万Gをそのまま渡すことはできぬ」 姫「父上、そこをなんとかできないでしょうか。 13 ID:WwI9Uzsy0 王様「いやぁ、しかし、家臣や国民からの反発を招いて反旗を翻されかねん。 渡すにも皆が納得するような建前が必要じゃて」 僧侶「では、こういうのはどうでしょう。 国家からの要請として、100万Gのクエストを用意するのです。 私たちにしか達成できないような高難易度の内容にすれば、結果的に私たちが100万Gを受け取れることになります」 王様「そんな危険なクエストを請け負って大丈夫なのかね?」 戦士「俺たちも、この国の役に立ってお金が受け取れるなら気分がいいというもんです」 王様「……わかった。 家臣と協議し手配をしておこう。 後ほど、町の広場にある掲示板を見に行くと良い。 そこにクエストが記載される」 勇者「ありがたき幸せ。 必ずそのクエストをこなしてみせます。 94 ID:WwI9Uzsy0 〜広場〜 魔法使い「そろそろクエスト情報更新の時間ね」 僧侶「早速人だかりができていますね。 87 ID:WwI9Uzsy0 勇者「これで100万G手に入れれば魔王討伐の準備を整えられる!!あれ、でもその前に魔王を討伐する必要があるから……」 魔法使い「騙されてんじゃないわよ!!これならむしろもっと欲しいわ!!」 僧侶「他のクエストはどれも少額のものばかりですね。 資金調達はやはり難しいのでしょうか……」 町民「あんたたち、冒険者かい?」 僧侶「ええ、そうですけど」 町民「金にこまっているなら、隣町で行われる闘技場での大会に参加すればいい。 エントリー締め切りは今日までぎりぎり間に合うよ」 僧侶「それは決闘なのでしょうか?」 町民「毎年競技内容は当日まで明かされないんだよ。 2年前は綱引き、去年は演武の美しさを競い合う内容だった。 今年は芸を競い合うって噂だけど、詳しいことは知らねーな」 僧侶「なるほど。 気になりますね」 勇者「闘技場に行ってみるか。 おじさん、ありがとうな!」 町民「エントリー料も用意しとけよ。 46 ID:WwI9Uzsy0 勇者「ふぅー、なんとか締め切りに間に合った」 僧侶「エントリー料が思いのほか高かったですね。 人数を制限するためでしょうが、これで負けては元も子もないですね」 戦士「チーム戦と考えれば良い。 誰かひとりが勝てばいいのだ。 心配してもしょうがない」 魔法使い「そうね。 今日はもう遅いしご飯食べてさっさと寝ましょう。 10 ID:WwI9Uzsy0 〜大会当日〜 司会「さぁー!今年もやって参りました!!朧月夜の開闢トーナメント2020!!優勝は誰の手に!?」 デデーン 魔法使い アウトー 魔法使い「タイトル名が厨二くさいwwwwキャッ!」 司会「優勝者にはトロフィーと、賞金50万Gを授与します!!」 僧侶「魔王討伐の半額報酬が貰えますね」 勇者「トロフィーほしいなぁ」 司会「それでは、Aブロック第一回戦。 20 ID:WwI9Uzsy0 戦士「勇者、お互い戦い合うことになっても手加減は抜きだ。 94 ID:WwI9Uzsy0 僧侶「お題の意味がよくわからないのですが……」 魔法使い「『今のはメラゾーマではない、メラだ』」 魔法使い「勇者冒険譚の漫画が元ネタよ。 魔王が放った強大な炎が、メラゾーマという最上級呪文かと思ったら、実はメラという下級呪文だったっていうね。 メラにも関わらずメラゾーマに見えるほど、魔王が強力であることを描写したシーンのセリフよ」 僧侶「なるほどです。 娯楽系の知識にどうも疎くて」 魔法使い「どうなるかしらね。 34 ID:WwI9Uzsy0 司会「お〜お!勇者選手がボタンを押した!!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 勇者「今のはメラゾーマではない。 17 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「戦士のやつったら、今はライバルでしょう!」 僧侶「……なるほど。 戦士さんはこれをチーム戦と考えているのです。 勇者さんが回答した時に自分も笑うことで、会場を盛り上げる作戦のようですね」 魔法使い「あら、戦士も頭が回るじゃない。 そうね、私たちの誰かが優勝すればいいのよね。 05 ID:WwI9Uzsy0 司会「商人選手がボタンを押したー!どうぞ!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 商人「今のはメラゾーマではない。 私は巨乳が好きではない」 wwwww www wwwwww 魔法使い「会場が沸いてるわ!!」 僧侶「巧妙なジョークですね。 53 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「コラー!!戦士!!!笑ってる場合じゃないっての!!はやくあんたも回答しなさいよ!!!!」 戦士「はっ!!!い、いかぬ……俺としたことが」 ピンポン! 勇者「よし」 戦士「なぬ!?」 僧侶「勇者様が押しましたよ!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 勇者「今のはメラゾーマではない。 57 ID:WwI9Uzsy0 ピンポン! 宿屋「よし」 僧侶「違う回答者が押しましたわ!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 宿屋「今のはメラゾーマではない。 投げつけたフレイムだ」 wwwwww ww wwwww 魔法使い「魔物の名前を知ってる人は笑ってる印象ね。 敵もなかなかやるわ。 50 ID:WwI9Uzsy0 魔法使い「戦士!もうすぐタイムリミット来ちゃうよ!なんでもいいから答えて!!」 僧侶「そうです!!ここで会心の一撃を出しましょう!!」 戦士「そうはいっても、堅物の俺なんかでは……」 僧侶「自分ではいまいちだと思っていても、他者にとってはすごく価値があるということがあるのです!!」 魔法使い「見せてやりなさい!!あなたが脳筋だとしても、脳の筋肉まで鍛えてるんでしょうが!!」 戦士「……そうだ、俺は。 26 ID:WwI9Uzsy0 司会「回答をどうぞ!!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 戦士「今のはメラゾーマではない。 94 ID:WwI9Uzsy0 ピンポン 勇者「…………」 司会「ここで、勇者選手がボタンを押したー!!」 『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は? 勇者「今のはメラゾーマではない。 91 ID:WwI9Uzsy0 勇者「少し目を離した隙に見失ってしまった。 俺が試合中に戦士の回答をフォローする回答もしたのになぁ」 魔法使い「あれがとどめを刺したんでしょ」 僧侶「こればかりは回復魔法でも癒せませんね」 魔法使い「ほうっておいて大丈夫なのかしら」 勇者「戦士は俺が探してくるよ。 それより次、二人ともBブロック出場だろ。 行ってきてくれ」 魔法使い「あーあ、会場で滑ったら嫌だな〜」 僧侶「私こそ不安ですよ。 昔から厳戒な教会で育ってきたのですから」 勇者「ベストを尽くすしかないよ。 二人なら大丈夫。 それじゃあまた後で!!」 魔法使い「仕方ないわね。 私たちもがんばろっか」 僧侶「はい……。 25 ID:WwI9Uzsy0 司会「Bブロックの選手は、魔法使い、僧侶、バニー、踊り子の4名です!」 踊り子「よろしくー」 バニー「テンションあがるなぁ」 魔法使い「あれ、参加者全員が女性ね」 僧侶「わわ……人がこんなに……うぅ……」 魔法使い「大喜利どころじゃなさそうね」 司会「Bブロックのお題を発表します!!」 司会「『魔王との決戦前夜。 06 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「(あなたを、っていうのがミソよね。 つまり、勇者が女性に対して何かを言うシチュエーションってことね。 このロマンチックな背景で、アホなことでも言えば笑いにできそうだけど……)」 ピンポン! 踊り子「よーし」 魔法使い「(はやい!)」 司会「踊り子選手がボタンを押した!!どうぞ!!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して告げた一言とは?』 踊り子「いまさら道間違えたって、みんなにどう伝えればいいと思う?」 www ww wwww 魔法使い「(ウケてる。 やはりコツコツヒットを打つしかないのかしら)」 僧侶「…………」 魔法使い「(僧侶ったら緊張のあまりか目を閉じてるわ。 どうしたものか……ん?)」 魔法使い「(審査員席、女性も何人か混じってる。 91 ID:3fHmNG6P0 ピンポン! バニー「できた〜」 司会「バニー選手!回答をどうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して告げた一言とは?』 バニー「魔王の正体がうちの親父らしいんだけど、どう驚けば喜んでくれるかなぁ?」 www www www 魔法使い「(ややウケね。 91 ID:3fHmNG6P0 司会「魔法使い選手!!回答をどうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 魔法使い「魔王が今日まで生きててよかった。 68 ID:3fHmNG6P0 僧侶「…………」 魔法使い「(僧侶!?緊張のあまり手が滑ったの!?)」 司会「おおっと、僧侶選手がボタンを押した!!どうぞ!!」 魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは? 僧侶「ああ〜〜wwなんか決戦前の男って生き物は、ムラムラするんだなぁこれがwwwwwちらwwwww」 wwwwwwww wwwww wwwwwww デデーン 僧侶 アウトー 僧侶「ちらちらwwwwイタっ!!!」 魔法使い「(えっ、最低……)」 魔法使い「(というか女性審査員も爆笑してる。 企画者の意図とか関係ないのね。 66 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「(でも、僧侶のやつ、相当無理して言ったはず。 元が戒律の厳しい教会育ち。 一票取るために心を削って言ったに過ぎないわきっと。 普段あんなこと言う子じゃないもの)」 ピンポン 司会「魔法使い選手、ボタンを押した!!」 魔法使い「(私が試合で勝つから、あなたは無理しなくていいのよ)」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 魔法使い「魔王のセリフを少し借りるよ。 俺の世界を君に半分あげる。 02 ID:3fHmNG6P0 司会「僧侶選手、回答どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 僧侶「魔王のセリフを少し借りるよ。 僕の遺伝子を半分君にあげる。 だから君の遺伝子も半分、僕とシェアしないかい?」ニタァ…… wwwwwwwww wwwww wwwwwwww 魔法使い「(ひどい。 聴衆の民度が低過ぎる。 08 ID:3fHmNG6P0 司会「魔法使い選手、どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 魔法使い「この戦いが終わったら結婚する。 そんなフラグより誓いを立てたい。 恥ずかしかったー。 02 ID:3fHmNG6P0 司会「僧侶選手、回答をどうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 13 ID:3fHmNG6P0 ピンポン! 司会「魔法使い選手、どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 魔法使い「この冒険を通して覚えた呪文がある。 だめだ。 完全に会場が下ネタの余韻を引きずってる)」 ピンポン! 司会「僧侶選手、どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 16 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「(飲まれる……私のロマンチックが飲まれる……)」 ピンポン! 司会「僧侶選手2連続!どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 僧侶「もう絶対全滅するって確信した瞬間おっぱい揉む!!!絶対揉む!!俺は勇者様だぞ!!」 wwwwwwwww wwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwww ピンポン! 司会「僧侶選手3連続!どうぞ!」 『魔王との決戦前夜。 勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』 僧侶「明日の全滅に備えて懺悔しておきたい。 今まで寝顔見ながら白魔法を放っていました。 ごめん。 本当ごめん。 67 ID:3fHmNG6P0 勇者「わりぃ、戦士をずっと探してた」 僧侶「見つかりましたか?」 勇者「打倒勇者って言いながら、木の前でブンブン剣を振り回してたよ。 身の危険を感じて逃げてきた」 僧侶「元気そうでよかったです」 勇者「結果はどうだった?」 僧侶「私が勝ちました」 勇者「おお、よかった!!ところで、魔法使いはどこに?」 僧侶「魔法使いさんは、人間界を浄化するってつぶやきながら魔王城の方角に歩いて行かれました」 勇者「なんでみんな人間の敵になるんだよ。 勇者一行の半分が魔王の味方になってるよ」 僧侶「人混みの中を歩いて行ったのですぐ見失ってしまって。 心配なのでちょっと探してきます。 あっ、でも次の試合は勇者様の出番……」 勇者「俺のことは心配すんなって。 魔法使いのこと頼んだぞ。 決勝で会おうな」 僧侶「かしこまりました。 ご笑運お祈りしています」 勇者「なんだそりゃ。 54 ID:3fHmNG6P0 僧侶「やっぱりここにいました」 魔法使い「……ぐす……なによ……」 僧侶「落ち込んだ時はいつも本屋に行かれますものね。 それも、難解な呪術書を読みに。 私だったらやさしい絵本でも読みたくなるところですが」 魔法使い「勝者が敗者を慰めにきたってわけ。 放っておいてよ。 01 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「笑いに来たんでしょ」 僧侶「お尻を叩かれなかったとしても、笑いませんよ。 心配だから来たのです。 ちなみに今はどんなタイトルの本を……」 【縊殺呪文】 僧侶「あっ、用ができたので故郷に帰ります。 さようなら」 魔法使い「待ちなさいって。 次の試合もあるんでしょ」 僧侶「漢字は読めないけど生命の危機くらいは読み取れます……」 魔法使い「残虐系の呪文はあまり覚えてないの。 痛みを与える工程が無駄だし、魔力も余計に消費するからね。 77 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「悔しいって思った時さ、新しい自分にならなくちゃって思うんだ」 魔法使い「こんな自分じゃダメだって。 自分に厳しくしようと、普段なら読みたくない難解な書物に取り組むの。 でも、いざ取り組みはじめたら、大して時間も経たないうちに退屈になってきちゃって中断しちゃう」 魔法使い「私の悔しさなんてこの程度なんだなって自分を客観的に見れて、そこで感情が収まるの。 なんでも器用にこなすあなたにはわからないでしょーけど」 僧侶「…………」 魔法使い「さ、いきましょ。 不貞腐れてわるかったわ。 70 ID:3fHmNG6P0 僧侶「確かに、幼い頃から特別な教育を受けることもなく、教会にある書物を読んで私は呪文を自然に体得していきました。 とりわけ回復魔法に関しては、周囲の大人を上回るくらいに」 僧侶「賢者であったと聞く両親の血を確実に継いでいると自覚していました。 教会の特別選抜に選ばれ、支援を受けて王国のアカデミーに入ることもできました。 でも、その後に挫折したんです」 僧侶「人間関係で色々と揉めて、つらい日々が続きました。 最初はトップだった成績もみるみる下がってしまいました。 結局私は、教会にも無断でこっそりアカデミーから逃げ出してしまったんです」 魔法使い「……早く実践に出たくて抜け出したとばかりに」 僧侶「劣等感と中途半端なプライドを引きずって一人で旅して、瀕死になっていた私を、救ってくれたのがあなたたち3人でした」 僧侶「それぞれ実力がありながら、私の力を頼ってくれたこと、本当に嬉しかったんですよ。 49 ID:3fHmNG6P0 僧侶「さて、勇者様の応援に行きましょう。 それと、せっかく買うならこっちの本にしましょうよ」 魔法使い「ちょ、ちょっと!!恋愛の心理学なんて今は関係ないでしょ!!呪文の要素のない学問なんて怪しいものだわ!!」 僧侶「あらそうですか。 54 ID:3fHmNG6P0 戦士「今人気絶頂の『笑わせ師』が出場していた。 03 ID:3fHmNG6P0 ざわざわ… 司会「決勝戦についてですが、もうしばらくお待ちください……」 ざわざわ… 戦士「いつまで待たせる気だ。 すぐに開催すればいいではないか」 魔法使い「段取りが狂った影響かしら。 93 ID:3fHmNG6P0 司会「……大変お待たせいたしました。 決勝戦は僧侶選手と笑わせ師の一騎打ちの予定でした。 32 ID:3fHmNG6P0 僧侶「怖かった……」 戦士「何も僧侶にブーイングを浴びせることはなかろう。 悪いのは勝負を棄権した奴だ」 魔法使い「ねえ勇者、笑わせ師と戦ったんでしょ?どういう奴だったの?」 勇者「……リズムネタで回答していた。 回答の内容に関わらず、ずっと爆笑の嵐だった。 俺もそこそこうまいことを言ったつもりだけど、勝てなかった」 魔法使い「なるほど。 ブームのリズムネタほどウケるものはないからね。 会場にいる小さな子まで巻き込めるのが強いわ」 戦士「なんだか、ずるい気もするな。 言葉でつくる笑いこそ王道の笑いではないのか」 僧侶「私は娯楽には疎いですが、リズムネタは好きですよ。 34 ID:3fHmNG6P0 戦士「何はともあれ、僧侶が優勝してよかった。 賞金50万Gだ!」 勇者「トロフィーも金ピカでかっこいいな。 決闘状態では、武術と魔術による攻撃、及びアイテムによる回復が不可能になります。 笑った場合は、非常に重い罰がくだると言われています」 魔法使い「笑いのみで敵と戦いたい場合に使用するのね」 勇者「……自分の実力を上回る敵に使えるな。 84 ID:3fHmNG6P0 姫「みなさまが大会に出場したと聞いて、駆けつけた甲斐がありました」 勇者「このためにわざわざ?」 姫「他にも朗報があります。 学園都市のアカデミーの推薦状を1パーティー分入手したのです。 とても貴重なものなので、従者を連れて私が直々に渡しに来ました。 47 ID:3fHmNG6P0 僧侶「学園都市のアカデミーの推薦状、本当に私達がいただいてもいいのですか?」 姫「ええ。 短期コースですが、クラスに入学できます」 魔法使い「姫様には申し訳ないけど、私も地方のアカデミーには通ってたわ。 今更また通うことに意味があるのかどうか……」 戦士「拙者は通ったことはないが、授業をのんびり受けている余裕はないと思うぞ」 僧侶「学園都市のアカデミーは特別ですよ。 全国からトップクラスの能力や知識を持つ生徒しか入学できません。 あるいは、資産家か、由緒ある家系か、王国や教会からの推薦状でもない限り。 15 ID:3fHmNG6P0 僧侶「アカデミーに通わなくとも、形式だけでも生徒になる価値はあります。 学区内のお店で装備を整えることができるので。 32 ID:3fHmNG6P0 〜数日後〜 勇者「魔法使い、ちゃんと姫様からもらった推薦状持ってるか?」 魔法使い「持ってるわよ。 あんたが失くすのが不安だからって私に預けたんじゃない」 戦士「景色がすっかり変わってきたな。 ここが学園都市か?」 僧侶「まだ郊外ですね」 魔法使い「僧侶、よかったの?違うアカデミーとはいえ、行くことに対して抵抗とか……」 僧侶「もう過去のことですから。 それに、皆さんと一緒に学生時代を過ごしていたら楽しかっただろうなって、時々想像するんです。 その夢が叶いそうなのが嬉しくって」 勇者「僧侶は純粋だな」 僧侶「えへへ、それほどでも」 魔法使い「(……えげつない下ネタを連発した子と同一人物には思えない。 66 ID:3fHmNG6P0 戦士「地面が気色の悪い色になってきたな」 僧侶「ここらの道路は舗装されているんです。 馬車の代わりに、動力による乗り物も通っているんですよ。 資材を運ぶのに重宝されていて」 魔法使い「なにそれ?」 僧侶「『トラック』って言うんです。 13 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「勇者!!どこ!?どこなの!!?どこにいったのよ!!!」 戦士「魔法使い、落ち着け!!錯乱していては解決できる問題も解決できんぞ!!」 魔法使い「だ、だって私のせいで!!私を救うために、あのでかい乗り物に吹き飛ばされて……」 僧侶「……おかしいです。 勇者様の姿が見えないこともそうですが。 61 ID:3fHmNG6P0 戦士「駄目だ。 いくら探しても肉片の一つも見つからない」 僧侶「見つからなくていいんですよ」 魔法使い「……徹夜で探そうよ。 見つかるまでずっと……」 戦士「しかし、現場は散々見たぞ」 僧侶「手がかりが全くない今、勇者様を探そうとする行動は無意味です。 20 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「ふざけないで!!そんなの納得できるわけないでしょ!!私はここで勇者を探し続けるわ!!」 戦士「いや、僧侶の言う通りだ。 それに、この学園都市に何か秘密があるのなら、学区内で活動しているうちに勇者が消えた手がかりが見つかるかもしれない」 魔法使い「推薦状は私が預かってる!どうしてもアカデミーに行くというなら、私を置いてあなたたちだけで入学してちょうだい!!」 僧侶「嫌です。 3人で行きます」 魔法使い「だったら招待状を力づくで奪うことね!!私も手加減しないから!!」 僧侶「……戦士さん、ちょっと来てください。 06 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「……あいつら何やってるのかしら」 魔法使い「放っておけばいいわ。 69 ID:3fHmNG6P0 僧侶「うう、冷えてきましたね。 79 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「最後のツッコミはないわ……痛っ!!!!」 僧侶「戦士、今よ!!」 シュパ! 戦士「推薦状は預かった。 86 ID:3fHmNG6P0 〜アカデミー〜 僧侶「戦士さん、おはようございます」 戦士「おお、僧侶。 俺らは隣の席みたいだぞ」 僧侶「それはよかったです。 あっ、魔法使いさん。 おはようございます」 魔法使い「……おはよ」 僧侶「おはようございます。 みなさんとクラスメートになる夢が叶いそうです」 魔法使い「……叶いそう?」 僧侶「勇者さんが揃ったら叶います。 06 ID:3fHmNG6P0 「あー!!もう!!最悪!!」 生徒A「げっ、アクアのやつ、朝から不機嫌だぜ!」 生徒B「何があったかは知らんが、巻き込まれないようにしとこうぜ」 アクア「……あんたたち、何か言った?」 生徒A・B「い、いえ!!何も!!」 アクア「私に喧嘩売るつもりなら、いつでも買ってあげ……」 コツ コツ 先生「どうされましたか。 ミス・アクア・デ・ルシャルイローズ・シャンメリゼ」 アクア「……何でもないわ」 先生「そうですか。 11 ID:3fHmNG6P0 戦士「あの女子生徒、なんだか異彩を放っているな」 僧侶「なんでしょう……表現するなら……」 魔法使い「澄み渡るようなブルーに染まった髪。 西洋のお人形さんの様な顔立ちで、唇はほんのりとした桃色。 04 ID:3fHmNG6P0 先生「みなさん、はじめまして。 私がこのクラスの担任です。 よろしくお願いします」 生徒A「先生!!毎日顔をあわせてんだから知ってるよ!!」 先生「長期コースのみなさんはいつも顔をあわせていますが、短期コースの生徒さんが新しくお仲間になります。 短い期間の参加とはなりますが、既に働かれている社会人の方もいらっしゃるので、ぜひ交流を深めてくださいね」 戦士「俺たちのことだな」 僧侶「し、しばらくよろしくお願いします……」 魔法使い「ふんっ」 生徒A「へー、あの二人の女、ツラは極上じゃん」 生徒B「短期コースだし能力はしれてるな。 どうせコネだよ。 91 ID:3fHmNG6P0 先生「さて、もうひとりご紹介です、本日から長期コースのお仲間になる、転校生の方がいらっしゃいます」 ガヤガヤ…… 生徒A「こんな時期に長期コースに編入なんて珍しいよな」 生徒B「噂で聞いたんだけど、入学前テストでレベル1だったって噂だぜ」 生徒C「はぁ!?レベル1!?こりゃあ、初日で逃げ出すな」 生徒A「ギルドにも入ってたけど、すぐ追い出されたらしいぞ」 生徒B「落ちこぼれ決定だな。 52 ID:3fHmNG6P0 「はじめまして。 49 ID:3fHmNG6P0 先生「1時間目はガイダンスですが、2時間目からは魔法訓練を行います。 みなさん、新入生にわからないことがあったらお手伝いを……」 生徒A「しつもんしつもーん!勇者くんのスキルって何なんですかー?」 先生「えーと……」 勇者「スキルは『地面に落ちているゴミが気になる』です。 66 ID:3fHmNG6P0 僧侶「まさかの勇者様との再会ですね。 ただ、私達のことをまったく気にかけてくれませんが」 戦士「瓜二つの別人じゃないか?」 魔法使い「……そんなことないよ。 戦士があげたミサンガも、私があげた道具袋も持ってる。 間違いないよ」 僧侶「事故のショックで記憶を失っているのかもしれません。 無意識のルーティンで物を身に着けることもありますし」 戦士「しばらく様子を見たほうがよさそうだ」 僧侶「そうですね。 47 ID:3fHmNG6P0 〜2時間目 魔法訓練〜 魔法使い「ガイダンス後はいきなり魔法訓練なんて、なかなか厳しいアカデミーね」 僧侶「新学期が始まる前に、基本的な座学は自習していることが前提となっているんです。 49 ID:3fHmNG6P0 戦士「仲がよさそうだ。 俺たちがいなくても成立するような寂しさを感じる」 僧侶「なんだかあの子、魔法使いさんに似てますね……ってあれ、魔法使いさんは?」 戦士「向かって行ったようだぞ」 僧侶「様子を見ましょうと行ったのに……」 魔法使い「ちょっと、馬鹿勇者!!今まで何やってたのよ!!」 勇者「ぼ、僕?」 魔法使い「本当に心配したんだから……さっきから私たちのこと無視するし。 何かあったなら、ちゃんと言ってよ!!」 アクア「どういうこと?あんた他の女の子にもちょっかい出してるわけ!?」 勇者「誤解だよ!!」 魔法使い「何が誤解なのよ!!」 勇者「君たちのこと、知らないよ!!!」 魔法使い「…………そう。 74 ID:3fHmNG6P0 先生「はい、それじゃあ次の生徒。 魔法使いさん、こちらに来てください」 魔法使い「……はい」 先生「あの人形に向かって、得意な攻撃呪文をぶつけてください。 00 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「どういうことよ……私たちのこと、忘れちゃったっていうの?」 魔法使い「……なんでそんなことになったのよ。 なんでこんな目に遭うのよ!!」 ゴゴゴゴゴゴゴ!!!! 魔法使い「『爆炎弾!!!!!』」 先生「……ほぉ」 生徒A「すげぇ!!人形が遥かまで吹き飛んだぞ!!」 生徒B「なんて威力だ!!もしかして、レベル5の実力があるんじゃないか?」 先生「それでは次の生徒。 12 ID:3fHmNG6P0 アクア「ふん、こんなもんよ」 生徒A「おわ〜すげー!!!」 生徒B「相変わらず恐ろしい水流だな!!さすが学園都市最強のレベル5!!」 先生「今年は面白い生徒が多そうですね……。 では、次。 47 ID:3fHmNG6P0 先生「どうされましたか?」 勇者「いや、地面に何かゴミが埋まってて。 つまづいたら危ないので取ってもいいですか?」 生徒A「あいつ、洗練された一角獣の伝説を知らないのか?」 生徒B「学園創立以来、訓練場の地中に埋まっているという謎の武器。 16 ID:3fHmNG6P0 「う、うそだろ!?」 「あれが洗練された一角獣!!手のひらに収まるくらいのサイズだ!!」 「シルバーの輝きだな。 しかも四角い形」 先生「これは……勇者さん。 その武器を使って、あの的を攻撃してみてください」 勇者「攻撃つったって、一体どうしたら」 『起動してください』 勇者「だれだ、今の声」 『私の名はヒップ。 側面についているボタンを長押ししてください』 勇者「ええと、これか。 20 ID:3fHmNG6P0 生徒A「今年の新人はやばいぞ!!」 生徒B「俺たちとは桁違いだ!!」 先生「次は戦士さん。 94 ID:3fHmNG6P0 〜昼休み〜 魔法使い「勇者に何が起きたかわかったわ」 僧侶「一体何が?」 魔法使い「あいつは今、ナロウ系主人公になっているの」 僧侶「?????」 魔法使い「narrow(ナロウ)って異国語知ってる?」 僧侶「ええと、狭い、という意味だったかと」 戦士「ナロウ系主人公とはなんなのだ?」 魔法使い「私は冒険譚とかよく読んでたからわかるんだけど。 ファンタジー世界に転生した無双系主人公をそう呼ぶの。 趣味を同じくする者同士の距離感を縮めることから、ナロウって言葉で表現しているんだけど」 僧侶「なるほど。 勇者さんはどういうわけか記憶を失い、ナロウ系主人公としてこの世界に再登場しているわけですね。 ところで、そういう冒険譚は面白いのでしょうか」 魔法使い「私も昔はよく読んでたわ。 57 ID:3fHmNG6P0 僧侶「まぁまぁ、本題に戻りましょ。 勇者様の記憶はどうすれば戻せるのでしょうか?」 魔法使い「そんなの簡単よ。 33 ID:3fHmNG6P0 〜入学1週間後〜 勇者「おいおい、ドラゴったら。 先日は一夜を共にしていただきありがとうございました。 古代に失われたはずの伝説のスキル『地表看破』により罠を全て見破った姿、とてもかっこよかったです。 55 ID:3fHmNG6P0 僧侶「数日様子を見ている間に勇者様がドラゴンみたいな魔物に懐かれています。 髪の毛も銀髪になっていますし、ヒロインらしき人物も一気に増えています」 戦士「くそ、勇者の奴。 常に女に囲まれているか、トラブルとの遭遇続きで話しかける隙さえない。 登場人物も増えすぎて覚えきれん……。 女子に囲まれても全然うれしくなさそうなのは格好つけてるだけなのか?」 魔法使い「それが主人公属性なのよ」 僧侶「地表看破だなんて初めて聞きましたけど。 02 ID:3fHmNG6P0 勇者「目立ちたくないのに余計なことしちまった。 これから異界の十字架(エルシュアレンス・サウザンドクロス)を手に入れて聖騎士の魔窟(ホーリートワイライト・カーズ)を攻略した後、腐海の大時計(クロノ・デュ・マザー)を巨神の大振り(ギガンティック・ウォー・オブ・ウォー)しないといけないってのに……」 デデーン 僧侶 アウトー 僧侶「ダメです、一語も解読できませんwwwキャッ!」 戦士「魔王討伐より凄そうなのは気のせいか?」 魔法使い「ナロウ系主人公としての適正が高すぎる……。 76 ID:3fHmNG6P0 〜昼休み〜 魔法使い「あのさ、勇者……くん」 勇者「ええと、魔法使いさんだっけ?」 魔法使い「うん。 珍しく一人だね」 勇者「そうだね。 57 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「記憶を失ってるって、本当?」 勇者「そうなんだよね。 幼い頃の記憶とか、冒険してた記憶とかあるんだけどさ」 魔法使い「…………」 勇者「何のために頑張っていたのか。 誰と一緒に頑張っていたのか。 肝心なピースが欠けている気がしてさ。 剣術も魔術も、今の俺は何も使えないんだけど、体にその痕跡は残っているような」 魔法使い「……そうなんだ」 勇者「君は僕のことを何か知っているのか?」 魔法使い「どうかな……。 64 ID:3fHmNG6P0 魔法使い「いつも1番前で歩く人はさ。 罠を警戒して地面を見る癖が刷り込まれているから、猫背になりがちになっちゃうよね。 それを知らない2番目に歩いている人は、シャキっと歩きなさいよなんて偉そうに注意するんだ。 なのに笑顔で、気をつけるなんて返事されてさ」 勇者「それは君のお仲間の話かな。 戦士くんとか?」 魔法使い「さあ、どうだろ」 勇者「僕は僕のことをちっともわからないよ」 魔法使い「それは、記憶のある私だってそうだよ。 自分自身のことなんてちっともわからない」 魔法使い「でもさ。 誰かを想うとき、その人が自分にとってどんな存在かは、はっきりとわかるんだ。 その人が記憶を失ったとしても、私にとってのその人は変わらないんだ」 勇者「……魔法使いさん?」 魔法使い「あれだけきれいな女の子たちに囲まれて。 87 ID:3fHmNG6P0 僧侶「余計なことは考えず、勇者さんの目を覚ましましょう!!魔王討伐の旅を再開させましょう!!」 魔法使い「でも、勇者って入学してから一度も笑ってないのよ。 普通の人なら喜ぶようなことがあっても、ヤレヤレ、って肩をすくめるだけだし」 僧侶「勇者さんのツボに特化した、絶対に笑うジョークを数日かけて開発しました。 これさえ仕掛ければ確実に笑います」 魔法使い「本当に?」 僧侶「王様の前で復活した後、勇者さんが笑った時を思い返したんです。 トイレの大に関係するネタに弱いようでした」 僧侶「明日、食材調合の授業があります。 48 ID:3fHmNG6P0 僧侶「魔法使いさん、ジョークというものが通じないんですから。 私の発想が天才過ぎるのでしょうか」 僧侶「それにしても戦士さんは一体どこに……」 シュバ! シュバ! 僧侶「おや、先ほどの訓練場から空を切るような音が聞こえます」 シュバ! シュバ! 僧侶「戦士さんの姿が見えます!素振りをしている様子ですね。 もう昼休みも終わってしまいますし、教室でゆっくりするとしましょう」 眼鏡っ娘「…………」 ペラ… 僧侶「(読書してますね。 この人は大人しいんですよね)」 僧侶「あの」 眼鏡っ娘「は、はい!」ビクッ! 僧侶「いつも凄いですよね。 授業中、誰も答えられないような地学や植物学の問題に回答されていて。 文芸や歴史にも詳しいみたいですし」 眼鏡っ娘「はわわ……え、えっと。 たまたま本で読んだ知識が出ることが多くて……」 僧侶「昔からずっと学術のエリートだったんですか?」 眼鏡っ娘「エリートだなんてとんでもない!!昔の話ですけど、初等部のお受験で失敗したこともあります。 武芸が特に全然だめで……。 ただ、両親が学者だったので、勉強を続けることでなんとか綱渡りしてきた感じで……」 僧侶「学問に強いだけで羨ましいですよ。 私はそっちの知識はけっこう穴があって」 眼鏡っ娘「いえいえ、ただのガリ勉です」 僧侶「そんな謙遜なさらずに。 実は、私も同じ本を持っているんです。 今日中に記憶を呼び覚ませられないと、短期コースの私たちはそのまま卒業で離れ離れです」 戦士「しかし勇者の取り巻きが多すぎて、笑わせる隙なぞなかったぞ。 上級生に8人、下級生に14人も勇者の追っかけが増えた。 えーと名前はリリィにキュレンヌ、艶波音葉、マリアンヌ、風白麗香、ジョン、シュクランゼルにサマーセットに……もう覚えきれんわ!!!」 僧侶「このまま勇者様が戻らなかったらどうしましょう」 魔法使い「その時は、私たちだけで魔王討伐に行きましょう」 僧侶「無理ですよ!!相手は四天王に魔王、強敵が5体もいるんですよ!」 魔法使い「笑いの決闘なら勝てるかもしれないわ。 人数が不安なら他に仲間でも加えればいいじゃない。 それも無理なら故郷に帰りましょう」 僧侶「思ってもないことを口にしないでください!!」 戦士「喧嘩はやめだ。 そこで、特別に校外訓練を行います」 先生「『迷いの森』にて、月のキノコを採ってきてください。 昼間に生えているものは珍しいですから、一本でも見つけたら成績に大幅に加点しますよ」 先生「チーム編成は1チーム4人までとします。 ルール違反者はその場で退学としますからね。 回復は私にお任せを」 眼鏡っ娘「わ、わたしもいきます!魔法植物の知識があるので、探索に力を貸せるかと……」 アクア「え、えっと私は……別にあんたと行きたいってわけじゃないけどさ。 ほ、他の二人の女の子にあんたが変なことしないか監視するからついてく!!」 勇者「それはよかった。 みんな、やっぱりお優しいんだね。 成立している雰囲気を出しているぞ。 アクアだのドラゴだの、よくわからん名前の世界観が定着してきているぞ」 魔法使い「いいわよ。 私達3人で行きましょう」 僧侶「こっそり後をつけるのですか?」 魔法使い「はたから見たら7人編成になっちゃうわ。 監視員もいるだろうし、そしたら即刻退学よ」 戦士「それなら勇者も退学させられて結果オーライなのでは?」 魔法使い「他の女の子3人も退学になっちゃうわ。 僧侶もそれは望まないわよね」 僧侶「……ええ。 いきなり学校の世界から放り出されるほど、大変な思いをさせたくありません」 魔法使い「運命に委ねるしかないのよ。 ねえ、まだなの?」 眼鏡っ娘「……おかしいです。 方位の魔法が正しく機能していません。 以前何度か訪れたのですが、こんなことは初めてで」 巫女「最初の方は他のチームの気配も遠くに感じたのに、今は感じないです」 勇者「不穏だな。 この男か。 魔王様が言っていた勇者っつー奴は」 アクア「な、何この怪物……」 ヤマタノオロチ「こいつをぶっ殺せば、人間の娘をたんまり貰えるんだな……ジュルリ……」 眼鏡っ娘「や、やまたのおろち……」 巫女「伝説の魔物が、なぜこんなところに!?」 ヤマタノオロチ「おおっと、極上の女もいるじゃねえか!持って帰れねえのが残念だ!!代わりにここでたっぷりかわいがってやるよ!!」 アクア「むかつく野郎ね。 それにしても地形の隆起が激しい森だな。 俺でも体力を持っていかれる」 僧侶「アカデミーにしてはハードな課題ですよね。 でも、背後にまわる隙もなくて……」 戦士「勇者のスマートホーンの必殺技、フラッシュライトはどうした。 あの最強技なら粉微塵にできるのでは?」 アクア「充電が切れたから使えなくなったって……」 魔法使い「(充電が切れた?ナロウアイテムならそんなことありえない…)」 僧侶「状況は大旨把握しました。 これからみなさんに回復呪文と保護呪文を施しますので、じっとしていてください。 あとは私たちに任せてください」 アクア「無茶よ!!あんな化け物、どうやって……」 僧侶「困った時こそ、笑い事で済ませるんです。 だがもう遅い。 わしの仲間も迎えに来た」 ブロロロロ…… 勇者「あれは、トラック……」 ガチャ… 先生「どうも、お待たせしました。 ヤマタノオロチくん、そいつごと一緒に、荷台の中に乗り込んでください」 勇者「先生!?」 ヤマタノオロチ「魔王様の命令とはいえ、またあんなところに押し込められるのか。 しかも勇者の奴なんかと」 先生「ご安心を。 そいつは勇者であるときの記憶を失っています。 偽チート武器のスマートホーンを与えていたので、この期間ろくに武術も魔術も磨いていない。 戦闘力はほぼ皆無です」 先生「異世界を渡り歩いては、何度もトラックで才気を秘めた若者を吹き飛ばしてきたこの私ですが。 まさか同じ世界に転生する者がいようとは。 よほどこの世界への執着が強いらしい。 まぁ運良く記憶を消せたのでよしとしましょう」 勇者「嘘だ……何かの間違いだ……」 先生「魔王様も心配性だ。 アカデミーの推薦状をこいつの故郷の王国に送り、私の縄張りであるこの学園都市に誘い込むとは。 迷いの森の深部から魔王城へのルートを繋げる作業も今朝やっと終わりましたよ。 さて、勇者の身柄を魔王様へ献上しに……」 魔法使い「話は全て聞かせてもらったわ」 先生「……おや。 悪い生徒が隠れていたようですね。 あなたに良いニュースと悪いニュースがあるの」 ヤマタノオロチ「ああ?」 魔法使い「まずは良いニュースから。 そろそろあんたの正体を明かしてもらえるかしら。 魔王の手下の魔物さん」 先生「クククク……半分不正解だ。 私は魔物ではなく人間だ」 先生「そして、半分は正解だ。 魔王討伐のために苦難に満ちた冒険を続けるより、ここで楽しい学園生活を過ごした方があなたは幸せなんじゃないかって」 魔法使い「でも同じ様な選択肢は、記憶を失う前のあなたにだってあったはず。 それでも尚、私達と命がけの冒険をすることをあなたは続けた」 魔法使い「私だったらどう思うか考えたの。 あなたの幸せを願っているから別れるなんて言われるよりも。 蟻も這いずり回ってる。 小石も転がってる。 奴は巧妙に正体を隠しておった。 見破れなかったのはわしの責任じゃて……」 勇者「魔物が化けているならともかく、奴は人間でした。 正体を見破るのは困難だったでしょう」 アクア「まさか、あんたが魔王討伐の旅に出ている勇者だったなんて。 ごめんなさい。 無礼を働いてしまったわ」 眼鏡っ娘「魔王城の付近まで到達したという噂を聞いていたので。 まさかこのアカデミーに入学しているとは夢にも思いませんでした……」 勇者「気にしなくていいって」 巫女「本当に、ここでお別れなのですか?」 ドラゴ「ドラドラ……」 校長「そうじゃ。 いつ閉じるかわかりません。 それらの過程を飛ばして魔王城に直接乗り込めるチャンスなんてきっともう訪れない」 戦士「残念だが、ここでお別れだ」 校長「しかたあるまい。 道具と装備は、この学園にある限りで最上級のものをわたそう。 ちょうど4名分あるはずだ。 数日前からこっそりと長期コースのメンバーで用意していて」 魔法使い「私達ひとりひとりに?」 眼鏡っ娘「もちろんです。 これでバッチシだ」 眼鏡っ娘「残念ですが、お別れですね。 短い間ですが、一緒のクラスで学ぶことができて楽しかったです」 僧侶「私こそ。 大変なこともあったけど、楽しい学園生活でした」 巫女「皆様、お気をつけて。 無事魔王を倒したら、今度は教師としてぜひこの学校にいらしてください」 戦士「剣術でよければ俺が授けよう」 アクア「……ちょっと、あんた!!」 勇者「は、はい」 アクア「この子泣かしたらぶっとばすからね!!」 魔法使い「えっ、私!?」 勇者「もちろんみんなのこと守るけど?」 アクア「はぁー……鈍感なんだから。 あなたも大変ね」 魔法使い「何のことよ!」 アクア「みんな、気をつけてね。 無理しないでね」 勇者「ああ。 孵化するんだ」 僧侶「孵化?」 勇者「魔王の間には卵がある。 それが魔王の前で孵化してしまうと、取り返しがつかないことになる。 そして孵化するのは、今夜だ」 戦士「時間がないということか」 勇者「だから前回も、一人ずつ四天王と戦ったんだ。 俺が卵にはやく到達できるようにするために。 そして俺が魔王と一対一で対峙したんだ」 勇者「でも、勝てなかった。 勇者はまだ捕らえられぬのか。 運命を狂わすあいつこそ、俺の目の前で確実に仕留めておきたい」 「予定では既に到着しているはずなのですが……。 ヤマタノオロチも送り込んだので間違いはないはずです……」 魔王「油断するな。 あやつは未知の可能性を秘めている。 囲い込んで倒してしまえ」 「それが……」 ブロロロロロロロ!!!!!!! 勇者「覇王色の覇気!!!」 ドガガガガ!!!! ギャアアアアアア!!!!!!! 僧侶「勇者様が運転するトラックが、魔物の群れを蹴散らしていく!!」 勇者「このまま最上階まで一気に階段をのぼるぞ!!!」 魔法使い「敵が蜘蛛の子を散らすように逃げていくわね……」 戦士「大扉の前にたどり着いたぞ。 強敵の気配が中からする」 魔法使い「トラックから降りるわよ。 こいつは俺が食い止める。 言葉にせずとも漢同士だ。 今度彼女の親父さんに会いに行くってのに、こんなところで怪我しちゃいらんねーっつーの」 武道家「おい、そこのお前」 下級魔物「ひぃ!!四天王様!!」 武道家「俺らは今から笑いで勝負を決する。 だから大喜利のお題を出せ」 下級魔物「今人間界でも魔界でも流行のやつですかね」 武道家「何でもよい」 下級魔物「それじゃあ……」 『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。 どうして? 下級魔物「(このお題は、父親が手のひらを返すところがポイント)」 下級魔物「(無難な回答例としては)」 『石油王、と書かれた名刺を渡した』 『御社の株式を過半数保有していると告げた』 下級魔物「(でもこれだとありきたりだから、意外性の要素を強めるのがコツ)」 『私も女なんです、と言ったところ百合好きの父親が認めてくれた』 『お父さん。 では、回答をどうぞ」 『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。 どうして? 戦士「彼氏の、一生懸命で熱い思いに心を打たれたから」 下級魔物「…………」 下級魔物「(最悪です。 ひねりも何もない。 糞オブ糞回答で……)」 武道家「ぶほほほほほほwwww心打たれたんかーいwwwwwwww」 デデーン 武道家 タイキック 下級魔物「(え、なんで笑った?)」 武道家「しまった…………来る!!!!」 バチーーーーン!!!! 武道家「ぐおおおおおっ!!!!!!?」 戦士「さすがは四天王。 はい」 下級魔物「武道家様!どうぞ!」 『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。 どうして? 武道家「父殿は、本当に娘をやらない気などなかったのだろう。 学園都市で身につけた最新装備がなければ、消し飛んでいるところだった。 立っているのがやっとだ……」 戦士「次はこちらからいくぞ!!」 武道家「俺だって!!」 『彼氏が絶対に結婚したいと、懇願し続けたから』 デデーン… 『恋のキューピッドの妖精の力で、まず父親が彼氏に恋をして、彼氏が娘と結婚したいという要求に対して彼氏を想うあまりに承諾したから』 デデーン… 『宇宙人がやってきて、結婚を認めたくなるビームをかけたから。 ビームの速度はトビウオと同じくらい』 デデーン… 『実は娘が地底人であることに気づいた父親は、怒りを買ってはいけないと渋々結婚を認めることになった。 地底は意外にも涼しく、累進課税制度が整っている』 デデーン… 『彼氏がひいおばあちゃんちの実家にある暖炉をもってきたところ、和やかムードになったから』 デデーン… 『逃走中の銀行強盗が部屋に入ってきて、それをやっつけた彼氏に漢としての強さを見出したから。 呪文で近道できないかしら」 僧侶「魔王城内では移動に関する呪文は全部かき消されてしまいます」 勇者「……今なんか、後方から凄い音がしなかったか」 僧侶「戦士さんが戦っているのでしょう。 魔王の企てを止めたあとに、急いで戦士さんを助けに行きましょう」 勇者「ああ……。 戦略的に考えたの。 魔王城の入り口から弱い順番で敵が配置されているでしょ。 きっとこの次の広間で待つ四天王の方が強い」 魔法使い「私よりも天才なあなたこそ強敵に充てがうべきよ。 切り札を雑魚相手に使うことほどもったいないことはない。 家に帰ってドラゴンRPGやりたいのに、こんなところで怪我しちゃいらんねーっつーの」 賢者「おい、そこのお前」 中級魔物「ひぃ!!四天王様!!」 賢者「私らは今から笑いで勝負を決する。 だから大喜利のお題を出せ」 中級魔物「それじゃあ、今RPGにはまってることだし……」 中級魔物「私がみなさんに『新しい仲間が加わったんだって?』と尋ねるので、誰が加わったか答えてください。 次に私が『それはよかったねぇ』と言うので、そこでまた一言答えてください」 賢者「通なお題が出た」 魔法使い「座布団が出てきそうな雰囲気ね……」 賢者「どんなルールでもあなたに勝つわよ。 新しい仲間が加わったんだって?」 賢者「恋人のいない僧侶が加わったんです」 中級魔物「それはよかったねぇ」 賢者「クリスマスは他宗派のやることだって言ってました」 魔法使い「……ふん、仲間の悪口で笑うほど性悪じゃないわ。 新しい仲間が加わったんだって?」 賢者「僧侶が加わったんです」 中級魔物「それはよかったねぇ」 魔法使い「はい。 本当に、心の底からよかったです」 中級魔物「……?」 賢者「はぁ?全く笑いどころがないんだけど」 魔法使い「あんたの汚い言葉で汚れた、お耳直しよ」 賢者「遊んでる暇なんてないと思うけど。 新しい仲間が加わったんだって?」 賢者「魔法使いが加わったんです」 中級魔物「それはよかったねぇ」 賢者「30過ぎの童貞でした」 デデーン 魔法使い タイキックー 魔法使い「私の悪口で来るかと思ったら……」 バチーーーーン!!!! 魔法使い「きゃああああああっ!!?」 魔法使い「な、なにこの痛み……今までの比じゃない……。 魔王の座までもうすぐでしょうか」 勇者「……ふたりとも無事かな。 魔法使いの相手も強そうだったし」 僧侶「きっと大丈夫です。 仲間想いのあの子なら、誰もが笑顔になるようなやさしい冗談を思いついてくれます」 勇者「そうだな……。 朧月夜の開闢トーナメント2020で、俺を敗北させた相手だ。 僧侶と決勝戦で戦うはずだった」 勇者「こいつは危険だ!!こいつのリズムネタは……」 僧侶「ここで誰が戦うべきか、考えるまでもありません」 ポチッ 笑わせ師「君が僕の相手か。 人を笑わせる点に関してはそれなりに自信があるのですが……。 だからあなたが上に行かなければいけないのです」 勇者「弱点ってなんだ?ええと、自爆が多いとか?」 僧侶「それも時々ありますが、内緒です。 決闘に集中したいので、はやく上に行ってください。 私のお手製ですから」 勇者「……いつもありがとな。 ところで、お前の弱点ってのはなんだ?」 僧侶「笑ってからのお楽しみですよ」 笑わせ師「ふーん、まあいい。 さっさと決闘を始めよう」 僧侶「その前に、一つお尋ねしたいことがあります。 お題を決めたい」 僧侶「……リズムネタなら引き受けませんよ」 笑わせ師「いや、リズムネタ以外でやるつもりだ。 ここまで来た君が、僕のリズムネタで笑うとは思えない。 あれは人を笑わせるものじゃない。 ろくに景色も見えやしない。 困ったな、『新卒の採用面接』で忙しいというのに。 新卒の採用面接を受けに来たものです」 僧侶「わ、私もです!!城の中で迷ってしまって……果てしなく歩いていたらここに着いていて」 上級魔物「なるほど。 人間が四天王になってから人間枠の採用もできたからね。 でも残念ながら今日は緊急事態が起きて中止になったんだよ」 笑わせ師「それじゃあ面接は受けられないんですか?」 上級魔物「そうだね、残念ながら」 笑わせ師「でもどうしても、憧れの御社に入りたいんです。 入社希望の手紙をいくつも送っていました!」 僧侶「パスポートの関係で、再びいつここに来れるのかわからないんです。 これだけ熱意のある人間の面接を拒んだことが後でしれたら、人間四天王からの評価が下がる可能性がある)」 上級魔物「(こいつらは形だけでも面接して、採用にしておいた方が私の評価のためには良さそうだ)」 上級魔物「……わかった!君たちの熱意に負けたよ。 自己紹介からお願いします」 笑わせ師「笑わせ師と申します。 どうぞよろしくお願いいたします」 僧侶「僧侶と申します。 どうぞよろしくお願いいたします」 上級魔物「順番に質問していきますね。 まず、笑わせ師さん。 もういい。 では公平性を期するために、次は僧侶さんからお尋ねします。 今まで一番力を入れてきたことは何ですか?」 僧侶「セクハラですか!!!!!?」 デデーン 笑わせ師 タイキックー 笑わせ師「過敏過ぎるwwww」 笑わせ師「しまった……」 バチーーーーン!!!! 笑わせ師「(ぎぃいいいいいいいやぁあああああああ!!!!!!)」 上級魔物「せ、セクハラなんて誤解だ!!ええと、君!!力を入れてきたことを答えて!!」 笑わせ師「いてて……今、一番力を入れています……」 上級魔物「面接に対してかね?そういう変化球の回答は印象がよくないよ。 私は笑わせ師として、地方の飲食店でアルバイトをしていました。 そのお店では月に1度ほどショーを開催するのですが、最初に踊り子が、次に笑わせ師が出場する順番となっています」 笑わせ師「ある日の夜のショーで、僕が新しいネタに挑戦したところ、全くウケずに白けてしまったんです。 一人宿屋に戻って落ち込んでいると、ノックの音が聞こえました。 ドアを開けると踊り子さんが立っていました。 年上の女性で、ベテランの方です。 僕のことを心配して来てくれたんだと思いました」 笑わせ師「暖かい飲み物をつくってくれて、飲んでいるうちにふと涙が出てしまいました。 すると、彼女が僕にそっと口づけをして、ベッドに押し倒したんです。 さぁ、次の質問に行きましょう」 僧侶「はい……」 上級魔物「では僧侶さん。 あなたを物に例えるとなんですか?」 僧侶「油圧シリンダです。 クロームメッキと青銅系鋳物を使用してロッドの損傷を防止しているかの如く耐久性に自信があります。 では、次の質問です。 次のネタで倒せる……)」 上級魔物「他に質問はございませんか?笑わせ師さんは?」 笑わせ師「(笑いで、素人に負けてたまるか。 この女は下ネタに弱い。 一人漫才、ショートコント。 ブレイクこそしなかったけど、それなりにウケていた)」 笑わせ師「(でも、俺のネタで大勢のひとたちが笑ってくれたのが、リズムネタだった。 こどもまであんなにゲラゲラわらったのが嬉しくて、それでリズムネタをやるようになったんだ)」 笑わせ師「(俺はあの時、ある種のプライドを捨てたんだ。 俺が求める笑いをやるんじゃない。 人が求める笑いをやろうと)」 笑わせ師「(いつの間にか、それが俺のプライドになっていた)」 笑わせ師「……はい。 そうだよな。 大人はこんなの……)」 僧侶「うふふふwww」 デデーン 僧侶 タイキックー 笑わせ師「うっ……くそ……なんでだよ!!」 笑わせ師「お前ならこれくらい我慢できただろ!!無理して笑ってんじゃねえ!!」 僧侶「私の弱点は、愛想笑いが大好きなところです」 笑わせ師「ふざけんな!!」 僧侶「ネタそのものにではなく。 ついに、魔王の間にたどり着いた」 勇者「奥に輝いている球体が見える。 そうだ、俺は勇者じゃない……」 魔王「私は魔王だ。 そうだな、実力ではお前らは私らには決して勝てないのだからな。 一周目がそうであったように」 勇者「一周目!?お前は記憶が残っているんだな!」 魔王「世界中の教会を破壊し、貴様ら勇者の復活の力を奪ったつもりだった。 だがここで、イレギュラーが発生した」 勇者「イレギュラー?」 魔王「不死鳥だよ。 これがその卵だ。 俺がとどめをさす瞬間、貴様はこの不死鳥の卵に触れた。 そのせいで、パーティーメンバーもろとも復活できたのだろう」 勇者「なるほど。 でも、笑ったら尻を叩かれるというルールは何故?」 魔王「この世には、使うとランダムに何かが起きるという呪文がある。 この卵の保護呪文にそれがかけられており、その効果が貴様らに付与されたのだろう。 だから私も迂闊にこの卵に手を出せなかったのだが……」 勇者「王様と姫様たちがおかしなテンションで笑わせてきたのも、その影響か……」 魔王「まもなく卵も孵化する。 孵化した日の翌日には、保護呪文の影響は消滅する。 そのくだらない笑いのルールとおさらばできるぞ。 不死鳥は最初に見た顔を自分の親だと認識する。 だから、貴様にこの部屋にいてもらっては困るのだ」 魔王「俺は不死鳥を手なづけ、この世界で最強の存在として君臨するのだからな!!」 バタン! 勇者「扉が閉じた!?」 魔王「並の魔物では開けられぬ仕組みだ。 よそ者に戦いを邪魔されたくないのでな。 下ネタでも何でも使ってこい」 魔王「ふん。 魔族の王たる俺が、下ネタなぞ使って笑いを取るか」 勇者「何?」 魔王「いいか勇者。 昔、とある笑わせ師が言っていた。 笑いは悲しみと表裏一体なのだと」 魔王「緊張と緩和。 意外性と納得感。 相反する要素を組み合わせる、魔力を使わぬ魔術なのだ」 魔王「お笑いの真理を応用すれば、どんなくだらないギャグでさえも、高尚なジョークへと昇華できる」 勇者「なんだと……」 魔王「では、試そう勇者。 下ネタなんて笑うに決まってんじゃないか……魔王のくせにずるいぞ……」 魔王「フリがきれいだっただろう。 ゲスなメンバーとともに旅してきた運命を呪うんだな」 勇者「……ゲスなメンバー?お前、今俺の仲間を侮辱したのか?」 魔王「そのとおりであろう。 相手のペースを完全に飲み込む技。 本来であれば貴様など瞬殺しておるというのに。 だがボロボロではないか」 勇者「……くそ……」 ピキピキ… 魔王「卵にヒビが入った。 もう間もなくだな」 魔王「万が一にも孵化の瞬間に貴様の顔を見られら台無しだ。 でも俺には、俺を支えてくれるたくさんの仲間がいるんだ」 魔王「くだらない!!お仲間との冒険中に起きた愉快なエピソードでも話す気か?」 ガサ… 魔王「いまさら道具袋から何を取り出すつもりだ?」 勇者「これは……アカデミーのみんなから貰った寄せ書きだ」 魔王「ふん、俺の使えぬ四天王が教師をやっていたところか」 勇者「記憶を失っていたし、短い間だったけれど……俺をあたたかく迎えてくれる人たちがたくさんいたんだ」 魔王「くだらん。 自分がそばにいなくても体力と魔力を回復できるようにって、寝る時間を削っては仲間のためにつくってくれていたんだ」 魔王「決闘モードでは道具による回復はできん。 魔王をついに倒した」 勇者「……ふっ。 王様、姫様」 王様「よくぞ無事じゃった!!」 姫「申し訳ございません……アカデミーの招待状が、魔王側の策略だったとは……」 魔法使い「結果オーライですよ。 魔王の野望も打ち砕けましたし」 姫「勇者様の肩に乗っているかわいらしい鳥は?」 戦士「新しい仲間だ。 やはり記述されていますね」 姫「皆さんが笑った回数を発表します!」 魔法使い「ええ!?」 姫「4位からの発表です。 戦士さん。 笑った回数10回!」 戦士「全然笑ってないな。 まぁ笑わせ役に徹していたからな」 魔法使い「…………」 姫「3位は、勇者様。 笑った回数17回」 魔法使い「あんたそんなに笑ってたっけ?」 勇者「魔王が強敵でな……」 姫「2位は僧侶さん。 22回」 僧侶「……ということは」 姫「1位、魔法使いさん。 しばらくはゆっくり休まれてください」 僧侶「そうですね。 賞金で得た50万Gもありますし、魔王討伐による100万Gも加えて贅沢三昧することにします」 王様「ええと……ちょっと急用を思い出した!!」 姫「お父様、約束は約束ですよ」 王様「そしたら経費削減で、お主の部屋も個室の便所になるが?」 姫「ええと……ちょっと急用を思い出しました!!」 アハハハ!!! デデーン 全員 アウトー 〜fin〜 コメント一覧 19• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 06:55• 頑張って1P読んだけど… もしかしたらこの後で面白くなるのかな?• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 11:49• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 07:27• テンポが悪い このネタは見切り発車で始めると痛い目を見るんだよ 出直してきな• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 08:10• 何 故 飛 ば し た• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 11:13• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 11:15• 頑張って最後まで読んだけど…色々と展開を混ぜすぎだYO! 魔法学園も不死鳥も本筋から離れるだけでまず不要。 もっとシンプルに『笑ってはいけない魔王城』くらいに絞ってよかったと思うんだが。 お笑いネタ部分は文字ベースで面白くするのがそもそも難しいので微妙クオリティでもしゃーない。 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 12:16• いやそこを何とか出来ないならそもそもこのネタでやる意味ないだろ• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 21:03• わりと好き• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月29日 23:02• 序盤はまだ評価できる その後の大喜利に逃げて謎の学園編が始まってお笑い一本勝負で締める流れは無茶苦茶だよ• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月30日 01:33• 耐えられん• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年04月30日 23:27• 俺メッチャ面白かったけど、みんな酷評だな• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月01日 07:36• 見た目のインパクトや会話のテンポ・リアクションがある映像作品をそのまま文章にしようとしてる時点でもう無理だよね 文章じゃその辺絶対に出せないんだから まあ、それを差し引いたとしても絶望的につまらないけど• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月01日 20:42• 正直めちゃくちゃ面白かった 笑いの沸点が低いかもしれん…• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月02日 06:52• 序盤が完全に笑ってはいけないだから想像出来て面白かった それ以降はまあ…ね• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月02日 21:20• 文章でやるのは無理がありすぎ 薄めたカルピス• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月02日 22:53• ドラドラ~• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月02日 22:56• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月11日 06:09• 序盤は面白かったが中盤からは「圧迫面接ですか!?」しか笑えなかったかな…………• 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします• 2020年05月11日 06:13• まぁ、こんなまとめサイトの片隅で文句言ってる様な底辺が言えたことじゃないんだけどね.

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無職転生 − 異世界行ったら本気だす

ひとり ぼっ ちの 異 世界 攻略 な ろう

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さあどうぞ﹂ 町内会の福引きみたいな、穴の開いたしょぼい箱を差し出された。 いろいろと適当だなあと思いつつ、仕方ないので手を突っ込んで 一枚抜き出す。 じゃ、今後は魔隷術師としてセカンドライフを頑張ってください な。 俺の視界は、再びホワイトアウトした。 森に薬草採りに行った村娘を皮切りに、若い女ばかりが次々と行 方不明になっていったのだ。 ゴブリンやオーク、あるいは野盗のしわざかと思われたが、何も 痕跡や目撃報告がない。 捜索や山狩りもまるで成果がなく、調査依頼を請けた冒険者パー ティさえも消息を絶った。 ここに至って、ついに王都に直接の救援要請が打診されることに なる。 先の冒険者パーティがかなりの腕利きだったこともあり、事態を 重く見た王都政府は、騎士団から最精鋭を派遣することを決定した。 ご主人様﹂ 薄暗い灯りが照らす、洞窟最深部。 遠視魔法のかかった片眼鏡ごしに戦闘区域を観察していた、ロー 7 ソーサレス ブ姿の女法術師が、うつろな瞳で俺に報告する。 に質問する。 まあ、これだけ派手にやって りゃ騒ぎも大きくなるわな﹂ この辺境を騒がせている連続行方不明事件。 その主犯は何を隠そう、この世界に転生した俺だ。 洞窟にトラップまみれの拠点を築き、討伐に来た冒険者をこのよ うに隷属させる。 すべては、俺が偶然引き当てた魔隷術師の力のなせるわざ。 ﹁このぶんだと、間もなくここに到達します。 いかがしますかご主 人様、我々が迎撃に出ますか?﹂ ﹁それで勝てると思うか? もし、その最精鋭だとして﹂ ﹁難しいでしょうね。 敵の力は、我らパーティのそれを単独で上回 ります。 ですが、手傷は負わせられるかと﹂ 捨て駒戦法をするか、否か。 もちろん、そう命じれば魔隷たちはためらいなく命を捨てるだろ 8 う。 ﹁いや、よそう。 せっかくだ、ここで出迎えてやろうじゃないか。 その騎士様とやらをね﹂ は、と従順に一礼する女法術師に指示をして、俺はいくつかの準 備を施す。 うっすら輝く幅広の騎士剣の切っ先を、まっすぐ俺に向けている。 まさかそんなと、思わず立ち上がる俺。 同時に、向こうも気付く。 これが俺、小田森トオル改め魔隷術師トオルと。 姫野桐華改め、姫騎士キリカの。 新たな世界における最初の会話だった。 隙なく構えられた騎士剣の切っ先が、わずかに動揺して揺れてい る。 だが、俺にとってもこの出会いは予想外だった。 思わず石椅子から立ち上がりかけた腰を、ゆっくりと下ろす。 それぞれの転生先がランダムなら、ひとつの大陸に数人程度の密 度ってことになる。 魔法を除いて、移動手段も通信手段も中世レベルのこの世界だ。 転生 してからまだ一ヶ月程度なのだ。 一生誰とも会わずに終わってもおかしくない。 ましてや、俺たちが ﹁でも、それよりも驚いたのは。 それが、俺をどうにも苛立たせた。 ﹁へえ、優等生の姫野さんは異世界に来てまでお説教かい。 しかもクラス委員の次は王都の騎士様になるとはね。 そんな見下した目をする 人じゃなかったのに﹂ ﹁はあ? 君が俺の何を知ってるって言うのさ﹂ ちゃんちゃらおかしくて、変な笑いが出てしまう。 そう、俺に目もくれなかったくせに。 あの一言以外、話す機会もなかったくせに。 ﹁俺は変わっちゃいないよ。 ということは、対策を立ててここに来てるってことか。 俺は考えを巡らせながら、時間稼ぎの会話を続ける。 ﹁知ってるなら話が早い。 部屋の灯りは薄暗いからはっきりとは見えないが、赤面もしてい るに違いない。 12 ﹁そう、今考えてるとおりだよ。 笑わせる。 ﹁理解できやしないよ、生まれつき恵まれた姫野さんに俺の気持ち なんかね。 体の要所要所をガードする軽装鎧をベースに、よく見るとレース やフリルで飾られたそのスタイル。 首元のリボンなんか、どちらかというと制服か何かのようで、ご 丁寧にミニスカートと白タイツの絶対領域まで確保されている。 地球の中世なら絶対にありえない、非現実的にもほどがある装束 だ。 おそらくは、高い対魔法能力も備えているだろう。 13 それだけではない。 姫騎士というジョブの詳細は不明だが、ジョブ自体の魔法抵抗が 高いこともほぼ間違いない。 洞窟の魔法トラップを傷一つなく突破してこれたのも、そもそも 単独で術師を討伐に来たのも、そうじゃなければ理由がつかない。 というのも魔隷術師の隷属魔法は、支配力も効果時間も強力な反 面、魔法抵抗の高い対象にはよほど近距離から長時間かけ続けない と効力が薄い。 そしておそらく、彼女はそんな隙を与えてはくれないだろう。 ﹁最後の警告よ。 予想以上に早い踏み込みだ。 俺の反射神経そのものは、元の世界と大差ない。 ﹁っ!?﹂ ガインッと金属音が鳴って、騎士剣が大盾に食い止められた。 石椅子の陰に隠れていた女戦士が、俺をガードしたのだ。 それにしても、俺を殺さないよう剣の背部分で打ちかかるとはお 優しいことで。 俺はその隙に、高速言語による詠唱を何節か完了させた。 ホログラフィのような緑の光が、円状にキリカの黒髪をとりまき 始める。 魔隷女戦士はあらかじめ命令したとおり、無言でガードの体勢を 続けている。 ﹁さすがに抵抗力高いね。 進行度5%ってとこか。 ま、打ち込むたびに上乗せされてくけどね﹂ 相手を打ち倒す必要はない。 隷属魔法をかける隙さえ作れば勝ち だからだ。 だからただ守りに徹する、それが俺の作戦だ。 盾の防御力も、女法術師によるエンチャント魔法で強化済みだ。 ﹁考えたわね、小田森くん。 閃光が部屋を照らし、炎の元素魔法よりも強烈な衝撃がはじける。 かざした盾ごと、魔隷女戦士が壁まで吹き飛ばされて動かなくな った。 それが姫騎士のスキルっ てわけか﹂ ﹁そうよ。 そしてこの技は悪しき者、心なき者に特効の破壊力を示 す。 あなたの魔隷にも効果てきめんのようね﹂ 守り手のいなくなった俺めがけ、腰を落として剣を構え直すキリ カ。 魔法の射程外から一気に踏み込み、一撃で昏倒させるつもりだろ う。 ﹁もう盾はないわ。 残念だけど、これでおしまいよ﹂ ﹁ああ、どうやらそうみたいだ﹂ 彼女が踏み込む。 同時に俺が指を鳴らす。 部屋奥の扉から現れた女法術師が、高速詠唱を開始する。 それに気付きつつも、キリカの動きは変わらない。 どうせ自分に魔法はほぼ効かないし、俺を倒せば決着するのだか ら当然だ。 16 ﹁これは、ミラーイメージ!?﹂ ﹁ご名答﹂ 実際の俺の位置は、一歩半ぶん斜め後ろ。 魔法抵抗が高くとも﹃他者にかけられた魔法﹄を看破できるわけ ではない。 この仕掛けを見破られないため、魔隷にも最初から、ニセの俺を 守らせていた。 この洞窟を拠点にした時から準備しておいた、きわめて原始的な 仕掛け。 だが、それゆえに魔法トラップと違い、魔力による感知も魔法抵 抗も関係ない。 もちろん、それだけなら彼女は優れた身体能力ですぐ脱出するだ ろう。 だから、女法術師の魔隷に詠唱させた魔法の出番だ。 ガチャン、と3cmほどの隙間しかない鉄格子が、キリカの頭上 をふさいた。 でも、ろくに構えもとれないその狭さならさっきの剣技も使えな いよね?﹂ 鉄格子を破って脱出するのにかかる時間は、どんなに急いでも数 分以下にはなるまい。 その間に俺は、ゆうゆうと近付いて詠唱を完了させればいい。 19 03話:隷属と、奪われる純潔 ﹁思ってもみなかったよ。 まさか、隷属されても意識を保ってるな んてね。 ベッドに腰かけ、俺は目の前にひざまづいた姫騎士キリカを興味 深く見つめる。 彼女は、俺の隷属魔法にかかった。 それは間違いない。 無抵抗にここに来て、俺の指示に従っているのだから。 だが、これまでかけた相手は皆、人形のような受け答えをするだ けの存在と化したのに対して、彼女だけは性格も意識もそのままだ ったのだ。 体が思うように動かせない屈辱に、これから自分が何をされるか の悪寒に。 ﹁ま、いいや。 その新鮮な反応がたまらない。 ムクムクと勃起してしまう。 何せ、これまで犯してきた村娘や冒険者たちは、従順すぎてまる でダッチワイフだったからな。 ﹁や、やめて! そんなヘンなものを近付けないでっ!﹂ のニュアンスが入った言葉に反応し、彼女の顔が向きを ﹁ヘンなものとは失礼だなあ。 ほら、ちゃんと見てごらんよ、姫野 命令 さん﹂ 変えていく。 赤面した可愛らしい顔が、嫌そうな表情のまま、まじまじと俺の チンポを見つめる。 柔らかい、少し湿った感触。 あの姫野桐華が、学年トップの美少女が、姫騎士の装束で俺のチ ンポに初キスを捧げている! それだけで射精してしまいそうな達成感だ。 じゃあそのまま、俺のチンポをフェ ラチオしてよ。 フェラくらい知ってるよね?﹂ 魔隷自身の知らない概念を命令しても、正確に実行させることは できない。 涙目の姫騎士キリカは、おそるおそるピンクの舌を伸ばして、俺 の膨らんだ亀頭をぺろぺろと舐め始めた。 ﹁ははっ、うぶな姫野さんでもフェラが何かくらい知ってたか。 いいねえ、睨まれながらしゃぶられると余計燃える よ﹂ 俺をキッと睨みつけながら、ぎこちなく先端をワンパターンに舐 め続けるだけのフェラ。 ま、うぶな処女の知識じゃその程度が限界か。 元クラスメートに、クラスのアイドルにさせてるってだけで達成 感は抜群だけど、いつまでもこのままじゃ面白くない。 ﹁おい、ニーナ。 ちょっと来てくれ﹂ ﹁はい、ご主人様﹂ ローブ姿の女法術師が入室し、俺のそばにやってくる。 ひざまづいてチンポを舐めさせられている姿を、魔隷とはいえ他 22 人に見られたことで、キリカがビクッと反応する。 ﹁下手クソなフェラしかできない姫騎士さまに、俺がお前に仕込ん でやったテクを教えてやってくれよ。 ニーナがローブの頭巾をとると、金髪セミロングの、少し地味だ が整った顔が現れる。 年格好は俺たちとそう変わらない。 そのまま彼女は、捧げ持つようにしたディルドーにねっとりと舌 をからめ始めた。 彼女を魔隷にしてから、時間をかけて少しずつ教え込んだフェラ テクだ。 ﹁さ、真似して同じようにしてもらおうかな。 いくら恥ずかしくても、忠実にマネしろという指示に逆らうこと はできない。 とたんに下品に舌を伸ばし、唇を前後に動かして、よだれを垂ら 23 しながら俺のチンポをしゃぶりだす元クラス委員。 同じようにさせられたキリカの柔らかい粘膜が、俺のチンポをに ゅっぽりディープに包む。 ﹁くううっ! いいぞ、そのまま大きく前後にしゃぶれ、姫野さん !﹂ ﹁んぶ、んじゅぶっ、じゅずぶぶっ!? ぷぁ、嫌っんぁあ! は ぶぶっ!!﹂ いい匂いのする黒髪を振り乱し、銀の騎士鎧をかちゃかちゃ鳴ら しながら、俺にひざまづいて激しくフェラ奉仕する、姫騎士にして クラスメートの処女美少女。 たまらない征服感と気持ちよさに、たまらず俺のチンポは限界を 迎えた。 ﹁いくよっ、出すぞっ! 口の中に俺の精液っ、受け止めて溜め込 めキリカ!﹂ どくん! と白い奔流がはじける。 んーっ、んーっとうめく彼女の口内に、びゅるびゅると大量の精 液を注ぎ込む。 唾液と混じった白濁液だまりが、むあっと湯気をたてている。 一ヶ月前には、非現実的すぎて想像すらできなかった眺めだ。 俺は当然、にやりと笑って首を振った。 ﹁ニーナ、いつものアレをチンポに頼む﹂ ﹁はい、ご主人様﹂ ディルドーをようやく口から離し、女法術師が術式を詠唱する。 冒 険者はこういう使い方結構してるらしいぜ? 勉強不足だね、姫騎 士さま﹂ 青ざめる彼女を笑い、俺は次の指示を出す。 25 ﹁さあ、本番といこうじゃないか姫野さん。 最高の眺めだよ﹂ ベッドに悠々と寝転んだ裸の俺。 キリカはというと、甲冑姿のままショーツだけを外しスカートを 自分でめくりあげ、俺の腹あたりにまたがるようにひざ立ちになっ て女性器を突き出すという恥知らずな格好だ。 ﹃オマンコを広げてよく見せろ﹄という命令を、実行させられて いるのだ。 ﹁毛が薄いんだね、姫野さんは。 奥には、うっすらとフリルのような処女膜が確認できる。 26 天井めがけてそそり立った俺のチンポ、その真上に処女マンコを 移動させ、ぴとりとあてがうキリカ。 ちなみに姫騎士というジョブは、強さと気高さ、美しさを併せ持 った最精鋭の女騎士にのみ贈られる称号らしい。 そんな姫騎士の誇りも、元クラス委員の真面目な美少女の尊厳も、 まとめて打ち砕くための騎乗位セックス指令というわけだ。 魔隷術師の命令は、新陳代謝などの肉体的現象にもある程度およ ぶ。 ぷちぷちと若い膜を破って、俺のチンポが姫騎士マンコを貫き奥 まで侵入していく。 村娘や女冒険者たちの処女を奪った時も、その時は感動的な気分 だったが、今のこれとは比較にならない。 ﹁さて、せっかくだからギャラリーを呼んであげないとな。 ニーナ、 アメリア!﹂ 俺の呼び声に答えて、女法術師と、先の戦いでガード役を担当し ていた女戦士がベッドの左右に並ぶ。 鎧を脱いだ女戦士アメリアは、日焼けした健康的な肌とワイルド な赤毛のロングヘアが特徴的な野性的美女だ。 年齢は俺たちやニーナより2、3歳上だろうか。 つうっと一筋垂れた破瓜の血を。 すべてをまじまじと二人に、魔隷とはいえ女同士に見つめられる。 その強い羞恥心に、真っ赤になって涙を流しつつも腰を止められ ないキリカ。 俺はその様子に、泣き顔に、なおさら興奮して自分からも腰を突 き上げる。 はしたないほどに大きく、深く、腰をくねらせてチンポをマンコ でしゃぶる姫騎士。 カチャッ、チャリッと鎧がこすれあう金属音を立て、可憐なフリ ルやスカート、長い黒髪が動きと共に揺れる。 そういえば姫野桐華は着痩せする隠れ巨乳だという話を、クラス の男子が噂にしていた。 29 その真偽は、後でたっぷりと確かめてやるとしよう。 それでも腰をがくがく上下させる姫騎士を、俺は下からガンガン 突き上げながら。 ついにこみあげてくる射精感に合わせて、その命令を放った。 こりこりした子宮口と俺の亀頭先端が、がっつりとキスをした瞬 間。 脈打つ音をたてて、俺の子種が破裂せんばかりの勢いで流し込ま れていく。 くたっと俺の胸板に倒れ込んだキリカが、おそらく人生初のアク メの余韻に黒髪を震わせた。 わたしは、あなたを許さない﹂ ベッドに倒れたキリカは、綺麗な瞳から鋭い視線を俺に向け。 処女喪失と初絶頂、初中出しのショックと疲労で、まだ息を乱れ させながらそう言った。 俺はその言葉に、ぞくりと背筋が震えた。 恐怖のせいじゃない。 それは初めて彼女から自分に向けられた、強い意志の現れだった 31 からだ。 彼女もおそらく、そんな強烈な感情を他人に向けるのは初めてだ ろう。 ある意味、処女を破った時以上の達成感を俺は感じていた。 ﹁それでこそだよ、姫騎士キリカ。 私を魔隷としてそばに置くなら、覚悟することね﹂ 俺に危害を加えることや、命令なく俺から一定以上離れたり、自 分の命を捨てるような行為。 それらは命令するまでもなく、魔隷の﹃基本禁止原則﹄として隷 属術式に組み込まれている。 そして、魔隷となった者への支配は、半永続的に解けない。 厳密にはもっと細かいルールがあるのだが、それはまた今度説明 しよう。 ともあれ、それを覆してみせるというなら見物だ。 ﹁楽しみにしてるよ。 それはそうと、だ﹂ 俺はベッドの上で手のひらを握ったり、開いたりを繰り返した。 ﹁よし、やっぱりか。 これまでに何度か味わったものだ。 魔法なら、より複雑な術式を使ったり、より抵抗力の高い相手へ の使用を成功させたりすることが重要だ。 ﹁俺の隷属魔法も、高い魔法抵抗の相手にかけ、そして命令を実行 させるほどに経験がハイスピードで溜まっていく。 姫騎士さまにさっきしたいやらしい命令の数々は、予想以 上の経験値を与えてくれたよ﹂ 思わず笑いがこみ上げてくる。 最強の持ち駒と、効率的なレベルアップ手段、そのふたつが一気 に転がり込んできたことになる。 じゃあ姫野さん、いや姫騎士キリカ。 次の夜明けを迎えるころ、俺は。 首尾よく隷属魔法と、魔隷術師のレベルを上げることに成功して いた。 ご安心ください。 そう思わない?﹂ 湯気のたちこめる岩風呂で、顔にばしゃりと白っぽいお湯をかけ る俺。 洞窟の最深部、湧き出た天然温泉を利用した快適な風呂場。 ここを拠点にできたのは、実にラッキーだった。 体を洗わせてくれたことにだけは、一応感謝し ておくわ﹂ キリカはといえば、少し離れた場所に肩までつかり、俺をジト目 で睨んでいる。 一晩中のセックスでついた汚れは、すっかり洗い落とされていた。 もちろん、胎内に注ぎ込まれたぶんを除いてだが。 言っても 無駄だろうけど﹂ 鎧を脱ぐと姫騎士要素が消え、 が意識される。 真っ白で健康的な裸体と、湯に浸からないようまとめて肩に乗せ られた黒髪とのコントラストが綺麗だ。 無駄な肉はないけど柔らかそうな女性的ライン、なかなかにそそ る。 胸を必死に腕で隠しているが、予想どおりそのふくらみはなかな かのボリュームだ。 Eカップくらいは余裕であるんじゃないか? 命令して手をどけさせるのは簡単だが、恥じらう姿も捨てがたい ので今はこのままだ。 ﹁さて、話を戻そう。 そこで出てきた名が、第三王女システィナ・ランバディア。 彼女が仕える若き王族の名だ。 キリカは転生してきてすぐ、お忍びで郊外を散策していたシステ ィナ姫が、運悪くモンスターに襲われている所に出くわしたのだと いう。 そして窮地を救い実力を示し、姫の恩人として、側近として迎え られたらしい。 ﹁すごい出世コースだねぇ。 年が 同じこともあって、わたしとは友達のように接してくださったわ﹂ 37 ﹁ふむふむ。 それで、美人?﹂ にやにやしながら聞くと、露骨にいやな顔をするキリカ。 おいおい、そこは非常に大事なとこじゃないか。 さぞかし絵になった だろうなあ﹂ ま、今は俺がご主人様なんだけどな。 ﹁よし、決めた。 あ、一瞬隠す腕がずれて乳首が見えそうになったぞ。 ﹁しょ、正気とは思えないわ。 そう、いくらチートジョブの魔隷術師といえども、無制限に魔隷 を増やせるわけじゃない。 同時に隷属させておける人数は、隷属魔法のスキルレベルに等し い。 つまり、今の俺なら最大6人ということだ。 もしかしたら一定レベルを越えると急激に増えるかもしれないが、 まだその様子はない。 そしてもし限界まで魔隷を作っていれば、誰かの術式を解除して 解放してからでないと、新しい魔隷を隷属させることはできない。 空き枠 を一人分は作るようにしてい これには多少の時間がかかるのが玉にキズだ。 だから、俺は可能な限り る。 キリカと戦った時︵スキルレベル5の時︶、俺の魔隷は女法術師 ニーナ、女戦士アメリア、そしてあと二人の冒険者たち︵別の命令 を与えているため、今ここにはいない︶。 能力のテストがてら魔隷にしていた村娘たちは、今はみな術式を 解除されて洞窟内の隠し部屋に監禁してある。 数が限られてる以上、魔隷は一体一体の質が重要。 だからこそ、姫騎士キリカという予想外のエースをゲットできた のは幸運だった。 ﹁あなたの総戦力自体は大した規模じゃない。 それに、王宮には高 39 い魔法抵抗を持つ騎士や護衛、魔法をかけられた状態にある者を見 破れる術師もたくさんいるわ﹂ ﹁君を利用して侵入しようとしても、一筋縄じゃいかないってこと か﹂ ﹁そうよ。 確かに、ちょっと慎重に計画を練る必要はあるな。 ﹁ま、いいや。 ああそうそう、姫野さん。 俺は濡れた髪に手櫛を入れながら、言葉を続ける。 ﹁俺はね、こっちに来て決めたんだ。 第二の人生は、好きなように 生きてやるって﹂ ﹁それが、女の人たちを次々言いなりにすることなの!?﹂ ﹁ゲスだと思うならそれでいいさ、俺自身そう思うし。 もう、あんな人生はごめんだ。 何も満足感を得られないまま生きて死んで、後悔するのはたくさ 40 んだ。 ﹁だから、今度は欲望のままに生きるって決めたのさ。 そしてその ためならどんな困難も排除してみせる。 いや、従えてみせる。 君に そうしたようにね﹂ 姫騎士を手駒に、お姫様を堕とす。 それはちょうどうってつけの燃える目標だ。 男として、オスとして、これほどやりがいのある挑戦も少ないだ ろう。 楽しい洗い方 命令によって後に続いたキリカが、これから起こることに警戒の 表情を見せている。 ﹁汚れは落ちたけど、せっかくだから改めて二人で をしようと思ってね。 ﹁君自身が洗う道具になるんだ。 引き締まった、でも適度に脂肪のついた太股が、二の腕が。 彼女の柔らかい部分がいくつも、俺の素肌に泡まみれで密着する。 ニュルニュルと泡ですべる裸体が、細かく滑り続けて心地いい。 42 白い泡の中に、かわいい薄ピンクの突起が見え隠れしている。 ﹁あれ、姫野さん、ひょっとして乳首勃起してる?﹂ 質問 に嘘をつくことは許されない。 ﹁別に恥ずかしいことじゃないさ。 泡塗れでそそり立つ俺のチンポは、彼女の柔らかな内股や下腹部 と触れ合うたびに硬さと熱さを増していた。 ﹁ちょうどいい、次はここを重点的に洗ってもらおうか。 ふにゅふにゅの巨大なマシュマロのような、お湯の詰まったシル クの水風船のような。 なんともいえない心地良さが、優しく俺のフル勃起チンポを包み 込む。 ﹁すごいな、完全に俺のが挟めるじゃないか。 隠れ巨乳だって評判だったけど、まさかそこまでだったなんて嬉 しい誤算だよ。 独占する征服感にチンポはますますいきり立ち、真っ赤に膨らん だ亀頭がキリカの眼前に何度もグイグイ迫って、彼女を怯えさせる。 魔隷の、持続時間のことを﹂ 唐突に変わった話題に、怪訝そうな顔でパイズリしつつ耳を傾け るキリカ。 俺の支配をなんとか脱しようとしてる彼女には、聞き逃せない情 報だ。 ﹁それは、隷属させられてる者の魔法抵抗の強さに反比例する。 あいかわらず胸でチンポをしごきながらってギャップが、妙に興 奮するけど。 あなたが何らかの理由でかけ直せな い状況に陥ったりしたら、この隷属が解けるチャンスがあるってこ とだわ。 魔隷という絶望的な支配を受け、辱められてもなお、希望を捨て ず俺に立ち向かおうとしている。 姫騎士の称号は伊達じゃないってわけだ。 かけ直す と そして、そんな彼女だからこそ、いつか心から屈服させてやると いう決意がふつふつとたぎってくる。 ﹁それでこそ姫騎士キリカ。 ﹁詠唱以外にも、魔法の媒介にはさまざまなものがある。 たとえば そう、体液だ。 血液なんかが代表的だけど、隷属の術式には他にも うってつけのものがある﹂ カケ直す ってね。 意味を悟った姫騎士の怯え顔めがけ、カウパーを漏らした先端が ぷるぷる小刻みに震えている。 すっかり勃起したままのコリコリした突起をもてあそばれても、 彼女はされるがままだ。 憎い俺のチンポに熱烈なおっぱい奉仕を続ける動作を、止めよう にも止められない。 風呂場の熱でうっすら上気し、黒髪が何筋か貼り付いた顔を狙う、 ぎちぎちの赤黒い亀頭。 俺は腰の奥で荒れ狂うオスの衝動を解き放つと同時に。 きゅぅぅうっっ!! と、充血した乳首を指先でつねり上げて命 令を放った。 すさまじい勢いで肉棒の先から、ねばつく白濁液が姫騎士の顔面 47 にぶちまけられた。 次々と、自分でも驚くほどの量が、整った美少女の顔を、黒髪を、 汚していく。 荒い息を吐いて、乳首イキの余韻と汚された屈辱に身を震わせる キリカを見下ろしながら、俺はこの上ない征服感にひたっていた。 湯気とイヤらしいにおいのたちこめる風呂場に、ふたつの人影が 現れる。 無理もない。 だが、今の彼女たちは。 わたしはニーナ、法術師で す。 二人で、射精したチンポをていねいにお掃除フェラしながらの自 己紹介。 キリカは赤面しつつ、その光景から目をそらせずにいる。 を戻す能力だ。 隷属魔法のスキルレベル6で獲得したのは、そんな魔隷たちに 本来の人格 もちろん、俺をご主人様として敬い絶対服従するという部分だけ が、元と違う。 なお、新たに得たスキルの情報は自動的に脳内インプットされる から安心だ。 50 地球と違って便利なルールで動いてる異世界だね。 ﹁この二人は、俺の起こした村娘誘拐を調査しにやってきた冒険者 パーティの一員だ。 お察しの通り、隙をついて一人ずつ魔隷にして いったってわけさ﹂ ﹁うふふっ、えっちドレイにされちゃいましたぁ﹂ ﹁マスターに二人仲良く、な﹂ キリカと違い、彼女たちは隷属魔法の存在を想定してなかった。 魔隷術師というジョブ自体、この世界では伝説上のものになりか けていたらしいから無理もないが。 普通の術師が使う魅了魔法は、知性の低い動物を従わせるのがせ いぜいだ。 俺はおそらく今の世界唯一の、人間を隷属させる異能の持ち主と いうわけだ。 なので彼女には、1mくらいの距離から観察させる命令を出して いるのだ。 ﹁魔隷としちゃあたしたちが先輩だもんな、よく見ててくれよ姫騎 士さま﹂ ﹁アメリアったらぁ、さっき負けたのちょっと根に持ってない?﹂ ﹁そ、そんなことないぞ﹂ 51 恥じらう姫騎士を気にもとめず、水着のような下着だけをつけ、 俺に奉仕する元冒険者パーティの二人。 とろんとした瞳に、ハートマークのような魔力の紋様がうっすら 浮かんでいる。 くりっとした瞳が猫のように愛嬌たっぷりなのが、人格が戻った 今だとよくわかる。 ミルクをなめるように舌を伸ばしてチンポをくすぐる顔は、実に 楽しそうだ。 ﹁ニーナの様子がおかしいと思って、問いただしてる間にあたしも やられちゃったんだっけか。 切れ長の眼に、意志の強そうな流線型の眉、こちらもまた違った タイプの魅力だ。 チンポにも竿といわず先端といわず、情熱的にキスの雨を降らせ てくる。 俺は再び高まってくるリビドーを感じつつ、眼下の金髪と赤髪を わしわしとなでる。 指で輪っかを作り、根元をリュコリュコとしごきたてるアメリア。 そして同時に肉の幹を、ぷにぷにした圧迫で挟み撃ちにされるの だからたまらない。 今日二回目だというのに、一部はキリカのいるあたりにまで飛び 散った。 二人の魔隷冒険者は、われ先にと争ってそれを舌で受け止める。 うずうずと何かを期待する目線で、お尻をふりふり、俺を見上げ る二人。 54 ﹁いや、それより先にご飯にしよう。 さすがに腹ぺこだよ﹂ ﹁おっけー、任せてくれよマスター。 一見普通の女の子に見える魔隷に、どう接したらいいかわからな いという様子のキリカだった。 今は姫騎士装束の鎧部分を外し、インナーだけを身に着けている。 フリルに彩られた青いネクタイつきのブラウスに、折り目のつい たミニスカート。 ﹁でしょでしょ? アメリアはこう見えて、わたしたちのパーティ でもシェフ担当だったんですよ﹂ ﹁こう見えては余計だ。 でも、へへ、王宮で美味しいものに慣れて そうな姫騎士さんに褒めてもらえると嬉しいね﹂ 55 ニーナとアメリアも、ゆったりしたローブとチュニック姿で同じ 食卓についている。 人形のような魔隷に囲まれてたこれまでと違って、急に賑やかに なったもんだ。 ﹁ううん、お世辞じゃなく本当においしいわ。 でも、スプーンを上下させる動きを全然止められてないのがかわ いいぞ。 思えば、誰かと楽しく話しながら食事をするなんて、ずいぶん久 しぶりな気がする。 ﹁ところで、小田森くん。 あなたが魔隷にした冒険者はあと二人、 いるはずよね﹂ ﹁残り二人のことが気になる?﹂ 食事が一段落ついた所で、キリカが言葉を選びながら聞いてくる。 そりゃ彼女にとっては、俺の戦力を正確に把握しておきたい所だ ろう。 56 どんな人物なのか、今どこで何をしているのか。 反射的に、机に両手をついて立ち上がる。 ﹁どうしたんだ、マスター?﹂ 魔隷術師のスキルが、空間を越えて今まさに起こった 知らせてきた。 間違いない。 この感覚は。 俺の魔隷に、何が起こったのかを。 あれから、すぐに武装して洞窟を発った俺たち四人。 草木の間を足早に抜けて、とある目的地に向かっている。 可憐な姫騎士装束に騎士剣を携えたキリカ、剣と大盾を装備した アメリア、杖にローブ姿のニーナ。 俺は厚手のフードローブをまとい、武器は特に持たないスタイル だ。 役目はあくまで司令塔だしな。 残りのメンバーは、エルフの弓使いにして精霊術師、シエラ。 そして変わり種、生きた鎧アーマーゴーレムのアールマV7、通 称ナナ︵名付け親:ニーナ︶。 錬金術師に造られた魔法生物が冒険者に加わることは、この世界 ではそれなりにあるらしい。 中でもナナは、自分の意思でニーナたちと行動を共にしていた変 わり種だったようだが。 術式の効果時間が切れるタイミングは、もちろんまだまだ先だっ た。 ﹁ひとつはディスペルマジックなんかの解呪魔法。 でも、この可能 性は低い﹂ 解呪魔法は、かけられた魔法の術式を理解していなければ効果が ない。 つまり、半ば伝説化していた隷属魔法を解除する難易度は並大抵 じゃない。 ニーナの話では、おそらく今の世界に隷属魔法を初見で解呪でき る術師はいないということだった。 魔隷になっていても、仲間への感情や思い入れは変わらない。 ﹁泣かないでニーナ、まだそうとは限らないわ。 そしてもし、そんなものがあり得たとすると。 この探索にキリカを連れて行くこと自体、彼女にそれを知られて しまう結果を招くかもしれない。 だが、紛れもなく姫騎士は俺の最強の手駒だ。 魔隷が死んだとしてもあなたの心は痛まない の?﹂ ﹁さあね、悲しむかどうかはまだわからないな。 ﹁俺の魔隷に手を出した奴を、俺は許さない。 それだけだよ﹂ ﹁たいした独占欲ね。 さあ、先を急ごう﹂ それきり会話は途絶え、俺たちは暗い林の中をただ駆けていった。 人影とか、戦闘の痕跡は何も見えま せん﹂ 61 片眼鏡にエンチャントされた遠視魔法で、目標地点の偵察結果を 報告するニーナ。 彼女たち冒険者パーティが、もしもの時の拠点として用意してい たギルドハウスだ。 魔隷から話を聞いた俺は、シエラとナナを、ここに保管されたア ーティファクトや魔術書などの回収に向かわせていた。 そして支配が途切れたのは、ちょうど彼女たちがここに着く頃の タイミング。 何らかの手掛かりが残っている可能性は高い。 頼りにしてるよ、姫野さん﹂ ﹁はいはい。 まあ支配は解きたいけど、死んで解除ってのはさすが にゴメンだし﹂ 自嘲ぎみに笑って、腰の騎士剣に手をやるキリカ。 襲撃や罠を警戒しつつ、屋敷の中へと踏み込んだ俺たち。 そして内側に倒れている、細身の人影がひとり。 尖っている耳から、エルフであるとわかる。 真っ白な肌を漆黒のゴスロリドレスに包んだ、ビスクドールのよ うな美少女だ。 大きく赤い瞳には、人を見下すサディスティックな笑みが浮かん でいる。 そして透き通るような長い銀髪から突き出る、雄牛とも山羊とも つかない太い二本の角。 額には、縦長の目玉を模したような紫色のまがまがしい紋様が刻 まれていた。 わらわの名はパルミューラ。 第四位階に位置する魔貴族で ある﹂ 空中で脚を組み、悠然と言い放つ、少女の姿をした魔族パルミュ ーラ。 確か、最下位のレッサーデーモンですら駆け出し冒険者には絶対 かなわないような強敵だったか。 我が秘術、次元断層によって一時的にこの世界より隔絶されてお るだけよ﹂ 虹の光に囲まれたシエラを指して言う。 なら納得がいく。 携帯が圏外になるように、俺の術式も異世界ま では届かない。 ﹁まいったね、そんな解除手段があったなんて。 床にガシャリと落ちたその巨体はボロボロで、あちこちがへこん でいた。 ﹁おぬしと会いたかったからじゃ、数百年ぶりの魔隷術師。 まさか、俺をおびき寄せるためにこんなことをしたっていうのか。 次元断層まで 用意するのは面倒じゃったが、こうすれば必ずここに来ると踏んだ からのう﹂ 65 そもそも魔族とは、魔界で果てしない勢力争いを続けている種族 らしい。 人間界には、エネルギー源や生贄となる生物を狩りにきたり、た だ暇つぶしに混乱や破壊をもたらすはた迷惑な存在だ。 ﹁俺の力を、あんたたちの内輪もめに利用できるって判断か﹂ ﹁なかなか理解が早いの。 さよう、わらわの右腕となれ魔隷術師。 さすれば、人の身では味わえぬ栄光と快楽、永遠の愉悦を与えてや ろう﹂ 石膏のような白い手が、芝居がかった動作で差し伸べられた。 全員の視線が、俺に集まる。 ﹁そうか、じゃあ答えはひとつだ。 それ以外に、答えはなかった。 誰かを 従えることはあっても、俺は誰にも従わない。 決してだ﹂ 俺はゲスで悪人だが、だからこそ俺に命令できるのは俺だけだ。 俺はこの世界で好きなように生きて、その結果は全部受け入れる。 それが以前キリカにも聞かせた、俺の唯一のルールだった。 66 ﹁そして俺の魔隷を奪おうとしたお前を、俺は許さない。 なら まずは教育してやらねばならんな、その程度の力ではかなわぬ相手 がおることをな!﹂ 差しのばされた腕が上下反転し、小さな手のひらに紫の魔力が収 束した。 淡い輝きを帯びて振り抜かれた騎士剣が、俺に迫る魔力弾を切り 払い、消滅させたのだ。 少しだけ不愉快そうに、片方の眉をはね上げるパルミューラ。 忌々しい技よ﹂ ﹁そう、あなたたち魔族と戦うために編み出されたスキルよ﹂ 黒髪と青いマントをなびかせ、魔貴族に一歩もひるまず剣を突き つけるキリカ。 67 ﹁なるほど、他の魔隷と違っておぬしは意志を保っておるようじゃ の。 では、今のうちに聞いておこうか﹂ 今度はキリカに、真紅の瞳が注がれた。 キリカが、ちらりと俺を振り返った。 俺と彼女の視線が一瞬、無言で交わった。 人類の天敵、魔族と取引をするくらいなら、こ のままの方がまだマシよ!﹂ 騎士剣をまっすぐに掲げて、姫騎士キリカは堂々と言った。 俺の前に現れた時と同じ、あの凛とした横顔で。 ﹁ありがとう、信じてたよ﹂ ﹁嘘ばっかり。 とにかく、ここを切り抜けるわよ小田森くん。 少女魔貴族は、そんな俺たちを見下ろし、あざ笑う声をもらした。 69 女戦士アメリア ジョブ:戦士LV6 スキル:︻剣技LV3︼︻盾技LV3︼︻料理LV1︼ ??? 70 06話:来訪者と、魔の誘い︵後書き︶ なんだかバトルものみたいですが、次回はHシーンになだれ込む予 定ですのでご安心ください。 71 07話:魔貴族少女と、魔の契り ﹁おらおらッ、どうしたパルミューラッ! さっきまでの威勢はっ !!﹂ ﹁ひっひぃぃっっ、ひぐぅぅっ、あひゃぁぁぁうぅぅっっ!!?﹂ いやらしく湿った水音に、泣き叫ぶ快感混じりの高い悲鳴。 少し時間をさかのぼって、その過程をもう一度思い返してみよう。 その周囲からは闇色をした無数の魔力弾がひっきりなしに生成さ れ、雨あられと周囲に降り注いでいる。 ﹁くそっ、あいつムチャクチャしやがる! あたしの盾、そろそろ もたないぜ!﹂ ﹁やっぱりというか、魔法で弱体させようとしても抵抗に阻まれち ゃいますっ!﹂ ニーナの強化魔法で対魔法防御力を上げられたはずのアメリアの 大盾が、あちこち削り取られて今にも砕けそうだ。 73 キリカも聖騎剣技で流れ弾を切り払うのに精一杯で、反撃するチ ャンスを掴めずにいる。 ケタ違いの魔力による爆撃じみた猛攻に、俺たちは防戦一方だっ た。 一気に勝負をつけにこないのは、俺をいたぶり無力を実感させる のが目的だからに過ぎない。 ﹁このままじゃジリ貧だわ。 小田森くん、何か手はないのっ!?﹂ ﹁あるといえばある。 それはパルミューラに俺の隷属魔法をかけることだ。 俺を魔界での勢力争いに利用するつもりだと、あの魔貴族はうそ ぶいた。 ということは、魔族相手だろうと効くはずなのだ、魔法抵抗さえ 貫けば。 問題は、当然あの極悪ゴスロリもそれは警戒してるだろうという こと。 やってみなければどのみち、可能性はゼロだ。 74 魔力弾にどんどん削り取られていく二階を階段付近まで後退しつ つ、俺は小声で口を開いた。 ﹁いいか、みんな。 一瞬、パルミューラの人を見下した笑い顔が真剣なそれへと変わ った。 空間を歪ませる黒い波動と、聖なる奔流が正面からぶつかりあう。 激突の余波が、屋敷の天井や床板をメリメリとはがしていく。 じゃがの、第四位階の 魔貴族に挑むにはちと無謀であったなぁ姫騎士!﹂ 騎士剣が上下にがくがく震え、聖なる力がじわじわと押し返され る。 キリカの敗北が時間の問題となった、まさにこの時。 驚くのもまあ、無理はない。 呆然としていたパルミューラの表情が、わなわなと激しい怒りを 帯びる。 キリカは床に片膝をつき、今にも押し切られそうな様子だ。 ﹁いや、全部計算通りだぜ。 それをニーナの転送魔法が、テレポートさせたその先は。 両腕を突き出し秘術を放っているため、防ぐこともできない無防 備なチャンス。 魔力激突の余波で近付くことはできなくても、転送された物体な らたどり着く。 支配力がおよぶのはせいぜい一瞬。 だが、この場合その一瞬で十分だった。 直後、すさまじい轟音と閃光が、屋根を半ば吹き飛ばす勢いで炸 裂した。 キリカとアメリアに 手足を取り押さえられ、じたばたもがくパルミューラ。 最大奥義の暴発は、魔貴族からほとんどの戦闘力と魔力を奪って いた。 ﹁おーおー、形勢逆転されても威勢のいいことで。 アメリアの唾液にまだ濡れたチンポで、白い陶器のような頬をビ ンタしてやったのだ。 ﹁ひどい言いぐさだな、これからその汚物をたっぷり味わってもら うって言うのに。 口の悪い子にはチンポビンタの刑だ。 じゃあその前に俺がイキ地獄を体験させてあ げよう﹂ ﹁あなたほんといい性格してるわよね、小田森くん﹂ 絹のような手触りの銀髪をくしゃくしゃと撫でつつ、キッと俺を にらむ殺意に満ちた顔をぺちんぺちんとチンポで好き勝手になぶる 征服感。 キリカにジト目で見られながらってのがまた、余計興奮してしま うぞ。 狭くてあったかくて、人間同様にいい感触だ。 それをハンドルのように使って、ジュポジュポと魔貴族口まんこ をオナホ扱いだ。 赤い瞳で睨まれつつ、小さな口に自分のチンポが出入りする光景 は、最高に興奮する。 必死にチンポを食い千切ろうとしているようだが、せいぜい甘噛 み状態で余計気持ちいい。 押し出そうと動くちっちゃなベロも、鈴口やカリ首にあちこち当 たってランダムな快感をくれる。 涙目になりつつあるパルミューラの表情に、さんざん苦しめられ た溜飲が下がるのを感じつつ、俺は角ハンドルを握りしめ激しく上 下させた。 強制力はまだ働いてなくても、ほとんど直接ノドに流し込まれる 大量のネバネバ液を、パルミューラは飲み下すしかない。 82 白いのどがこくこく必死に動き、死にものぐるいでそれを飲み下 し続けている。 ちらっとキリカの方を見ると、息を呑んでその光景を凝視してい て、俺の視線に気付いて慌てて赤面し目をそらした。 その可愛い反応のおかげで、さらに精液がびゅるっとひと出し追 加される。 その額、瞳のような魔紋の周囲を緑色の魔力が円環状にとりまい た。 まだ完全にとはいかないが、精液を介した隷属術式がしだいに彼 女を支配しつつある証拠だ。 だが、ゆっくりとその体が床に倒れ込み、黒いドレススカートに 包まれた尻を俺に突き出すようにさし上げていく。 83 地球でも見たことがないほど高級そうな、幾重にも折り重なった 半透明のフリルがみずからの震える手で持ち上げられ、同じく黒の ガーターベルトと精緻なレースの下着があらわになった。 ﹁ようしいいぞ、効いてきてるな。 俺は笑いながら、強化魔法がいらないほどガチガチになった肉棒 を、黒い下着と柔らかい股間の肉の合間に押し当てた。 ぷにっと柔らかく閉じた純白の割れ目が、うっすらと透明の愛液 に濡れて光っている。 ﹁何百年大事にしてきたか知らないが、俺に奪われるために取って おいてくれたと思うと感無量だね。 俺の怒り狂った肉棒が、中ほどまで一気に打ち込まれた。 処女魔族マンコの吸い付くようなチンポざわり。 見ると、そこにはやや禍々しい爪と牙、瞳のようなデザインを組 み合わせた赤い紋章が浮かんでいる。 レベルアップの実感を数十倍にしたような、とてつもない何か。 87 08話:お仕置きと、新たな力 手の甲に刻まれた、禍々しい 契りの魔紋 を眼前にかざす。 魔貴族パルミューラは俺にバックから挿入されたまま、絶望的な 表情を浮かべてそれを振り返った。 ﹁なんなんだマスター、そいつは?﹂ ﹁これは上位魔族の額にある魔紋と対になっている。 魔力の主導権 を、これが刻まれた相手に委ねるという服従の証だ﹂ スキル獲得と共に頭へと流れ込んできた知識。 ニーナがなるほど と相槌を打つ。 ﹁あっ、魔法学校で習いましたそれ。 だから魔界は、それを介した 支配関係や姻戚関係が重要な社会なんですよね﹂ ﹁ええ、そして魔界に勢力争いが絶えない理由のひとつでもあるわ﹂ だが通常、それはあくまで魔族同士でしか成立しない。 隷属契約の術式を応用し、人の身でありながら魔族と契りをなし 上位に立つ。 それこそが魔隷術師の持つ、規格外のスキルのひとつだった。 ﹁わかるぜ、パルミューラ。 つまりパルミューラは、生殺与奪を俺に握られてしまったことに なる。 乱暴にたとえるなら通帳とクレジットカードを押さえられてしま ったようなもんだ。 初めて迎え入れたチンポで敏感な粘膜をえぐられ、パルミューラ の嬌声が響く。 今や隷属術式も完成し、人形のような体はまるで無抵抗だ。 隷属の強制力は、質問への嘘を許さない。 この魔貴族娘、なんだか無性にイジメたくなるな。 ﹁くくっ、傑作だな。 そのすさまじい羞恥と屈辱に、白いうなじや耳まで真っ赤になっ て、顔を両手で覆う魔貴族少女。 ﹁へえ、魔貴族のお嬢様はクリが敏感なのか。 まるで幼児におしっこをさせるようなM字開脚ポーズで、パルミ ューラの恥ずかしい場所を真正面に広げてやる。 ニーナが楽しそうに、ずっぽりハマったチンポのすぐ上の可愛い 豆に舌を伸ばした。 俺は抱えた腰をゆっくりと上下にゆすり、狭い膣内を奥までねっ とり味わい尽くす。 薄い胸を覆うレースが二人の手で引き下げられ、つつましい貧乳 が空気にさらされる。 その間にも女法術師にクリをしごかれ、少しずつ強くなる俺のス トロークに開通したばかりのマンコをほじられているのだからひと たまりもない。 魔貴族のキツい処女穴は、三人の美少女魔隷の舌攻めで溢れた大 量の愛液によって、それをしっかり快感として受け入れてしまって いる。 人間の、俺の熱い精液が、本来近付くことすら不可能な魔貴族の 胎内に、どきゅっどくんっと注がれていく。 生物として格上の存在を、無理矢理自分のモノにする強烈な征服 感だ。 93 がくがくと銀髪を、小柄な体全体を震わせて初めての膣内射精に 圧倒されている。 前から後ろから俺のチンポでほじくられ、三人の魔隷に幼い性感 を開発され、ついに気を失ったのは、半壊した屋敷をすっかり夜闇 が包む頃。 そしてエルフのシエラを囲んでいた虹色の次元断層もあとかたな く消失し、俺は彼女を魔隷として無事回収したのだった。 第二の拠点に使おうと思ってたんだが﹂ ﹁今更だけどあんなのによく勝てたわね、私たち﹂ ﹁ああ、あの作戦が成功しなけりゃヤバかった。 俺とキリカはソファーに腰を下ろし、戦いの余波でヒビの入った 窓から月を眺めていた。 制服に似た白いアンダーウェア姿に、風呂あがりのつややかな黒 髪が美しい。 シエラ、そしてアールマV7ことアーマーゴーレムのナナは、治 癒魔法を心得たニーナが別室で看ている。 シエラは無傷で捕らえられていたし、魔法生物のナナには自己修 復能力もあるので、二人︵?︶とも明日には動けるようになるだろ う。 黒く綺麗な瞳が、まっすぐ俺を見つめた。 警戒と、かすかな畏怖の視線。 それは人の身に余る大いなる 95 力だろう。 魔隷術師というジョブが、伝説とまで言われるわけだ。 魔の契りにはデメリットもあってね、俺からパルミューラに 供給される魔力は、俺のスキルレベルに制限されるんだ﹂ 手の甲にうっすら光る魔紋を月にかざし、脳に刻まれた知識を口 にする。 ﹁それってつまり、あなたの魔隷になった彼女はさっきの戦いの時 より弱体化してるっていうこと?﹂ ﹁うん、少なくとも今はね。 そんな力を得て、あなたはいったい何をするつもりなのか、と。 俺はそれを無視して、逆にひとつの疑問を口にした。 ﹁不思議に思っていたことがある。 そんな伝説上の存在、魔隷術師 の出現を、パルミューラはともかく君が察知していたのはなぜだ?﹂ この世界で再会したあの時、キリカは俺より先に魔隷術師の名を 口にした。 数件の行方不明事件と冒険者パーティひとつの失踪で、そこまで 想像がおよぶとは思えない。 その可能性を私に教えたのは、 システィナ姫さまよ﹂ キリカの主君、システィナ・ランバディア第三王女が、いったい なぜそれを? ﹁ランバディア王家の女性に、建国女王から代々受け継がれたスキ ルよ。 システィナ姫さまには、数世代ぶりにそのスキ ルが発現したのよ﹂ ﹁へえ、すごいな。 卑弥呼みたいだ﹂ ﹁予言はみだりに人に教えてはならないとされてるけど、私は彼女 の側近だったから聞かされていたわ。 俺もずいぶんと大きく評価されたもんだ。 ﹁それで、可能性のありそうな事件の調査には名乗りをあげるよう にしてたのよ。 まあ、まさかこんなに早く出現するとは思わなかっ たし、あなただったのはもっと予想外だったけど﹂ ﹁ま、それはお互い様ってことで﹂ なら、調査から戻らない姫騎士の異変を、魔隷術師との遭遇だと 姫が結論付けるのも時間の問題だろう。 これは本腰入れて、姫を手に入れる計画を考える必要があるな。 予言スキルってのも役に立つかもしれないし。 乾きかけた黒髪のいいにおいが、ふんわり鼻孔をくすぐった。 ずっと羨ましそうに見 てたし﹂ ﹁だっ誰がっ!﹂ 慌てる様子が可愛くて、押し倒そうかなと思ったその時。 部屋の反対側で、小柄なゴスロリ姿がふらりと立ち上がった。 別のソファーに寝かされていたパルミューラが、いつの間にか目 を覚ましていたのだ。 乱れた服や行為の汚れは、魔力の作用ですっかり綺麗になってい る。 便利だな、魔族。 ﹁おっ、起きたか。 どうだ、生まれ変わった気分は?﹂ ﹁最悪じゃ。 最悪に決まっておるわ。 ﹁それよりも、システィナ姫といったな。 命令で聞き出されるのも シャクじゃから、先に伝えておくぞ﹂ ﹁え?﹂ あるいは、俺にせめてもの仕返しの一撃を喰らわせてやるとばか 98 りに。 パルミューラは、意外な言葉を口にした。 その配分等に関しても、ご意見あれば感想で聞かせてくださいませ。 101 09話:闇の陰謀と、エルフ娘 魔族の位階は、以下の七段階からなる。 第七位階、レッサーデーモンやヘルウォーリアといった魔界の尖 兵たち。 第六位階、より上位のデーモンや、ランクアップしたエリート兵 力。 第五位階、魔将軍ら魔軍の指揮官級、魔騎士などの最精鋭ユニッ ト。 第四位階、魔貴族を名乗る魔界の支配階級たち。 第三位階、八冥家と称される魔界の名門八大貴族。 第二位階、三大公と讃えられる魔界三大実力者。 だが魔王は数千年の昔、勇者なる異能の人間と相討ち、姿を消し たという。 ヤツは己の目的のため、予言の姫を狙ってお る﹂ 102 イヴリース。 それが、システィナ姫を我がものにしようとしている魔族。 その仇敵イヴリースに対して、だいぶ思うところがあるらしい。 図星か。 予言の姫を狙っておること自体、ヤツ の陰謀を常に探っていたわらわくらいしか掴んでおらぬはずじゃ﹂ まあどうあれ、人間にとってロクな目的じゃないのは間違いない だろうな。 ﹁直接動けば、他の八冥家をはじめとするライバルに狙いを気取ら れる。 それに高位の魔族ほど、魔界の魔力そのものと肉体が直結し ておるから、人間界では弱体化を余儀なくされるのじゃ﹂ 魔力を俺に依存してる今のパルミューラが弱体化してるのと似た 理屈か。 なるほど、人間界にいる所を他の勢力に袋叩きにされるのは避け たいだろうしな。 ﹁つまり、もっとまわりくどい方法で姫さまを手に入れようとして いる?﹂ ﹁おそらくはの。 魔族の暗躍を、いま俺たちだけが知ってしまった。 ﹁ならランバディア王都に、そのことを知らせなくちゃ!﹂ ﹁おいおい。 イヴリースとやらには渡さな い。 それだけのことだ。 104 ﹁その話を知る前から、俺は姫さまも自分の魔隷にするって決めて たんだ。 背筋がちりちりす る。 だけど、それで諦めてちゃ、好きに生きることはできやしない。 ﹁なんとかしてみせるさ。 今や魔隷術師が、姫を魔族から守る立場になったのだから無理も ない。 ﹁まあよい、ヤツに一泡ふかせられるなら願ったりよ。 くふふ、い つかこの契約から逃れてみせるのは当然として、その計画にはわら わも乗ってやろう﹂ ﹁なにが乗ってやろう、だ偉そうに。 月明かりの下、あらためてキリカが俺に向き直った。 半分だけありがとうと言っておくわ﹂ 105 ﹁姫野さんらしいね。 隷属術式上書き をキリカに気持ち良く そうして俺たちは、ひとまずの眠りについたのだった。 パルミューラに見せつけながらするのも、なかなか盛り上がるな、 うん。 106 ニーナのより色素が薄くふんわりしたロングの金髪は、左耳側の 前髪を一房だけ、三つ編みに結った特徴的なヘアスタイルだ︵部族 の伝統らしい︶。 森に暮らす長命種族エルフの弓使いにして精霊術師、シエラ。 四人の冒険者パーティ、最後の一人である。 抑揚のとぼしい声だが、どうやら落ち込んでいるらしい。 中で舌がにゅるにゅると踊り、敏感な輪郭をなぞるよう愛撫して くる。 仕込むそばから一を聞いて十を知るでどんどん上達するのだ。 ゆっくりねっとり、スローペースでチンポをじわじわと追い詰め てくる。 おとなしそうな顔に似合わず、どこにも逃げ場がないようなしつ こいフェラだ。 得意技 があった。 このまま朝一番をヌかれてしまうのも天国だろう。 薄いワンピースの肩ひもを、無言でゆっくりとはずす。 アメリア以上なのはもちろん、キリカよりもやや大きいんじゃな いか? 108 あっという間に、ソファーから垂直に跳ね上がったチンポを二つ のまろやかなふくらみが包む。 まるでどこにも接触せずに浮いているような錯覚すら覚える気持 ちよさ。 よくわからないが、やる気を出しているらしい。 ﹁わかってるってシエラ。 ヤバい、このままじゃ 発射は時間の問題だ。 その時、机を挟んだ向こう側のソファで、キリカの毛布が不自然 にもぞっと動いた。 水平よりやや下向きの角度で伸びた長いエルフ耳に、俺が手を伸 ばして触れたのだ。 すべすべした表面をさわさわ、根元から先まで何度もなぞってや る。 でも、シエラの可愛い声が久しぶりに聞きたくて さ﹂ 目をつぶって小刻みに震えながら、性感帯をいじくられて鳴くシ エラ。 声に驚いて毛布がもそもそ動き、こっちをチラチラ気にしてるの がわかるぞ。 じりじりとせりあがってくる射精感をこらえつつ、俺は両手で左 右の耳をもてあそぶ。 紅く染まったエルフ耳にキュッとトドメを刺すと、シエラが細く 叫んでのけぞった。 同時にエルフおっぱいに先端まですっぽり包まれたまま、俺のチ ンポがぶるるっと震え、朝一番の白濁をどくどくっと吐き出す。 ﹁よく頑張ったな、シエラ。 ちなみにパルミューラは魔力が活動源のため、普通の食事はとら ないそうだ。 その割には、和気あいあいと食べる俺らをどこか羨ましそうに見 ていたが。 ﹁ゴ主人、ナナノ機能ハスッカリ修復サレタ。 イツデモ戦エル﹂ ﹁ああ、頼りにしてるぜ、ナナ﹂ 2mを越す赤銅色の全身鎧が、ガシャガシャ音を立てて嬉しそう に近付いてくる。 112 その頭部のスリットからのぞく魔力レンズが、パルミューラの姿 をとらえた。 ﹁オウ、新入リ。 ボコラレタノハ水ニ流シテヤル、アリガタク思エ﹂ ﹁誰が新入りじゃデク人形。 もう一度ベコベコにしてやろうか?﹂ ﹁ナンダト、ヤルノカ、弱クナッタ小ッチャイノ﹂ 巨大なアーマーゴーレムに頭上からガンを飛ばされ、むきーっと 両手を振り上げて怒るパルミューラ。 この魔貴族、最初の威厳はどこに行ったんだ。 ﹁まあまあ、これからは仲良くしないといけませんよパルちゃんも ナナちゃんも﹂ ﹁だ、誰がパルちゃんじゃ!﹂ 冒険者パーティの3人+1体、キリカ、パルミューラ、そして俺。 気が付けば7人というなかなかの大所帯になったもんだ。 きっとその脳内では、さっき盗み見た光景がリフレインされてる のだろう。 魔隷かそれ以外かに関係なく、今後女性キャラが主人公に手のひ らを返す、裏切る、他の相手になびく︵寝取られる︶といった展開 は、絶対に発生しません。 その点は最後まで守りますので、気になるという方はご安心くだ さい。 凶暴無比な熊型モンスター、ルーンベア。 魔力によって変質したその体は、金属のような光沢を持つウロコ 状の装甲に守られていたが、レベルアップしたキリカの聖騎剣技は ものともしない。 風の精霊魔法と弓術を組み合わせた、精霊弓士シエラの得意戦法 だ。 ﹁イイゾ、シエラ! ナナモ、ゴ主人ニイイトコ見セル! ヌォォ ォーッ!!﹂ その背中側では、もう一体のルーンベアとアーマーゴーレムのナ ナが、がっぷり手四つに組み合ってギリギリと力比べの真っ最中。 体格では負けているのに、押しているのはナナの方で、ルーンベ アの丸太みたいな豪腕がべきばきと痛そうな音をたてている。 117 ﹁ナナちゃんやっるぅ! そのまま抑えててね、とっておきのやつ 詠唱するからっ﹂ ﹁オウ、任セトケ、ニーナ!﹂ 帰路の途中、林の中で俺たちは飢えたルーンベア二匹の襲撃に遭 った。 殺意満載のトラックが突っ込んでく るようなもんだ。 普通なら死を覚悟する状況。 ﹁おおっとォ!! あたしがいる限り、マスターには指一本触れさ せないぜ!﹂ アメリアの構えた大盾が、壁くらいブチ抜きそうな衝撃をものと もせず受け止めた。 ランパート・ 盾自体はギルドハウスにあったスペアの店売り品だが、使い手の 盾技レベルのなせるわざだ。 しかも、ただ止めただけではない。 宙に浮くほどの勢いではじき飛ばされた巨体が、もんどりうって 地面に倒れる。 まさに攻防一体、得意の戦い方に磨きがかかってるな。 すかさず、狙い澄まされたシエラの一矢が額の急所を貫き、とど めをさす。 そして、よろよろと起き上がった残り一体めがけ、キリカが駆け る。 地を蹴った白銀の甲冑姿、その足下に蒼い円状の輝きが出現した。 サークル・エアリアル ﹁天翔輝円ッ! はぁぁッ!!﹂ 小さな皿ほどの輝きを足場にして、姫騎士がマントと黒髪をなび かせ天を舞う。 ルーンベアの頭上を飛び越え、首筋から背中にかけての一閃。 ﹁お疲れ様。 一体でもベテランパーティを苦戦させる強敵と聞いていたが、ま るで子供扱いだ。 それにより基礎スペックを引き上げたり、消耗をおさえることが 可能だ。 パルミューラとの契約で大きな内在魔力を得た俺には、うってつ けの能力といえる。 少しくすぐったい。 後でお仕置 きな﹂ ﹁な、なにゆえっ!?﹂ 120 ともあれ、今のパーティの実力︵ひとり除く︶を確認できて、結 果オーライといえる遭遇だった。 こんなに強い美少女たちを従えているという充実感も、実に悪く ない。 ここを離れていたのはほんの丸一日程度なのに、ずいぶんと久々 な気がする。 さて、今後やるべきことは、大きく分けてふたつある。 情報の収集と、戦力の充実だ。 まずはとにもかくにも、システィナ姫周辺の内情を探ることだ。 キリカからの聞き取りと併行して、やはり王都に誰かを向かわせ て直接探りを入れた方がいいだろう。 隠密行動スキル持ちで、本人も失敗を取り返したがってるシエラ が適任かな。 同行者は、もちろんキリカやパルミューラを除くメンツから選出 しよう。 121 戦力の充実に関しては、ちょうどギルドハウスから回収した諸々 が役に立つ。 エンチャント レベルアップしたニーナは、魔力の器となるアーティファクトに 魔法を充填付与できるようになった。 指輪などの装身具に強化魔法を付与すれば戦術の幅も広がるし、 魔法生物のナナは体そのものを付与対象にできるから相性抜群だ。 ただし、その儀式には時間がかかるからニーナは調査には向かわ せられないけど。 イヴリースの暗躍は気になるが、いまさら慌てても仕方がない。 という要素も含まれ いつ、何とやり合うことがあっても最大限に力を発揮できるよう みんなで英気を養う 準備を整えておくことが肝心。 うん、とても重要なことだ。 清楚な白いスカートから突き出された、適度にむっちりした姫騎 士シリ。 浅黄色のミニからのぞく、きゅっと切れ上がったエルフ尻。 腰にレザーベルトの巻かれた、日焼けした健康的な安産型。 術師のローブをぺろんとまくりあげた、真っ白な丸いおしり。 ドレススカートの下でぷるぷる震える、生意気なちっちゃいケツ。 五つの魅惑的なお尻が、俺の目の前にずらり並んでいる。 どれをどの順番でどうするも、俺の自由。 せっかく女魔隷が五人、こうやって一同に会 したんだ﹂ やらいでか、男のロマン。 さあ、全員並べてオマンコ比べといこうじゃないか。 立ったまま寝室の壁に手をつかせ、計10個ものぷりっとしたふ くらみが並んでいるのは絶景だ。 これぞ男の夢、男のロマン! ﹁わかってたつもりだけど、あなたってほんと最低っっ! しかも なんで全員、服とか鎧のままなのよ!?﹂ ﹁そこがこだわりポイントだよ。 残りの三人はすでに、お尻を振ったり足を小刻みに震わせたりし て、今か今かと俺のチンポに選ばれるのを待ちわびている。 左から順に、キリカ、シエラ、アメリア、ニーナ、パルミューラ 124 の並びだ。 スライドしたチンポ先が、少しずつ触感の違う柔らかい凹凸の上 を、先走り汁の跡を引いて一人ずつ通過していく。 ﹁そうだシエラ、久しぶりに抱いてやるって約束してたな。 キツキツの柔壁を掘り進んでかきわける痛いほどの快感が、チン ポにみっちり返ってくる。 125 この狭い穴を自分のカタチにする征服感が、エルフマンコの醍醐 味だ。 ﹁ああ、キリカは聞くの初めてだったな。 ハメられてるシエラ、普 段と全然違うだろ?﹂ 人間よりも細身のエルフは、男女ともに性器のサイズも小さめら しい。 個人差はあるが、人間のオスとのセックスは、同族とは比べもの にならないほど気持ちいいスポットを奥まで激しくグリグリ刺激さ れてたまらないそうだ。 ﹁な、なんたる浅ましい嬌声じゃ。 いぜん俺のチンポはシエラのエルフ膣 に納まっていて、手などで触れてもいないのだから。 だが、パルミューラが今感じているのは間違いなく俺のチンポに 犯される感触なのだ。 ﹁昼間に使った魔隷強化スキル、あれには応用法があってね。 右隣のアメリアがさっきから物欲しそうに振っている日焼けした 安産型のお尻、その中心を一気にミチミチと割り開いた。 ﹁あぁぁっ、んぁぁぁぁああっっっ!! きっ来たぁぁ! マスタ ーのおチンポ様きたよぉぉっ! うっ嬉しいっ、あたしハメられて 嬉しひ、よぉぅぅっっ!!﹂ シエラに比べたっぷり肉厚で、愛液も多いジューシィな女戦士マ ンコが、鍛えられたしなやかな筋肉でギュウギュウ締め上げてくる。 これもまた、たまらない。 そして左端ではキリカが、エルフに続いて女戦士の豹変にも驚き つつ赤面している。 上出来だとばかりに、アメリアからニーナへ、女戦士と対照的に どこまでもまったり柔らかい法術師のお尻の中心、ピンク色の割れ 目へとチンポの標的を移す。 吸い付くようなまったりした挿入感に迎えられ、二人一緒に長い 快感の声をもらす俺たち。 もちろん今度も感覚同調が連鎖しているので、仲良し冒険者仲間 三人のあえぎ声が重なって絶妙なハーモニーを奏で、部屋の空気を ピンクに染めていく。 この独 占感がたまらない。 ちらりとキリカの様子を見ると、みんなのエッチな雰囲気にあて られて頬は上気し、カチャカチャと鎧をかすかに鳴らして自由にな らない体を揺すっている。 イヤなら今回 はムリにとは言わない。 一番早くから感覚同調の挿入感にさらされ続けてきたパルミュー ラは、あらためて生チンポをシエラ並みに狭いマンコにずぶずぶ沈 めてやると、息も絶え絶えに細い悲鳴をあげた。 ゴスロリスカートをまくりあげ、魔族娘の白いお尻を俺が平手で 叩いた音だ。 叩くたびにキュンキュンと、ただでさえ狭い魔貴族マンコがお上 品に収縮して、俺のチンポを食い千切らんばかりだ。 凛とした白銀の姫騎士装束の内側に、中途半端にしか満たされな い快感を持てあましたキリカが、もどかしそうに内股を自分からす り合わせて震えていた。 隷属魔法による、お尻を突き出したポーズを維持しろとの命令が もしなければ、こっそりオナニーでも始めていたんじゃないかとい う勢いだ。 おあずけと周囲で延々続くセックスの熱にあてられ、じっとりと 132 汗ばんだ元クラスメートの体は、全身から若いメスの匂いをうっす ら放っているかのようだ。 それでも、真面目なキリカは自分で踏ん切りをつけることはでき ない。 俺への複雑な感情が、そしてセックスにおぼれることをタブーだ と遠ざける古風な倫理観が、カラダのうずきに正直になることを邪 魔している。 姫野桐華は、そういう女の子なのだ。 目をそらして長いまつげを震わせる姫騎士の顔に、せつないマン コにチンポを入れてもらえることへの期待と安堵が、確かに見えた。 ひとつ言ってお くことがあった﹂ 清楚な白いスカートの下で言葉と裏腹に、もうトロトロに透明の 仕込み を口にした。 驚くほどスムーズに、素直に、無数のヒダがフル勃起チンポを奥 へ奥へと、せかして招き入れるように呑み込んでいく。 姫騎士甲冑のまま俺とバックでつながったキリカは、言い訳のし ようもないエクスタシーに全身を貫かれて絶叫した。 なら、少しずつわからせていくまでだ。 俺のチンポで。 むっちりしたお尻をスカートごしに掴み、じゅくじゅくマンコを 容赦なくグリグリ攻め立ててやる。 すると即座に、四人の背筋や腰が悲鳴じみた声と共に跳ね上がっ た。 約一名、別方向にできあがってる弱キャラがいるが、今はお仕置 き放置プレイしとこう。 五つのマンコを味比べハシゴした俺のチンポも、さすがにそろそ ろ限界だ。 左手で腰を、右手で甲冑の肩口から伸びる青いマントをひっつか み、姫騎士の体を丸ごと前後させて最奥までチンポでえぐりあげる。 弱点にゼロ距離から精液をぶちまけられたキリカは、全身を巨大 な波に押し流されるよう波打たせて、これまでにないオルガスムス の叫びをほとばしらせた。 その本気イキのエクスタシーは、当然同調した他の魔隷たちにも 伝播していく。 精子の発射量も段違いで、でもキリカはそれをしっかり残らず受 け止め飲み干してくれる。 もっとも、そのイキたてオマンコは挿入されたままのチンポを嬉 しそうに、もぐもぐと甘噛みしているのだが。 ため息をつく機能がもしあれば、嘆息していたに違いない。 139 11話:五人の魔隷と、俺との宴︵後書き︶ 月間1位、四半期6位という目を疑うようなご好評に感激です。 感謝の意味もこめて、今回はいつもよりボリューム増のHシーンを お届けしました。 今後も皆さんの評価や感想を励みに、エロ楽しい物語を続けていき たく思います。 140 12話:ふたつの食事と、ひとつの知らせ 次の日さっそくシエラとアメリア、そしてナナというメンバーが、 ランバディア王都近辺まで情報を探りに出発した。 メーラースクロール 俺は緊急連絡手段として、ギルドハウスに保管されていたアーテ ィファクトのひとつ、伝書巻物を調査パーティに持たせた。 これは二枚一組で、送信側に書かれた文字が距離に関係なく受信 側にも浮き出る魔法のFAXみたいなものだ。 ただし一回きりの使い捨てで、地球の科学の方が魔法より進んで る部分もあるんだなと妙な感慨を抱かせてくれる。 なくなってわか るネットやスマホのありがたみ。 洞窟の拠点に残ったメンツは、キリカとパルミューラ、ニーナ、 そして俺。 先の二人は色々と目立つ上に俺が同行しないと隷属術式の更新も できないし、ニーナはエンチャントの準備があるため自然とこの分 け方におさまった。 白のブラウスに似たアンダーウェアと短めのスカート姿に、落ち 着いた黒のエプロンがよく似合っている。 ﹁見ればわかるでしょう、料理よ。 俺は木の椅子に腰を下ろし、すらりとした後ろ姿をながめること にした。 こうして彼女の背中を座って見ていると、授業中黒板に向かって いた同じシルエットを、最前列の席からぼんやり眺めていた頃を思 142 い出す。 本来俺なんかじゃまともに話す機会もなかった高嶺の花、クラス 委員の美少女。 それが何の因果か、今じゃ異世界でご主人様と魔隷、男と女の関 係だ。 そん なこと、思ってもみなかったわね、そういえば﹂ ﹁へえ、そうなんだ? 意外かも﹂ あっちに何の充実感もなかった俺と違い、クラスの人気者で教師 からの信頼も厚い姫野桐華は、それらを失って来たこの異世界より 地球に未練があるとばかり。 だけど今、元の世界について語る彼女は本当に興味すらなさそう で、それが俺に違和感を抱かせた。 初めて俺の前に現れた姫騎士キリカの振る舞いは、堂に入ったも のだった。 自分がそうなので忘れていたが、ほんの一ヶ月でああも新しい環 境に順応できる彼女も、ある種の特異な人間といえるだろう。 頼れるクラス委員の優等生。 王女付きの精鋭姫騎士。 そして俺の魔隷。 もちろん環境もやることも違うが、並べてみると共通する点がな くもない。 そして彼女は、それを受け入れ続けている。 先の言葉がそういう意味なら、この世界で転機を迎えた俺と違っ 144 て、彼女には本当の意味で 変化 は訪れていないのかもしれない。 脳内で命令を出し、彼女の体を部分的に操ったのだ。 まったく、ご主人様相手に失敬な魔隷もいたもんだ。 ぼやきながら自室まで戻ってくると、中には先客が待ち構えてい た。 ベッドの前にたたずむ漆黒のゴスロリドレス姿、うつむいた銀髪 がふるえている。 俺はちょうどいいムラムラのはけ口がやって来たことに、内心で にやりと笑い、扉を後ろ手に閉めた。 床に座り、両手はひざのスカート上にちょこんとそろえ、発情し た顔を突き出すようにして吸い付いてくる。 そんな魔貴族にとって、精液という生体魔力のたっぷり詰まった 俺のチンポは何ものにも代えがたいごちそうというわけだ。 あふれた先走り汁で小さな顔があちこちぬるぬるになってるが、 魔力欲しさに我を忘れたパルミューラは意に介さない。 エルフの耳同様、魔族の角は性感帯らしい。 扉をノックの音が叩いて、ビクッ! と亀頭にかぶさった唇が驚 き震え上がった。 俺は唾液とカウパーでぬちゅぐちゅの口内に、思いっきり精液を 解き放った。 俺は最後の一滴までちゅーちゅー吸い上げる貪欲なロリフェラリ ップから、チンポをゆっくりと引き抜いた。 俺が教えた服従ポーズで、魔貴族は魔力に満たされる快感にぷる ぷると小さな身体を波打たせていた。 最近エンチャント作業で部屋にこもりがちなニーナは、ここぞと ばかりに舌鼓を打っている。 卓上に置かれた伝書巻物が淡く輝き、表面に文字が浮き出し始め た。 そろそろ何かを掴んでもおかしくない 頃合いだ。 ﹁﹃姫は王都に不在。 入れ違いで 啓の塔、だって?﹂ 予言の姫 が、重要な予言のビジョンをより正確に見極 その聞き慣れない単語に、キリカがえっと声をあげて反応した。 重要点は、姫が王都を離れ、おそらくは少人数で僻地に向かって いること。 これがチャンスでなくて何だろう。 切り立った崖から見下ろすと、ギザギザに蛇行した狭い渓谷はま るで干上がった深い河のようだ。 元の世界で言うなら、映画とかで見る北アメリカの荒野に似た光 景かもしれない。 ﹁渓谷の入り口にヒヅメや車輪の跡はありませんでした、ご主人様﹂ ﹁なんとか、姫より先回りできたみたいだな﹂ あれから俺たち四人は、調達したばかりの二頭立て小型馬車を駆 天啓の塔 に入られてしまっては面倒だ。 先手を って、ここシビュラ渓谷へと急行してきた。 この先にある 打つには、シエラたちの合流を待っていては間に合わない可能性が 大きかった。 幸いこの渓谷は待ち伏せにうってつけの地形。 システィナ姫一行がここを抜ける前に、現在の戦力だけで勝負を 決めるのだ。 ﹁よしニーナ、グラビティフィールドで出口側にでかい岩をいくつ か転がしてきてくれ。 遠くからバレないよう、曲がった地形の先に な﹂ ﹁わかりました、足止め用ですね﹂ ﹁遠見の片眼鏡は姫野さんに渡しておく。 イヴリースもここを狙ってくると 152 思う?﹂ 天啓の塔 についての詳しい話をキリカから教わ ﹁それはわからないな。 ただ、気になることがある﹂ 移動中、俺は った。 その施設はここ百年以上もの間、ずっと使われてないという。 システィナ姫ほどの高い予言スキル持ちが不在だったのもあるが、 よほど重大な、それこそ国の命運を左右する予言でもないと軽々し く用いるべからずと禁じられていたらしい。 そこが少し、俺の頭に引っかかっていた。 ﹁もし、万が一にだ。 ただ結果的に今、最精鋭の姫騎 士はシスティナ姫のガードを離れている。 おっと、責任感が強いのも考え ものだな。 ﹁なあに、ものは考えようだよ。 姫を、魔族の手からは絶対に守ら ないと﹂ ﹁うんうん、その意気だ﹂ 軽く頷き、いつもより真剣な顔で渓谷入り口側へと向かうキリカ。 その足がふと、ピタリと止まった。 はなから交渉にならないことくらい、彼女もわかってるはずだが。 ただ、ひとつだけ言っておくわ﹂ 渓谷の強い横風が、長い黒髪と青いマントをばさりとはためかせ た。 以前も見た、凛とした決意の表情。 ﹁姫さまは私の恩人よ。 ぞくりと背筋が震える。 恐怖じゃなく、歓喜に。 ﹁ああ。 覚えておくよ、姫野さん﹂ ﹁ええ、ありがとう。 話はそれだけよ﹂ よどみない足取りで配置に向かう彼女を見送る。 少し離れた場所で宙に脚を組み浮いていたパルミューラが、音も なく近付いてきた。 根っ からの委員長体質﹂ ﹁おぬしの言葉は時々、よくわからぬ﹂ 責任感。 それが姫野桐華という女の子を突き動かす重要キーワー ドだ。 ま、だからこそからかいがいもあるし、誘導もしやすいんだけど。 ﹁それはそうと、お前も今回はちゃんと働いてもらうぜ﹂ ﹁ふん、わかっておるわ。 さあて、果たしてこのプランが首尾良く 155 いくかどうか。 その前後左右には馬上の護衛兵が計四騎、守りを固めて併走して いる。 ﹁よし、手はず通りに仕掛ける。 ミッションスタートだ、みんな﹂ 崖の上に伏せつつ、俺は固唾を呑んで状況を見守った。 狙い通り、蛇行した渓谷内で行く手をふさぐよう現れた、不自然 な落石の出現に急停止する馬車一行。 さすがは姫の近衛兵、鋭い号令をあげて二騎が弓を、もう二騎が 手槍を抜き放ちつつ四方を警戒し、同時に馬車を急速反転させる。 そう、まさにこの瞬間が勝負だ。 ﹁今だ、送るぞパルミューラッ!﹂ ふわりと、大きな落石の上に降り立つ黒い魔貴族。 魔力の同調によって、俺の手と彼女の額に刻まれた対の魔紋が同 時に輝いた。 そしてドッと俺を襲う、全力で100m以上泳いだ後のような全 156 身の疲労感。 護衛たちが彼女の存在に気付くが、もう遅い。 驚き、色めき立つ護衛たちから悲鳴があがった。 あの炎は肉体ではなく、精神を灼くという。 急激な虚脱感とショック症状に襲われ、円内に閉じ込められる形 になった護衛や御者たち、馬までが、ひとりまたひとり倒れていく。 姫も車内で気を失っているはずだ。 シエラを捕らえる際に使った というこの術は、今回の作戦にうってつけだった。 157 もっとも、今回は停止位置が先読みできた待ち伏せだからこそ最 大限に活かせたのもあるが。 俺は眼下に軽口を飛ばしつつ、向かいの斜面に立つキリカに合図 を送る。 ﹁よし、行ってくれ。 落下途中で天翔輝円を起動、輝く足場を蹴って衝撃を軽減し、動 くもののいなくなった馬車の前へと優雅に降り立つ。 魔法抵抗スキル持ちの姫騎士は、くすぶる魔炎の影響をものとも しない。 なにせ魔族から守るためとはいえ、かつての同僚たちを蹴散らす 側となって、主君をその手で誘拐するのだから。 だが、俺から下された命令に逆らうことはできない。 姫騎士の手がゆっくりと、静まりかえった馬車の扉へと伸びる。 それが目の前の相手を認識したことで、驚愕のトーンを帯びた。 もうひとりの、女騎士だった。 159 ︻企画告知︼エキストラHシーン投票企画のご案内 ﹁本編中の特定の時期に、実はこういうHイベントが起こってい た﹂という設定で、投票結果をもとに新たなシーンを追加する﹁エ キストラHシーン投票企画﹂第一回、おかげさまで無事終了いたし ました。 本稿はその告知スペースの名残となります。 結果発表は活動報告の方でいたしますので、書き下ろしHシーン の投稿ともども、しばしお待ちくださいませ。 また、今回の企画に関しては﹁作品への没入を阻害するのでこの ような告知は他の場所でしてほしい﹂というもっともなご指摘をい ただきました。 反省を踏まえ、今後同様の企画などはあとがき等で の簡単な告知にとどめつつ、活動報告の方で詳細を書かせていただ くという形にするつもりです。 それでは、引き続き本編をお楽しみください。 周囲を包む炎を反射してにぶく輝く、キリカによく似た白銀の甲 冑。 ただキリカの青と対照的に、胸元のリボンやスカートなどのあち こちを彩るラインは赤く、ひるがえるマントもまた真紅だ。 年齢は大差なさそうだが、すらりとした長身はキリカよりやや上 背があり、長い亜麻色の髪をポニーテールにしてまとめている。 そしてプライドの高そうな切れ長の瞳は、驚愕から敵意の色に変 わりつつあった。 まずい、あれはかなり強い。 さすがにキリカほどではないだろう が、その当人は知り合いらしい相手と戦うことを明らかに躊躇して いる。 161 相手は逆に、命を奪わんばかりの勢いで斬りかかって来ていると いうのにだ。 魔炎の檻を受けても動けている所から見て、装備かスキルかはわ からないが魔法抵抗持ち。 つまりニーナやガス欠状態のパルミュー ラでは有効な援護手段がほぼない。 それにあまり時間をかけていては、護衛兵たちが意識を回復して しまう。 早急にカタを付けてもらうしかないのだ、キリカひとりの手で。 眼前の敵を、全力で無力化しろっ!﹂ 俺から飛んだ、隷属術式による逆らえない命令が、姫騎士の体を 支配した。 とたんに防戦一方、炎の円の際まで追い詰められつつあったキリ カの動きが変わる。 162 バランスを崩しよろめく女騎士。 ポニーテールが大きく揺れる。 そして元同僚めがけ、距離をとった姫騎士の剣がゆらりと構えら れた。 ぶわッ、と衝撃の余波が渓谷を吹き荒れ、魔炎の檻すらまるでロ ウソクの炎のように吹き消された。 やはりとんでもない威力だな、 あの剣技は。 ﹁し、死んじゃったんじゃないですか、あれっ!?﹂ 土煙に包まれた渓谷内を見下ろし、慌てるニーナの声。 マントはあちこちボロボロだが目立った外傷はない。 そのすぐ隣では、赤茶色の地面が小さなクレーターめいてえぐれ ている。 キリカは先の一撃を直接ではなく、女騎士の足下の地面に撃ち込 むことで、致命傷を与えることなく無力化に成功したのだ。 ﹁なるほどの。 全力で無力化しろとは命じたが、殺せとは命じてお らぬというわけか。 自分は囮だと、あの女騎士は言った。 行く所がないという彼女に、姫はあれよという間に自分の側近と しての立場を、近衛騎士の座を与えてしまった。 異例の抜擢だったが、強さと心の気高さを備えた者にしか発現し ない姫騎士のジョブに選ばれていたことが、そして何より姫の命を 救い、その全幅の信頼を得ていたことが周囲を納得させた。 だが、セレスタは納得がいかなかった。 164 姫を護るという大役は、自分のような貴族の子女が幼少から文武 を鍛え作法を修め、やっと勝ち取れる役目のはずだ。 年端もいかない子供の頃、父に連れられシスティナ姫さまに初め て拝謁を許され、そのまばゆい美しさを前に憧れとともに誓った。 このお方を命に代えても守り抜こうと。 だからこそ、それは自分の役目のはずなのだ。 ﹁姫さま、今日という今日は大事なお話がありますッ!﹂ ﹁あら、セレスタ。 ちょうど美味しいお茶が入った所なの。 お菓子もありますわよ﹂ ﹁は、いただきます。 これではいかん、とセレスタは決意した。 そして、キリカに手合わせを挑んだ。 自分が納得するだけの実力 を示さなければ姫のそばにいる資格はない、荷物をまとめて出て行 くがいい、と。 勝負はあっさりと決した。 他の女騎士からメイドに至るまで、どんどん彼女は周囲の信頼と 人気を得ていった。 手合わせを重ね、共に任務に就くうちに、彼女が裏表のない好人 物だと思い知ってしまった。 セレスタの煩悶は続いた。 だが、そこに転機がやってきた。 心配する姫を慰めながら、セレスタはまたもや悩み、とまどった。 気に入らない相手が消えて喜ぶべきなのに、なぜかそう思えない 自分に。 だが、女騎士の胸のモヤモヤは消えてくれない。 そこに再びの、決定的な転機が訪れる。 反射的に立ち上がろうとして、手足が拘束されていることに気付 く。 顔を上げると薄暗がりの中、地味な色のローブをまとった男らし き姿が、自分を見下ろしていることがわかった。 拘束は厳重だ。 部下たちはあの異様な術で無力化され、もしかし たら皆殺しにされ、自分だけがこうしてどこかに運ばれている。 あらゆる可能性を考え、そして覚悟を決めた。 誇り高き女騎士として、貴族の家に生まれた女として、システィ ナ姫に剣を捧げた者として、この状況で言うべきことはひとつしか なかった。 その言葉を、言い放った。 168 15話:砕かれる誇りと、その名 天啓の塔 へと向かわせながら、 ﹁この女騎士は、まだ魔隷化しない。 少なくとも今はね﹂ ニーナに運転を任せた馬車を 荷台で気絶したセレスタを前に俺がそう言うと、キリカとパルミュ ーラは意外そうな顔をした。 ちなみに他の護衛兵たちに関しては、武器を奪った上で馬のあぶ みと馬車の車輪を破壊してきた。 気がついても、まともに追いつい ては来られないだろう。 ﹁む? なぜじゃ、予言の姫の居場所や、なにゆえ襲撃を予測して 天啓の塔 に別ルートから向かっていることはまず いたかという情報を一刻も早く聞き出す必要があるのではないのか ?﹂ ﹁姫なら今、 間違いない。 ﹁いや、多分それはない。 まんまとハメられたんだよ、セレスタ も、そして俺たちも﹂ イヴリースがどこまで俺たちのことを把握しているかはわからな い。 もしかしたら﹁襲撃者がいる﹂という情報はハッタリで、セレ スタを引き離し護衛を手薄にできればよかっただけかもしれない。 だがどう転んでも悪くない手だ。 パルミューラの言う通り、周到 な陰謀家だな。 ﹁なるほどのぉ、ヤツらしい策よ。 じゃが、ならなおさら魔隷化し て、その黒幕の名を聞き出しつつ、戦力に加えた方が得策に思える がのう﹂ 枠 問題だ。 ﹁もちろん情報は聞き出すよ。 でも、できれば魔隷化抜きで済ませ たい理由があってね﹂ それは他でもない、魔隷の 今の俺の隷属術式スキルレベルは7、すなわち魔隷は最大7人。 そのうち6人までの枠がすでに埋まってしまっている。 最後の枠は、もちろんシスティナ姫用であると同時に、いざとい う時の保険でもある。 敵を無力化し、俺の身を守る奥の手だからだ。 そして隷属術式の解除には時間がかかる。 ﹁だから、まだ隷属させずに尋問で情報を引き出す。 ま、どうして 170 もダメだった時は魔隷化も検討するけどね﹂ ﹁で、でも! セレスタはその実力と気高さから クリムゾンローズ 深紅の薔薇 と まで呼ばれた近衛騎士筆頭よ。 さっきキリカから聞いた、セレスタの経歴と性格。 俺の予想が正 しければ、攻略法はだいたい想定できた。 ﹁ただ、それには姫野さんの協力が必要だ。 さあ、なかなか面白いゲームになりそうだ。 まあ、王家をはじめランバディア貴族の多くが信仰しているとい う光と法の神ルメインの教義では、自殺は禁じられてるらしいから おかしくはないのだが。 でもなんというか、テンプレな女騎士もいたもんだ。 まあ、これ なら余計に読みやすい。 姫のことを聞き出す つもりだろうが、あいにく私は取引も命乞いもしない。 屈辱の忍従 より誇り高き死を選ぶ!﹂ 気丈そうな吊り目と切れ長の眉が、俺を見上げにらみ付けた。 氷 でできた剣を思わせる、鋭くもどこか気品のある美貌の持ち主だ。 さすが貴族令嬢出身。 ちなみに俺は今、ギルドハウスから持ってきた、顔の上半分を覆 う金属の仮面をつけている。 正体隠しというより、素顔の若さがバ レると凄みに欠けるからだ。 元同僚がなぜ敵に回ったのか、それと も最初から騙すつもりで姫に近付いたのか、さまざまな可能性を浮 かべ悩んでいる、そんな顔だ。 ﹁やはり気になるようだな。 荷台隅の暗がりから、うつむいたキリカが進み出る。 まあムリもない。 キリカの甲冑姿にはあるべき部分がなかった。 胸と股間、大事な部分を隠す装甲と布地だけが部分的に取り外さ れ、たゆんと豊かなEカップが馬車の振動に合わせて揺れている。 そして両手で恥ずかしそうに持ち上げられた清楚な白スカートか ら、隠すものひとつない恥ずかしい部分までが丸見えになっていた。 キリカはその間も妖しく体をくねらせ、俺の指先にうやうやしく 舌を這わせた。 もちろんこの豹変には、カラクリがある。 ︵そうよ、なんてセリフ言わせるのよっ! い、いくらなんでもあ りえないわよこれ!?︶ と言わんばかりの抗議の視線が痛いが、俺は構わず隷属術式によ るコントロールを続けた。 操られたキリカは俺の股間に鼻先を押し当て、すんすんとオスの 匂いを吸い込んで熱い息を吐く。 突然のことに、セレスタは何が起きたかわからない様子だ。 ﹁貴様、さっきこの女騎士との戦いで剣を向けることをためらった な? 手心を加えたな? 俺の目はごまかせんぞ。 馬車が揺れて危ない んだから早く気付いてくれよ。 さすが気高い女騎士、自己犠牲精神も完璧だ。 俺はわざとらしく、寸前で剣先をピタリと止めてみせる。 セレスタが心に秘めるキリカへの嫉妬、芽生え始めた友情、そし て無自覚な憧れ。 キリカを守り、自分が身を挺することで得られるライバル騎士と しての、そして女としての優越感。 キリカの前でそれをすることの背徳的な快感。 突然のショッキングな情報と行動で、正確な判断力を奪われた女 騎士の心は、そういった深層心理を刺激する俺の誘導に、面白いほ どに引っかかった。 まあ処女だろうし、ムリもな いかな。 俺は抵抗の失せたセレスタを床板に座らせ、さっきからキリカの 痴態でギンギンになっているチンポをその眼前にぼろんと突きつけ 176 た。 そう、最初のキリカより上手なく らいだ。 だが、その稚拙なテクはもちろん俺をイカせるほどじゃない。 女騎士は涙を浮かべながら陵辱に耐え、俺にされるがまま口マン コを使われる。 それは頭を掴まれ体を拘束されたセレスタの身を包む、深紅に彩 られた白銀の鎧のあちこちに乱れ飛び、ねばつく粘液とむわっとす るオスのにおいで汚染した。 キリカが命令の制御下でじたばた意識を暴れさせているが、やめ るつもりはない。 これは尋問の上で必要なことだ。 自分は犠牲にしても、他人の名 を喋らせるには、この強情で誇り高い女騎士の心を折ってやる必要 がある。 キリカにライバル心を抱き つつ、その命を救うためにプライドを曲げるあたり、真の騎士魂の 持ち主といえるだろう。 だからこそ、オスとしての支配欲がうずく。 この女を、俺のもの にしたいと。 かすかに汗の味がするが、健康的ないいにおい が悪くない。 弱々しく逃げようとする腰を掴んで、そのまま舌を差し込みかき 回すと、セレスタは火傷した子供みたいな甲高い困惑の叫びをあげ た。 想定してたより楽にことを運 べそうだ。 俺はまろやかなヒップラインをさすりながら、肉唇の内や外、ふ るふると控えめに自己主張するクリトリスまでも、次々と舌先で、 指で、未知の快感を教え込む。 処女な上、足がまとめて縛られているせいで余計に締まるキツキ ツの女騎士マンコを、俺のいきりたったチンポがぎゅちにゅちと開 墾していく。 その視線に反応するように、女騎士の膣内がキュキュッと収縮し た。 ポイントは、セレスタもこれ見よがしになぶられることでマンコ を濡らしキュウキュウとわななかせ、激しく反応してるってことだ。 それはマゾというより、今まで守ってきたものを叩き潰される破 滅的快楽、一種の開放感のなせるわざだろう。 女騎士としての義務感、姫への責任感、キリカへの劣等感、さま ざまなものに縛られ抑圧された少女は、ある意味で今はじめて精神 的な解放の時を迎えているのだ。 馬車の揺れが小刻みに俺たちの体を揺さぶり、思いもよらない形 で混じるランダムな刺激が、セックスに不慣れなセレスタをいじめ そいつ の言葉はどこか不自然じゃなか 抜いてはしたない声をあげさせる。 同じくらいの身長のアメリアの弱い部分、奥の上側の壁を亀頭で こすってやると、同じように弱点にヒットしたみたいでなおさら泣 き声が大きくなった。 下半身が溶けそうな快感と共に、どくんどくんと送り込まれる俺 の精液が、開通したばかりの敏感マンコを、子宮を、脳を焼き焦が していく。 その汗に濡れたしなやかな太股に、純潔の血と混じってうっすら 桃色になった大量の白濁液が、ぷるるっと震えてあふれ、馬車に揺 られてゆっくり流れていく。 キリカの大きな瞳もまた、驚愕に見開かれていた。 最後の瞬間、セレスタの口から漏れた、その名を聞いて。 遠くからその笑みをひと目見るだけで、何十、何百もの騎士や兵 士が彼女のために命を捧げると誓ってやまない、ランバディアの至 宝と呼ばれた第三王女。 ょうぞ、そうご心配めされるな﹂ 柔和な顔でにこやかに応えたのは、白い簡素な法衣に身を包んだ、 やせた老人。 その胸に吊られた、法と光の神ルメインのシンボルがにぶく輝い ている。 グルーム大神官にまでこうして 同行していただくことになるなんて、なんだかどんどん大事になっ てしまったみたいで、少し不安ですわ﹂ ﹁元大神官、でございますよ。 天啓の塔 へとまさに到達しようとしていた。 俺たちが驚くべき事実を知った時、馬車は開けた荒野にそびえ立 つ ﹁ふん、魔族の寿命を考えてもみよ。 百年規模の気長な陰謀などザ ラじゃわい。 入り口付近に、セレスタが乗っていたのとよく似た馬車が無人で 停まっている。 ﹁一歩遅かったか! こうなったら仕方ない、現在の戦力で突入す るぞ、みんな﹂ ﹁わかったわ、姫さまをお救いしないと!﹂ 予言を終えた姫を、魔族がどうするかわかったもんじゃないしな。 俺は降りる準備をしつつ、荷台に気絶して横たわっているセレス タに視線をやった。 内壁沿いにぐるりと上に向かう螺旋階段へと足をかけようとして いた真っ白なドレスの女性と、地球のカソックに似た法衣姿の老人 を、姫騎士の声が止めた。 従う兵士ふたりが音もなく、姫たちとキリカの間に割って入る。 なぜ唐突にこの 場に?﹂ ﹁とぼけないで! あなたが魔族イヴリースの操り人形であること、 姫さまを予言の道具として利用しようとここに連れてきたこと、す べてわかってるのよ!﹂ グルームの笑顔が、笑顔のまま能面のように凍り付いた。 ﹁魔族、ですって? いったいどういうことですの!?﹂ 188 ﹁耳を貸されますな。 だが、キリカの反応は速かった。 足にローラーでもついているか のような動きで連中の周囲を8の字に旋回し、騎士剣が閃いたかと 思うと、兵士たちが同時に倒れ伏す。 宙を飛ばされたキリカが、なんとかヒザをついて受け 身をとる。 グルームの右腕が、遠近法の狂った作画ミスみたいに、何倍にも 太く長く膨れあがっている。 あれでキリカを殴り飛ばしたのか。 骨の鎧めいた灰色の外骨格に覆われた、3mはありそうな逆三角 体型の巨体へと。 馬の骸骨にも似た頭部では、黒い眼窩の中で蒼い 鬼火が燃えている。

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ひとり ぼっ ちの 異 世界 攻略 な ろう

この小説の著作権は小説の作者にあります。 そのため、作者また は﹁小説家になろう﹂および﹁タテ書き小説ネット﹂を運営するヒ ナプロジェクトに無断でこのPDFファイル及び小説を、引用の範 囲を超える形で転載、改変、再配布、販売することを一切禁止致し ます。 小説の紹介や個人用途での印刷および保存はご自由にどうぞ。 目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。 どうやら異世界に転生した らしい。 彼は誓う、今度こそ本気だして後悔しない人生を送ると。 無職転生 http://ncode.syosetu.com/n4251 cr/ 2 プロローグ 俺は34歳住所不定無職。 人生を後悔している真っ最中の小太りブサメンのナイスガイだ。 つい三時間ほど前までは住所不定ではない、 ただの引きこもりベテランニートだったのだが、 気付いたら親が死んでおり、 引きこもっていて親族会議に出席しなかった俺はいないものとし て扱われ、 兄弟たちの奸計にハマり、見事に家を追い出された。 床ドンと壁ドンをマスターし、 家で傍若無人に振舞っていた俺に味方はいなかった。 無視すると、弟が木製バットで命よりも大切なパソコンを破壊し やがった。 半狂乱で暴れてみたものの、兄は空手の有段者で、逆にぼっこぼ こにされた。 無様に泣きじゃくって事無きをえようとしたら、着の身着のまま 家から叩き出された。 ズキズキと痛む脇腹︵多分肋骨が折れてる︶を抑えながら、とぼ とぼと町を歩く。 家を後にした時の、兄弟たちの罵詈雑言が未だ耳に残っている。 聞くに堪えない暴言だ。 3 心は完璧に折れていた。 俺が一体なにをしたっていうんだ。 これからどうしよう。 いや、頭ではわかっている。 バイトか何かを探して、住む場所を見つけて、食べ物を買うのだ。 どうやって? 仕事を探す方法がわからない。 いや、なんとなくだが、ハロワにいけばいいということはわかる。 が、伊達に十年以上引きこもっていたわけじゃない。 ハロワの場所なんかわかるわけもなし。 それに、ハロワにいっても仕事を紹介されるだけだと聞いたこと がある。 紹介された所に履歴書を持っていき、面接をうけるわけだ。 この、エッチな液体で袖とかカピカピなって、ところどころに血 が付いた服で面接を? 受かるわけがない。 俺だったらこんなクレイジーな格好した奴は絶対に採用しない。 共感は覚えるかもしれないが、絶対に採用はしない。 そもそも履歴書の売っている店もわからない。 文房具屋か? コンビニか? コンビニぐらいは歩いてればあるかもしれないが、金は持ってい ない。 4 もし、それらがクリアできたとしよう。 運よく金融機関か何かで金を借りることが出来て、服を新調して、 履歴書と筆記用具を買ったとしよう。 履歴書というものは住所が無いと書けない、と聞いたことがある。 詰んだ。 ここにきて、俺は人生が完全に詰んだのを自覚した。 もう夏も終わり、肌寒くなってくる時期だ。 冷たい雨は何年も着古したスウェットに難なく染みこみ、容赦な く体温を奪った。 俺だって、生まれた時からクズ人間だったわけじゃないのだ。 そこそこ裕福な家庭の三男として生まれた。 兄兄姉弟。 5人兄弟 の4番目。 小学生の頃は、この歳にしては頭がいいと褒められて育った。 勉強は得意じゃなかったが、ゲームがうまくて、運動もできるお 調子者。 クラスの中心だった。 中学時代にはパソコン部に入り、雑誌を参考に、お小遣いを貯め て自作PCを作成。 5 パソコンのパの字も知らなかった家族からは、一目も二目も置か れていた。 パソコンにかまける余りに、勉強をおろそかにした。 勉強なんか、将来に必要ないと思っていた。 役に立たないと思っ ていた。 その結果、県内でも最底辺と噂の超絶バカ高校に入学するハメに なった。 そこでも、俺はイケる気でいた。 やればできる俺は、他の馬鹿どもとは出来がちがうんだと思って いた。 あの時の事は、今でも覚えている。 購買で昼食を買おうとして並んでいた時、いきなり横入りしてき た奴がいた。 俺は正義感ぶってそいつに文句を言った。 当時、変な自尊心と、中二病心あふれる性格をしていたためにや ってしまった暴挙だ。 相手は先輩で、この学校でも一、二を争うほど危ない奴だった。 放課後、俺は顔が腫れ上がるまで殴られ、全裸で校門に磔にされ た。 写真もいっぱい取られた。 もし俺が美少女だったら、 さんざんレイプされた挙句、写真を取られて脅されて性奴隷にで もされただろう。 残念ながら、俺は小太りのキモオタだった。 その時の写メは、いとも容易く学校中にバラまかれた。 6 何の交渉もなく、ただ面白半分で。 ヒエラルキーは一瞬にして最下層に落ちて、ホーケーという仇名 を付けられてからかわれた。 一ヶ月も学校に通わないうちに不登校になって引きこもった。 父や兄は、そんな俺を見て、 勇気を出せだの、頑張れだのと無責任な言葉を投げつけた。 どうしろと言うんだ。 あんな状況で、誰が学校にいけると言うんだ。 俺は引きこもった。 断固として引きこもった。 同年代の知り合いが、みんな俺の全裸磔と股間部のアップの写真 を見て笑っていると思っていた。 ずっと引きこもってネトゲをやった。 たまにP2Pソフトでエロゲーやエミュレータ、漫画を落とした りした。 ネットとパソコンがあれば、時間はいくらでも潰せた。 ネットで影響を受けて、色んな事に興味を持ち、色んな事をやっ た。 プラモを作ったり、フィギュアを塗装してみたり、ブログをやっ てみたり。 母はそんな俺を応援するがごとく、ねだればいくらでも金を出し てくれた。 が、どれも一年以内には飽きた。 自分より上の人間を見て、やる気が失せたのだ。 傍から見れば、ただ遊んでいるだけに見えただろう。 7 けれど、一人だけ時間に取り残され、暗い殻に閉じこもってしま った俺には、他に出来る事がなかった。 いいや、今にして思えば、そんなのは言い訳だ。 ただ遊んでいただけだ。 まだしも、漫画家になると言い出してヘタクソなWEB漫画を開 始したり、 ラノベ作家になると言い出して小説を投稿してみたほうがマシだ ったろう。 俺と似たような境遇でそうしている奴はたくさんいた。 そんな奴らを、俺は馬鹿にした。 彼らの創作物を見て鼻で笑って、﹁クソ以下だな﹂と評論家気取 りで批判していただけだ。 戻りたい。 出来れば最高だった小学か、中学時代に。 いや、一年でも二年でもいい。 ちょっとでも時間があれば、俺には何かができたはずなんだ。 どれも中途半端でやめたから、どれも途中から始められる。 本気を出せば、一番にはなれなくても、プロにはなれたかもしれ ない。 いや、よそう。 無駄だ。 無駄無駄。 こんなことを考えるのは無駄なのだ。 8 ﹁ん?﹂ 激しい雨の中、俺は誰かの言い争う声を聞いた。 喧嘩だろうか。 嫌だな、かかわり合いになりたくないな。 そう思いつつも、足はまっすぐにそちらに向かっていた。 ﹁︱︱だから、あんたが︱︱﹂ ﹁おまえこそ︱︱﹂ 見つけたのは、痴話喧嘩の真っ最中っぽい三人の高校生だ。 男二人に女が一人。 いまどき珍しいことに、詰襟とセーラー服。 どうやら修羅場らしく、一際背の高い少年と少女が何かを言い争 っていた。 もう一人の少年が、二人を落ち着かせようと間に入っているが、 喧嘩中の二人は聞く耳を持たない。 ︵ああ、俺にもあったな、あんなの︶ 中学時代には、そこそこ可愛い幼馴染がいた。 そこそこ可愛いといっても、クラスで4番目か5番目ぐらい。 陸上部だったので髪型はベリィショート。 町を歩いて10人とすれ違ったら、二人か三人ぐらいは振り返る かな、そんな容貌だ。 当時の俺は完全に2次元にハマっていた。 陸上部といえばポニテと言って憚らなかった。 そんな俺にとって、彼女はブスもいい所だった。 けど、家も近く、小中と同じクラスになる事も多かったので、 9 会話をする機会は多かったし、口喧嘩をしたりしたものだ。 中学になっても、何度か一緒に帰ったりもした。 惜しいことをしたもんだ。 今の俺なら、中学生・幼馴染・陸上部、それらの単語だけで3発 はイケる。 ちなみに、その幼馴染は七年前に結婚したらしいと風の噂で聞い た。 風の噂たって、リビングから聞こえてきた兄弟の会話だが。 決して悪い関係じゃなかった。 お互いを小さい頃から知っていたから、気兼ねなく話せていた。 彼女が俺に惚れていたとかは無かったと思うが、 もっと勉強してあの子と同じ高校に入っていれば、 あるいは、同じ陸上部に入って推薦入学でもしていれば、 フラグの一つも立ったかもしれない。 本気で告白すれば、付き合う事ぐらいは出来たかもしれない。 そして、放課後に誰もいない教室でエロいことをしたり、 彼らのように、帰り道で喧嘩したりするのだ。 まさにエロゲーの世界。 ︵そう考えるとあいつらマジリア充だな。 トラックが一台、三人に向かって猛スピードで突っ込んできてい るのを。 同時に、トラックの運転手がハンドルに突っ伏しているのを。 10 居眠り運転。 三人はまだ気づいていない。 !!!!! ﹁ぁ、ぁ、ぶ、危ねぇ、ぞぉ﹂ 叫んだつもりだったが、十年以上もロクに声を出していなかった 俺の声帯は、 肋骨の痛みと雨の冷たさでさらに縮こまり、 情けなくも震えた声しか発せず、雨音にかき消された。 助けなきゃ、と思った。 俺が、なんで、とも思った。 もし助けなければ、五分後にきっと後悔するんだろうと直感した。 凄まじい速度で突っ込んでくるトラックにハネられ、 ぐちゃぐちゃに潰れる三人を見て、後悔するんだろうと直感した。 助けておけばよかった、と。 だから助けなきゃ、と思った。 俺はもうすぐ、きっとどこかそのへんで野垂れ死ぬだろうけど、 その瞬間ぐらいは、せめてささやかな満足感を得ていたいと思っ ていた。 最後の瞬間まで後悔していたくないと思った。 11 転げるように走った。 十数年以上もロクに動いていなかった俺の足はいうことを聞かな い。 もっと運動をしておけばと、生まれて初めて思った。 折れた肋骨が凄まじい痛みを発し、俺の足を止めようとする。 もっとカルシウムを取っておけばと、生まれて初めて思った。 痛くてうまく走れない。 けれども走った。 走った。 走れた。 トラックが目の前に迫っているのに気づいて、喧嘩していた少年 が少女を抱き寄せた。 もう一人の少年は、後ろを向いていたため、まだトラックに気づ いていない。 唐突にそんな行動にでた事に、きょとんとしている。 俺は迷わず、まだ気づいていない少年の襟首を掴んで、渾身の力 で後ろに引っ張った。 少年は体重100キロの俺に引っ張られ、トラックの進路の外へ と転がった。 あと二人。 そう思った瞬間、俺の目の前にトラックがいた。 12 安全な所から、腕だけ伸ばして引っ張ろうと思ったのだが、 人を引っ張れば、反作用で自分が前に出る。 当然のことだ。 俺の体重が100キロを超えていようと関係ない。 全力疾走でガクガクしていた足は、簡単に前に出てしまった。 トラックに接触する瞬間、何かが後ろで光った気がした。 あれが噂の走馬灯だろうか。 一瞬すぎてわからなかった。 早すぎる。 中身の薄い人生だったという事か。 俺は自分の五十倍以上の重量を持つトラックに跳ね飛ばされ、コ ンクリートの外壁に体を打ち付けた。 全力疾走で酸素を求める肺が痙攣する。 声も出ない。 だが、死んではいない。 と思ったが、トラックはまだ迫ってきていた。 俺はトラックとコンクリートに挟まれて、トマトみたいに潰れて 死んだ。 13 第一話﹁もしかして:異世界﹂ 目覚めると、金髪の若い女性が俺をのぞき込んでいた。 ︵誰だ?︶ 隣には、同じくまだ年若い茶髪の男性がいて、ぎこちない笑みを 俺に向けている。 強そうでワガママそうな男だ。 筋肉が凄い。 茶髪でワガママそうとか、 そういうDQNっぽいのは見た瞬間に拒否反応が出るはずなのだ が、 不思議と嫌悪感はなかった。 恐らく、彼の髪が染めたものではないからだろう。 綺麗な茶髪だった。 ﹁︱︱︱・・︱︱・・・・﹂ 女性が俺を見て、にっこり笑って何かを言った。 何を言っているのだろうか。 なんだかボンヤリして聞き取りにくいし、全然わからない。 もしかして、日本語じゃないのか? ﹁︱︱︱︱・・・・・︱︱︱・・・﹂ 男の方も、ゆるい顔で返事を返す。 いやほんと、何言ってるのかわからない。 14 ﹁︱︱・・︱︱・・・﹂ どこからか、三人目の声が聞こえる。 姿は見えない。 ﹁あー、うあー﹂ 体を起こして、ここはどこで、あなた方は誰かを聞こうとした。 引きこもってたとはいえ、別にコミュ障ってわけじゃないから、 それぐらいは出来ると思った。 のだが、口から出てきたのは、うめき声ともあえぎ声とも判別の つかない音だった。 体も動かない。 指先や腕が動く感触はあるのだが、上半身が起こせない。 あれだけの大事故だったのだ、何日も意識不明で、今ようやく目 覚めたにちがいない。 全身打撲、内臓破裂、脊髄損傷、半身麻痺って所だろうか。 後遺症も残るだろう。 言葉がわからないのは、日本では助けられる医者がいなかったと か、そんな感じだろうか。 ﹁・・・・・︱︱︱・・・︱︱︱﹂ 男が心配そうな顔を俺に向け、何かを言う。 15 ﹁︱︱・・・・︱︱︱﹂ なんだろう。 後遺症のことだろうか。 それにしても、入院費用は誰が払ったのだろうか。 まさか、俺を追い出した兄弟たちが? いや、そんなまさかだ。 奴らが払ったとは思えない。 むしろ奴らは、俺なんて死んだほうがいいと思っているだろう。 葬式ぐらいはやってくれるかもしれないが、 俺をのけものに遺産を三人で山分けするような守銭奴だ。 葬式代だってケチるだろうし、入院なんてしたら見て見ぬふりを するに違いない。 ﹁・・・︱︱︱・・・・・・﹂ と、思ったら男に抱き上げられた。 いや、何十日も寝たきりだったのかもしれないし、体重は落ちて いるか。 あれだけの事故だ。 手足が欠損してる可能性も高い。 死んだと思って目が覚めたら達磨。 俺はそんな事を考えていたのだった。 どうやら俺は生まれ変わったらしい。 その事実が、ようやく飲み込めた。 俺は赤ん坊だった。 抱き上げられて、頭を支えてもらい自分の体が視界にはいること で、ようやくそれを確認した。 どうして前世の記憶が残っているのかわからないが、残っていて 困る事もない。 記憶を残しての生まれ変わり。 誰もが一度はそういう妄想をする。 目が覚めてから最初に見た男女が、俺の両親であるらしい。 年齢は二十代前半といった所だろうか。 前世の俺よりも明らかに年下だ。 34歳の俺から見れば、若造といってもいい。 そんな歳で子供を作るとは、まったく妬ましい。 17 最初から気付いてはいたが、どうやらここは日本ではないらしい。 言語も違うし、両親の顔立ちも日本人ではない、服装もなんだか 民族衣装っぽい。 家電製品らしきものも見当たらない︵メイド服きた人が雑巾で掃 除してた︶し、食器や家具なんかも粗末な木製だ。 先進国でないだ ろう。 明かりも電球ではなく、ロウソクやカンテラを中心に使っている。 もっとも、彼らが特別に貧乏で電気代も払えないという可能性も ある。 家 の掃除ぐらいするだろう。 でも、ただで美女の母乳を吸えるのは最高だ。 半年も両親の会話を聞いていると、言語もそれなりに理解できる ようになってきた。 英語の成績はあまりよくなかったのだが、やはり自国語に埋もれ ていると習得が遅れるというのは本当らしい。 それとも、この身体の頭の出来がいいのだろうか。 まだ年齢が若いせいか、物覚えが異常にいい気がする。 この頃になると、俺もハイハイぐらいは出来るようになった。 移動できるというのは素晴らしい事だ。 身体が動くという事にこれほど感謝したことはない。 ﹁眼を放すとすぐにどこかにいっちゃうの﹂ ﹁元気でいいじゃないか。 生まれてすぐの頃は全然泣かなくて心配したもんだ﹂ ﹁今も泣かないのよねぇ﹂ 両親はそんな風に言っていた。 さすがに腹が減った程度でビービー泣くような歳じゃない。 もっとも、シモの方は我慢してもいずれ漏らすので、遠慮せずぶ っ放させてもらっているが。 ハイハイとはいえ、移動できるようになると、色んな事がわかっ てきた。 まず、この家は、裕福だ。 19 建物は木造の二階建てで、部屋数は五以上。 メイドさんを一人雇 っている。 メイドさんは最初は俺の叔母さんかとも思ったが、明らかに顔立 ちが違った。 立地条件は、田舎だ。 窓から見た景色からは、のどかな田園風景が見えた。 かなりの田舎だ。 電柱や街灯の類は見えない。 近くに発電所が無いのかもしれない。 外国では地面の下に電線を埋めると聞いたことがあるが、 ならこの家で電気を使っていないのはおかしい。 ︵さすがに田舎すぎるなぁ。 することが無いのでのどかな田園風景でも見ようと思った俺は、 いつも通り椅子によじ登り、窓の外を見てギョッとした。 父親が庭で剣を振り回していたからだ。 未熟な手は椅子を掴んでも身体を支えることが出来ず、重い後頭 部から地面へと落ちていく。 ﹁キャア!﹂ どしんと落ちた瞬間、悲鳴が聞こえた。 見れば、母親が洗濯物を取り落とし、口に手を当てて真っ青な顔 で俺を見下ろしていた。 ﹁ルディ! 大丈夫なの!?﹂ 母親は慌てて駆け寄ってきて、俺を抱き上げた。 視線が絡むと、安堵した顔になって胸をなでおろした。 あの慌てようを見るに、そうとう危ない落ち方をしたのだろう。 後頭部からいったしな、アホになったかもしれん。 あんま変わら んか。 てか、後頭部がズキズキする。 まあ、一応は椅子に掴まろうとしたし、勢いは無かった。 母親があまり慌てていない所を見ると、血は出ていないようだ。 21 たんこぶ程度だろう。 母親は注意深く俺の頭を見ていた。 傷でもあったら一大事だと言わんばかりの表情をしている。 おいおい、これがこの国の﹁イタイのイタイのとんでけ﹂かよ。 それとも、剣を振り回す父親に続いて母親の方も中二病か? 戦士と僧侶で結婚しましたってか? と、思ったのもつかの間。 母親の手が淡く光ったと思った瞬間、一瞬で痛みが消えた。 母さん、これでも昔はちょっとは名の知れた冒険者だったんだか ら﹂ 剣、戦士、冒険者、ヒーリング、詠唱、僧侶。 そんな単語がぐるぐると俺の中を回っていた。 なんだ、いまの。 何したの? 22 ﹁どうした?﹂ 母親の悲鳴を聞きつけて、窓の外から父親が顔をのぞかせた。 剣を振り回していたせいか、汗をかいていた。 よく見る光景だ。 だが、今回は後頭部から落ちたせいだろう、母親も譲らなかった。 ﹁あのねあなた、この子はまだ生まれてから一年も経ってないんで すよ。 もっと心配してあげて!﹂ ﹁そうは言ったってな。 子供は落ちたり転んだりするものさ。 そうやって丈夫になってい くものじゃないか。 母親の顔が赤く染まる。 23 おうおう、見せつけてくれるねお二人さん、ヒューヒュー。 その後、二人は俺を隣の部屋で寝かせると、 上の階へ移動して、俺の弟か妹を作る作業へと入っていった。 すると、聞く単語に聞きなれないものが多い事に気付いた。 特に、国の名前や領土の名前、地方の名前。 固有名詞は聞いたことのないものしかなかった。 いや、もう断定していいだろう。 ここは地球ではなく、別の世界だ。 剣と魔法の異世界だ。 悪くない。 年甲斐もなくワクワクする。 そんな世界に記憶を持って転生できたのだ。 これでワクワクしないやつはニートになんかならない。 24 よし、決めた。 俺はこの世界で本気で生きていこう。 もう、二度と後悔はしないように。 全力で。 25 第二話﹁ドン引きのメイドさん﹂ リーリャはアスラ後宮の近衛侍女だった。 近衛侍女とは、近衛兵の性質を併せ持つ侍女の事である。 普段は侍女の仕事をしているが、有事の際には剣を取って主を守 るのだ。 リーリャは職務には忠実であり、侍女としての仕事もそつなくこ なした。 しかし、剣士としては十把一絡げの才能しか持ち合わせていなか った。 ゆえに、生まれたばかりの王女を狙う暗殺者と戦って不覚を取り、 短剣を足に受けてしまうこととなった。 短剣には毒が塗ってあった。 王族を殺そうとするような毒である。 解除できる解毒魔術の無い、厄介な毒である。 すぐに傷を治癒魔術で治し、医者が解毒を試みたおかげで一命は 取り留めたものの、後遺症が残ってしまった。 日常生活を送る分には支障は無いが、全速力で走ることも、鋭く 踏み込むこともできなくなった。 リーリャの剣士生命はその日、終わりを告げた。 王宮はリーリャをあっさりと解雇した。 珍しい事ではない。 リーリャも納得している。 能力がなくなれば解雇されるのは当然だ。 当面の生活資金すらもらえなかったが、 後宮務めを理由に、秘密裏に処刑されなかっただけでも儲けもの だと思わなければいけない。 26 リーリャは王都を離れた。 王女暗殺の黒幕はまだ見つかっていない。 後宮の間取りを知っているリーリャは、自身が狙われる可能性が あると深く理解していた。 あるいは王宮はリーリャを泳がせて、黒幕を釣ろうとしていたの かもしれない。 昔、なんで家柄もよくない自分が後宮に入れたのかと疑問に思っ たが、 今にして思えば、使い捨てになるメイドを雇いたかったのかもし れない。 何にせよ、自衛のためにも、なるべく王都から離れる必要があっ た。 王宮が餌として自分を放流したのだとしても、 何も命じられていない以上、拘束力はない。 義理立てする気もさらさらなかった。 乗合馬車を乗り継いで、広大な農業地域が続く辺境、フィットア 領へとやってきた。 領主の住む城塞都市ロア以外は、一面に麦畑が広がる長閑な場所 だ。 リーリャはそこで仕事を探すことにした。 とはいえ、足を怪我した自分には荒事は出来ない。 剣術ぐらいなら教えられるかもしれないが、出来れば侍女として 雇ってもらいたかった。 そっちのほうが給料がいいからである。 この辺境では剣術を使える者、教える者は数多くいるが、家の仕 事を完璧に出来る教育された侍女は少ないのだ。 供給が少なければ、賃金も上がる。 だが、フィットア領主や、それに準じた上級貴族の侍女として雇 27 われるのは危険だった。 そうした人物は、当然ながら王都ともパイプを持っている。 後宮付きの侍女近衛だったと知られると、政治的なカードとして 使われる可能性もあった。 そんなのはゴメンだ。 あんな死にそうな目には、二度と遭いたくない。 姫様には悪いが、王族の後継者争いは自分の知らない所で勝手に やってほしいものである。 といったものの、賃金の安すぎる所では、家族へ仕送りもままな らない。 賃金と安全の二つを両立出来る条件は中々見つからなかった。 一ヶ月かけて、各地を回った所、一つの募集に目が着いた。 フィットア領のブエナ村にて、下級騎士が侍女を募集中。 子育ての経験があり、助産婦の知識を持つ者を優遇する、と書い てある。 ブエナ村はフィットア領の端にある、小さな村である。 田舎中の田舎、ド田舎だ。 不便な場所ではあるが、まさにそういう立地こそ自分は求めてい たのだ。 それに、雇い主が下級騎士とは思えないほど条件が良かった。 何より、募集者の名前に見覚えがあった。 パウロ・グレイラット。 彼はリーリャの弟弟子である。 リーリャが剣を習っていた道場に、ある日突然転がり込んできた 貴族のドラ息子だ。 28 なんでも父親と喧嘩して勘当させられたとかで、道場に寝泊まり しながら剣を習い出した。 流派は違えども、剣術を家で習っていた事もあり、彼はあっとい うまにリーリャを追い越した。 リーリャとしては面白くなかったが、今となっては自分に才能が なかっただけだと諦めている。 才能溢れるパウロはある日、冒険者になるといって道場を飛び出 していった。 嵐のような男だった。 別れたのは七年ぐらい前になるか。 彼がどんな波瀾万丈の人生を送ってきたかは知らないが、リーリ ャの記憶にあるパウロは決して悪いヤツではなかった。 困っているといえば助けてくれるだろう。 ダメなら昔のことを持ちだそう。 交渉材料となる逸話はいくつかある。 リーリャは打算的にそう考えて、ブエナ村へと赴いた。 パウロはリーリャを快く迎えてくれた。 奥方のゼニスがもうすぐ出産という事で、焦っていたらしい。 リーリャは王女の出産と育成に備えてあらゆる知識と技術を叩き こまれたし、顔見知りかつ出自もハッキリしているということで、 身元も安全。 大歓迎だった。 賃金も予定より多く払ってくれるというので、リーリャとしても 願ったり叶ったりだった。 29 子供が生まれた。 難産でもなんでもない、後宮でした練習通りの出産だ。 何も問題は無かった。 スムーズにいった。 なのに、生まれた子供は泣かなかった。 リーリャは冷や汗をかいた。 生まれてすぐに鼻と口を吸引して羊水を吸い出したものの、赤子 は感情のない顔で見上げているだけで、一声も発しない。 もしや、死産なのか、そう思うほどの無表情だ。 触ってみると、暖かく脈打っていた。 息もしている。 しかし、泣かない。 リーリャの心中に、先輩の近衛侍女から聞いた話がよぎる。 生まれてすぐに泣かない赤子は、異常を抱えている事が多い。 まさかと思った次の瞬間、 ﹁あー、うあー﹂ 赤子がこちらを見て、ぼんやりした表情で何かを呟いた。 それを聞いて、リーリャは安心した。 何の根拠も無いが、なんとなく大丈夫そうだ、と。 不気味な子供だった。 一切泣かないし、騒がない。 身体が弱いかもしれないが、手間がかからなくていい。 などと、思っていられたのは、最初だけだった。 ルーデウスははいはいが出来るようになると、家中のどこにでも 移動した。 家中の、どこにでも、だ。 どうやって登ったのか、二階にまで入り込んだこともあった。 とにかく眼を離すと、すぐにいなくなった。 だが、なぜか必ず家の中で見つかった。 ルーデウスは、決して家の外に出ることはなかった。 窓から外を見ている時はあるが、まだまだ外は怖いのか。 リーリャがこの赤ん坊に本能的な恐怖を感じるようになったのは、 いつからだろうか。 眼を離していなくなり、探して見つけ出した時だろうか。 大抵の場合、ルーデウスは笑っていた。 ある時は台所で野菜を見つめて、 ある時は燭台のろうそくに揺れる火を見つめて、 また、ある時は洗濯前のパンツを見つめて、 ルーデウスは口の中で何かをブツブツと呟いては、気持ち悪い笑 みを浮かべて笑うのだ。 31 それは生理的嫌悪感を覚える笑みだった。 リーリャは後宮に務めていた頃、任務で何度か王宮まで足を運ん だのだが、その時に出会った大臣が浮かべる笑みによく似ていた。 禿頭をテカらせて、デップリと太った腹を揺らしながら、リーリ ャの胸を見て浮かべる笑みに似ているのだ。 生まれたばかりの赤ん 坊が浮かべる笑みが。 特に、恐ろしいのはルーデウスを抱き上げた時だ。 ルーデウスは鼻の穴を膨らませて、 口の端を持ち上げて、 鼻息も荒く、 胸に顔を押し付けてくる。 そして喉がひくつかせて、 笑い自体を隠すように、 ﹁フヒッ﹂とも﹁オホッ﹂の中間ぐらいの奇妙な声で笑うのだ。 その瞬間、ゾッとする悪寒が全身を支配する。 胸に抱く赤ん坊を、思わず地面に叩きつけたくなるほどの悪寒が。 赤ん坊の愛らしさなど欠片もない。 この笑みは、ただひたすらにおぞましい。 若い女の奴隷をたくさん買い入れているという噂の大臣と同じ笑 み。 それを生まれたばかりの赤ん坊がするのだ。 比べ物にならないぐらい不快で、赤ん坊相手に身の危険すら感じ てしまう。 32 リーリャは考えた。 この赤ん坊は何かがおかしい。 もしかすると、何か悪いモノでも憑いているのかもしれない。 あるいは、呪われているのかもしれない、と。 思い立ったリーリャは、居てもたってもいられない気持ちになっ た。 道具屋へ走り、なけなしの金を使って必要なものを購入。 グレイラット家が寝静まった頃、故郷に伝わる魔除けを行った。 もちろん、パウロらには無断でだ。 翌日、ルーデウスを抱き上げて、リーリャは悟る。 無駄だった、と。 相変わらずの気持ち悪さだった。 赤ん坊がこんな顔をしているというだけで不気味だった。 とんでもないことだと思う。 パウロも女に目がない節操無しだが、こんなに気持ち悪くは無い。 遺伝としてもさすがにおかしい。 リーリャは思い出す。 ああ、そういえば、後宮でこんな話を聞いたことがある、と。 かつて、悪魔に憑かれたアスラの王子が、悪魔復活のために、夜 な夜な四つん這いで後宮を動きまわる事件があったという。 そして、それと知らずに、見つけて迂闊にも抱き上げてしまった 侍女を、王子は後ろ手に隠したナイフで心臓を一突きにして殺して 33 しまったのだ。 なんて恐ろしい。 ルーデウスはソレだ。 間違いない。 絶対そういう悪魔だ。 明らかに早まった。 こんな所に雇われるんじゃなかった。 いつか絶対襲われる。 最初の一年ぐらいは、そんな風に怯えていた。 しかし、いつからだろうか。 予測できなかったルーデウスの行動がパターン化された。 神出鬼没ではなくなり、二階の片隅にあるパウロの書斎に篭るよ うになった。 書斎といっても、何冊か本があるだけの簡素な部屋だ。 ルーデウスは、そこに篭って出てこない。 ちらりと覗いてみると、本を眺めてブツブツと何かを呟いている。 意味のある言葉ではない。 34 ないはずだ。 少なくとも、中央大陸で一般的に使われている言語ではない。 言葉を喋るのもまだ早い。 文字なんてもちろん教えていない。 だから 赤ん坊が本を見て、適当に声を出しているだけだ。 そうでなければおかしい。 だが、リーリャには、それがどうしても、意味のある言葉の羅列 に聞こえて仕方がなかった。 ルーデウスが本の内容を理解しているように見えて仕方がなかっ た。 と、ドアの隙間からルーデウスを見ながら、リーリャは思う。 しかし、不思議と嫌悪感はなかった。 思えば、書斎に篭るようになってから、正体不明の不気味さや気 持ち悪さは次第になりを潜めていった。 たまに気持ち悪く笑うのは変わらないが、抱き上げても不快感を 憶えなくなった。 胸に顔も埋めないし、鼻息も荒くならない。 どうして自分はこの子をおぞましいなどと思っていたのだろうか。 最近はむしろ、邪魔してはいけないと思うような真摯さや勤勉さ を感じるようになった。 ゼニスも同じ事を感じたらしい。 放っておいたほうがいいのでは、と相談された。 異常な提案だと思った。 生まれて間もない赤子を放っておくなど、人としてあるまじき行 35 為だ。 しかし、最近のルーデウスの瞳には知性の色が見えるようになっ た。 数ヶ月前までは痴性しか感じられなかった瞳にだ。 確固たる意志と、輝かんばかりの知性がだ。 どうすればいいのか。 知識はあれども経験の薄いリーリャには、判断が難しい。 子育てに正解など無い、と言っていたのは、侍女近衛の先輩だっ たか、それとも故郷の母親だったか。 少なくとも、 今は気持ち悪くないし、 不快にもならない、 怖気も走らない。 ならば、邪魔をして元に戻すこともない。 放っておこう。 リーリャは最終的に、そう判断したのだった。 36 第三話﹁魔術教本﹂ 足腰もしっかりしてきて、二足歩行が出来るようになった。 この世界の言葉も喋れるようになってきた。 生前では何が必要だったか。 勉強、運動、技術。 赤ん坊に出来る事は少ない。 せいぜい抱き上げられた拍子に胸に顔を埋めるぐらいだ。 メイドにそれをやるとはあからさまに嫌そうな顔をする。 きっとあのメイドは子供嫌いに違いない。 運動はもう少し後でいいだろうと考えた俺は、 文字を覚えるため、家の本を読み漁った。 語学は大切だ。 日本人は自国の識字率はほぼ100%に近いが、 英語を苦手とする者は多く、外国に出ていくとなると尻込みする 者も多い。 外国の言葉を習得しているということが、一つの技能と数えられ るぐらいに。 よって、この世界の文字を覚えることを、最初の課題とした。 37 家にあったのはたった5冊だ。 この世界では本は高価であるのか、 パウロやゼニスが読書家ではないのか、 恐らく両方だろう。 数千冊の蔵書を持っていた俺には信じられないレベルだ。 もっとも、全部ラノベだったが。 たった5冊とはいえ、文字を読めるようになるのには十分だった。 この世界の言語は日本語に近かったため、すぐに覚えることが出 来た。 文字の形は全然違うのだが、文法的なものはすんなりと入ってき た。 単語を覚えるだけでよかった。 言葉を先に覚えていたのも大きい。 父親が何度か本の内容を読み聞かせてくれたから、単語をスムー ズに覚える事ができたのだ。 この身体の物覚えの良さも関係しているのかもしれない。 文字がわかれば、本の内容は面白い。 かつては勉強を面白いと思うことなど、一生涯ないと思っていた が、よくよく考えてみれば、ネトゲの情報を覚えるようなものだ。 面白くないわけがない。 それにしても、あの父親は乳幼児に本の内容が理解できるとでも 思っているのだろうか。 俺だったからよかったものの、普通の一歳児なら大顰蹙ものだ。 大声で泣き叫ぶぞ。 38 家にあった本は下記の5冊だ。 ・世界を歩く 世界各国の名前と特徴が載ったガイド本。 ・フィットアの魔物の生態・弱点。 フィットアという地域に出てくる魔物の生態と、その対処法。 ・魔術教本 初級から上級までの攻撃魔術が載った魔術師の教科書。 ・ペルギウスの伝説 ペルギウスという召喚魔術師が、仲間たちと一緒に魔神と戦い世 界を救う勧善懲悪のお伽話。 ・三剣士と迷宮 流派の違う三人の天才剣士が出会い、深い迷宮へと潜っていく冒 険活劇。 下二つのバトル小説はさておき、上三つは勉強になった。 特に魔術教本は面白い。 魔術の無い世界からきた俺にとって、魔術に関する記述は実に興 味深いものである。 読み進めていくと、いくつか基本的なことがわかった。 39 1.まず、魔術は大きく分けて3種類しかないらしい。 ・攻撃魔術:相手を攻撃する ・治癒魔術:相手を癒す ・召喚魔術:何かを呼び出す この3つ。 まんまだ。 もっと色々なことができそうなものだが、 教本によると、魔術というものは戦いの中で生まれ育ってきたも のだから、 戦いや狩猟に関係のない所ではあまり使われていないらしい。 2.魔術を使うには、魔力が必要であるらしい。 逆に言えば、魔力さえあれば、誰でも使うことが出来るらしい。 魔力を使用する方法は2種類。 ・自分の体内にある魔力。 ・魔力の篭った物質から引き出す。 どちらかだ。 うまい例えが見つからないが、 前者は自家発電、後者は電池みたいな感じだろう。 大昔は自分の体内にある魔力だけで魔術を使っていたらしいが、 世代が進むにつれて魔術も研究され、高難度になり、 それに伴って消費する魔力が爆発的に増えていったそうだ。 40 魔力の多い者はそれでもいいが、魔力の少ない者はロクな魔術が 使えなかった。 なので、昔の魔術師は自分以外のものから魔力を吸い出し、魔術 に充てるという方法を思いついたのだ。 3.魔術の発動方法には二つの方法がある。 ・詠唱 ・魔法陣 詳しい説明はいらないだろう。 口で言って魔術を発動させるか、 魔法陣を描いて魔術を発動させるか、だ。 大昔は魔法陣のほうが主力だったらしいが、今では詠唱が主流だ。 とてもじゃないが戦闘で使えるものではない。 逆に魔法陣は一度書いてしまえば、何度か繰り返し使用できた。 詠唱が主流になったのは、ある魔術師が詠唱の大幅な短縮に成功 したからだ。 一番簡単なもので5秒程度まで短縮し、攻撃魔術は詠唱でしか使 われなくなった。 もっとも、即効性を求められない上、複雑な術式を必要とする召 喚魔術は、未だに魔法陣が主流だそうだ。 4.個人の魔力は生まれた時からほぼ決まっている。 41 普通のRPGだとレベルアップする毎にMPが増えていくものだ が、 この世界では増えないらしい。 全員が職業:戦士らしい。 俺はどうなんだろうか。 魔術教本には魔力の量は遺伝すると書いてある。 一応、母親は治癒術を使えるみたいだし、ある程度は期待してい いんだろうか。 不安だ。 両親が優秀でも、俺自身の遺伝子は仕事をしなさそうだし。 とりあえず俺は、最も簡単な魔術を使ってみることにする。 基本的に魔術教本には魔法陣と詠唱の両方が載っていたが、詠唱 が主流らしいし、魔法陣を書くものもなかったので、そっちで練習 することにする。 術としての規模が大きくなると詠唱が長くなり、魔法陣を併用し たりしなければいけないらしいが、最初は大丈夫だろう。 熟練した魔術師は、詠唱がなくても魔術が使えるらしい。 無詠唱とか、詠唱短縮ってやつだ。 しかし、なぜ熟練すると詠唱なしで使えるようになるのだろうか。 逆に、熟練度が上がると消費MPが減るんだろうか。 いや、仮に消費MPが減った所で、手順が減る理由にはならない とか。 とりあえず使ってみよう。 俺は魔術教本を片手に、右手を前に突き出して、文字を読み上げ る。 ﹁汝の求める所に大いなる水の加護あらん、 清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール﹂ 血液が右手に集まっていくような感触があった。 その血液が押し出されるようにして、右手の先にこぶし大の水弾 が出来る。 ﹁おおっ!﹂ と、感動した次の瞬間、水弾はバチャリと落ちて、床を濡らした。 教本には、水の弾が飛んでいく魔術と書いてあるが、その場で落 ちた。 集中力が切れると、魔術は持続しないのかもしれない。 血液を右手に集める感じだ。 俺は再度右手を構え、先程の感覚を思い出しながら、頭でイメー ジする。 魔力総量がどんだけあるかわからないが、そう何度も使えないと 43 考えたほうがいい。 1回1回の練習を全て成功させるつもりで集中するんだ。 まず頭でイメージして、何度も何度も頭の中で繰り返して、それ から実際やってみる。 躓いたら、そこをまた頭でイメージする。 脳内で完璧に成功するまで。 生前、格ゲーでコンボ練習する時はそうしていた。 おかげで俺は、対戦でもコンボをほとんど落としたことがない。 足の先、頭の先から、右手へと血液を送るような感じで力を溜め ていく。 慎重に慎重に、心臓の鼓動に合わせて、少しずつ。 邪念が混じった、もう一回。 ﹁ハァッ!﹂ と、思わず寺生まれの人みたいな掛け声を上げた瞬間、水弾がで きた。 もしかして、魔力の流れを再現できれば、別に詠唱しなくてもい いのか? 無詠唱ってそんな簡単にできるもんなのか? 普通は上位スキルだろ? ﹁簡単に出来るんなら、詠唱ってのはなんの意味があるんだ?﹂ 俺のような初心者でも、無詠唱で魔術を発動させることが出来た。 身体の魔力を手の先に集めて、頭の中で形を決める。 それだけで、だ。 なら、詠唱なんて必要ないだろう。 みんなこうすればいい。 もしかすると、詠唱というのは魔術を自動化してくれるのではな いだろうか。 いちいち集中して全身から血液を集めるように念じなくても、言 葉を発するだけで全てやってくれる。 45 それだけの事なのではないだろうか。 車のマニュアルとオートマのようなもので、実は手動でやろうと 思えば出来るものなのではないだろうか。 ﹃詠唱すれば自動的に魔術を使ってくれる﹄。 これの利点は大きい。 まず第一に、教えやすい。 そうして教えている間に段々と、﹃詠唱は必要不可欠なもの﹄と なっていったのではないだろうか。 第二に、使いやすい。 言うまでもない事だが、攻撃魔術を使うのは戦闘中だ。 戦闘中に目をつぶって、うぬぬー、と集中するより、早口で詠唱 した方が手っ取り早い。 全力疾走しながら精緻な絵を書くのと、 全力疾走しながら早口言葉を言うの、どっちが楽かという事だ。 おかしな話だ。 俺がやった感じでは、そう難しくは無かった。 俺に特別才能があるのかもしれないが、他の人がまったく使えな いって事はないだろう。 こう考えるのはどうだろう。 46 魔術師は普通、初心者から熟練者まで、みんな詠唱で魔術を使い 続けるのだ。 何千回、何万回と使い続けるうちに身体が詠唱に慣れきってしま い、 いざ無詠唱でやろうとしても、どうやればいいのかわからない。 ゆえに、一般的ではないとされ、教本には書かれていない。 ﹁おお、辻褄があってる!﹂ てことは、今の俺は一般的ではないってことだ。 おっと、いかんいかん。 ちょっと落ち着け、クールになれ。 生前の俺はこの感覚に騙されてあんなことになったんだ。 パソコンが人並み以上に出来ることで選民意識を持ってしまった がゆえに、調子こいて失敗したのだ。 自重しよう自重。 47 大切なのは、自分が他人より上だと思わないことだ。 俺は初心者。 初心者だ。 ボウリング初心者が初投で運よくストライクをとれただけ。 ビギナーズラックだ。 才能があるとか勘違いしないで、ひたすら練習に励むべきだ。 最初に魔術を詠唱して唱えて、その感覚を真似して、ひたすら無 詠唱で練習する。 これでいこう。 ﹁それじゃあもう一発﹂ と、右手を前に出してみると、妙にだるい。 しかも、なんか肩のあたりにズッシリと重いものが乗っている感 じがする。 疲労感だ。 集中したせいだろうか。 いや、俺もネトゲプロ︵自称︶の端くれ、必要とあらば不眠で六 日間狩りをし続ける事もできた男だ。 このぐらいで切れる集中力は持ちあわせていないはず。 魔力総量は生まれた時に決まるのなら、俺の魔力は水弾二発分と 48 いう事になる。 うーむ。 さすがに少なすぎね? それとも、最初だから魔力をロスしてるとか、そういうのなんか ね? いや、そんな馬鹿な。 念のためもう一発出してみたら、気絶してしまった。 ちくしょう。 って、まだ二歳か。 寝小便ぐらい許されるか。 てか、魔力少なすぎだろ。 まぁ、水弾二発でも、使い方次第か。 5つ目で疲れを感じた。 で、考える。 最大6つ。 昨日の2倍だ。 俺は桶に入った水弾5発分の水︵気絶対策︶を見ながら、考える。 昨日の今日で回数が2倍に増えた理由。 昨日は最初から疲れていたとか、初めてだから消費MPが大きか ったとか。 今日は全部無詠唱でやったから、詠唱をする・しないで変わる事 はないはず。 わからん。 明日になったら、また増えているかもしれない。 水弾を作れる回数が増えた。 11個だ。 なんだか、使った回数分だけ増えている気がする。 もしそうなら、明日は21回になっているはずだ。 翌日、念のため、5回だけ使ってその日はやめておく。 さらに翌日、26個になっていた。 やっぱり、使った分だけ増えていく。 才能なんて眼に見えないものを勝手に決め付けやがって。 子供の才能ってのは大人が勝手に見極めていいものじゃねえんだ よ! ま、本に書いてあることを鵜呑みにするなって事だ。 この本に書いてあるのは﹁人の幸せには限界がある﹂とかそうい うレベルの話なのかもしれない。 あるいは、鍛えた結果の話なのだろうか。 頑張って鍛えても、魔力総量には限界値があるという話なのだろ うか。 いやまて、そう結論付けるのはまだ早い。 まだ仮説は立てられる。 そう、例えば、 成長に応じて増えていく、とか。 幼児の時期に魔力を使うと飛躍的に最大値が増える、とか。 あ、俺だけの特殊体質ってのも捨てがたいな。 元の世界でも、成長期に運動すれば能力が飛躍的に伸びるとか言 われていた。 逆に成長期を過ぎてから、頑張っても伸び率が悪いとも。 この世界だって、魔力とかなんとか言ってるけど、人間の体の構 造は変わらないはずだ。 基本は一緒。 なら、やることは一つだ。 成長期が終わる前に鍛えられるだけ、鍛える。 同時に、使える魔術の数を増やしていく。 感覚さえ覚えれば、無詠唱で再現することは簡単だ。 とりあえず、近日中に全系統の初級魔術は完全にマスターしたい と思う。 初級魔術というのは、文字通り攻撃魔術の中で最も低いランクに 位置する。 52 水弾や火弾はその中でも、特に入門的な位置づけにある初級魔術 だ。 魔術の難易度は七段階に分かれている。 初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、神級。 一般的に一人前と呼ばれている魔術師は、 自分の得意な系統の魔術が上級まで使えるが、 他の魔術は初級か中級までしか使えないらしい。 上級より上のランクを使えるようになると、 系統に応じて火聖級とか水聖級とか呼ばれて一目置かれるのだと か。 ちょっと憧れる。 しかし魔術教本には、火・水・風・土系統の上級の魔術までしか 載っていなかった。 いや、あまり考えないようにしよう。 まずは最初のスライムからだ。 もっとも、俺はスライムから作っても完成させたことがないがね。 教本に書かれている水系統の初級魔術は以下の通りだ。 53 水弾:水の弾を飛ばす。 ウォーターボール。 水盾:地面から水を噴出させて壁を作る。 ウォーターシールド。 水矢:20cmほどの水の矢を飛ばす。 ウォーターアロー。 氷撃:氷の塊を相手にぶつける。 アイススマッシュ。 氷刃:氷の剣を作り出す。 アイスブレード。 氷も水系に含まれるらしい。 ひと通り使ってみた。 初級と一口に言っても、使う魔力はまちまちだった。 基本的には水系だ。 火を使って火事にでもなったら危ないからな。 火事と言えば、消費魔力は温度も関係しているのか、上級になれ ばなるほど氷が増えていくようだ。 しかし、水矢とか飛ばすとか書いてあるのに飛んでいかなかった。 うーむ。 わからん。 魔術教本には、魔術の大きさや速度についても書いてある。 もしかすると、弾を作り出した後に、さらに魔力で操作するのだ ろうか。 やってみる。 ﹁お?﹂ 水弾が大きくなった。 54 ﹁おお!﹂ ばちゃん。 その後、色々やって水弾を大きくしたり小さくしたり、 違う水弾を2つ同時に作ったり、 それぞれの大きさを変えてみたりと、 新たな発見はあったが、一向に飛んで行かない。 火と風は重力に影響を受けないせいか空中に浮いているのだが、 結局は一定時間で消えてしまう。 ふよふよと浮いた火の玉を風で飛ばしてみたりもしたが、何かが 違う気がする。 試行錯誤の末、ようやく水弾を飛ばすことが出来た! それが切っ掛けとなり、詠唱の仕組みが解明できた。 そのうち、サイズ設定と射出速度設定を術者がいじることで、魔 術が完成する。 つまり詠唱をすると、 まず自動的に使いたい魔術の形が作り出される。 その後、一定時間以内に魔力を追加して、サイズを調整、 サイズ調節後、さらに一定時間以内に魔力を追加することで、射 出速度を調整。 準備時間が終わると、術者の手を離れ、自動的に発射される。 詠唱の後、2回に分けて魔力を追加するのがコツだったのだ。 サイズ調節をしなければ、射出速度の調節に行かない。 どおりで飛ばそうとしても大きくなるだけで何も起こらないわけ だ。 ちなみに無詠唱でやる場合は、それら全てのプロセスを自分でや る必要がある。 面倒に思えるが、サイズと射出速度の入力待ち時間を短縮できる ため、 詠唱するよりも数段早く発射する事ができる。 また、無詠唱ならば生成の部分もいじることができた。 例えば教本には書いていないが、水弾を凍らせて、氷弾にすると かだ。 これを練習していけば、カイザーフェニックス︵ドヤ顔︶とかも 56 出来るだろう。 アイデア次第でいくらでも応用が効くのだ。 色々と実験するのは、魔力総量がもっと増えてからにしよう。 魔力総量を上げる。 息をするように無詠唱で魔術を使えるようになる。 次の課題はこの2つだ。 いきなり大きな目標を立てると挫折しちゃうからな。 小さなことからコツコツだ。 よーし、頑張るぞ。 そうして、俺は毎日、気絶寸前まで初級魔術を使い続けて過ごし た。 57 第四話﹁師匠﹂ 3歳になった。 最近になって、ようやく両親の名前を知った。 父親はパウロ・グレイラット、 母親はゼニス・グレイラットだ。 そして、俺の名前はルーデウス・グレイラット。 グレイラット家の長男というわけだ。 ルーデウスと名付けられたわけだが、 父親も母親も互いに名前を呼び合わないし、俺のことはルディと 略すので、 正式名称を覚えるのに時間が掛かったのだ。 彼らは俺が本を持っていることをとがめなかった。 食事中は脇に置いているし、特に魔術教本は家族の前では読まな いようにしていた。 能ある鷹は爪を隠す、というわけではないが、この世界における 魔術の立ち位置がわからない。 生前の世界では、中世に魔女狩りというものがあった。 58 魔法を使う者は異端で火あぶりというアレだ。 さすがにこんな本が実用書として存在しているこの世界で、 魔術=異端という事はないだろうが、あまりいい顔はされないか もしれない。 魔術は大人になってから、とかいう常識があるのかもしれない。 なにせ、使いすぎると気絶するような危ないものなのだ。 成長を阻害させるとか思われているかもしれない。 そう思ったので、家族の前では魔術のことは隠している。 もっとも、窓の外に向かって魔術をぶっ放した事もあるので、も うバレてるかもしれない。 しょうがないじゃないか、射出速度がどれだけ出るのか試したか ったんだから。 メイド︵リーリャさんというらしい︶は、たまに険しい顔で俺を 見てくるが、 両親は相変わらずのほほんとしているので、大丈夫だと思いたい。 止められるのならそれでもいいが、成長期があるとして、それを 逃したくはない。 才能は伸びる時に伸ばしておかないと錆び付いてしまう。 今のうちに使えるだけ使っておかなければ。 ある日の午後だった。 59 そろそろ魔力量も増えてきたし、中級の魔法を試そうと、軽い気 持ちで水砲の術を詠唱した。 大きさは1、速度は0。 いつも通り、桶に水が溜まるだけだと思っていた。 ちょっと溢れるかもね、ぐらいには考えていた。 凄まじい量の水が放出されて、壁に大穴が開いた。 穴の縁から、ポタポタと水滴が地面に落ちるのを、俺は呆然と見 ていた。 呆然としながらも、どうにかしようとは思わなかった。 壁には穴が空き、間違いなく魔術を使ったとバレる。 それはもうしょうがない事だった。 俺は諦めが早いのだ。 そして、壁に開いた大穴を見てあんぐりと口を開けた。 どう見ても俺がやったようにしか見えないのに、俺の身を案じて いるのだから。 彼女は父親より冷静だった。 そして俺と魔術教本を見比べると、俺の目の前でしゃがみこんで、 優しげな顔で目線をあわせる。 目の奥が笑ってない。 泳ぎそうになる目線を、必死にゼニスに向ける。 俺はニート時代に学んだのだ、悪いことをして開き直って不貞腐 れても、事態は悪化する一方だと。 だから、決して目を逸らしてはいけない。 こういう時に必要なのは、真摯な態度だ。 目を合わせて逸らさない、というのはそれだけで真摯に見える。 内心でどう思っていても、少なくとも見た目は。 ﹁ルディ、もしかして、この本に書いてあるのを声に出して読んじ ゃった?﹂ ﹁ごめんなさい﹂ 俺はこくりと頷き、謝罪を口にする。 悪いことをした時は、潔く謝ったほうがいい。 俺以外にやれる奴はいない。 すぐバレる嘘は信用を落とす。 生前はそうやって軽い嘘を重ねて信用を落としていったものだ。 61 同じ失敗はすまい。 両手を握って、嬉しそうにぴょんぴょんと跳んだ。 元気だね。 どうやら、ゼニスは俺が魔術が使えたのが嬉しくてしょうがない らしい。 子供が魔術を使っちゃいけないとかは、俺の杞憂に終わったらし い。 リーリャは平然と無言で片付けを始めている。 恐らく、このメイドは俺が魔術を使えることを知っていたか、薄 々感づいていたのだろう。 別に悪い事じゃないから特に気にも止めなかっただけで。 あるいは、この両親が歓喜する所を見たかったのかも? ﹁ねえあなた、明日にもロアの街で募集を出しましょう! 才能は伸ばしてあげなくっちゃ!﹂ 62 ゼニスは一人で興奮し、天才だの才能だのと騒いでいる。 いきなり魔術をぶっぱなしたぐらいで天才ときた。 親馬鹿って奴なのか、中級魔術を使えるのがすごい事なのか、判 別がつかない。 いや、やはり親馬鹿だろう。 俺はゼニスの前では魔術を使う素振りは一切見せなかった。 なのに﹁やっぱり﹂なんて言葉が出てくるということは、 以前から俺が天才かもしれないと思っていたのだ。 ああ、いや。 心当たりがあった。 俺はひとりごとが多い。 本を読んでいる時でも、気に入った単語やフレーズをボソボソと 呟いてしまう事がある。 この世界に来てからも、本を読みながらボソボソとひとりごとを していた。 最初は日本語だったが、言葉を覚えてからは無意識にこの世界の 言葉を使うようになった。 そして、独り言を聞いたゼニスは、 ﹁ルディ、それはね︱︱︱﹂と、単語の意味を教えてくれるのだ。 おかげで、この世界の固有名詞も結構憶えることができたのだが、 ま、それはおいておこう。 63 誰も何も言わなかったが、俺はこの世界の文字を独学で覚えた。 言葉も教えてもらっていない。 両親からしてみれば、 我が子は教えてもいないのに文字を読み、 本の内容を口に出して喋れる、という認識をされていたのだろう。 天才だろう。 俺だって自分の子供がそんなんだったら天才と思う。 生前、弟が生まれた時もそうだった。 弟は成長が早く、何をするのも俺や兄より早かった。 言葉を喋るのも、二本の足で歩くのも。 親というのはのんきなもので、 何かを子供がする度に、﹁あの子は天才じゃないかしら﹂とのた まうのだ。 それが大したことではなくとも。 まぁ、高校中退のクズニートだったとはいえ、精神年齢は30歳 以上だ。 それぐらいには思われないとやるせない。 10倍だぞ10倍! ﹁あなた、家庭教師よ! ロアの街ならきっといい魔術の先生が見 つかるわ!﹂ そして、才能がありそうと見るや英才教育を施そうとするのは、 どこの親も一緒らしい。 生前の俺の親も弟を天才だと持て囃して、習い事をたくさんさせ 64 ていた。 というわけでゼニスは魔術師の家庭教師を付ける事を提案したの だが。 これをパウロが反対した。 ﹁いやまて、男の子だったら剣士にするという約束だったろう﹂ 男だったら剣を持たせ、女だったら魔術を教える。 生まれる前にそういう取り決めをしていたらしい。 ﹁けれど、この歳で中級の魔術を発動できるのよ! 鍛えればすご い術師になれるわ!﹂ ﹁約束は約束だろうが!﹂ ﹁なによ約束って! あなたいつも約束破るじゃない!﹂ ﹁俺の事は今は関係ないだろうが!﹂ その場で夫婦喧嘩をはじめる二人。 平然と掃除するリーリャ。 ﹁午前中は魔術を学んで、午後から剣を学べばいいのでは?﹂ 口論はしばらく続いたが、 掃除を終えたリーリャがため息混じりにそう提案することで、口 論はやんだ。 そして、馬鹿親は子供の気持ちを考えず、習い事を押し付ける。 ま、本気で生きるって決めたし、いいんだけどね。 貴族の子弟の家庭教師という仕事は、それなりに実入りがいいら しい。 パウロはこのへんでは数少ない騎士で、一応は下級貴族という位 置づけになるらしいから、 一応は給金も相場と同じぐらいのものを出せるのだとか。 しかし、何しろここは国の中でも端のほうの田舎、 つまり辺境らしく、優秀な人材はもちろん、魔術師すらほとんど いない。 という心配があったらしいが、あっさりと見つかったらしく、明 日から来てくれることになった。 この村には宿屋が無いので、住み込みになるらしい。 両親の予想によると、来るのは恐らく既に引退した冒険者だ。 若者ならこんな田舎には来たがらないし、宮廷魔術師なら王都の 方にいくらでも仕事がある。 この世界では、魔術の教師が出来るのは上級以上の魔術師と決ま っている。 ゆえに冒険者のランクとしては中の上か、それ以上。 長年魔術師として研鑽を積んだ中年か老人で、 ヒゲをたくわえたまさに魔術師って感じのが来るだろう、 って話だった。 66 ﹁ロキシーです。 よろしくおねがいします﹂ だったが、予想を裏切って、やってきたのはまだ年若い少女だっ た。 中学生ぐらいか。 魔術師っぽい茶色のローブに身を包み。 水色の髪を三つ編みにして、ちんまりというのが正しい感じの佇 まい。 手にしているのは鞄一つと、いかにも魔術師が持っていそうな杖 だけだ。 そんな彼女を、家族三人でお出迎え。 彼女の姿を見て、両親はびっくりして声も出ないようだった。 そりゃそうだろう。 予想とあまりに違いすぎる。 家庭教師として雇うのだから、それなりに歳を重ねた人物を想像 していたのだろう。 それが、こんなちんまいのだ。 もっとも、数多くのゲームをこなしてきた俺にしてみれば、 ロリっこ魔術師の存在は別段不思議ではない。 ロリ・ジト目・無愛想。 三つ揃った彼女はパーフェクトだ。 ぜひ俺の嫁に欲しい。 ﹁あ、あ、君が、その、家庭教師の?﹂ ﹁あのー、ず、随分とそのー﹂ 両親が言いにくそうにしているので俺がズバリ言ってやる事にし 67 た。 ﹁小さいんですね﹂ ﹁あなたに言われたくありません﹂ ピシャリと言い返された。 コンプレックスなのだろうか。 胸の話じゃないんだけどな。 ロキシーはため息を一つ、 ﹁はぁ。 それで、わたしが教える生徒はどちらに?﹂ 周囲を見渡して聞いてくる。 ﹁あ、それはこの子です﹂ ゼニスの腕の中にいる俺が紹介される。 俺はキャピっとウインク。 すると、ロキシーは目を見開いたのち、ため息をついた。 聞こえてますよ! ロキシーさん! ま、俺もそれには激しく同意だけどね。 ﹁何か﹂ 68 ﹁いえ。 しかし、そちらのお子様には魔術の理論を理解できるとは 思いませんが?﹂ ﹁大丈夫よ、うちのルディちゃんはとっても優秀なんだから!﹂ ゼニスの親馬鹿発言。 再度、ロキシーはため息を付いた。 ﹁はぁ。 わかりました。 やれるだけの事はやってみましょう﹂ これは言っても無駄だろうと判断したらしい。 こうして、午前はロキシーの授業を、午後はパウロに剣術を習う こととなった。 魔術の授業は主に外でやるらしい。 家の中で魔法をぶっぱなせばどうなるか、ちゃんとわかっている のだ。 俺のように、壁をぶっ壊したりはしないのだ。 ﹁まずはお手本です。 汝の求める所に大いなる水の加護あらん、 清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール﹂ 69 ロキシーの詠唱と同時に、彼女の手のひらにバスケットボールぐ らいの水弾が出来た。 そして、庭木の一つに向かって高速で飛んでいき、 ベキィ。 と、木の幹を簡単にへし折ると、柵を水浸しにした。 サイズ3、速度4ぐらいだろうか。 ﹁どうですか?﹂ ﹁はい。 その木は母さまが大事に育ててきたものですので、母さま が怒るとおもいます﹂ ﹁え? そうなんですか!?﹂ ﹁間違いないでしょう﹂ 一度、パウロが剣を振り回して木の枝を叩き折った事があるが、 その時のゼニスの怒りようは半端ではなかった。 木の幹はじわじわと折れる前へと戻っていった。 おー、すげー。 70 とりあえず褒めとこう。 ﹁ふう﹂ ﹁先生は回復魔術も使えるのですね!﹂ ﹁え? ええ。 中級までは問題なく使えます﹂ ﹁すごい! すごいです!﹂ ﹁いいえ、きちんと訓練すればこのぐらいは誰にでも出来ますよ﹂ 言い方はややぶっきらぼうだったが、ロキシーは嬉しそうだった。 特に捻りもなくすごいすごいと連呼しただけでこれか、 チョロそうだ。 ﹁では、ルディ。 ヤバイ、一年近く水弾の詠唱なんてしてなかったから思い出せな い。 今ロキシーが言ったばっかだよな。 えっと、えっと。 ﹁えっと、なんて言うんでしたっけ?﹂ ﹁汝の求める所に大いなる水の加護あらん、 清涼なるせせらぎの流れを今ここに、です﹂ ロキシーは淡々と言った。 この程度は想定内らしい。 しかし、そんな淡々と言われても一度では覚えられん。 71 先ほどのロキシーの作った水弾よりもちょっとだけ小さく、ちょ っとだけ遅く。 彼女より大きいのを作ったら拗ねるかもしれないしな。 俺は年下の女の子には寛容なのだ。 バスケットボールの水弾は、勢いよく射出された。 バキバキッ 木が倒れる。 ロキシーは難しい顔をしてそれを見ていた。 ﹁詠唱を端折りましたね?﹂ ﹁はい﹂ 何かヤバかっただろうか。 そういえば、無詠唱は魔術教本にも載っていない。 何気なく使っていたが、実は何か禁忌に触れたりするんだろうか。 その場合、いいじゃねえかよ、あんなダセェ詠唱していられっか よ、って反発したほうがいいんだろうか。 これから勉強を教わるのだし、いずれはバレる。 いつもは無し。 なるほどね。 疲れは感じて 72 いますか?﹂ ロキシーはマジビックリ、という顔をしたが、取り繕った。 ﹁はい、大丈夫です﹂ ﹁そう。 水弾の大きさ、威力共に申し分ないです﹂ ﹁ありがとうございます﹂ ロキシーは、ここでようやく微笑んだ。 ニヤリと。 そして呟く。 叫び声が上がった。 様子を見に来たゼニスだった。 飲み物を載せたお盆を取り落とし、口を両手で抑えて、ボッキリ 折れた木を見ている。 悲しげな表情。 次の瞬間、その表情に怒りの色が篭っていく。 あ、やべぇ。 ゼニスはツカツカと歩いてくると、ロキシーに詰め寄った。 まぁ、3歳児に責任をなすりつけちゃいかんだろ。 俺は彼女の肩をぽんぽんと叩いた。 74 ごめんなさい。 いや、落ち着け。 ﹁そ、そうですね。 ありがとうございます﹂ ﹁はい。 では授業の続きをお願いします﹂ こうして、初日からロキシーとちょっと仲良くなれた。 俺の体格にあった木剣がないため、基本的には体作りが中心とな ってくる。 ランニング、腕立て伏せ、腹筋、などなど。 パウロは、とりあえず最初は体を動かす、ということを中心にや らせるつもりらしい。 75 パウロが仕事で指導が出来ない日も、基礎体力訓練だけは毎日欠 かさずやるように言いつけられた。 そのへんは、どこの世界でも変わらないらしい。 頑張ろう。 子供の体力では午後全部を使って鍛錬をするわけにもいかないの で、剣術は昼下がりまでには終了する。 そのため、俺は夕飯までの間に、魔力を使い果たすまで使う。 魔術というものは﹃大きさを変化させる﹄と使用する魔力量が変 わる。 詠唱した時に何も意識しない時を1とすると、大きくすればする ほど加速度的に消費魔力が増えていく。 質量保存の法則ってやつだ。 しかし、なぜか逆に小さくすることでも消費魔力が増えるのだ。 この理論はよくわからない。 こぶし大の水弾を作り出すより、一滴の水を生み出す方がはるか に魔力を消費する。 おかしな話だ。 前々から疑問に思ってみたのでロキシーに聞いてみたら、 ﹁そういうものだ﹂と返された。 解明されていないらしい。 仕組みはわからない。 しかし、訓練を行うに関しては、その仕様も悪くはない。 最近は魔力総量が結構増えてきたので、大きな魔術を使わなけれ 76 ば消費しきれないのだ。 魔力を使うだけなら、力尽きるまで最大出力でぶっぱなせばいい。 だが、そろそろ応用力をつけていっても良いだろう。 なので、出来る限り細かい作業を練習することにした。 魔術で小さく、細かく、複雑な作業をするのだ。 例えば、氷で彫像を作ったり、指先に火を灯して板に文字を書い たり。 錠前の鍵を掛けたり外したり、なんてのもやってみた。 土の魔術は金属や鉱物にもある程度作用するようだ。 ただし、金属の種類が硬くなればなるほど、消費される魔力が大 きくなった。 やはり硬いものを変化させるのは、難しいらしい。 操作する対象が小さくなればなるほど、 細かく複雑に、かつ正確に素早く動かそうとすればするほど、 消費する魔力の量が莫大になっていく。 野球ボールを全力投球するのと、針の穴にゆっくり糸を通すのと、 同じぐらいの魔力を消耗するのだ。 また、違う系統の魔術を同時に使用するということもやってみた。 同じ系統を同時に使うのに比べ、三倍以上の魔力を消費するよう だ。 つまり、二種類の系統の魔術を同時に発動し、小さく細かく素早 く正確に動かせば、簡単に魔力を全消費することができた。 77 そんな毎日を続けていたら、 半日以上、そんな魔術を使い続けても、まったく底が見えなくな ってきた。 もうこれくらいで十分か、そんな気持ちが芽生える。 俺の怠け者の部分が、そろそろいんじゃね? と囁いてくる。 その度に、俺は自分を叱りつけた。 筋トレだってちょっとサボったら体が鈍る。 魔力だってそうかもしれない。 一時的に増えたからって訓練を怠 ってはいけないのだ。 どこからかもなにも、パウロとゼニスの寝室に決まっているのだ が。 お盛んだ。 そう遠くない未来に、俺の弟か妹が生まれる事だろう。 パソコン できれば妹がいいな。 弟はいやだ。 俺の脳裏には、俺の愛機にバットをフルスイングする弟の姿が残 っている。 弟はいらない。 可愛い妹がいい。 おかげで姉は家に男を連れてこなくなった。 懐かしい。 当時、ああいう事をする奴らは、俺の世界を黒く塗りつぶす巨悪 に思えた。 俺をイジメてた奴らが、俺の決して手の届かない領域からアホ面 して見下ろしてるような気がして、やり場のない怒りが襲った。 暗く不快な場所に落とした張本人が、 お前、まだそんな所にいるの? と、見下してくるのだ。 これほど悔しい事はない。 しかし、最近は違う。 身体が子供になったせいか、ヤってるのが両親なせいか、 あるいは自分自身で未来に向かって努力しているせいか。 二人の営みを、すげー微笑ましい気分で聞いている俺がいる。 音だけ聞いていると、なんとなく内容もわかる。 どうやら、パウロはかなりお上手らしい。 ゼニスの方はあっという間に息も絶え絶えノックダウン状態にな っているのに、 パウロは﹁まだまだこれからだぞぅ﹂とか言って攻めつづけてい る。 陵辱系エロゲの主人公みたいな男だ。 79 ハッ、もしかしてパウロの息子である俺のムスコにもそんなパワ ーが秘められているのでは!? 覚醒はよ。 ヒロインはよ! 俺にもピンク色の展開を! と、最初の頃は興奮していたが、最近では枯れたもので、 ギシギシと軋む廊下を通り抜けて、平然とトイレに行くようにな った。 ちなみに、部屋の前を歩くとギシアンがぴたっと止まるので、結 構面白いです。 その日も、歩けるようになった息子がいるという事を知らしめて やるべく、トイレへと向かった。 どれ、今日は一つ、声でも掛けてやるか。 おとーさん、おかーさん、裸でなにしてるの? とか聞いてみる か。 言い訳が楽しみだぜ。 そんな事を考えながら、音を殺して部屋を出た。 そこには先客がいた。 青髪の少女が、暗い廊下に座り込んで、ドアの隙間から寝室を覗 いていた。 頬は紅潮し、やや荒い息を潜めるように、しかし視線は部屋の奥 に釘付け。 80 その手は、ローブの下へと潜り込んで小刻みに動いていた。 俺はそっと自室へと戻った。 ロキシーとて年頃の娘である。 彼女がこのようなアレにふけるのを、見てみぬふりをする情が俺 にも存在した。 いやぁ、いいものを見た。 中級までの魔術は使えるようになった。 という事で、ロキシーと夜の座学をする事になった。 おっと、夜のって付いてるからってエロいことをするわけじゃな いぞ。

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